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2017年の投資戦略、高圧経済株に照準 人民元切下げあるか 停滞する民主主義、見限るのは早計 イタリアのユーロ離脱リスク
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/459.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 05 日 01:42:34: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

コラム:
2017年の投資戦略、高圧経済株に照準

木野内栄治大和証券 チーフテクニカルアナリスト兼シニアストラテジスト
[東京 3日] - この1月は物色戦略を再構築すべき場面だろう。例年、年終盤は節税目的の損出し売りの季節で、逆に益出しが1月に集中する傾向がある。よって、前年末まで上昇した銘柄は年初から利食われ、前年末まで損出し売りに押されていた銘柄が年初から浮上しやすい。

実際、個人投資家の影響が大きい日経ジャスダック平均やリート指数の相対パフォーマンスは、例年、年末年始に底入れ反転しやすい傾向がある。

米国NYダウも史上最高値にあった2014年初や15年初は1月末前後まで軟化した。今年は米国では所得減税が期待されているので、昨年終盤の段階で先送りされてきた利食い圧力が足元で懸念される。14年初や15年初は米金利も低下した。連動しやすい銀行株がこの1月は騰勢が弱まってもおかしくない。

このように、1月は、じっくり物色戦略を考える必要がありそうだ。

<高圧経済ではイノベーションが期待できる>

さて、その物色戦略を再構築するにあたって、持つべき認識は、「2017年の新しいテーマは高圧経済である」という点だ。高圧経済政策とは、現在の供給能力を上回る需要維持を推進する政策で、景気が良くても財政刺激策や金融緩和を継続する政策を指す。

トランプ次期米政権は景気が良くても景気刺激策を実施する構えだし、1930年代後半から50年代の米国の経験からも、「デフレから長期停滞論へ、そして金利の釘付け政策が導入され、高圧経済となり、脱デフレ」という一連の流れが長期的なパターンである可能性が高い。すでに日銀はイールドカーブ・コントロール政策を導入したので、あとは米国の財政支出を待つだけだ。

上記の歴史のパターンをよりどころに、筆者は1年前に早期の金利釘付け政策実現を予想し、相場予測もおそらく業界で最も強気だった。しかし、実際にはマイナス金利政策が導入され、株価は大きく下落してしまった。日銀がイールドカーブ・コントロール政策を導入したのは9月になってしまった。まったく不明を恥じるしかない。

そこで、今年はまず高圧経済政策に至らなくとも、すでに高圧経済状態となっており設備投資や技術開発が出始めた産業で投資戦略を構築したい。加えて、マクロ的に高圧経済に入る前から入った後1年程度まで堅調が見込める「値がさ株」で投資戦略を構築したい。以下で紹介するセクターは生産性向上で株価が一段高となりやすいだろう。

なお、高圧経済政策を理解する上で重要な点は、正規雇用や設備投資を抑制する履歴効果が覆されることとイノベーションが促されることだ。実際、昨年10月14日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長講演でも研究開発・イノベーションの増加を指摘している。マクロ的には財政政策と金融緩和がなぜ成長戦略となるのか分かりにくいだろうが、株式アナリストの立場から個々のセクターを概観することで、結果的にそれも説明したい。

<建設業の生産性が大幅に改善し始めた訳>

高圧経済状態のセクターでは人手不足となる。建設業では人手不足が極まった。そこで、土木工事ではドローンで写真を撮り、解析技術で測量データを作り、公的提出書類や工程管理作成を自動化、ブルドーザーもデータでガイドされる技術が確立した。

また、コンクリート工事は現場で型枠を組むオーダーメイドで、天候に左右されコンクリートが固まるまでの時間が必要になるなど、手間がかかっていた。そこで、最近では工場でコンクリートブロック状のパーツを作成して、現場では組み立てるだけの方式が増えてきた。

すると、長年低迷していた建設業の生産性が、大幅に改善し始めた。その分、企業利益が増加しよう。建設株や先進的な建設機械株が物色されよう。

システム業界も恒常的な人手不足だ。日本においてコンピュータシステムはオーダーメイドが主流だったが、現在パッケージソフトの利用に移行しつつある。大手のクラウドインテグレーターが高い生産性をあげると考えられる。また、フィンテックも盛り上がりを見せており、金融業の生産性向上に大きな影響があるかもしれない。

このように、高圧経済・人手不足状態の産業では技術革新が勃興し始めている。

<高圧経済はビジネスイノベーションも促進>

観光業界も高圧経済・人手不足状態だ。そのためITの活用が進んでおり、現在、ネットショッピングによる家計消費の最大の支出先は観光だ。ネット関連の観光銘柄が有望だろう。

この他にも多くの外国人観光客を受け入れるために、宿泊施設が不要なクルーズ船の誘致や、観光ルートの分散化も政策的に推進されている。2017年は札幌オリンピック正式立候補や九州での世界遺産登録などが話題となるだろう。北海道・九州の観光銘柄に注目だ。また、消費単価の引き上げが期待されるカジノを含む総合型リゾート(IR)設置の動きも生産性改善の方策といえる。

物流業はトラック運転手不足の中で、物流総合効率化法の改正によって業界内外の協働が期待できる。共同配達やモーダルシフト、駅構内の宅配ボックスなどがその例だ。また、連結トラック、ドローン宅配の可能性など技術開発にも広がりを見せている。具体的には宅配業や倉庫株が期待できる。

飲食店などの人手不足も深刻で、そうした業界での生産性を引き上げる企業にもメリットが期待できる。食券販売機や製氷機などの店舗の省力化関連銘柄だ。IoT(モノのインターネット)活用も個々の企業に拡大してきた。

こうして見ると、高圧経済はビジネスイノベーションを促すことが理解できる。

このような実際の事例をアネクドータル(伝聞的)な参考例であると軽視してはならない。イノベーションは個々の企業・産業の現場で勃興するもので、マクロ的に全要素生産性が向上する嚆矢(こうし)となり得る。こうした事例は少なくとも高圧経済がイノベーションと設備投資を促しやすいことを証明している。

<テクノロジー主導の値がさ株相場にも期待>

筆者は、高圧経済状態の産業の株価が堅調になると見ている。こうした産業は大きく業績が改善し株価も上昇したが、多くは人手不足によって業績が伸び悩み株価もいったん軟化したセクターなので、再騰が期待できる。2017年の物色の考え方は長期的な順張り戦略だ。

この物色傾向は値がさ優良株相場に通じる。これまでも上昇してきた優良株が、さらに大きく上昇する相場だ。過去の値がさ株相場は日経平均のバブル的な天井の6年後頃から11年後にかけて示現している。現代は、2007年頃に作られた過剰な生産設備があふれており、資金は高圧経済状態のセクターやニューエコノミー分野・値がさ優良株に集中しやすい。

こうして見ると、2017年は、日本やアジアのバブルの天井だった1989年の10年後である1999年に類似している。

値がさ株のパフォーマンスは当初は米金利低下と連動しているが、最後の1年程度は米金利上昇と連動して吹き上げ的な佳境場面を迎えていることが多い。ストック調整が進む過程と回復する場面の両局面で値がさ株は選好されてきた。高圧経済政策に入らなくても入っても、どちらでも値がさ株相場が期待できるはずだ。ここ数年と同様に引き続き電池と半導体関連にも注目できるだろう。

最後に、株式市場が値がさ株などのテクノロジー主導の相場展開となると、高圧経済セクターで生じたイノベーション関連株も物色されやすい。そうした物色傾向は、財政刺激策が技術開発や生産性向上を促す成長戦略となり得ることを示唆する。この点に関する理解が進むことは、財政政策を積極的に活用しようとの政策論を促すと期待している。

*木野内栄治氏は、大和証券投資戦略部のチーフテクニカルアナリスト兼シニアストラテジスト。1988年に大和証券に入社。大和総研などを経て現職。各種アナリストランキングにおいて、2004年から11年連続となる直近まで、市場分析部門などで第1位を獲得。平成24年度高橋亀吉記念賞優秀賞受賞。現在、景気循環学会の理事も務める。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-eiji-kinouchi-idJPKBN14M0KH?sp=true


 

  


 

2017年の中国リスク、人民元切り下げあるか:識者はこうみる

[東京 4日 ロイター] - 順調なスタートを切った2017年の金融市場だが、多くの参加者がリスク要因として挙げるのは中国。人民元安が進み外貨準備が急減する一方、巨額な民間債務や不動産市場のバブル崩壊などが心配されている。ドル先高観の根強い市場では緩やかな人民元安を予想する声が多いが、トランプ次期米政権の出方によっては、中国政府が再び人民元切り下げに動きかねないとの見方も出ている。

識者の主な見方は以下の通り。

●人民元は下落方向、3側面で苦しい舵取り

<みずほ銀行 マーケット・エコノミスト 佐々木貴彦氏>

3月の全国人民代表大会(全人代)では、成長率目標を現実的な6.5%程度に引き下げるだろう。中国経済は、消費・投資・輸出の3側面でかじ取りが苦しくなってくる。経済下支えのためにどういう施策が示されるかが焦点だ。

自動車取得税を10%からいったん5%に引き下げたが、今年は7.5%に引き上げる。前年比で増税のため消費の落ち込みは避けられそうにない。不動産価格の急騰や民間の過剰債務の増加を踏まえれば、民間投資も刺激しにくい。米新政権移行チームが輸入関税を検討し始めたとも伝わっており、米国への輸出が抑制されるおそれもある。

中国が目標達成に向けて薄氷を踏む中、米国が関税を導入すれば、人民元を切り下げてでもダメージを和らげるしかないとの思惑も出かねない。

購買力平価の観点から人民元は、中長期的には、7.7元程度まで下落余地がある。今年の下落めどは7.17元程度だが、7.3元程度へのオーバーシュートはあるかもしれない。

米次期政権が明確にドル高回避スタンスを打ち出し、米連邦準備理事会(FRB)もハト派政策で追随するなら元高もあり得るが、実効レートベースで元はドル並みに割高となっており、ドルが弱くなると元も同程度弱まるため、上昇の余地は大きくないだろう。

●トランプ発言で人民元安にブレーキも、資金流出の過剰懸念は不要

<伊藤忠経済研究所 主席研究員 武田淳氏>

2016年の景気は、自動車減税やインフラ投資拡大、住宅ローン規制緩和といった政策要因に支えられた。ただ、自動車減税幅は縮小する。住宅価格がバブル気味になったことで政府は足元であらためて規制強化に動いている。今後はインフラ投資がしっかり拡大していくかが、焦点のひとつになる。

輸出の動向も重要だ。人民元安でも、輸出は下げ止まりつつある程度。回復というほどの勢いはない。ただ、重しとなっているのはスマートフォン関連の一巡や鉄鋼など。かつての輸出ドライブの反動減で、特殊要因の側面が大きい。今後、人民元安で素直に輸出が持ち直すとのシナリオもあり得る。

一方で、人民元安が進めば、インフレ圧力が高まりかねない。ただ、人民元の下落を抑制するような材料が米中から出てくるとみられ、元の急落は考えにくい。

中国政府は米債を売ってドル売り介入をしている。米債が売られれば、米長期金利が上がってドル高になりかねず、米国としても歓迎しないだろう。人為的な相場引き下げを問題視しているトランプ次期米大統領が、持論を強調するだけでも元安にブレーキが掛かる。

2000年台からの人民元切り上げ局面では、年3─5%の上昇なら経済に大きな影響を与えない範囲とみられていた。これを踏まえれば、今年は7.1─7.2元程度への下落も許容範囲と見られるだろう。

外貨準備は一時期に比べてかなり減少してきているが、そもそも多過ぎたともいえる。人民元高の下で外貨で資金を借り入れる企業が相次ぎ、外貨準備が膨らんでいたためだ。足元では、これが巻き戻されているが、企業による国内での借り換えは進んでおり、過度な警戒は不要だろう。

●米国が関税引き上げなら中国は為替引き下げの思惑も

<SMBC日興証券 新興国担当シニアエコノミスト 平山広太氏>

人民元は、対ドルではさらに元安方向に動く可能性があるが、名目実効ベースでは大きく動かさないというのが、今の政策スタンスだろう。

中国の為替政策はドル次第といえる。米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの見通し中央値では、2017年に3回の利上げが示唆された。ただ、ドル高がディスインフレ圧力となるなら、利上げは2回程度に終わる可能性がある。

ドルが軟化すれば、その裏側で人民元は強くなっていく。元に対するドルの増価は2─3%程度にとどまり、人民元は6.8─7.0元がコアレンジになるのではないか。

もっとも、トランプ次期米政権がきつい関税をかけるなら、中国サイドは通貨を引き下げて関税の価格上昇効果を相殺しようとするとの思惑も出かねない。市場が売りに傾くなら、中国政府は相場に任せて7.0元より安い方向に動くことも想定される。

成長率目標は6.5%は維持するとみている。インフラ投資を中心に景気刺激策を打つ一方、過剰生産能力や在庫の削減、中小企業向け支援といった供給側の改革をさらに深める方向だろう。

不動産市場健全化の方針を示しているため、バブル崩壊への警戒は怠れない。結果として不良債権処理を加速する動きもあり得る。銀行が貸し渋り・貸しはがしに動けば、インフラで経済を支えようとしても地方政府が支え切れなくなる。中央が手がけるには時間がかかるため、一時的に景気のモメンタムが鈍化する可能性はある。

●人民元の急落の可能性低い、党大会控え景気下支え期待

<JPモルガン・チェース銀行 為替調査部長 棚瀬順哉氏>

中国の民間の過剰債務の問題は深刻化しつつあり、長い目で見ればハードランディングのリスクが高まっているといえる。ただ、そのタイミングは、今年ではないだろう。

今年は5年に一度の中国共産党全国代表大会が秋口に予定されている。当局の意向としては、経済の混乱は避けたいだろうから、景気下支えへのインセンティブは強い。

人民元は、中国からの資本流出や、過大評価の修正の観点から、対ドルで7.0元を超える水準への一段安はあり得るが、コントロール不能な急落にはならないとみている。実際に党大会の年には、国内総生産(GDP)の成長率は高く、人民元はさほど動かない傾向が見られる。

現状では、財政・金融政策の両面で下支えで手を打つ余地はある。

去年から自動車減税や不動産融資への規制緩和、インフラ投資で下支えしてきた。こうした流れは2017年も続くだろう。経済政策の運営の面からバブル回避に向けて、減税の縮小や規制の引き締めなどの動きはある。ただ、経済の混乱も避けたいところだ。

中国製造業購買担当者景気指数 (PMI)は、政策による下支えもあって去年は50を回復した。これが50を割り込むなど景気減速が強まるようなら、あらためて減税や規制緩和を強めることもあり得る。

トランプ次期米政権の経済閣僚の顔ぶれは、かなり保護主義の色彩が強い。ただ、今の中国は製造業よりサービスの比率が高まってきている。アドバルーン的な関税引き上げや為替操作国の認定で米国への輸出がいくらか減っても、それによってハードランディングの引き金が引かれるとは考えにくい。

(平田紀之 編集:伊賀大記)
http://jp.reuters.com/article/china-yuan-idJPKBN14O0LU


 


コラム:停滞する民主主義、見限るのはまだ早い
 
 12月27日、戦後のどの時期にも増して、2016年は民主主義の限界と欠陥がはっきりと露呈した1年となった。写真は10月、英国の欧州連合(EU)残留を訴え、顔にそれぞれの旗の模様をペイントしてキスをするデモ参加者(2016年 ロイター/Hannibal Hanschke)

John Lloyd

[27日 ロイター] - 代議制による政治こそが最善だと確認された第2次世界大戦以降のどの時期にも増して、2016年は民主主義の限界と欠陥がはっきりと露呈した1年となった。

第2次大戦における大規模で凄惨な戦いを経て、民主主義諸国は専制的国家だったドイツ、イタリア、日本を打倒した。皮肉なことに、その勝利を決定づけたのは、史上最大の専制国家、ソ連によって払われた比類のない人的犠牲だった。

戦後世界を形成したのは、豊かで自信に満ちた米国を筆頭とする戦勝国である。連合国が創設した国際連合、国際通貨基金(IMF)や世界銀行などの機関は、大戦中に連合国のあいだで行われた議論に由来するものだ。それらの機関は、安定をもたらし、戦争に代わり協議を行い、貧困国のための開発援助を確保することを目指していた。

1948年、戦争で荒廃した欧州の復興に向けて、米国は約120─130億ドルを拠出。マーシャル・プランと名付けられたこの援助は現在の貨幣価値に換算すると約1200億ドル(約14.1兆円)に上る。この援助は、民主的な政府を支え、当時は強大だった共産主義勢力を遠ざけることを意図していた。

その当時、戦勝国は自国の政治システムに自信を持っており、市民が選挙や政党、公開討論に積極的に参加することによって、その力をさらに発揮できると捉えていた。だが今や、民主主義の前進は止まってしまった。いや、一部には後退している例さえ見受けられる。

西側諸国では、政党単位で選択された代議員を議会に送るための選挙を、自由社会に自然と付随するものだと見なしていた。しかしその自由とは非常に規制されたものであり、必然的に政治的エリートを生み出した。人々の声は多くのフィルターを媒介して伝えられ、ほとんどの人にとってそのフィルターは不透明だ。

スイスのように日常的に国民投票を活用している国はほとんどない。同国では、経済的なメリットがあるとされているにもかかわらず移民受入の制限が国民投票で承認された。

今年、欧州で経験の乏しい2つの大国が国民投票を実施し、それぞれの政府が推奨していた政治的選択が却下された。英国民は欧州連合(EU)からの離脱を選択し、イタリアでは憲法改正が否決された。その結果、イタリアのレンツィ首相、英国のキャメロン首相が辞任した。イタリアでは第2次大戦後以降、英国では何世紀にもわたり、国会が最高立法機関として位置づけられている。

国民投票は今や、ポピュリスト政党のお気に入りの手段となっている。こうした政党は、民衆の反発を利用し、これを誘導することができると信じているからだ。これこそが民衆の声、そうではないのか、と。

代議制の方が継続性や経験、英知を提供できるという有力な弁護の声もあるが、主流派が政治的な人気を失っている時期において、このような主張をしても盛大な嘲笑を浴びるのが関の山だ。

主流派の政党は、たいていは抗議や議論の結果を受けて、市民の政治参加を拡大しようという試みを繰り返してきた。だがほとんどの場合、多数の市民を集められるのは数回の会合にすぎない。

米政治学者フランシス・フクヤマ氏が書いているように、「大半の市民には、公共政策に関わる複雑な問題を理解するための時間も、経験も、その意欲もない。政治参加の拡大は、単に、よく組織された活動家団体がさらに大きな力を得る道を開くだけになる」からだ。

新たな民主的構造を生み出すための最大の実験が、1950年代以降、着実に発展してきたEUだ。だがその歩みも、この10年間で停滞している。

有権者だけでなくEU懐疑派の政党に突き上げられた加盟国政府が、意志決定権の回復を求めてきたからだ。それも、各国議会に取り戻すというより、「国民」の手に取り戻すという要求だ。フランスで勢力を増しつつある極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が主張するように、「国民国家の復活」なのだ。

EUは民主的な統治の「新たな一歩」として、創設国やその政治家の多くによって提唱されてきた。国民国家を自発的に統合することで、中国、ロシアや米国に対抗し、グローバル企業や銀行への影響力を増すとの考えだ。

だが、EUは政治的プロジェクトを推し進め過ぎた。特に、政治的目標のためにユーロの金融メカニズムを利用しようとした点だ。

かつてギリシャやイタリアなどの国では、競争優位を維持するために通貨切り下げを行うことが珍しくなかった。だが今では、ユーロから離脱するしか手がない。その場合、ユーロ建ての膨大な債務を抱える一方で、自国通貨は大幅に切り下げられてしまう。ユーロ圏に留まっても離脱しても、いずれにせようまく行かないのだ。

一方、独裁主義は復権を果たしつつある。

ロシアのプーチン大統領が米タイム誌の「今年の人」候補に選ばれたのは、ウクライナ、シリア、そしてロシアにおいて(いかに暴力的なものであれ)成功を収めていることへの評価であり、世論調査によれば依然、圧倒的な国民の支持を得ている。プーチン氏同様、高い支持を集める独裁的リーダーとしては、中国の習近平主席、トルコのエルドアン大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領などが挙げられる。

政治的な主流派としての勢力維持を願う人々にとって、こうした民主主義のジレンマから脱する選択肢は3つある。

まず第1に、最も魅力に欠けるものの、可能性が高い選択肢は、さまざまなポピュリスト運動が失敗するのを待つことだ。

ドナルド・トランプ次期米大統領には、首尾一貫した統治は無理だろう。ブレグジットは英国経済に長期に及ぶダメージを与えるだろう。イタリアには、必要とされている痛みを伴う改革を実行できるような政権は誕生しないだろう。少なくとも、手っ取り早い解決策に魅了された人々の一部は目を覚ますだろう。

第2に、ポピュリスト勢力が主流派に近づくのを待つ。移民制限を掲げるフィンランドの保守政党「真のフィンランド人」がそうであったように、責任ある態度を身につけていく一方で、その先鋭さと人気を失っていく。

最後に、政治的主流派が改めて勢いを取り戻すことだ。理性に基づいた政治の必要性を説明し、かつ成果を上げることが出来る、新たなリーダーの登場だ。

最後の道が最も困難であり、忍耐力、失敗への寛容さ、そして説明と教育への意欲が必要となる。いくつもの国民投票では、大衆が「彼ら(既存の政治勢力)」に対して抱く拒絶感の強さが表れている。

成功を収めるためには、上記の3つのシナリオのすべてを活用することにより、過激な変革を今すぐ求めるような政治から脱却することだ。だが、これは容易な道ではない。私たちは、すでにその途上にあり、一気にそこから逃れることは不可能なのだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
http://jp.reuters.com/article/lloyd-democracy-idJPKBN14H0L7


 


独IFO研究所、イタリアのユーロ離脱リスクを指摘=新聞

[ベルリン 1日 ロイター] - 独IFO経済研究所のクレメンス・フュースト所長は、イタリア国民は生活水準が改善しない場合、ユーロ離脱を望むようになるとの見方を示した。

所長は独紙ターゲスシュピーゲルに対し「イタリアの生活水準は、2000年と同じレベルにある。これが変わらなければ、国民はいずれかの段階で『ユーロ圏はもはや要らない』と考えるだろう」と述べた。

さらに、欧州によるイタリア救済プログラムを独政府が承認した場合、「推測も制御も不可能な規模の」リスクを納税者に課すことになると指摘。議会に対し、これに合意しないよう提言した。
http://jp.reuters.com/article/eurozone-italy-germany-idJPKBN14O03Z  

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