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この円安はドル独歩高の裏返し、日本経済の行方は米政策次第だ 来年は政治強権化 個人投資家は上昇率に注目 ネット販売進まず
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/127.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 12 月 22 日 23:18:01: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 


【第15回】 2016年12月22日 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
この円安はドル独歩高の裏返し、日本経済の行方は米政策次第だ
 アメリカ大統領選の結果判明後、円安が進んだ。株価も上昇した。
 2013〜14年頃の円安と違い、今回は、ドル高の側面が強い。そのため、アメリカの政策によって大きく影響される。将来どう推移するかには、大きな不確実がある。
大統領選直後の金利上昇と
ドル高の進行

 大統領選の結果判明後、アメリカの金利が急上昇した。この連載ですでに示したように、10年国債の利回りで見ると、1.8%程度から2.3%程度へという大きな変化だ(第11回「トランプの経済政策で懸念される円安と金利上昇」2016年11月24日)。
 これまで、政策金利の引き上げにもかかわらず、長期金利は低下を続けていたので、かなり大きな変化である。
 これは、トランプ政権のマクロ政策(減税とインフラ投資増)の結果、長期資金市場がタイトになり、金利が上昇するとの見通しによる。
 これとほぼ歩調を合わせて、図表1に示すように、ドルの実効レートが急上昇した。11月1日の123.482から11月15日の126.5164まで、2.46%も上昇した。
 つまり、ドルは円だけでなく、他の通貨に対しても増価したのである。その意味で、これは、円安というより、ドル高である。
◆図表1:ドルの名目実効レート(短期)

 なお、図表2に示すように、円の実効レートも下落している。11月1日の91.8から11月15日の90.29まで1.64%下落した。
 そのかなりの部分は、ドル高によって引き起こされたものだ。ただし、それ以外の要因もある。実際、円はユーロに対しても減価した。
 これは、世界的な投機資金が、リスクオフからリスクオンに切り替わったことの影響なのだろう。
 日本の貿易や輸入物価に影響するのは、円ドルレートではなく、円の実効レートである。
 BIS(国際決済銀行)のデータによれば、日本の実効レートにおけるドルの比重は、15.2%だ。
 したがって、円ドルレートだけを見ていると、影響を過大評価する危険がある。日本の企業利益や輸入物価などに対する影響を評価するには、円ドルレートの変化を見るよりは、円の実効レートの変化を見るほうがよい。
◆図表2:円の名目実効レート(短期)

10月中旬に
ドル高期待が高まる
「円安でなくドル高」ということは、シカゴ・マーカンタイル取引所における投機取引(非商業取引)の残高を見ても言える。
 まず、図表3に示すドルの先物残高を見ると、ロングが10月中旬に急に増えた。なぜこうなったのか、理由は分からない。先物市場は、この時点において、トランプ勝利とそれによるドル高の進行を予測したのであろうか?
 それ以降、ドルのロングがショートを大幅に上回る状態が続いている。ただし、両者の差はほぼ一定値に留まっている。
◆図表3:シカゴ取引所における投機筋のドル先物残高

 つぎに、図表4に示す円の先物残高を見ると、大統領選後しばらくの間は、ロングがショートを上回る状態が続いていた。すなわち、ドル高を期待しての投機は増えたが、円安を期待しての投機は、急激には増えなかったのだ。
 ただし、円ショートは徐々に増えた。つまり、円安を期待しての投機が徐々に増えた。
◆図表4:シカゴ取引所における投機筋の円先物残高

FRB利上げによって
さらに円安が進行した
 以上で見た大統領選の結果による変化は、一応、出尽くしたと考えられる。
 10年債金利も上げ止まった。また、図表1に示したドルの実効レートも、11月下旬からは緩やかな下落に転じた。
 その後、11月下旬に、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の利上げが確実になったことから、アメリカ2年債利回りが上昇した。ただし、上昇幅はあまり大きくはない。
 ドル実効レートも、あまり大きくは変化しなかった。
 利上げがドルの実効レートに大きく影響しなかったのは、すでに市場が織り込み済みだったからだろう。
 しかし、円ドルレートは、115円から118円まで下落した。
 つまり、ドルと他国通貨との関係はあまり変わらずに、円が下落したのである。その意味で、これは、ドル高と言うよりは円安だ。
 円に対する見方が変わったことは、投機筋の残高にも見て取れる
 ドルの先物残高はあまり変わらなかったが、日本円のショートが増えた。そして、11月末からは、ショートがロングを上回る状態になった。
 円安が進んだことによって、投機筋が、今後さらに円安が進むとの予測に転換したことを示している。
円安とドル高は
どこが違うか
 以上で見たように、最近では円安の側面が見られるものの、今回の為替レートの変化は、全体として見ると、ドル高の側面が強い。
 これは、2013年頃の状況とは異なるものである。
 図表5に見るように、この頃はドルの実効為替レートはあまり変化しなかった。しかし、円の実効レートが非常に大きく低下したのである。これは、円がそれまではユーロ危機から脱出する資金のセイフヘイブンとしての役割を果たしていたが、その役割がなくなったことによる。
 この時期には、アメリカの実効レートが変化しなかったことが重要である。
 なぜなら、貿易収支があまり影響を受けないので、政治問題にならないからだ。
 しかし、今回は状況が異なる。図表1で見たようにドル高が顕著に進行したので、アメリカの貿易収支に影響が及ぶ可能性が高いからだ。
 トランプ氏は選挙戦中、中国や日本が為替操作を行なっているとの批判を展開していた。
 したがって、アメリカの貿易収支が悪化すると、ドル高抑制策を取る可能性が否定できない。
 その結果、アメリカに資金が流入しなくなれば、日本に流入して円高になる。
 もちろん、これは、アメリカにとって合理的な政策ではない。現在のアメリカの製造業は、アップルに典型的に見られるように、生産活動を海外で行なっている。こうした企業にとっては、ドル高のほうが望ましい。
◆図表5:円とドルの名目実効レート(長期)

マクロ環境には
大きな不確実性がある
 以上で見たように、為替レートは円安基調に転じた。しかし、この基調がどこまで続くかは不透明である。
 将来を見ると、いくつかの不確実性を指摘できる。
 第1は、アメリカの金利引き上げのスピードだ。FRBは利上げのスピードを速めていく意向を持っているが、トランプ政権下でこれが実現できるかどうか、不透明だ。
 最大の不確実性は、本稿の最初に述べた変化が、まだ実現していない将来のアメリカのマクロ政策の予測に基づいていることだ。実際の政策がその通りになる保証はない。減税やインフラ投資が期待通りに進まなければ、上記の過程は逆転する。
 トランプ氏はまた、アメリカ企業が海外に保有する留保資金をアメリカに還流させる計画を持っている。
 留保資金は主としてヨーロッパに存在すると考えられるので、これが実現して実際に資金がアメリカに還流すれば、ユーロに対してドル高になるだろう。
 これはアメリカの金利上昇を抑えるだろう。
 すると、日米の金利差が縮小することから、円高になる可能性もある。
日本経済への大きな問題は
金利上昇の可能性
 円安が進んで日本の輸入物価が2割程度上昇すれば、消費者物価の対前年比は、半年程度の遅れを伴って、1〜2%程度に上昇する。2017年の下半期には、こうした事態が実現する可能性がある。
 表面上は、日銀のインフレ目標に近づくことになる。しかし、これは日銀の政策によって実現することではなく、海外情勢の変化によって実現するものだ。
 実は、13年頃の円安下の物価上昇も、日銀の政策によって実現したというよりは、世界的な投機資金の流れの変化によって実現したのである。
 日本経済にとっての大きな問題は、金利が上昇する可能性があることだ。
 全世界的に資金がアメリカに流入し、ドル高と他国通貨安が進む。そして、全世界的に金利が上昇する。
 日本も例外ではない。すでに上昇し始めている。これが続く可能性がある。
 これに対抗しないと、日本経済は大混乱に陥ってしまうので、是が非でも対応しなければならない。金利の上昇を抑えるためには国債購入を増やす必要があるが、それが実行できるだろうか?
 他方で、物価が上昇すると、日銀が緩和政策を続ける理由はなくなる。むしろ、緩和政策からの脱却を図る必要がある。しかし、それは、金利抑制と相反する。
 来年の中頃には、この問題への判断が必要になるだろう。
 最も重要なことは、13年頃には円安の進行で株価は上昇したが、物価が上昇し、実質消費が減退したことだ。今回もそうなるだろう。
 日本経済は、為替レートによって振り回されている。しかも、日本の経済政策によってではなく、海外の事情によって振り回されている。このような状況から脱却することが必要だ。
(早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問 野口悠紀雄)
http://diamond.jp/articles/-/112246 

 
日本人が知らない本当の世界経済の授業
【第20回】 2016年12月22日 松村嘉浩
2017年は政治の強権化の年になる:トランプ当選を的中させたプロと語る市場の行く末(後篇)
各方面から絶賛されたストーリー仕立ての異色の経済書、『増補版 なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?』。その著者・松村嘉浩氏と、トランプ大統領の誕生を見事に予測した、フコクしんらい生命保険の資産運用業務全般を統括する林宏明氏との対談・後篇です。
不安定な経済を押さえ込む「強い政治」を求める時代を、2人はどのように見ているのでしょうか。


“プロレスラー”トランプの危険性

松村 中国はトランプに対して取り立てて反論もせず、黙っているわけですが、トランプのアピールの仕方がプロレスにおけるマイクパフォーマンスのようなものであり、さすがに本気ではないと考えているからだと思います。

 問題は、プロレスの観衆はあくまでショーであることを理解していますが、政治においては民衆がトランプの勇ましいマイクパフォーマンスに酔っているわけですから、プロレスのような落とし所がきれいに見つかるのかは、分からないということです。

林 中国が対応に困っているのは間違いないですね。フェィクのつもりの蹴りが間違えて顔面に入って本気の乱闘になるリスクも十分あるでしょう。

松村 笑い事ではないですが、プロレスのつもりがK-1になってしまうということですよね。日本で民主党政権になったときも、大衆迎合のために実現不可能な政策を並べて、実現できずにグダグダになったわけですが、政策のつじつまが合わないことが明らかになれば市場は逆に暴落ということになるんじゃないでしょうか。

林 そのとおりです。私は昨年と同様に、2017年も年初から市場は危うくなるのではないかと考えています。先ほども申し上げたように、来年1/20の大統領就任演説が大きな山場ですね。大統領就任演説とは、たとえばオバマの核廃絶のように、デフォルメした大きなビジョンを示すものです。どのようにしてこれまでの主張と整合性をつけるのか、過去に例のない状況で実に見ものだと思います。

松村 それがこれまでどおりのマイクパフォーマンスであれば、世界は腰を抜かすでしょうし、そうでなくておとなしいものになれば国民からは大ブーイングということですね。そして、たとえ大統領就任演説を通過しても次は予算教書というハードルがあります。

林 ええ、すでに市場は4兆ドルの減税と1兆ドルの公共投資を期待しているわけですが、さすがにそれは現実的な数字ではないでしょう。それが調整されれば市場には明らかにネガティブでしょうし、その数字どおりだとしても織り込み済みとなるのではないでしょうか。先ほどおっしゃった民主党政権の例ではないですが、期待を裏切ったときの反動は極めて大きなものとなるはずです。

予測される中央銀行と金利の動向

松村 しかしながら、現状はトランプに期待し、そこにおんぶに抱っこになろうとしています。12月にFRBは予定どおり利上げしましたが、経済見通しをほとんど変えていないにもかかわらず、おどろいたことに予想された年2回の利上げペースを3回に上げてきました。これは、トランプの期待が続いているうちに早急に利上げしておこうというFRBの意図が露骨に出たものだと思います。

林 FRBとしては、糊代をつくっておきたいわけですから、この際できるだけ利上げしておきたいということでしょう。ちなみに、FRBが利上げできないというシナリオは、トランプの財政政策によって修正となりましたね。

松村 日銀がマイナス金利政策に突っ込んで金融政策の限界を露呈し、実質的にはテーパリングに入りました。ECBも、テーパリングではないと言い張っていますが、同様にテーパリングに入っています。このように金融政策がもはや手詰まりになるなかで、昨年は財政政策に舵をとろうと国際的な掛け声があって、安倍政権が財政を拡張させたものの他国が追随することはありませんでした。ところが、ここにきて突如、米国が大盤振る舞いすることになった……。これは中央銀行にとって負担軽減の、正に恵みの雨という話ですね。

 言い方は良くないですが、日銀もどさくさに紛れてテーパリングをアグレッシブにやるべきだと思います。

林 しかし、それはトランプの政策が機能する前提の議論にすぎません。本当に中央銀行が引き締めていって大丈夫なのかといえば、そんなことはないでしょう。そもそも、過去と異なるのは、現状の経済が膨大なレバレッジによって成り立っているという事実です。金利が上がることによるインパクトは安易に考えるべきではないでしょう。

松村 おっしゃるとおりだと思います。トランプの背中にみんなで乗っかろうとしているわけですが、親亀こけたらみなこけたというような事態になってもおかしくありません。現状は、「グレート・ローテーション」といって、景気が良くなって株が上がり金利が上昇するというバラ色のシナリオで動いていますが、それは昔の経済だから成り立った議論です。実際に膨大な財政政策で長期金利が上昇すれば、現在のようなレバレッジ型の経済は持たないはずです。

 そもそも、米国株の上昇要因が基本的には「自社株買い」、つまり低金利で債券を発行し自社株を買うというレバレッジに依存している構造であることを忘れるべきではないでしょう。

林 そもそも財政政策によって目先のGDPは上がるかもしれませんが、長期的に経済成長に寄与するのかどうかは甚だ疑問です。『増補版 なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?』に書かれておられたように、未来の人から借金しているだけの話なのですから。

松村 私がよく言う朝三暮四の議論ですね。すでに多大な借金をして成長しない状態に陥っている中で、選択する打開策がさらに借金をすることというのは、完全に間違いです。今さえよければ良いという思考は、将来に多大な禍根を残すことになるでしょう。

2017年は、政治の強権化の年になる

松村 ここまでトランプ大統領の影響について話してきましたが、他の面では、来年はどんな年になるんでしょうか?

林 なにがトリガーになるのか明確にイメージできませんが、先ほどから申し上げているように、いずれ過剰な期待が剥がれたときに、ずいぶんと悲惨なことになると思います。また、来年は欧州の選挙の年ですから、トランプ・サンダース現象のムーブメントがヨーロッパに波及して、ユーロの崩壊の始まりを示すことになるのではないでしょうか。私は、フランスでは反EUと反移民を掲げるルペン大統領が誕生すると思っています。

松村 たしかに、今となってはその可能性も否定できません。世界が行き詰まり不満が拡大する中で、世の中は暴力的な利害調整を要求し、それに応える強権型の政治家が増えてきています。

 11/28の日本経済新聞の中沢克二編集員の『「大統領」狙う強権 習氏に死角 トランプ現象は中国でも』という記事によれば、習近平首席の権力を強化して、いずれは大統領にしようという試みが共産党の中で行なわれているそうです。つまり、強権化を推し進めなければ、共産党が不満分子によってつぶされてしまうという危機感があるというもので、大変すぐれた洞察でした。こうした動きが示唆するのは、やはり極めて危険な流れのなかに我々はいるし、そのスピードは加速しているということだと思います。

林宏明(はやし・ひろあき)
フコクしんらい生命保険取締役執行役員財務部長。
1982年早稲田大学法学部卒。同年、富国生命保険入社。証券金融市場での経歴は25年近くに渡る。富国生命保険では国内の国債・地方債・財投機関債、海外の国債、地方債、エージェンシー債、カバードボンド等幅広く内外公社債市場の運用を担当するとともに、短期金融市場での運用にも従事。また、内外のクレジット市場、証券化商品の投資には深く関わってきた。現在は、フコクしんらい生命保険において、公社債市場・株式市場を始め、資産運用業務全般を統括している。
http://diamond.jp/articles/-/112177


 

低位株待ち伏せ投資
【第4回】 2016年12月22日 吉川英一 [個人投資家]
個人投資家は上昇率に注目しなさい!
業績も財務状況もよくない低位株。だが、個人投資家が儲けるには最も効率的な投資対象だという。『低位株待ち伏せ投資』の著者・吉川英一氏が、低位株投資の魅力を語った。


大きく増やすには低位株効果を利用する

 私が低位株をすすめるのには、ちゃんとした理由があります。それは、低位株効果と呼ばれるものがあるからです。

 一般的に、値がさ株より低位株のほうが上昇率が高くなる傾向があります。例えば、株価50円の株が100円になる可能性と、5000円の株が1万円になる可能性では、どちらが高いでしょうか?

 理論的には、どちらも倍になる可能性を聞いているのですから、本来は同じであると思われるかもしれません。しかし、現実は違います。

 仮に売買単位がどちらも1000株単位だとしたら、50円の株は5万円で買うことができますので、誰でも気軽に参戦することが可能です。一方、5000円の株は500万円を持っていないと買えないので、個人投資家で参加できる人は極端に減ってしまいます。過去の相場においても、全員参加型の安い株のほうが意外高を演じているのは言うまでもありません。

 値がさ株の代表銘柄でもあるファーストリテイリング(ユニクロ)の株価は、12月19日の終値で4万3130円しているのですが、売買単位が100株なので、買う場合は少なくとも431万3000円と手数料分を用意しなければいけません。個人投資家が簡単に参戦できる銘柄ではないのです。

 そして、この株がここから株価倍増を果たすには、よほど大きなニュースや大幅な利益増加がないと無理だと言えます。

 なぜなら、多くのアナリストや機関投資家、証券会社などによって将来の予想利益や成長性までリサーチされているので、サプライズな変化が起きる可能性が低いからです。そんな銘柄が、ある日突然、上昇しだしたり、株価が短期で倍になることはまずありえません。

 投資資金を早く大きく増やそうと思ったら、値がさ株に比べて上昇率で勝っている低位株を中心に売買するのが一番効率的だと言えます。

 株の初心者は、とくに誰もが知っているトヨタやファナック、村田製作所、武田薬品などの値がさ株に投資しがちですが、これらの株は低位株のように株価が短期間で倍になることはありません。株で儲けようと思ったら、誰も知らないような安い銘柄を買って、大きく上昇し始めるまで持ち続けることです。

 いつ上がるかわからない株を所有し続けるのは心配ですし、売却するまではずーっと不安だけが募りますが、ひたすら信じて待つことによって、思わぬ上昇相場に遭遇することがあるものです。

 株というものは、上がらないからといって、しびれを切らして売った途端に上昇することがよくあります。私の過去の経験からも、乗り換えて損をするパターンのほうが圧倒的に多いです。
http://diamond.jp/articles/-/112039

 

DOL特別レポート
2016年12月22日 森山真二
百貨店の「ネット販売」がいつまで経っても進まない理由

高島屋は百貨店業界で最もオムニ化に熱心だが、売上高の構成比ではわずか1%強にすぎない Photo by Ryosuke Shimizu
なぜ、百貨店はネットと店舗を融合したオムニチャネル化が進まないのか――。「オムニチャネル化は重要な戦略の一つ」と、百貨店経営者の発言は異口同音だ。しかし、その実態は「オムニ化に着手した」、あるいは「軌道に乗ってきた」という話をあまり聞かない。合理的なオムニチャネル化が進まない理由は、百貨店の古くて古い前時代の遺物となったような商慣習があった。(流通ジャーナリスト 森山真二)

ネットとの融合が進まない
百貨店の商慣行

 米アマゾン・ドット・コムが無人レジの店舗を開発し、米ウォルマート・ストアーズがダークストア(来店できない倉庫型の品ぞろえセンター)によるネットスーパーのピックアップ方式を順調に伸ばしているこの時世に、日本の流通は百貨店を始めとして、遅々として近代化が進んでいない。このままいくと、アマゾンがあれよあれよという間に1兆円の売上高を獲得したように、ネットに長けた流通外資に市場を席巻されてしまう懸念も出てきた。

 日本のオムニ化で、懸念の最たる場所が百貨店だ。もちろん、「晴れの日」を演出するという流通での役割からすると、簡単にデジタル化と相容れない世界なのかもしれない。そうだとしても店舗の機能や役割を変革して、オムニ化に舵を切ることはできるはずだ。

 しかし、そこには障害となる商慣習が横たわっている。

 グループでオムニ化に取り組んでいるセブン&アイホールディングスは別にして、百貨店のなかでもオムニ化に熱心な高島屋は、昨年の2015年2月に「オムニチャネル推進室」を設けて、取り組み始めている。木本茂社長による肝いりのプロジェクトだ。

 このプロジェクトも約2年が経過しようとしているが、ネットの売上高が前期は2割程度増加し、120億円程度。伸び率は大きいが、高島屋全体の売上高である9250億円(17年2月期見込)の構成比では1%強ということでしかない。

 先駆的に取り組んでいる高島屋ですらこういう状態だから、他百貨店は推して知るべしだ。

 なぜ、百貨店のオムニ化が進まないのか。それはアパレルメーカーと百貨店が共同で作り上げてきた、相互にリスクを持たない仕組みが横たわっているからだ。

 一つは店で売上の発生と同時に仕入が計上される消化仕入れという商慣行であり、さらに今ひとつはアパレルの支店単位の仕入れで、百貨店の本部が集中して購買する集中仕入れ体制ではないことだ。

 つまり、今では改善されているようだが、百貨店側は長らく販売の情報を保有する体制にない状態だった。

 また百貨店は自らがモノづくりに踏み込めなかった(何度かやって失敗)。そして消化仕入れや支店単位の仕入れ体制では、アパレル側は売上が鈍化すれば製造原価を落として対応するという手法をとってきており、悪循環を招いてきた。

 結果として、いつの間にか百貨店業界全体の衣料品売上高は2兆円超と、ユニクロとしまむらの売上高を足した数字にかなわない状況となっていた訳だ。

それでも高島屋は
オンワード樫山と取り組んだ

 百貨店とアパレルの商慣習の何がオムニ化の障壁となっているのか。

 オムニ化はいつでもどこでも、顧客が欲しいときに欲しい商品を提供し、顧客の利便性を高める手段といっていい。そのため、まず商品がどこにどれくらいあるのかを把握しておかなければ、話にならない。

 百貨店が主導的に在庫状況を把握していれば、仮に品切れしていた場合でも迅速な対応で顧客にあたれる。しかし、百貨店側とアパレル側の慣習では、多くはそうなっておらず、アパレル側が一方的に商品の在庫の所在を把握している状態だ。百貨店側が主導的に支店を含めて在庫状況を検索し、在庫がある店から顧客の自宅に出荷できるようにしているところはない。

 それでも高島屋は、オンワード樫山と在庫の同期化に取り組んだ。店舗のオンワードのショップ内にタブレット端末を持ち込み、高島屋のオンラインサイト「セレクトストア」とオンワードの在庫情報を一元化した。

 顧客の欲しい商品の色やサイズが店頭になかったら、オンワードの複数のブランドショップに持ち込んだ同端末から高島屋のセレクトストアへと発注できるようにした。従来、在庫があるかないかは、いちいちアパレルに電話で連絡して確認していたことを考えれば、かなりの進歩ではある。

 それにしても百貨店のスマートフォンサイトやPCサイトはまったく使い勝手がよくない。実際、百貨店のスマホの対応を見てみると分かる。売れ筋商品を品切れさせておいて放置しているし、店舗で受け取ったり、近くのコンビニで受け取れるようになっていない。それどころか、初めての購入では会員登録しないと買えない。これでは面倒臭くて普通なら購入を諦めてしまう。

決済革命が進んでいる米国
アマゾンは無人レジの店舗も

 これに対し米国では決済革命が進んでいる。ウォルマートの会員制ホールセールクラブであるサムズクラブで、スキャン&ゴーという決済の仕組みが導入されている。
 アプリをスマホにダウンロードし、商品のバーコードを顧客自らがスキャンするだけで決済が済む。最終的にアプリで決済が終わったことを通知するバーコードが出てくる。従業員がそれをチェックし検品すれば終了となる。混雑するレジに並ばなくても済むし、買い物のスピードも格段に早くなるのだ。

 米アマゾンでは無人レジの店舗を開設しつつある。カメラやセンサーなどに店内の"目"とAI(人工知能)、アルゴリズムで買い物をしたかどうかをジャッジし決済する。もはやこうした時代に、百貨店ではいまだにカードをレジまで持っていき、決済するところが多いのは驚きだ。

 事前に店舗に誘導する仕組みであるウェブルーミングもこれとてまだまだ。ネットをみながら、思わず来店したくなるような仕組み、仕掛けができているところは皆無なのが現状だ。時代はどんどん先に進み、日本の百貨店流通は古色蒼然としてきた。

 米アマゾンは20年までに現在の米アパレル事業の売上高約1兆9800億円を6兆4400億円に引き上げる計画を打ち出している。進出している日本でも、アパレルの取り扱いを始めている。アマゾンの都内なら1時間で届くという配送の仕組み、決済の仕組みを使えば、そのうち日本でもアパレルの売上が拡大する可能性はある。

 水は低いところに流れる。価格が「高い」ところよりも「安い」ところ。「複雑な仕組み」のところよりも「簡単な仕組み」のところ。配送が「遅い」ところよりも「早い」ところなど。

 流通外資の仕組みを持ち込めば市場攻略ができる。アマゾンがその好例だ。今のうちから布石を打っておかないと、アッという間に市場がひっくり返されることになりかねない。
http://diamond.jp/articles/-/112337
 

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