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日本の住宅が「資産」ではなくなる日 〜空き家急増という大問題 いよいよ大量相続時代を迎えて…(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/299.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 12 月 29 日 10:08:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


日本の住宅が「資産」ではなくなる日 〜空き家急増という大問題 いよいよ大量相続時代を迎えて…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50581
2016.12.29 野澤 千絵 東洋大学理工学部建築学科教授 現代ビジネス


人口が減少してゆく日本にあってなお、住宅は無計画につくられ、空き家は増加し、「まち」の秩序が崩れてゆく――。

話題書『老いる家 崩れる街――住宅過剰社会の末路』の著者・野澤千絵氏が、空き家が急増する地方都市の実状をレポートする。

■15年後、約3戸に1戸が空き家に

空き家になった住宅が取り壊されたり、住宅用途以外にでも有効に活用されたりしていかなければ、2033年、空き家は約2150万戸、空き家率は30.2%に達すると予測されている。(1)

――これは要するに、あと15年も経てば、日本の全住宅の約3戸に1戸が空き家になってしまう危険性があるということである。

この背景にあるのは、今後、空き家化に関わる二つの動きが同時進行していくことだ。ひとつは、団塊世代が相続した実家の空き家化。もう一つは、団塊ジュニア世代(団塊世代が後期高齢者となる2025年頃から急激に増える)が相続する実家の空き家化である。

つまり、日本は近い将来、大量相続時代を迎えることになるのだ。

実家を相続した世代は、すでに実家を離れ、それぞれ自分の家を持っていることも多く、相続した実家に住むというケースは少なくなっている(ただし、住宅の立地やタイプによる)。

加えて、団塊世代が所有する戸建てやマンションは、築40年以上も経過した老いた家である場合が多いため、そのままの状態では中古住宅として売却したり、賃貸に出したりするほどの資産価値がなくなった「負動産」(2)になっているケースも多い。

実家の管理・売却・賃貸がこのまま進まなければ、近い将来、全国どこでも、まちのあちらこちらで、放置された空き家・空き地がまだら状に点在して、人口密度が低下し、スカスカしていく。つまり、「まちのスポンジ化」という時限爆弾を抱えているのだ。

大量相続時代を迎えつつある今、「空き家率」のみならず、空き家が増える「スピード」がますます加速するというリスクに備えるべき時期にきていると言えるだろう。

■住宅は資産になりうるのか?

私はこのたび、都市計画の研究者として、こうした現状が全く止まる兆しが見えないことに危機感を抱き、こうした実態や問題構造、そして解決方策を一般の方にも知ってほしいと、『老いる家 崩れる街――住宅過剰社会の末路』(講談社現代新書)を刊行した。

「住宅過剰社会」とは何か?

私はそれを、世帯数を大幅に超えた住宅がすでにあり、空き家が右肩上がりに増えているにもかかわらず、将来世代への深刻な影響を看過ごし、居住地を焼畑的に広げながら、大量に住宅をつくり続ける社会と定義している。

ここで重要なことは、住宅過剰社会の深刻さを理解するには、空き家率(空き家数/住宅総数)だけでなく、空き家の量が増加する「スピード」に着目することである。なぜなら、市内で新築住宅が大量に建てられ、住宅総量が増加すると、空き家の量が増え続けるとしても、空き家率は低めに算定されてしまうからである。

そこで本稿では、『老いる家 崩れる街』ではあまり触れられなかった空き家の量が増加する「スピード」に着目し、これから大量相続時代を迎える日本で、住宅は資産になりうるのかについて考えてみたい。

■特例市の空き家率ランキング

長期的に見て、人口規模がそれなりにある市町村の中で、まちがスポンジ化するリスクを私が感じるのは、空き家の量が増加するスピードが非常に早いにもかかわらず、立地に関係なく開発規制の過度な緩和を行い、農地エリアへと居住地を拡大し続けている地方の産業都市が多い。

例えば、人口規模がそれなりにあるまちとして、全国の特例市37市(2014年法改正で施行時特例市と呼ばれている)の空き家率を調査してみると、平成25年の空き家率(図表1)は、全国平均が13.5%である中で、1位が甲府市(20.8%)、2位が松本市(16.4%)、3位が太田市(16.1%)、福井市(16.1%)、水戸市(16.1%)である。逆に、空き家率が低いのは、所沢市(9.6%)、茨木市(9.7%)、加古川市(10.1%)である。

    

ひと口に空き家といっても、様々なタイプがあり、国の住宅・土地統計調査では、「賃貸空き家」「売却用空き家」「二次的住宅」「その他空き家」という4つの類型があるが、これらの中で、空き家の量が増加するスピードとして着目すべきは、「その他空き家」である。

「その他空き家」は、転勤・入院などにより居住世帯が長期にわたって不在の住宅や、建て替えなどのために取り壊す予定の住宅、空き家の区分の判断が困難な住宅のことで、相続後にきちんと引き継がれずに放置されるなど、いずれ周辺の住環境に影響するような「問題空き家」へと発展する危険性があると考えられている。

そこで、空き家率が上位5市の「その他空き家」に着目して、詳細に分析していこう。

■甲府市と太田市の共通点

空き家率が上位5市のうち、平成20〜25年(3)の5年間の「その他空き家」の量が増加するスピード(図表2)を見ると、福井市以外は総じて、「その他空き家」の量が増加しており、その増加スピードが顕著に早いのが、甲府市と太田市である。

    

また、5年間の市全体の住宅総数の増加率(図表3)を見ても、太田市は1.10倍、甲府市は1.06倍と、両市ともに住宅総量が5年間で約1割も増加しており、新築住宅の開発圧力はそれなりにあると見てよい状況だ。

         

しかし、両市は、全国的に見ても、空き家率が高く、かつ「その他空き家」が早いスピードで増加していることから、これまで多額の税金を投入して整備してきたような、古くからあるまちでは――老いた住宅・老いた居住者が多いこともあり――「その他空き家」が急増、「まちのスポンジ化」が今、まさに進行していることが推測される。

これら2つの市には共通点がある。

太田市も甲府市も、平地で郊外には農地が広がっており、自家用車の依存率が高い。そのため、住宅を買う側も、自家用車を利用すれば、買い物、通勤、通院といった生活に支障がないと判断するため、だらだらと広く薄く居住地が拡大しやすいという点だ。

そして、両市ともに、条例で開発規制の緩和を行い、農地関連等の法規制や各市の開発許可の要件を満たせば、市街化調整区域(都市計画法で原則として市街化を抑制すべき区域)に指定されている農地エリアでも新築住宅の開発を許容している。


 太田市内の農地・工場・住宅地の混在が進むエリア

その結果、どうなったか。

甲府盆地では、市街化区域(市街化を促進すべき区域)等の人口密度は低下しているのに、郊外の農地エリアの市街化調整区域等で人口密度が上昇したのだ(4)

太田市でも、市街化区域よりも地価が安く、都市計画税も不要ということもあり、市街化調整区域の農地エリアに、虫食い状に多くの住宅が建ち並んだ。

太田市といえば、自動車産業をはじめとする産業都市であり、産業立地のニーズが高いまちだが、農地の中に虫食い状に住宅が立地し、営農環境だけでなく、自動車産業を支えてきた既存の工場の操業環境(騒音・振動や大型車両・フォークリフトの往来)にも影響を与えている。

また、虫食い状に住宅の立地が進んだため、産業立地の受け皿となるまとまった土地が少なくなり、せっかくの産業立地の需要を取り込めないというもったいない状況も生み出している。

この背景には、農地エリアにある既存集落の活性化や農業の後継者不足・耕作放棄地の増加といった問題や、開発規制が緩い他市への人口流出を食い止めるために、市街化調整区域での開発規制を緩和せざるを得なかったという面もあり、本稿は、甲府市や太田市に対する批判を意図しているわけではない。

なぜなら、こうした市街化調整区域の開発規制の緩和は、何も甲府市や太田市だけが特別なわけではなく、他の多くの自治体でも行われているからだ。

■新築の価格は安いが、長期的視点で見ると……

少し専門的になるが、太田市では、甲府市のタイプとは少し異なり、「居住者の条件」(「属人性」という。太田市では市内に10年以上居住したことがある者)に基づいて、市街化調整区域の新築住宅に対する開発規制の緩和を許容している。

ところが逆に、市内に10年以上居住したことがある者という「居住者の条件」が、(詳細に開発データを検証しなければ正確な実態はわからないため、あくまで推測だが)市内の市街化区域から市街化調整区域へと開発意欲をシフトさせ、市内での人口の奪い合いを引き起こし、市街化区域内の空き家を増やしている可能性もある。

また、資産という側面から住宅を考えてみよう。あまり一般には知られていないが、先の「居住者の条件」で開発規制の緩和を利用して新築住宅を建てた場合、将来、これを中古住宅として売却する際には、かなり面倒な開発許可手続きが必要になるのだ。

さらに、場合によっては、売却する対象者が同じ市内10年以上の居住者に限定されてしまう可能性が生じたり、中古住宅として売却できない場合でも、市街化調整区域内にあるために、現行の開発許可の要件では他人に賃貸することができないといった問題も想定される(ただし、市街化調整区域の全ての住宅が該当するわけではない)。

このように、新築住宅として買う時には、物件価格が安くて良いのかもしれないが、長期的に、中古住宅としての流通性や世代交代の可能性を考えた場合、現状のままだと、将来、空き家となる住宅が続出するリスクを抱えているように私には見えてしまうのだ。

ちなみに、空き家予備軍となる危険性がある、65歳以上の者のみの世帯が住む一戸建て住宅だけでも、太田市で1万1440戸、甲府市で1万4920戸(平成25年「住宅・土地統計調査」による)と大量に控えており、相続が発生した際に、「資産」としてきちんと引き継がれない場合には、近い将来、これまで公共投資をして整備をしてきたまちのスポンジ化がいよいよ深刻化してしまう危険性がある。

ただし、ここで強調しておきたいのだが、住宅過剰社会だからといって、新築住宅をつくること、購入すること自体が悪いのではない。

新築住宅は、たとえ人口減少社会でも、空き家増加社会でも、住宅を新たに購入したい人、住み替えたい人、古くなった住宅を建て替えたい人などのために、これからも必要不可欠だ。

問題なのは、新築住宅が「立地に関係なく」野放図につくり続けられ、インフラや公共施設等の維持管理コストや行政サービス(例えば、防災対策や災害時の対応・ゴミ収集など)を行うべき居住地エリアの拡大が止まらないことだ。

そして、こうした状況が続けば、今後、人口も世帯数も減少していく中で、将来世代に多大な負担を強いることにつながることにも目を向けてほしい。

要するに、住宅過剰社会から本格的に転換しなければ、まちのスポンジ化が深刻化するだけでなく、住宅の立地やタイプにもよるが、これまでに建てた住宅だけでなく、これから建てる住宅も、安心して所有できるような「資産」となりうる可能性も狭めてしまいかねないということだ。

■川越市、習志野市、浜松市……まちづくりの先進事例

では、大量相続時代を迎える日本で、住宅やまちを、将来世代に「資産」として引き継いでいくためにできることは何か?

それは、自分たちの住宅の資産価値や将来世代の税金等の負担増に大きな影響を及ぼす都市計画・まちづくりに対して、これまで以上に目を向け、その本質を見極める目を持つことだ。

拙著では、たとえば、以下のように、先進事例として様々な自治体のまちづくりを紹介した。

◎開発規制は一旦緩和するとそれを強化することは政治的にも難しい中で、市街化調整区域で無秩序に進む宅地開発への規制緩和を全面的に廃止する、という英断をした川越市(埼玉県)

◎多くの自治体が棚上げしている公共施設の再生・再編を、公民連携といった画期的な手法を盛り込みながら真摯に取り組む習志野市(千葉県)

◎超高齢化した住宅団地のリノベーションによって、世代交代に積極的に取り組む神戸市(兵庫県)

◎南海トラフ巨大地震規模の津波被害に備えた防潮堤や津波避難タワー等の整備など、災害がおきる「前」の段階から、市民の安心安全のために、具体的な減災対策に積極的に取り組む浜松市(静岡県)

◎日本で初めて、条例で活断層の真上にある土地利用の規制・誘導に取り組む徳島県

いずれの自治体も、近視眼的な視点ではなく、将来世代にツケを残さないまちづくりをしていこうという、長期的な視点を重視した取り組みに本格的に着手している。

私たちは、都市計画やまちづくりは行政がするものと考え、無関心を決めたり、行政任せ・他人任せにしたりせず、自分のまちの首長や自治体の都市計画行政に対して、きちんと目を向けることが必要不可欠な時代に突入している。

そして、もう一つ重要なことがある。

それは、住宅単体だけの視点ではなく、その住宅が立地する「まち」が、将来にわたって大幅に悪化せずにそれなりに暮らしが維持される見込みがあるのか、そして、もし相続する世代が売ることになった場合に買い手がつく可能性があるのか? といった、これまでよりも「更にもう一歩先の将来リスク」まで見極めるという「新しい価値観」がみんなの常識になることだ。

そんなことは当たり前ではないか……そう思われる方も多いと思う。

しかし、私たちが新たに住宅を購入する際、住宅単体のメリットや物件価格の安さなどについつい心を奪われ、そこに営業マンの巧みなトークが加われば、買おうとする住宅やまちの将来リスクを見極めようという長期的視点がおろそかになってしまいがちなのも、れっきとした事実である。

こうした価値観がみんなの常識になれば、これまで整備していたまちを中心に、中古住宅をリノベーションで質を向上させて住宅市場へ流通させたり、空き家を解体してその土地で新築住宅を建てることに軸足が置かれるなど、住宅市場も変化していくのではないだろうか。

大量相続時代を迎え、人口だけでなく、世帯数も減少し始めるという折り返し地点が見えてきた今、これからの日本で、住宅が「資産」となりうるためには、住宅という単体の要素だけではもう解けない。

既にある住宅やまちを、将来世代も暮らしやすいものへと改善し、きちんと「資産」として引き継いでいくためには、まるで連立方程式を解くように、災害リスク、インフラや公共交通・生活利便サービスの維持、公共施設の再編・統廃合、地域コミュニティ、ライフスタイルや暮らしやすさといった生活環境、産業や農業政策……といった多元的要素を、都市計画・まちづくりの中で、横断的・複合的に解いていくことが必要不可欠なのだ。


            

<出典・補注>
(1)野村総合研究所NewsRelease(2015年6月22日)
(2)吉田太一『あなたの不動産が「負動産」になる』、ポプラ新書、2015年8月
(3)平成15年の住宅・土地統計調査は、市町村合併前の時期でもあり、市町村合併した人口規模が小さな町村は調査対象外であったことから、市町村合併後である平成20年から平成25年の増加率に着目した(図表3)
(4)山梨県都市計画マスタープラン委員会第1回資料(2016年11月8日)



 

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コメント
 
1. 2016年12月29日 19:03:53 : 2LiKY8ftgY : PTfAaIrqs6s[778]
価値低い ものを高値で 摑まされ

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