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東京の空室率は3割、「不人気アパート」の盲点 「埋まる物件」との差はどこにあるのか(東洋経済)
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/310.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 12 月 29 日 16:20:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

        首都圏でアパートの空室率が増えている(写真:筆者撮影)


東京の空室率は3割、「不人気アパート」の盲点 「埋まる物件」との差はどこにあるのか
http://toyokeizai.net/articles/-/150754
2016年12月26日 中川 寛子 :東京情報堂代表 東洋経済


貸家着工戸数が増加する一方、2015年半ばくらいから立地的に人気が高いはずの東京23区内、神奈川県内でのアパート(木造、軽量鉄骨造)空室率がじりじりと上昇している。今年6月に不動産調査会社タスが発表した調査によると、東京23区の空室率は約34%に達し、神奈川県ではなんと35%を超える。つまり、3戸に1戸は空室という計算だ。そのため、本来なら最も競争力が高いはずの新築アパートでさえ埋まりにくくなっている。

アパート建設が増えている背景には、いくつかの要因がある。2000年発売の『金持ち父さん貧乏父さん』以来の不動産投資ブームに加えて、都心部での単身世帯の増加や低金利で金融機関がアパートローンに力を入れていることなどが挙げられるが、最も直接的な要因は2015年1月1日からの相続税増税。2016年からはマイナス金利の影響がこれに拍車をかけている。

■駅から10分以上離れた地域に建つ無個性物件


  首都圏のアパート空室率は2015年1月の相続増税後から急進している(出所:タス)

アパートが空室になる理由は極めて単純だ。ニーズのない場所に、ニーズに合わない建物を供給しているからである。

「賃貸住宅の成否は立地。ところが、相続税対策は『土地ありき』でスタートするため、人口減少地域にでも、駅から10分以上のニーズのない場所にでも、これまで大量に供給され続けて余っている、特徴のない20平方メートル未満のワンルームを建ててしまう」と、タスの新事業開発部長・藤井和之氏は話す。「RC造のマンションの場合は建設費が高いこともあり、きちんと市場調査して建設される。だから、同じ単身者向けのワンルームでも、人口増加地域の駅から10分未満の場所への供給が中心。競合したら、相続税対策のアパートが不利なことは明らかだ」。

アパートを建設させたいハウスメーカーは、首都圏ではまだ単身世帯が増えると土地所有者に説明するが、1995年以降、その増加を上回るペースでワンルームは建設され続けている。空室が増えるのも無理はない。

とはいえ、ニーズのある土地に、ニーズのある建物を作るのも簡単ではない。理由のひとつは、不動産会社の情報が不足しているという問題だ。

「不動産会社は自社で管理している物件の情報は持っているが、市場全体についての情報は持っていない。自社の営業エリア内でも、どの間取りの住宅が何戸あり、それがいくらで成約したか、空室期間はどのくらいかなどといった情報はほとんどないのが現状。需給バランスを考えて建設したくても、それが非常に難しい」と、賃貸物件の管理を行うハウスメイトパートナーズ営業部課長・谷尚子氏は話す。

もうひとつの問題は、土地所有者やハウスメーカーと、消費者のニーズを知る管理会社の連携がうまくいっていないことだ。近年、アパート建設は複数のハウスメーカーが競い合う状況になっており、一刻も早く、できるだけ利回りの高い試算を出さなければ受注につながらない。そのため、ハウスメーカーは管理会社に大至急で家賃の査定を依頼する。場合によっては、精査できないほど短期間で査定が行われることもある。

加えて多くの大家は利回りを重視しがちなため、家賃は高めとなる。建物の詳細が決まっていない状況で、家賃は高めに設定しながら、建設費は抑えるケースが多く、これによって、相場より高い、無個性の賃貸住宅が生まれるのである。

■結局は大家が泣くはめになる

管理会社は家賃の査定を行い、その額で受注できた場合に管理を受託。竣工後に引き渡しを受けて管理が始まるが、大家とは長い付き合いになるため、できるだけ入居者に選ばれる物件にしたいと考える。だが、「最近は大家の自宅だけが立派で賃貸部分は競争力のない大量供給モデルだったり、ファミリー向けなのにガスコンロや下駄箱が小さかったりする物件も少なくない。とはいえ立場上、査定依頼時に意見は言えず、受託は予算決定後なので変更も難しい。結局、部屋が埋まらずに大家さんが泣くことになる」(谷氏)。

管理会社によっては、空室が出ても管理会社側がサブリースで数十年間一括で借り上げると同時に、家賃保証するとうたうところもあるが、サブリースでは家賃減額を要求されたり、解約を通告されたりするトラブルも少なくない。よほど立地がよく、人気の高い物件ならまだしも、大した魅力のない土地であることに気がつかず、管理会社に丸投げしてしまう時点でその大家は失敗しているのである。

一方、空室率が上昇し続ける中、圧倒的な人気を集める物件も少なからずある。たとえば2016年7月に京王線幡ヶ谷駅から数分の場所に誕生した全3戸の「ブランシュ」。相場より家賃が1〜2万円高いにもかかわらず、部屋探しをする人が少ない7〜8月に、情報解禁からの20日間で95件の問い合わせが入った物件だ。


  メキシカンハンモック設置にかかった費用は約5万円。費用対効果は絶大だ(写真:筆者撮影)

注目を集めたのは、単身者向けでは日本初であろうメキシカンハンモック。これは一般的なハンモックと違い、縦横斜め、どの方向にも寝られるもので、室内にはあらかじめ、利用時に使う踏み台も用意されている。普通にはない設備が注目を集めたわけだが、決め手はそれではないと企画・管理担当のPM工房社の久保田大介氏は話す。

「豊富な収納、単身者には大きめサイズの追いだき機能付きバスルーム、オートロック、防犯カメラ、宅配ボックスなど充実した設備に加え、ほかにないメキシカンハンモックが目を引いた。物件があふれる今、目を引くものがないとよい物件を作っても埋もれてしまう。充実した設備仕様に加え、とがっていることが大事だ」

東京・東久留米市に3月に竣工した「ツクルメ」も、最寄りの花小金井駅などから徒歩約30分、賃料も相場より1万円ほど高い物件にもかかわらず、人気の高い物件だ。


  雑木林や湧水など豊かな自然に恵まれた場所に立地。それを生かした計画になっている(写真:筆者撮影)

物件は雑木林に向かい合う土地に建てられており、ウッドデッキや畑、アウトドア用キッチンやバーベキューサイトなどがそろっている。完成前にワークショップを行うなどして告知を行ったところ、募集開始から1カ月ほどで満室になった。各戸の玄関が畑に面しており、明確な仕切りがないため、畑を共同作業で行うこともある。入居者間が集まっては飲んだり、バーベキューや流しそうめんをしたりという交流も生まれている。

■コミュニティ重視の賃貸物件も

同物件のオーナーである秋田茂良氏は、江戸時代にこの地に入植した農家の12代目。290年におよぶ歴史ある土地を、未来に継承できる活用法を考えるのに、賃貸向けリノベーションを手掛けるエイムズの手を借りながら3年を費やした。相続をにらんで慌てて建てた物件とは、企画段階から違うのである。

コミュニティを生み出すことで注目を集めている物件もある。国土交通省が住生活基本計画の見直しで、賃貸住宅の分野で参考にすべきと取り上げた「コミュニティ賃貸」の事例のひとつが、足立区にある「パルコカーサ」だ。

2015年2月に誕生した同物件も、最寄りの無人駅東武伊勢崎線・大師線大師前駅から徒歩8分と立地は芳しくなく、賃料も相場より数千〜1万円ほどは高い。また、入居時に町会参加を求められるなど、隣人とかかわりたくない人には高いハードルがあるにもかかわらず、満室を維持している。メディアにもよく取り上げられているので、聞いたことがある人もいるだろう。


  コミュニティ賃貸パルコカーサの敷地内で行われるバーベキューの準備は入居者全員で行う。写真一番右が、オーナー3兄弟の長兄、田口昌宏氏(写真:筆者撮影)

パルコカーサの「名物」は、オーナー3兄弟のうち長兄で、地元の町会で青少年部部長を務める田口昌宏氏だ。入居者がすぐに地域になじめるよう、同氏の音頭で入居早々から花見やバーベキューなどを開催。今では入居者が主導してイベントを開催するほど入居者同士の仲がよく、子育て世帯にも安心して住める場所なのである。

賃貸業界ではこのところ、こうしたコミュニティを重視した物件が増えており、面白いところでは、東郊住宅社が作った管理物件入居者向け食堂のトーコーキッチンがある。同食堂では、入居者に朝食100円、昼食・夕食500円といった破格で提供。取締役である池田峰氏自身が頻繁に訪れては入居者に声をかけるなど、コミュニティ的な温かみがあることも功を奏し、昨年末のオープンから1年で同食堂の近くに住みたいと人が集まるほどになっている。

■「満室御礼」物件の共通点とは


  安さだけでなく、手造りの安心感もトーコーキッチンの売り(写真:筆者撮影)

「入居の決め手をアンケート調査すると、以前は礼敷・礼金ゼロゼロが8〜9割だったが、今年春には食堂がそれを超す勢いで、食堂利用で外食費が減るなら家賃が5000円高くなってもいいという声もあった」と池田氏は話す。人が活発にかかわるようになれば、住宅や地域の価値は上げられるといういい例だ。

「満室御礼」の物件に共通するもうひとつの点は、不特定多数を対象とした募集をかけないこと。大手賃貸サイトは、情報が多くなりすぎ、数字や固有名詞では表現できない雰囲気やデザイン、コミュニティなどに特徴がある物件が消費者に届きにくい。一方で、手間をかけて作った物件の所有者は、その考えに共感し、建物やコミュニティを大事にしてくれる人に入居してもらいたいと考えている。であれば、不特定多数に告知する必要はない。

また、「足立区のパルコカーサは町会加入を条件にするなどして入居者を絞ったが、そうしたやり方で入居者を選ぶ動きも出ており、賃貸の入居者も選ばれる時代が来つつある」と、前出の谷氏は指摘する。選ばれる物件を作り、可能であればそこにコミュニティを醸成する。そして、入居してもらいたい人に響く告知ができれば、空室を恐れる心配はないのだ。

さて、最後にもし、親が不人気立地にもかかわらず、アパートを建設すると言い出したらどうするか。全力で止めてやめてくれればよいが、どうしても建てるという場合には腹をくくって親と一緒に経営に携わり、時間をかけても一緒に満室経営を目指してくれるビジネスパートナーを探すことである。それができれば賃貸経営は決して悪い商売ではない。ただ、頭を使わず、楽して儲かるやり方を志向するようなら、破綻は見えている。



 

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