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韓国、通貨危機以来の低成長予測 「世界中の留学生の4人に1人」中国人「国内で大学院」 「希少性」にこだわる合理的な奴ら
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/495.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 06 日 00:11:01: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

韓国、通貨危機以来の低成長予測

日本と韓国の交差点

朴スキャンダルとトランプ政権が不確実性高める
2017年1月6日(金)
趙 章恩

特別検事の捜査に連行されるチェ・スンシル氏(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
 2017年、韓国は「人口オーナス」元年を迎えた。人口オーナスとは、15〜64歳までの生産年齢人口が減少する一方、扶養すべき高年齢人口が増加して経済的負担が大きくなることをいう。韓国は2017年からついに生産人口が減少する。

 複数の韓国メディアが、人口オーナスの先輩と言える日本の事例を新年特集として紹介。シャッター街と化した地方都市や、高齢化にビジネスチャンスを見出したコンビニの食材配達サービスなどを取り上げた。韓国はどうすればいいのか日本から学ぼうという動きが出ている。

 韓国では、生産人口が減少すれば消費が落ち込み、長期不況に陥るとみられている。韓国の企画財政部(韓国の「部」は日本の「省」に当たる)は、2017年韓国の実質経済成長率を2.6%と展望した。同部が経済成長率を2%台と展望したのは、1999年に外貨危機が起きて以来のこと。従来は経済成長を楽観視し3%台の数字を出す傾向があったが、2017年度については「不確実性」を理由に低い数値を打ち出した。ちなみにOECDは2.6%、韓国の民間研究所は2.3%前後と予想している。

米国の保護主義と利上げを不安視

 企画財政部は、米国の動きが波乱要因になるとみている。トランプ政権が保護貿易主義を強めて韓米FTAに影響を与え、関税を厳しくする事態などが発生すれば、輸出に大きく依存する韓国経済は大きな打撃を受けるしかない、というわけだ。

 企画財政部は米国の利上げが及ぼす影響も懸念している。米国が金利を上げれば韓国銀行(中央銀行)も追随する。金利が上がれば韓国の自営業者は大きな打撃を受ける。韓国の自営業者は平均して、年間所得の3.5倍に達する借金を抱えている(韓国銀行調べ、2016年9月時点)。OECDの統計によると韓国の自営業者は全勤労者の27.4%を占める。この値は世界4位(2013年調べ)で、OECD平均の15.8%よりかなり高い。

 不確実性に備える措置として通貨スワップがある。地上波放送KBSニュースは1月2日、韓日通貨スワップ協定を再締結する交渉が中断することなく続いていると報道した。ユ・イルホ経済副総理は、「通貨スワップとは不確実性を減らすために締結するもの。韓国政府として色々な国と締結したい」と発言した。

経営の壁は「政治・社会の不安」との回答が最多

 しかし何よりも大きな不確実性は国内の政治だろう。朴槿恵大統領の友人チェ・スンシル氏の国政介入と朴大統領の収賄疑惑について、特別検事による捜査が続いている。憲法裁判所が弾劾を認めれば、2017年に大統領選挙が実施される。大統領が変われば、すべての政策が切り替わる。

 韓国経営者総会が259社の代表取締役を対象にアンケート調査を実施したところ、経営の壁になるのは「政治・社会の不安」との回答が24.6%と最も多かった。これに以下の回答が続いた――「民間の消費不振」21.1%、「企業の投資心理萎縮」14.6%、「世界の保護貿易強化」12.9%、「中国の経済成長鈍化」12.3%、「米国の金利引き上げ」4.7%、「過度な規制」3.5%、「労使関係の不安」2.3%。経済成長率は、企画財政部より厳しく2.3%と展望している。

 また、回答者の49.5%が「(2017年は)緊縮経営をする」とし、「人員リストラ(人員減縮、賃金調整)」32.7%、「原価節減」22.1%、「事業部門リストラ」17.3%を実施する可能性を指摘した。

大企業も特別検事の捜査対象に

 韓国の大手企業も、朴大統領スキャンダルと無縁ではない。韓国版経団連の全国経済人連合会が、政治と経済の癒着窓口になっていたという疑惑をめぐって、特別検事が進める捜査の対象になっている。

 全国経済人連合会は、サムスングループの創設者であるイ・ビョンチョル前会長をはじめとする企業家13人が1961年に集まり、企業を代弁する団体として発足した。2016年時点の会員数は約600社。

 特別検事は、同連合会のイ・スンチョル副会長をチェ・スンシル氏を巡る裁判の証人として立たせることを決めた。チェ・スンシル氏が関与するミル財団およびKスポーツ財団と、財閥大手企業をつなぐ窓口役を果たしたとの疑いだ。

 全国経済人連合会の会員である大手企業は、チェ氏に強要されて仕方なく資金を提供した被害者とみられていたが、実は、朴大統領への橋渡しなど便宜を図ってもらうべく、全国経済人連合会を通じてチェ氏に資金を提供していた疑惑がある。

 こうした中、昨年の12月27日、LGグループが全国経済人連合会から脱会すると発表した。続いて、最大手通信キャリアのKTも脱会。SKグループもチェ・テウォン会長が脱会を宣言した。サムスングループも脱会する見込みである。現代自動車は、脱会はしないものの会費は払わないと発表した。銀行や会計事務所の脱会も続いている。全国経済人連合会から脱会することで、「クリーンな企業」とのイメージを挽回する狙いなのだろうか。

 全国経済人連合会の会長を務めるホ・チャンスGSグループ会長は2016年末、会員企業に向けて謝罪の手紙を送付した。「目まぐるしく変わる時代のニーズと国民の期待を満たすことができず、会員の皆様にご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます」。

 同連合会の年間会費収入は約492億ウォンで、そのうち7割を4大財閥――サムスン、LG、SK、現代自動車――が占める。4大財閥からの会費がなくなれば、団体の存続が難しくなる。信頼を失った以上、韓国経済のご意見番といった役割も果たすことはできない。

 50年以上続いた全国経済人連合会の衰退もまた、韓国の経済に影響を与えるだろう。財閥大手企業の利益を守るべく活動する団体の力が弱まり、財閥中心の経済構造が変われば、ベンチャーやスタートアップがよりビジネスしやすくなると考えられる。野党は「権力者を代弁する団体、政権の集金窓口に堕した全国経済人連合会を解体せよ」と主張している。

サムスンのために国民年金を犠牲にした疑い

 特別検事は、サムスングループがチェ氏経由で朴大統領に接触し、サムスン電子の大手株主である国民年金がサムスングループ会社の合併に賛成するよう要請したとも疑っている。同グループは、イ・ジェヨン サムスン電子副会長が経営権を承継するために、グループ会社の合併を必要としていた。全国経済人連合会からの募金とは別に、サムスングループとしてさらなる資金をチェ氏に提供したとみられている。国民年金は合併に賛成することで、5865億ウォン(財閥ドットコムの試算による)の損害を被った。

 朴大統領には、国民が国民年金に貯めたお金(国民年金)をサムスンのために犠牲にしたという疑いが持たれている。同大統領は2017年1月1日午後、記者団を集めた新年会で、「サムスンを支援するよう国民年金に指示したことはない。特別検事の言いがかりにすぎない」と否定した。

 特別検事の捜査に続き、朴大統領をめぐる弾劾裁判と、チェ氏の国政関与と朴大統領の収賄に関する裁判が1月5日から本格的に始まる。


このコラムについて

日本と韓国の交差点
 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/215834/010400055/


 


 

「世界中の留学生の4人に1人」を占める中国人

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

8割が帰国も国内評価は低下、「再出国」希望が68%に
2017年1月6日(金)
北村 豊
 飲食店やコンビニなど、日本の至る所でアルバイトに励む中国人留学生を目にする機会はすこぶる多い。独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が2016年3月に発表した『平成27年度外国人留学生在籍状況調査結果』によれば、2015年(平成27年)に日本に滞在した外国人留学生の総数が20万8379人であるのに対して、中国人留学生は9万4111人で、実に全体の45.2%を占め、国別で第1位となっている。第2位のベトナム人留学生が3万8882人で18.2%であるから、中国人留学生の多さは突出している。

中国人留学生126万人、私費が9割

 12月12日に“中国社会科学院文献出版社”から出版された『中国留学発展報告(2016)』によれば、2015年に中国は海外留学生が最も多い国になったという。同書は“中国与全球化智庫(中国グローバル化研究センター、略称:CCG)”が、2015年における中国の海外留学の動向を研究した結果を取りまとめた報告書である。報告書の要点は以下の通り。

【1】2015年における中国の海外留学生は126万人で、全世界の海外留学生総数の25%を占めた。これは、世界中の海外留学生の4人に1人が中国からの留学生であることを意味する。一方、2015年における中国で留学中の海外留学生は39.76万人で、全世界の海外留学生総数の8%を占めた。また、2015年に米国に留学中の海外留学生は120万人で、全世界の海外留学生総数の24%を占めた。2014年から2015年の修学期間中に米国から海外へ留学した学生は32万人前後で世界の海外留学生総数の6%を占めた。

【2】2015年までのところ、中国は米国、カナダ、オーストラリアなど英語圏の諸国にとって留学生の最大供給源であると同時に、日本、韓国、シンガポールなどの中国語文化圏の諸国にとっても留学生の最大供給源である。統計によれば、中国の留学生が米国とカナダ両国の留学生総数に占める比率は30%を超えている。

【3】日本、韓国、シンガポールを代表とする中国語の影響を受けている諸国においても、中国の留学生は留学生総数の最多を占めている。韓国を例に挙げると、2015年において韓国に留学している中国の留学生は留学生総数の62%を占めている。

【4】留学費用を誰が負担しているかという観点から見ると、2015年における中国の国家および機関・団体から派遣された公費留学生が4.19万人であるのに対して、私費留学生は48.18万人に上り、私費留学の比率は92%に達している。私費留学の比率は、2001年から常に89%以上を維持しており、最近5年間ではずっと92%を保っている。これは中国において留学がますます一般的なものとなり、庶民でも留学が可能になったことを意味している。

 2016年3月16日付で中国政府“教育部”が発表した「2015年中国の海外留学生状況」には以下の内容が記されている。

留学生は年々増加、約8割が帰国

(1)2015年に中国から出国した留学生の総数は52.37万人であり、その内訳は、国家による公費留学生:2.59万人、機関・団体による公費留学生:1.60万人、私費留学生:48.18万人であった。一方、2015年に各種の海外留学から帰国した人の総数は40.91万人であり、その内訳は、国家による公費留学生:2.11万人、機関・団体による公費留学生:1.42万人、私費留学生:37.38万人であった。

(2)2015年と2014年の統計データを比較すると、中国から出国した留学生と海外留学から帰国した人の数は共に増加している。出国した留学生の人数は6.39万人増加し、13.9%増大した。海外留学から帰国した人は4.43万人増加し、12.1%増大した。出国した留学生数と海外留学から帰国した人の数は年を追うごとに増大を続けており、両者の差は徐々に縮小している。年間の出国留学生:帰国者の比率は、2006年の3.15:1から2015年の1.28:1へと大幅に縮小している。

(3)1978年から2015年末まで期間における各種の出国留学生数の累計は404.21万人であった。その内、126.43万人は現在も海外で学習や研究を行っている。残りの277.78万人はすでに学業を終了しており、その内の221.86万人が帰国を選択したが、彼らの比率は79.87%に達している。

 上述した2つの資料から分かるのは、2015年時点で126万人の中国人の学生が世界各国に留学しており、毎年出国して海外留学する学生は増大を続けていること、さらに海外留学を終えて帰国する人数も同様に増大していることである。海外留学を終えた約280万人の内で帰国を選択した人が約222万人で、その比率は約80%に達している事実である。本来ならば留学先の国に残りたかった人々も、昨今の経済状況悪化により世界各国で就労ビザの取得が厳しくなっていることから、留学先の国に残留したくともかなわず、帰国を余儀なくされたことも帰国者の増大を促しているものと思われる。

 2016年3月に教育部が発表した『“中国留学回国就業藍皮書(中国留学帰国就業白書)”』には、海外留学した人の79.87%が帰国して就業することを選択したとして、彼ら“海帰”あるいは“海亀”<注1>と略称で呼ばれる“海外留学帰来人員(海外留学から帰った人)”の就業状況に関する調査結果がまとめられている。その要点は下記の通り。なお、海外留学帰国者を以下「海亀」と呼ぶ。

<注1>中国語の“帰”と“亀”は共に発音がguiであることから、海外留学帰国者を“海亀”と呼ぶようになった。海外留学帰国者のグループを“海亀族”と呼ぶこともある。

都市部での雇用厳しく、故郷に戻る人が増加

〔1〕4大都市である北京市、上海市、広東省の“広州市”および“深圳市”で雇用の吸引力が低下したことから、実家のある故郷へ戻って働きたいと考える海亀が徐々に増加している。

〔2〕博士号を持つ海亀の月給は主として5000元(約8万4000円)から1万元(約16万8000円)に集中しており、5割近い修士号を持つ海亀の月給は5000元に達していない。2013年に比べて、博士を除いて、海外の学士や修士を持ちながら月給が低い人の数は著しく増大しており、労働市場における海亀に対する評価は低下しつつある。

〔3〕2014年における海亀就業者の男女比率は女性が男性よりも高く、59.16%を占めた。また、学歴別では、修士および修士課程:80.70%、博士:9.49%、大学および専門学校:9.81%であった。

〔4〕専門別に見ると、博士号を持つグループの専門は、主として化学、“材料(建築・土木)”、経済学、電子および電気工学、機械工学、計算機である。これに対して、修士号および修士課程の学歴を持つグループの専門は、主として金融、会計、“工商管理(経営学)”、“国際商務(国際貿易)”、管理学である。大学および専門学校の学歴を持つグループの専門は、修士号および修士課程の学歴を持つグループに近く、主として“工商管理”、経済学、会計などである。

 教育部“留学服務中心回国処(留学サービスセンター帰国部)”の“副処長(副部長)”である“斉黙”によれば、海外留学生の帰国比率は上昇を続けているが、その主たる要因は中国国内の発展が吸引力を高めていることにあるという。女性の海亀が比較的多いのは、主として女性には海外での求職、戸籍、個人的な問題などの解決が相対的に困難であることに起因している。

 ところで、上記〔2〕に述べたように海外留学から帰国して中国国内で就職した海亀たちの月給の平均は、1万元に到達していないばかりか、5割近い修士が5000元に達していないという。かつて海外留学から帰国した海亀たちは貴重な人材として国内企業から引く手あまたの状態で、就職の条件として通常の給料の倍額が約束されたものだった。ところが、数年前から海外留学生が続々と帰国するようになったことから、海亀たちが職を求めて中国国内の人材市場に大挙して集まるようになった。2016年11月16日付で経済ウェブサイトの“財経網(ネット)”が報じたところによれば、上海市の某金融会社の“人力資源経理(人事課長)”である“張卓婭”は、「3〜4年前は求職の履歴書を100部受け取ると、そのうち5〜6部が海亀の履歴書だったが、今では100部中の20部が海亀の履歴書である」と述べている。

 2016年8月3日に上述の「中国グローバル化研究センター」と「北京海威時代教育コンサルティング」が共同で発表した『“2016中国海帰就業調査報告”』によれば、海亀820人(70%が女性、26〜35歳が主体)を対象とした調査では、60%超が目下は“基層員工(平社員)”であり、“高層管理人員(上級管理職)は4.7%、“基層管理人員(下級管理職)”は22.4%、“中層管理人員(中級管理職)”は11.2%であった。また、同報告によれば、調査対象者の収入は、5000元(約8万4000円)から1万元(約16万8000円)が46.9%を占め、1万5000元(約25万2000円)以上が11.3%、1万元から1万5000元が16.6%であり、残りの25.2%は5000元以下であった。

68%が“再帰海”を希望

 海亀たちが海外へ留学したのは、外国語の水準を高め、海外の大学や大学院で学ぶことにより博士号や修士号、学士号を取得して箔を付けると同時に、中国国内では習得できない専門性を身に付けるためであった。また、たとえ公費留学生であっても、あわよくば中国国内よりも高給が取れる海外で就職することを心密かに念願していたはずである。しかし、その願いがかなわぬまま帰国した後の現実は、国内の大学卒業生や博士、修士と比べて就職の待遇に大差がなかった。公費留学生は別として、私費留学生は一体何のために高額な費用を負担して海外へ留学したのかという失望感にさいなまれているのが実情である。

 文頭の述べた『中国留学発展報告(2016)』によれば、調査対象となった918人の海亀中の68%は“再帰海(再び海外へ戻る)”の願望を抱いているというが、その主たる理由は以下の通り。

 ・国内の環境汚染が深刻だから(37.8%)
 ・国内の給料が低すぎる(28.5%)
 ・満足行く仕事が見つからない(26%)
 ・食品安全の問題があるから(24.5%)
 ・子女に国内で教育を受けさせたくないから(24.5%)
 ・住宅価格が高くて買えないから(22.9%)
 ・人間関係に適応できないから(19.7%)
 ・国内が海亀を受け入れようとしないから(16.2%)

 同報告は“再帰海”を希望する海亀たちには共通の特性があると述べているが、それは次の通りである。すなわち、彼らの大部分は地方の中小都市出身で、外国語能力が高く、海外に対し一定の適応力を持ち、帰国前に海外で働いた経験を持っている。彼らは帰国した後に国内より海外の方が発展の可能性が高いことを発見すると同時に、種々の客観的要因から自分が満足行く発展を考えるなら、再度出国して海外で暮らすことを選択している。

 ところで、2016年には770万人以上の大学卒業生が就職市場に流入した。これに海外留学から帰国した海亀が約50万人、さらに2015年以前に大学を卒業した就職浪人が加わり、一説には総計1300万人が就職戦線で熾烈な就職活動を展開したと言われる。当然ながら、国内の就職戦線の状況を熟知していない海亀たちは求職活動で苦戦を強いられた。『中国留学発展報告(2016)』によれば、85.9%の海亀が求職活動を始めてから半年以内に就職を果たしたというが、これは2013年の86.4%に比べて若干低下している。その内、1か月以内に就職できた人は3分の1以上、3か月以内は31.6%であったが、これらの合計約65%は2013年の65.3%よりも低下していた。

 海亀たちが就職を果たすまでの時間が2013年よりも長引いた原因は、雇用する企業側がコスト削減のため求人条件を引き下げたことで、それが海亀たちには不利に働いた。また、海亀たちの仕事に対する要求が高すぎたこと、さらに海亀たちの大部分は家庭環境が良いために就職を焦る必要がなかったことも大きな要因となったと考えられる。

「国内で大学院」にシフトか

 2016年12月24日、中国では“2017年全国碩士研究生招生考試(2017年全国修士課程大学院入学試験)”(以下「大学院入試」)が行われ、201万人が受験した。2004年にわずか94.5万人であった大学院入試の受験生は、2005年(117.2万人)に100万人を突破してから年々増加の一途をたどり、2013年には176万人に達した。その後2年間は減少に転じたが、2016年は177万人と過去最高を記録した。今回は2016年より24万人増大して最高記録を塗り替えた。2016年大学院入試では51.7万人が合格しているので、2017年の合格者も50万人程度と考えられる。

 201万人もの受験生が大学院入試に殺到した理由は何なのか。中国では今や大学を卒業した学士の肩書では良い就職を望むことは困難である。それなら箔をつけるために海外へ留学することも一つの方法だが、今や海亀は中国国内に溢れる状況になっており、大金を費やして海外へ留学しても帰国後に就職で有利な待遇を受けられる訳ではない。それなら、中国国内で大学院へ進み、修士号や博士号を取得して就職で優位に立つ方が良いという論理になるのかもしれない。

 平成28年(2016年)3月31日に文部省が発表した2013年統計による日本人の海外留学者数は5万5350人であった。それにしても、中国の海外留学者数126万人との差は大きい。中国の人口を日本の10倍と仮定して、5万5350人を10倍しても55万3500人にしかならず、中国の海外留学者数の半分にも及ばない。日本の青年たちには、快適安全な日本国内に安住せず、意を決して海外へ留学し、語学を学び、世界を知って大いに飛躍して欲しいものである。


このコラムについて

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/101059/010400079/


 


今回の経済学キーワード:希少性

「日経ビジネスベーシック」から

飯田泰之の「キーワードから学ぶエコノミクス」・01
2017年1月6日(金)
飯田 康之
この記事は、「日経ビジネス」Digital版に掲載している「日経ビジネスベーシック」からの転載です。連載コラムは「飯田泰之の『キーワードから学ぶエコノミクス』」。詳しい説明はこちら 。
すぐ読めてすぐ分かる「エコノミクス」講座
体系的に理解しよう! とすると、なかなか手強いのが経済学(エコノミクス)。とりあえず、耳にしたことがある経済学用語の定義だけでも、「なるほど」と腑に落ちる形で学んでみませんか。テレビでもお馴染みの、明治大学政治経済学部准教授の飯田泰之さんが、ちょっと他所では読めない角度から、経済学のキーワードを読み解きます。

「希少性」にこだわる合理的な奴ら

 「キーワードから学ぶエコノミクス」をはじめるにあたって、第一に明らかにしておかなければならないのが本連載の対象である「エコノミクス(経済学)」とはいったい全体なんなのか、でしょう。お金儲け? 金利の算出法? 景気が分かるようになる?

 経済学を辞書で引いてみると「“経済”現象を検証する“学”問」みたいな定義が書いてはあるのですが、これではますます何のことだからわからない。『AKBの経済学』やら『夜の経済学』といった本もあるくらいで、「お金が絡むならなんでも経済学だ」というきらいさえあります(ここで上げた両著はともにちゃんと「経済学的」な本です……念のため)。


飯田泰之(いいだ・やすゆき) 明治大学政治経済学部准教授
1975年東京生まれ。マクロ経済学を専門とするエコノミスト。シノドスマネージング・ ディレクター、規制改革推進会議委員、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。著書は『経済は損得で理解しろ!』(エンターブレイン)、『ゼミナール 経済政策入門』(共著、日本経済新聞社)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)、『ダメな議論』(ちくま新書)、『ゼロから学ぶ経済政策』(角川Oneテーマ21)、『脱貧困の経済学』(共著、ちくま文庫)など多数。
 本連載のタイトルを「キーワードで学ぶ経済学」ではなく「エコノミクス」にしたのも、この経済学の濫用(?)が理由です。経済がからんでいても、経済学の名前が冠してあってもちっとも「経済学的」ではないという議論は少なくありません。

 では改めて、経済学とは何でしょうか。

 本連載における「経済学」は、現在大学などで「主流派経済学」と呼ばれている学問分野を指します。一定以上の年齢の方にとっては「近代経済学」と言われた方がなじみがあるかもしれません。ミクロ経済学とマクロ経済学、近年ではゲーム理論などを理論的基礎として、統計学・計量経済学による検証などを通じて様々な問題を読み解いていく一連の活動。それが本連載の射程です。

 以上の意味でのエコノミクス(以下本連載では単に経済学と記します)は、その対象を限定しています。それが「希少性を取り扱う」という前提です。

みんなが欲しがるとなくなるもの、を扱う

 ここでの希少性とは、「無料で、だれもが好きなように使ってよい、という状態では不足してしまう」という程度の意味で考えておいてください。例えば、空気は私たちが自由に呼吸をしてもなくなりません(今のところは)。したがって、空気は経済学の対象ではないというわけです。

 では、対象となるものはなんでしょうか。もちろん、世の中の商品やサービスは誰でも無料となったらすぐに足りなくなってしまいます。さらに、日常生活で足りなくなってしまいがちな、つまりは希少なものの代表と言えば「時間」でしょう。希少な対象を取り扱うのが経済学ですから、こちらは当然経済学の主要な対象になります。

 さらには「静かな住宅環境」や「すばらしい景観」も、みんなが好きなところに(タダで)住んでいい、行っていい、となれば、あっというまに失われてしまう希少な存在です。

 お分かりいただけたでしょうか。直接的には金銭に関係がなくても、希少性が重要な要素であるときには、経済学はその分析に大いに役立ってくれるのです。

 では、経済学は何を分析するのでしょう。希少なもの・ことだからこそ、誰がそれを使うのか、誰がそれを使うことが望ましいのか、という問題を真面目に考える必要がある。それを考える学問分野が経済学と呼ばれている、というわけです。

 希少性を前提にすることで、経済学はいかにも経済学っぽいテーマをその中心に据えることになります。それが「交換」です。

欲しいものは誰かが持っている…

 無料では足りなくなってしまうものは、現時点では誰かの支配下にあります。それを手に入れるためには、所有者・支配者から譲ってもらう必要がある。なんらかの対価を差し出して、その見返りとして何かを得るという活動――これこそが交換・取引ですよね。希少性あるもの・ことがあり、それが生きていくために不可欠である以上、私たちの行動の多くは「何かと何かの交換」として表すことができます。言い換えると、私たちの社会の活動の多くが「誰かと誰かの取引の束」として、把握可能になるのです。

 希少性に加えて、経済学において重視されるのが個人の合理性です。

 経済学では個人、そしてその個人の束である組織は「合理的に行動すると仮定」されます。合理性、とか、合理的、という単語は少々誤解されやすく、これが経済学への偏見を生んでいる側面もあるようです。「合理的な人」というと、遠い将来のことまで見通す周到で冷静な人という意味だと感じられたり、感情に流されない、人の気持ちを考えない人といったニュアンスを含んでいたりもしますね。

 しかし、経済学の基礎に置かれている合理性は、そこまで限定的なものではありません。

 その人自身が何をすると自分がいまよりも満足できるかを知っていて、その満足度を向上させようとして行動している……くらいの意味です。もちろん、個別の経済理論のなかにはより限定的な合理性の定義を用いることがありますが、限定的な前提を用いた理論はその適用範囲も限定的となります。超基礎的で適用範囲の広い――ということは現実のビジネスや生活にも有用な経済学の知識は、限定の度合いの低い合理性の前提から導くことが出来ます。

 希少な対象を巡って、このような弱い意味で合理的な人たちがどのように反応するか。交換に応じるのはどんな条件がある時か。その人々の反応があつまって出来る社会は、どのような特徴を持つことになるのか。経済学の言葉はそれらを描写しているのです。

 キーワードを解説しながら、経済学から見た世界を旅しましょう。

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「日経ビジネスベーシック」から
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