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日銀が株価を歪めてもインデックス運用が有利な理由(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/896.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 12 月 21 日 13:58:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日銀が株価を歪めてもインデックス運用が有利な理由
http://diamond.jp/articles/-/112146
2016年12月21日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員] ダイヤモンド・オンライン


■GPIFも日銀も拡大するインデックス運用

 GPIF(年金積立金運用管理独立行政法人)が、近年、株式投資を拡大している。そのGPIFの株式投資は、大きな部分をインデックス運用が占めている。

 また、日本銀行は、現在すでにGPIFに次ぐ日本株の大手保有主体となり、今後しばらく年間6兆円といういささか常軌を逸したペースで日本株を買う予定だが、彼らが株式を買う手段はETF(上場型投資信託)であり、ETFの大半がインデックス運用である。

 つまり、GPIFを通じても、日銀を通じても、インデックス運用が拡大している。

 インデックス運用とは、公表されている株価指数(=インデックス)と同じ銘柄と投資ウェイトで株式等を保有する運用方法で、(1)市場の概ね平均的なリターンが得られること、(2)運用手数料が低廉であること、(3)株価指数に連動するので運用状況を把握しやすいことなどのメリットを持っている。

 他方、インデックス運用で運用される資金は、公表されている株価指数と同様の銘柄と投資ウェイトを機械的に保有するだけなので、(1)正しい株価を発見する意味での株価形成に貢献していない、(2)他人の判断によって形成された株価にただ乗りしている、(3)個別銘柄の株価形成を歪めることがある、(4)積極的に個々の銘柄を評価しようとする運用(「アクティブ運用」と呼ばれる)をビジネス的に圧迫することで正しい株価形成を阻害している、といった批判がある。

 インデックス運用が拡大すること、さらにもう一歩進めて、インデックス運用を行う商品に個人や機関投資家が投資することの影響と可否について、どう考えたらいいのか。

■「市場平均型」と「非市場平均型」2種類のインデックス運用

 インデックス運用は株価指数と同様のポートフォリオを持つ運用だが、株価指数には、本質的に性質が異なる2つのタイプが存在する。

 一つは、原則として株式市場での時価総額(株価×発行株数)に比例して市場の全ての上場銘柄を保有する「市場平均型」の株価指数で、東証一部市場でいうとTOPIX(東証株価指数)が“ほぼ”これに相当する(注:TOPIXは推定浮動株ベースの時価総額で計算されている)。

 もう一つのタイプは、市場参加者の平均的な保有とは異なる、独自の銘柄とウェイトで計算される株価指数(「非市場平均型インデックス」と名付けよう)で、日本経済新聞社が銘柄を選び時価総額ではなく概ね株価でウェイト付けされる「日経平均」や、ROE(自己資本利益率)が高い銘柄を重視する「JPX日経400」などを例として挙げることができる。

 相対的な運用パフォーマンスにあって明快な強みを発揮するのは、市場平均型のインデックス運用だ。

 市場参加者の平均的な保有と異なる保有銘柄・ウェイトを持つ投資家(アクティブ運用者)は、何らかの判断をもって自分の保有が有利だと判断していると考えられるが、市場平均型のインデックス運用を行う人以外の「アクティブ運用者の保有の平均」は、理屈上は市場平均型のインデックスと同じ銘柄・ウェイトになっていることになる。

 この場合、市場平均と同じ構成(銘柄・投資ウェイト)を持っている投資家は、アクティブ運用の投資家の平均に対して、保有銘柄の入れ替えに伴う売買コストがない分だけ運用パフォーマンス上有利になる。加えて、保有の形態が投資信託のような金融商品である場合、インデックス運用商品の運用管理手数料(信託報酬)やリテール市場での販売手数料(多くは「ノーロード」=販売手数料ゼロ)の安さによって、さらに有利になっている。

 市場平均型インデックス運用の特徴である「市場参加者の保有の平均を持つこと」の有利さは、運用をゲームとして捉えた時に普遍的だ。その有利性は、しばしば誤解されがちだが、「市場の効率性」と呼ばれる株価が正しく形成される状態には依存しない。

 一方、非市場平均型のインデックス運用は理屈上、市場平均型ほど明確に有利な訳ではない。しかし、市場平均に近いパフォーマンスを出しながら、市場平均に対する勝ち負けが五分五分であって銘柄の入れ替えが少なければ、市場平均型のインデックス運用とほぼ似た有利さを持っていると考えられる。

 運用商品の優劣比較では、現状で、アクティブ運用の商品は、(1)パフォーマンスの平均がインデックス運用を下回ることと、(2)相対的に良いパフォーマンスを上げるアクティブ運用(運用者又は商品)を事前に見極める手段がないこと、さらに(3)アクティブ運用商品の方が手数料の高いこと、の3点から市場平均型のインデックス運用の商品に対してはっきり劣後する。

 GPIFにせよ日銀にせよ、あるいは少額の資金を運用する個人投資家にせよ、株式に投資する手段としてインデックス運用を選ぶこと自体は、少なくとも現状の手数料水準を前提とする限り圧倒的に適切だ。

■インデックス運用による株価形成の歪みは2種類ある

 インデックス運用の拡大による株式市場への影響は、平均株価全体の水準に対する影響と、個別銘柄の株価形成に対する影響の2種類がある。

 特に日銀が株価水準の判断に関係なくETFを買うことによる株価全般の押し上げ(あるいは「下げ渋り」)効果は、その規模の大きさによって株価水準に影響を与えており、日本の株式市場の株価形成を歪めているが、これは、株式購入の規模と目的の問題であって(投資収益が目的ではなく、金融緩和と株価の押し上げによる資産効果が目的と考えられる)、運用方法がインデックス運用であることの問題ではない。

 一方、日銀のETF買いに関しては、「日経平均」、「JPX日経400」のような(特に前者)非市場平均型のインデックス運用を行うETFを買い入れたことによって、特定の銘柄に時価総額比で見たウェイト以上の資金が集中することに伴う、個別銘柄の株価形成の歪みの問題もある。

 金融業界の専門誌『週刊金融財政事情』(12月12日号)にニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井手真吾氏が「インデックス運用偏重による構造問題」という論文を寄稿されているが、興味深い調査結果が載っている。

(1)個別銘柄の時価総額(浮動株ベース)に対する日銀の推定買い入れ割合が大きな銘柄ほど業種で調整されたPER(株価収益率)が高く「割高な株価が形成されている」と推定され、推定された株価形成の歪みは(2)ETF買い入れの増額が発表された7月29日以降顕著に拡大し、(3)9月21日に10月以降のTOPIX連動型のETFを中心とする買い付けを中心とする新ルールを発表してからはやや緩和されているという。新ルール適用前、日銀は、概ね「ETFの時価総額比」でETFを購入していたので、購入額の5割強が日経平均連動型ETFに向かっていた。

 このリサーチ結果は、非市場平均型のインデックス運用に大きな資金を機械的に投資すると相対的な株価形成が歪むことと、日銀のETF買いがすでに個別銘柄の株価形成にも影響を与えていることを示唆する点で興味深い。

 以前の本連載でも述べたが、日銀は、ETFの買い入れをこれ以上行うべきではない。

■インデックス運用拡大は株価形成を劣化させるか?

 一方、インデックス運用はアクティブ運用者が形成した株価に「ただ乗り」していて、正しい株価の発見・形成に貢献しておらず、アクティブ運用をビジネス的に圧迫することを通じて、株価形成を劣化させているとする議論をどう考えるべきだろうか。

 公的年金の運用などにおいても、ある程度はアクティブ運用業者を使うべきだとする意見があるようだ。

 確かに、市場平均型のインデックス運用が、正しい株価の発見・形成のために貢献していないことは明白だ。

 しかし、市場平均型のインデックス運用は株価形成に対して概ね影響を与えないし、手数料コストが低廉なので、運用の選択肢としては合理的だ。

 筆者は、少なくともアクティブ運用の業者が運用手数料率を大幅に下げるのでない限り、年金基金も個人も、正しい株価形成のためといった効果が曖昧な善意の下に、アクティブ運用を使う必要は全くないと考えている。

 率直に言って、機関投資家が上場企業のビジネスを理解し株価を評価する能力は大したものではない。特に、他人のお金を運用する年金基金が、明確に高い手数料を払ってまで雇う価値はない。

 また、市場では、銘柄ごとに、個々の企業の事情に通じた主体が、株式を有利に買ったり売ったりするチャンスを窺っているし、もちろん、アクティブ運用の運用者に期待をかけて資金運用を任せる投資家と資金が存在する。利用できるチャンスが明確にあると思われるほど株価が歪むなら、彼らが裁定的な取引を行うことによって株価形成は訂正されるだろうから、あえて運用として合理的でない領域に踏み込んでまで、現状よりもアクティブ運用のスポンサーを増やす努力をする必要はないように思われる。株式市場は、無理にでもアクティブ運用資金を増やさなければならないほどヤワなものではない。

 実は、年金基金の担当者、年金運用コンサルタント、アクティブ運用の業者の間には、「アクティブ運用の役割が重要である」としておく方が、自分たちの仕事を増やす上で好都合だという、共通の利益が存在する。

 しかし、真に投資家の利益を追求する立場を考えるなら、むしろ、機関投資家も個人投資家も手数料が高いアクティブ運用の採用を控えることで、アクティブ運用の手数料に対して下げ圧力を加えることの方が社会的には有益ではないだろうか。

 市場平均型の運用が中心である限り、「インデックス運用拡大の弊害」は大きな心配に及ばないと筆者は考えている。

 確定拠出年金などを通じて個人投資家である読者の皆様は、安心して市場平均型のインデックス運用商品に投資していい。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

 

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