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自社のチラシをコンビニのごみ箱に!トンデモ社員のリスク考  性犯罪者が被害者に抱く「身勝手な妄想」の正体  最新の東京 
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/286.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 12 月 28 日 23:46:02: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

就職できない若者の「トンデモ言動」
【第71回】 2016年12月28日 櫻井樹吏 [キャリアコンサルタント]
自社のチラシをコンビニのごみ箱に!トンデモ社員のリスク考

電話応対時に、お客様から怒りや抗議の電話を受けたことがありますか?
「お宅は配れなかったチラシをコンビニのゴミ箱に捨ててこいと指導しているのか!?」

 ある朝のことです。A社の営業所の電話が鳴りました。受話器をとると、電話口からコンビニエンスストアの店長が怒鳴っているのが聞こえてきました。

 電話応対したA社の担当者に詳細を伺いました。簡単にまとめると以下のようになります。

 コンビニのアルバイト店員がゴミ箱のものを集めてゴミ捨て場に持っていこうとしたところ、「いつもよりも重い」と感じて、中を確認しました。すると、A社のチラシが束ごと大量に捨ててあるのがわかり、アルバイト店員が店長に報告したというわけです。冒頭の店長が怒るのも無理はありません。

 コンビニのゴミ箱に捨てられていたのは、各家庭のポストに投函するチラシ(ポスティング)でした。A社はチラシの種類とエリアから、担当者をすぐに割り出しました。残念なことに、チラシをコンビニのゴミ箱に捨てたのは、新入社員であることが判明したのです。

 A社はチラシを投函する反響営業で商品を売っている企業です。当然、作成したチラシもタダではありません。制作するにあたって文字の配列やデザインをしたレイアウトや配布枚数分の印刷代がかかっています。配布するときの人件費も含まれています。これらにかかる費用も踏まえ、予想を下回る数値となれば赤字になります。

 それだけではありません。堂々と会社名を明記しているチラシだからこそ、道端に落ちていたり、配布せずにまとめてゴミ箱に捨てていたりすれば、逆に会社のイメージや信用を貶めることになります。それも会社が認識していない間に起こる(通報や連絡があってから判明する)から大変です。

 今回は、こうした会社の信用を落とす行為の危険性について考えていきたいと思います。

配布しなかったチラシの
ゴミ捨て行為は職務放棄である

 A社ではこれまで、ポスティング業務はアルバイトを雇っていました。時には、新入社員への研修の一環としてポスティング作業をやらせていました。もちろん、ポスティング作業は研修の一部として実施しているので、その作業がずっと続くわけではありません。

 ところが、新入社員は「どうせ見ずにゴミ箱に捨てられるんだろう」と思い、研修の重要性を認識しないまま、ポスティング作業が煩わしくなったのでしょう。「コンビニのゴミ箱にまとめて処分してしまえばわからないだろう」と思って行動したのです。このチラシを配布しなければ会社としての利益が減るのはもちろん、研修も業務の一つとして配布を怠ったということは、職務を放棄したのも同然です。

 私自身も学生時代、ポスティングのアルバイトをしたことがあり、似たようなケースに遭遇しました。私の場合、主に集合住宅を見つけてポストに投函していく作業でした。古い団地をまわると、1棟に1室は必ず空室のポストがありました。大抵はポストの投函口をガムテープなどで止めてありますが、ガムテープを剥がしてポストの中にチラシが束ごと入れられている光景を目にしたことが何度もあったのです。

 ポスティング作業の場合、配布した枚数により歩合でアルバイト料が変わる事業所もあります。歩合目当てなのか、それとも単調な作業が面倒であったのかわかりませんが、実際に束ごと投函する光景は決して珍しいものではありませんでした。

 しかし、これも実際に調べていくと、犯人が特定できてしまいます。なぜならポスティングの場合、いつ、どのエリアに何のチラシを配布しているかが会社のほうで管理されており、団地の管理人から苦情の連絡があれば、すぐにわかってしまうからです。

 たとえ、つまらない仕事であったにせよ、「このくらいならバレないだろう」と思って、あなたは仕事で手を抜きますか?手を抜くという人、今は見つからないと思っていても、今後、しっぺ返しがきますよ。

非常識な言動で世間に迷惑を
かけていることを自覚していない人たち

 3年前の2013年、ネット流行語大賞の4位に「バカッター」(バカとTwitter[ツイッター]の合成語)が選ばれました。

「バカッター」は、主にTwitterやFB(フェイスブック)などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で反社会的な行動を投稿するものを総称していいます。特定の人名を挙げた脅迫投稿や、店舗での悪ふざけ写真の投稿などの行為が炎上しました。

 当時、騒がれた衝撃的な事件の1つに、7月中旬、コンビニ店員がアイスケースの中で寝そべる写真の投稿があったことを覚えているでしょうか。FBに投稿した写真が客に不快、不安を与えた件ではコンビニへの問合せも相次ぎ、最終的にはフランチャイズ契約の解除にまで発展したのです。

 また、翌8月、ハンバーガーチェーン店で従業員が大量のバンズの上で寝そべる姿なども大きく扱われました。

 このような悪質な行為をした当人から「仲間内でびっくりさせたかった」「世間から注目を浴びたかった」「アクセス数を稼ぎたかった」などの言い訳をよく耳にします。こういう人たちから見えてくるのは、「このくらいなら大丈夫だろう」という認識の甘さと、その先にどんなことが起こるのかがわからないという想像力の欠落により、安易な行動に出ていることです。

 もちろん、悪ふざけは昔からありました。私自身も先輩方から「酔っ払って公共の池に裸で飛び込んでいた」というような話はよく耳にします。しかし、当時は、SNSのようなツールを使ってリアルタイムに流れる環境が普及していなかったために、世間に拡散することはありませんでした。

 いずれにせよ、こういった投稿による最終的な被害は、本人よりも関係者(特に企業)に及ぶ場合が多くなります。なぜでしょうか。

騒ぎを起こした本人は
関係者に迷惑をかけていることを自覚せよ

 先ほどのアイスケースやバンズの件のように、大騒ぎになれば、犯人探し及び、その周辺まで調べられてしまうこともあります。中には本人を特定する情報がなかったとしても周囲の風景から活動エリアがわかります(Googleの画像検索ソフトなどを使用して調べる方法もあります)。

 仮に、SNS自体を特定公開で使用していたとしても、それを見た誰かがキャプチャーして公開してしまったら、通常の公開と何ら変わりありません。

 常識外れの悪質な行為がSNSで拡散されると、リアルタイムで情報が流れるため、気になった人が騒ぎだしてネット上で怒りに火がつきます。なかには企業に直接連絡が入ることもあります。

 特に企業の場合は、近年、少しでも対応が遅れると、騒ぎが大きくなる傾向があり、ネットのニュースでも取り上げられることが少なくありません。ケースによっては一時的に業務停止になったり、損失が大きくなれば店舗閉鎖に追い込まれたりといったこともあります。それだけに、店舗や企業の対応力も世間から厳しく監視されているといえます。

 つい最近、ある市がインターネットのサイトからダウンロードしたイラストを無許可で使用し、イラストの著作権管理会社から使用料を請求されるといったニュースがありました。著作権侵害や意匠権の侵害などを知らずに犯して迷惑をかける場合もあります。

 モラルを呼びかけるよりも、そういった投稿に対するリスクについて細心の注意を払うことが重要になっているのではないでしょうか。

企業のモンスター社員対策は
まさに喫緊の課題である


当連載を大幅に加筆・修正した電子書籍『ゆとり世代のトンデモ行動学』(300円;税別)が好評発売中!
 冒頭にあげたチラシのごみ捨てをした社員をはじめ、コンビニのアイスケースやハンバーガーチェーン店のバンズに寝そべった従業員はモンスター社員といえるでしょう。

 では、モンスター社員はどういう人をいうのでしょうか。明確な定義はありませんが、「あなたの隣のモンスター社員」(文藝春秋)によれば、

「社会人としてのモラルが低く、ルールも無視。注意を受けると逆切れする」
「対人関係や精神状態が不安定で、常に周りとトラブルを起こす」
「平気で嘘をつき、良心や倫理観が欠如している」
「自己愛が異常に強く、虚言や自慢話で周囲を振り回す」

 このような社員を「モンスター社員」と呼ぶ(同書、p3より引用)

 とあります。

 確かに、一理ありますが、今回、取り上げた3人(A社の新入社員、コンビニとハンバーガーチェーンの従業員)に関してモンスター社員にあてはめるなら、同書のモンスター社員の一般的な特徴の中にある「非常識な行動で周囲に迷惑をかける社員」(同書、p127参照)、いえ、それ以上の「非常識な行動で世間にまで迷惑をかけた社員」といえます。

 今、企業ではいろんなタイプのモンスター社員がおり、対処を間違っただけでトラブルに発展し、社会保険労務士や弁護士などへの相談が増えているようです。

 自分自身がモンスター社員にならないように、企業はモンスター社員を生み出さないように、細心の注意を払う必要があります。特にSNSなどの情報発信できるツールについては、業務としっかりとした切り離しをしていく仕組みも含め、企業はモンスター社員対策をどう講じていくかがまさに喫緊の課題といえるのではないかと思います。

(櫻井樹吏)

参考文献:石川弘子著「あなたの隣のモンスター社員」(文藝春秋)
http://diamond.jp/articles/-/112734


 


JAPAN Another Face
2016年12月28日 三浦ゆえ [フリー編集&ライター]
性犯罪者が被害者に抱く「身勝手な妄想」の正体(上)

2016年は、性犯罪ニュースが多い1年だった。法務省「犯罪白書 平成27年版」によるとここ5年ほど強姦の認知/検挙件数は微増、微減をくり返しており、強制わいせつの認知/検挙件数は微増傾向にある。今年に入って飛躍的に増える理由も特に考えられないため、実際の件数はさほど大きな増減がないのだろう。が、「記憶に残る」ニュースが多かった。

来年には強姦罪の厳罰化などを含む刑法改正が見込まれていることもあり、あらためて2016年の性犯罪を識者の対談によって総括したい。東京・榎本クリニックに所属する精神保健福祉士、社会福祉士として、10年前から日本で初めてとなる“社会のなかでの性犯罪加害者更生プログラム”に取り組む斉藤章佳氏と、数々の裁判を傍聴し、最近では「新潮45 2016年11月号」にルポルタージュ「東大生集団わいせつ事件 『頭の悪い女子大生は性的対象』という人間の屑たち」を寄稿したライターの高橋ユキさん。ふたりの目には、今年の性犯罪事件はどう映ったのか?(構成/フリー編集&ライター?三浦ゆえ)

大学生による集団暴行続発
「頭が悪い女は性的対象」発言の裏側

高橋?なんといっても大学生による集団暴行事件が多かったですね。斉藤さんのクリニックで行われているプログラムは、こうした集団暴行の加害者も受講していますか?

斉藤?集団性暴力事件で逮捕された人はいませんが、逮捕歴がある性犯罪者のなかで過去に同様の経験を持つ人は少なからずいます。今回は有名大学の学生なので、ことさら騒がれていますが、私自身の学生時代にも似たようなことが頻繁に耳に入っていましたから、どこの大学でも以前からあったと推測できます。高橋さんは公判で、「彼女らは『自分たちより頭が悪い』と考えるようになり、性的対象としてしか見られなくなった」といった主旨の、東大生の発言を直接聞かれたのですね。

高橋?はい。裁判では、少しでも刑を軽くしたいという気持ちから建前で語ったり過剰な謝罪を述べたりして、反省をアピールする被告人が少なからずいるものと私は思っているので、そんなこと言っちゃう!?と驚きましたね。つい本音が出たのか、それとも彼らの行動の根本にある考えだから言及せずにはいられなかったのか……。


さいとう・あきよし
精神保健福祉士/社会福祉士。大森榎本クリニック精神保健福祉部長。大学卒業後、同院にてアルコール、薬物、ギャンブル、性犯罪などさまざまな依存症問題に携わる。専門分野は、性犯罪者における地域トリートメント。約10年前から、常習性の高い性犯罪者に対して、拘留中の面会、裁判員裁判への出廷や刑務所出所前に面会に行き、出所後の継続した社会内処遇につなげる“司法サポートプログラム”を日本で初めて実施しマスコミなど各所からの注目を集めている。Photo:DOL
斉藤?被害者だけではなく第三者が聞いたらどう思うか。その配慮がまるで感じられませんよね。でも彼らのなかではそれこそが、見えている現実なんです。性的逸脱行動を継続するための、本人にとって都合のいい認知の枠組み……私たちはこれを「認知の歪み」といいますが、それが明らかに表れた発言です。

高橋?性犯罪とはその場の性欲の問題ではなく、彼らの持つ価値観が大きく影響していると感じました。頭がよければ、勉強ができれば何をしてもいいんだという価値観を彼らが持つに至った経緯が気になります。

斉藤?これが初犯なのか常習化していたのかはわかりませんが、彼らは有名大学の学生で親類縁者にも有力者がいるといいますから、これまでにもトラブルが起きたとき周りの大人が尻拭いをしてきた事実があったかもしれません。それが性犯罪とは限りませんが。「周囲がなんとかしてくれる」という甘い考えが彼らの問題行動を強化した可能性は十分にあります。

高橋?私はこれまで男同士の集団……勝手に「チーム男子」と呼んでいるんですけど、単独ではなく複数人の男性で犯した殺人や傷害致死を多く傍聴してきたのですが、そのなかで空気を読んで行動するパターンがとても多いんですね。リーダー格は「命令はしていない」とは言うけど、ほかの男性は彼の意に沿う行動をする。大学生の集団暴行にも同じ構造がありそうです。

斉藤?複数になると匿名性が高まり行為前の抵抗感やその後の罪悪感が薄れるという現実もありますが、歴史的に見ても性暴力と権力の関係は切っても切り離せないものです。まず、男性と女性のあいだには根深い男尊女卑という権力関係が存在します。


たかはし・ゆき
1974年生まれ福岡県出身。2005年、女性の裁判傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成。翌年、同名のブログをまとめた書籍を発表。以降、傍聴ライターとして活動。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆している。著書に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)など。Photo:DOL
高橋?DVもそうですけど、対等な関係の女性に対して男性は暴力を振るいませんよね。

斉藤?そのとおりです。加えて、男性集団のなかにも階層のヒエラルキーがあって、それにより加速度的に暴走した……しかも大学生のどの事件も、飲酒した状態で発生していますよね。

高橋?若者のお酒離れなどといわれますが、いまでも大学生の無茶飲みの文化は根強く残っているんですね。

斉藤?アルコールが引き金となって、性犯罪を犯す人は多いです。逆にいうと、「飲まなければ、やらない」というケースも多い。アルコールハラスメントの啓発を行う大学も増えてきましたが、同時に「お酒の場では性暴力の被害や加害のリスクが高まる」というアナウンスもしたほうがいいと考えています。

高橋?女子学生に「お酒を飲んだときは気をつけて!」というのではなく、男子学生にもアナウンスしてほしいですね。ただ、一連の大学生の事件を単純に性的暴行と見ていいのだろうか、という思いもあります。東大生が女性にカップラーメンやドライヤーを使ってしたことは、性暴力というよりは人の尊厳そのものを傷つける行為です。

「薄着の女性は男を誘っている」
性暴力加害者に共通の“認知の歪み”

斉藤?性暴力の本質はそこにあります。彼らは性欲を抑えきれずに女性を襲うのではなく、弱い人をいじめ、支配することでストレスを発散し心の安定を得るのです。でも、社会は性暴力、性犯罪の原因を男性の性欲と直結させたがりますね。

高橋?今年8月に発生した元俳優の強姦致傷容疑の一件でも、彼の性欲が取りざたされました。

斉藤?はい、推定無罪の原則も含め、性犯罪そのものやその周辺にある誤解やセカンドレイプの問題などが顕在化しましたね。特に発生直後は、彼のことを性欲をコントロールできないモンスターとして見せるメディアが多かったです。

高橋?そもそも彼が起訴されてもいないうちからメディアを中心に彼を犯人扱いしたことにも、私は大きな違和感を感じました。結局は示談となり、真実は当事者ふたりだけが知るところとなったにもかかわらず、過熱報道は止まらなかった。当事者を無視して騒ぎすぎだと感じましたね。

斉藤?不起訴になった後も、女性の美人局だとか合意はあったとかいろんな報道が飛び交いました。そんな真偽がわからないことより、これを機にフォーカスしてほしい性犯罪事件にまつわる問題が、あの一件にはたくさんありました。

?まず、なぜ性犯罪は不起訴となることが多いのか。強姦致傷の場合は、裁判員裁判になります。被害者にとっては一般国民から選ばれた裁判員に公にしなければならないプライバシーが増えるので、非常に大きな負担となります。それを恐れて、示談にするケースが多いといわれています。加えてこの事件の一連の報道は「認知の歪み」について考えるきっかけになりえたと思います。

高橋?大学生集団暴行事件についても認知の歪みのお話が出てきましたが、これはすべての性暴力加害者に共通していると思っていいんですか?

斉藤?はい、共通している認知のパターンです。彼らには「頭の悪い女性には何をしてもいい」という歪んだ認知が背景にありましたし、それぞれの性倒錯には特徴的な歪んだ認知が存在し、それが基盤となり問題行動を繰り返します。たとえば痴漢に典型的な認知の歪みは、「薄着の女性は男を誘っている、だから触っていい」というものです。

高橋?女性は誘っているつもりはないと思いますけど、すごい勘違いですね……。

斉藤?「今日は一日仕事をがんばったから痴漢してもいい」と、自己報酬として自分に許可を出す加害者もいるんですよ。その発想や歪みはきわめて病的ですが、ではこの元俳優の男性はどうだったのか。仮に彼が実際に犯行に及んでいた場合、「女性から部屋に入ってきたんだから、何をしても許される」「俺は有名人だから、多少の性的接触は逆に喜ばれる」と現実を捉えていたのではないか……。

?彼が公に事件の話をする機会はなくなったので、真実は闇の中です。メディアもそこに注目しない。議論が深まらず、ただ大騒ぎしただけでこの一件が風化してしまうのは非常に残念です。

?(下)では引き続き認知の歪み、しかも小児性犯罪者における認知の歪みと、再犯防止の可能性について語ってもらう。
http://diamond.jp/articles/-/112736


性犯罪者が被害者に抱く「身勝手な妄想」の正体(下)
>>(上)から読む

性犯罪を含む数々の犯罪を、その裁判を傍聴することで観察しつづけてきたライターの高橋ユキさんと、性犯罪加害者更生プログラムの専門家である精神保健福祉士、社会福祉士の斉藤章佳さん。両氏が2016年の性犯罪をふり返る対談、後編は今春発覚した朝霞少女誘拐監禁事件から始まった。(構成/フリー編集&ライター?三浦ゆえ)

「自分が教えてあげる」
小児性犯罪者の深刻な認識異常

斉藤?私が所属する榎本クリニックで10年前から続けている性犯罪者再犯防止プログラムは、一度罪を犯した加害者にもう二度と性犯罪を繰り返させない、つまり再犯防止が主な目的ですが、受講者のなかには小児性犯罪者も少なくありません。

高橋?小児性犯罪というと、その対象の定義は?

斉藤?基本的には被害者が13歳以下。彼らは小児性愛障害にあたるとされていて、アメリカ精神医学界が発行しているDSM-Vによると、少なくとも6ヵ月にわたり、思春期前の子ども、または複数の子どもとの性行為に関する強烈な性的に興奮する空想、性的衝動にとらわれている、または行動が反復すると定義されています。朝霞少女誘拐監禁事件の被害者は事件発生事、13歳でした。逮捕された寺内樺風も今年で23歳と若いですが、小児への性的関心は早くから自覚されるケースが多いです。10代のときからというのも珍しくありません。

高橋?彼は監禁したのはごく初期だけで、その後の約2年間は少女を自由にさせていたと主張しています。むしろ恋愛関係にあるつもりだったとも……。

斉藤?性犯罪者の多くに顕著な「認知の歪み」が認められますが、小児性犯罪者は特にその深刻度が大きい。自身の行動は児童に対する純粋な愛情ゆえ、と思っている加害者も多いです。もしくは、教育的指導と称して児童に接していると主張する者もいます。

高橋?それは、自分がその子を育てるという意味ですか?

斉藤?はい、性行為はいずれ経験することだから自分が教えてあげる、と。

高橋?別に教えてもらわなくて結構ですけどね……。私は今年、物袋勇治に注目していました。2014年3月に発覚した「富士見市ベビーシッター事件」で殺人や強制わいせつ、児童ポルノ禁止法違反など多くの罪に問われ、初公判が今年6月に開かれたのですが、彼の対象年齢はもっと下で、0〜5歳の子が被害に遭っていました。

?子どもを預けたい人と預かる人とのマッチングサービスにシッターとして登録し、お子さんを預かってはその子の裸の写真を撮ったり性器を紐で縛ったり……。今回起訴された事件での被害児童の数は20人以上ですが、言語能力が発達していない乳幼児であることを考えると、ほかにも被害に遭われたお子さんがいるのではないかと心配になりました。

斉藤?対象が小児でしかも同性であるケースは、症例としては少ないですが私もこれまで遭遇しています。彼らはほかの性犯罪より、治療が難しいといわれています。異性愛ではなく同性愛で、本人が性同一性障害を合併しているケースもあり、精神構造がより複雑化していると考えられるからです。

高橋?小児性犯罪者に共通する特徴はありますか?

斉藤?成人女性との性交経験がない人が多いですね。背景を探ると、学生時代に女子生徒からいじめられていた経験があったり、家族内で年上の女きょうだいからいじめられていたりなどのエピソードが目立ちます。ゆえに同世代の女性が怖い、というのが典型例です。その経験はたしかに過酷ですが、かといって小児に性暴力をふるっていい理由にはなりません。

高橋?日本ではメディア、特に漫画やアニメのジャンルで小児性愛を思わせるものが多くありますよね。けれどそれが抑止力になると主張する人もいますし、実際に多くの人はリアルな子どもに危害を加えることはありません。これについて斉藤さんはどう思われますか?

斉藤?そうしたコンテンツでも特に過激なものはインターネットを通して触れることが多いと思うのですが、性犯罪加害者の再犯におけるリスクマネジメントを考えるうえで、インターネットとマスターベーションの管理はとても重要です。小児を対象としたポルノを繰り返し見ると、小児=性的対象だと刷り込まれて、行動化へのハードルがぐっと低くなる……。なんらかの規制が必要だと強く思いますね。治療のなかで本人たちから、犯罪を犯す直前に自分の性嗜好に合わせた動画や画像を見ながらマスターベーションをする頻度が増えるという話をよく聞きます。

高橋?それは小児性犯罪以外の性犯罪についてもいえますか?

斉藤?痴漢、盗撮、のぞき、下着窃盗、露出、強姦……犯罪につながる性倒錯はいろいろありますが、加害者となった人たちは自分の性倒錯に合ったコンテンツを必ずといっていいほど見ていますよ。

再犯率が高い性犯罪
防止プログラムの実施に課題

高橋?小児性犯罪でもうひとつ印象に残ったのは、福岡小5女児殺害事件。殺人、死体遺棄などの罪で起訴された内間利幸に、9月、無期懲役の判決が下されました。彼は1990年代に地元沖縄で女児や成人女性に対する連続婦女暴行事件を起こした前科があり、刑務所内で半年間、再犯防止プログラムを受けていました。なのに、また犯罪を犯してしまった……。

斉藤?性犯罪は常習化した場合、再犯率が比較的高いといわれているので、刑務所内でも性犯罪者処遇プログラム、通称R3というプログラムが行われています。が、これに対しては多くの問題点が指摘されています。判決が出た後に、さまざまな要素からリスクの度合いを測定して高密度、中密度、低密度に分けてプログラムを受講するのですが、実施している刑務所が限られているので、移動する必要なども出てきます。

高橋?わざわざ?

斉藤?あるケースでは北海道の刑務所から広島県の実施施設まで飛行機で移動することもあるようです。

高橋?そんなに長距離を!?当然、コストがかかりますね。

斉藤?はい、彼らの刑務所内での更生処遇には多くの社会的コスト、つまり税金が費やされています。だとすると効果が気になりますよね。平成27年の犯罪白書で同プログラムは有効だと報告されていますが、私たち専門家は首をひねる部分もあります。まずプログラム実施時期の問題があります。刑期のうちいつ受講するかは施設側の意向で決められるため、10年の刑期中、途中の5年目などで受講する場合があります。

高橋?出所するころには忘れちゃいそうですよね……。

斉藤?しかも誰もが受けられるわけではないんです。知的や精神の障害、身体疾患がある、あるいは言語能力が低いなどの人は分類で外されます。基本的には治療反応性が高い人が中心に選ばれるのですから、効果が上がるはずです。

高橋?性犯罪加害者、しかも再犯で逮捕された男性の裁判を傍聴したとき、被告人が「刑務所で性犯罪更生プログラムを申し込んだけど、受講できなかった」と話していたのを聞いたことがあります。

斉藤?常習性が認められていても、分類で外されたのでしょう。私もときどき、受刑者からそのような手紙を受け取ります。

高橋?でも、そういう人ほどハイリスクなのでは??現に彼も、再犯して逮捕されていました。被害者にとって悲劇であることはいうまでもないですが、更生したいと願っていたのに、適切なプログラムを受けられなかった彼の境遇にも理不尽なものを感じます。

斉藤?おっしゃるとおりです。何らかの障害があったり、出所しても家族がいなかったり、生活基盤がなかったり……。社会とつながれずに感じた孤独が、再犯の大きな引き金となります。特に、満期出所の人が危ないですね。身元引受人がいないし、刑期が長いほど浦島太郎状態になるので、出所後に社会から孤立します。

?過去の事例として、出所直後に刑務所からいちばん近いコンビニで強姦事件を犯した人がいると聞いています。彼は受刑中から「シャバに出たら仕事も家族もいないし再犯するしかないか」と考えていたそうです。孤立しているから、犯罪を犯してもいいわけはありません。でも彼が社会に接続し更生の手段を知っていたら、防げた事件かもしれないんです。だから私たちは社会のなかでの受け皿として再犯防止プログラムを行っているわけですが、法的強制力がないので継続するのはごく一部の人だけです。

高橋?刑務所内のプログラムを見直そうという動きはないんですか?

斉藤?それが今のところないんです。性犯罪の再犯防止プログラムが導入されたのは、2004年に発生した奈良小1女児殺害事件がきっかけでした。犯人の小林薫は2013年に死刑が執行されましたが、この事件以前にも子どもに対する性犯罪をくり返していました。

?その意味では、内間利幸被告の再犯による逮捕は現行のプログラムを見直すきっかけとなりえるものだったと思います。が、遺族側が騒ぎにならないことを願ったためマスコミの取り上げ方も及び腰で、大きな議論にはなりませんでした。幼い子を無惨に殺された遺族の心中を想うと複雑で、無理からぬことだとも思うのですが。


高橋?来年の刑法改正案では、性犯罪の非親告罪化、強姦罪の法定刑引き上げなどが盛り込まれそうですが、厳罰化することで再犯防止につながると思われますか?

斉藤?厳罰化だけしても、出所すると再犯する可能性が決して低くないことはこれまでの歴史が証明しています。が、逮捕は重要なきっかけです。私たちのプログラム受講者の多くは、「逮捕されなければ、ずっと続けていた」といいます。では、その後も再発防止を継続するために、いま何をすべきか。厳罰化と再犯防止プログラムは必ずセットで検討されるべきもの、というのが私の考えです。

?性犯罪者の初犯を防ぐのは現実的に難しい。一度逮捕された人を確実に更生につなげて再犯防止することが、現段階で唯一可能な、性犯罪の発生件数を減らす手段である。両氏の対談に出てきた加害者にとって、逮捕は終わりではなく、再犯防止への始まりともいえる。2017年、この事実を踏まえて議論が深まり「魂の殺人」といわれる性犯罪が一件でも減ることを願いたい。
http://diamond.jp/articles/-/112737


 

six-entertainment
2016年12月28日 Six Writers
一流建築家が注目する最新の東京はこんなところ

グランドハイアット東京をはじめ世界各地の最先端ホテルの内装を手がける建築家、谷山直義氏は「東京には気づきがたくさんある」と語る。いま最も注目に値するスポットをあげてもらうと意外なところが出てきた。

語るひと=谷山直義  写真=山下亮一

超リッチな外国人も
感激してくれたのが三軒茶屋です

 東京はおもしろいですよ。

 海外でもかなりおもしろがられています。先日インドで5番目という超がつくリッチなひとが、私のゲストとしてプライベートジェットで東京までやってきました。そのひとの希望は「東京でおもしろい場所に連れていってください」というものでした。

 私が選んだのは三軒茶屋。

 国道246号線と世田谷通りと茶沢通りとの交差点にある昔からの商店街に連れていきました。


東京・世田谷の三軒茶屋に商店街が生まれたのは明治30年代。近くの軍事施設の関係者目当てだったとか。朝鮮戦争時に拡大するが道路整備なしに商店やアパートが急増し、いまの町並みに
 なんでも1948年に原型が出来た商店街とのことで、いまは屋上屋を重ねるというか、最初訪れたひとには迷路に思える複雑な構造になっています。そこに飲食店がぎっしり。とくに夜になると深夜をまわっても路上にひとが溢れて飲食を楽しんでいます。

 ホテルを中心に空間の設計に従事していた私にとって、こんなふうに通りと店とが溶け合って、ひとのコミュニケーションが濃密なありかたこそ、なつかしくて実は新しいと思っています。

 三軒茶屋の路上で立ち呑みにしていると、通りかかるひとが「ここはおいしいですか?」と訊ねてくることが多々あります。

 うなぎ屋さんが客に頼まれて、「ほんとうはいけないのよ」と注意しながら、路上に七輪を出して酒のさかなを焼かせているのもなんともほほえましい光景です。

 インド人のゲストはとても喜んでくれました。私の意図をすぐにわかってくれたようです。


三軒茶屋の飲食街の中でも谷山さんが注目しているのは「エコー仲見世」「ゆうらく街」「なかみち街」からなる三角地帯。細い路地が入り組んでその先に意外な店が営業している
 世界のなかには、おなじような光景を見られる町があります。

 たとえば香港。ビルとビルのあいだのすきまのような道を抜けるとそこに飲食店があって露天でみんなが飲食していたり。私がとくにいいなと思っているのは、九龍島のワールドセンターの裏手です。細部が全体を作りあげているというか、小さな飲食店とそこに群がる私のような客とが独特の雰囲気をかもしだしています。ベネツィアの路地にも似たような感覚をもてるところがあります。

 東京では三軒茶屋のほかに、地下鉄銀座線の浅草駅の改札を出たところの浅草地下商店街は通路と店舗との区別がかぎりなく曖昧です。老朽化で移転の声もあるようですが、東京で一、二を争うおいしさのベトナム料理店があったり、個人的にも気に入っています。

 最近の東京はおもしろいですか?と尋ねられて、私がすぐこういう商店街を思い浮かべたのは、これからの施設づくり、ひいては街づくりの参考になるからです。

 私がみるところ、これからの人の嗜好は(おそらく世界的に)昔ながらのコミュニケーションへと戻っていこうとしているのではないでしょうか。三軒茶屋の飲食店街ではすれ違う他人どうしが時間や情報をシェアすることを楽しんでいる。自分の仕事の視点からいえば、箱的な建物を作って整然と区画を整理するのではだめだということかもしれません。まとめすぎてはいけないのです。

 新しい施設はぜんぶだめかというと、私が感心させられるところがちゃんとあります。

 たとえば銀座・数寄屋橋交差点のソニービル地下の「ザ・パーキング銀座」。駐車場のなかに商店街が出現したような設計になっています。わざと床面には駐車スペースの区画割りをペイントしたりしていて、いまにも駐車するための車両がどこからか現れそう。


藤原ヒロシ氏がディレクション担当のコンセプトストア「ザ・パーキング銀座(THE PARK・ING GINZA)」は銀座・数寄屋橋交差点ソニービル地下3階、4階に2016年3月24日オープン
 地下4階が物販で地下3階はかつて原宿にあった「カフェ・ド・ロペ」のイメージを再現しています。オリジナルはストリートカフェとして70年代にはファッションデザイナーやミュージシャンが集まり、道ゆくひとは横目でその姿を“観察”していたものです。

 プロデュースは藤原ヒロシさんということですが、さすがストリートカルチャーの仕掛け人だけあって、なにが求められているか分かっていると感心します。

 中国に仕事で行く機会が多いのですが、おおいに参考になるのは都市のルールについての彼らの考えかたです。秩序は全体の流れのなかで決めればいいと思っている。

 私たちはついきちっとしたものを設計しがちなので、そういう考えかたに接すると、頭のなかを洗濯されたような気になります。

 東京にもこのように新しいものが詰まっている。それは誰か個人が“ここが新しい”と決めたのでなくみなが決めている。だからここは生きている都市なのです。

谷山直義 Naoyoshi Taniyama
1973年名古屋生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業後スーパーポテトに入社。グランドハイアット東京、ハイアットリージェンシー京都等を手がけ、2011年にNAO Taniyama & Associatesを設立。虎ノ門ヒルズ、ヒルトン東京、Restaurant Dominique Bouchet Tokyo, Ruby Jack’s Steakhouse & Barなどを手がける。現在、日本を含め、アジアや中東の複数のホテルプロジェクトが進行中。
http://diamond.jp/articles/-/112825
 

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コメント
 
1. 2016年12月28日 23:51:54 : vIUOjVPYlY : CADZbfjHvqY[6]
>歴史的に見ても性暴力と権力の関係は切っても切り離せないものです。まず、男性と女性のあいだには根深い男尊女卑という権力関係が存在します。

フェミニズム丸出しだと思う。
歴史的に見れば女性が権力を持ったケースもあるので。

肉体的な暴力と権力を統合で置いてしまっている。


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