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2017年の円安論、その根拠とは 今年経済、前半好調、後半大荒 トランプ成長戦略で利上遅れ 新興市場通貨最安値 ダウ2万
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/710.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 12 日 20:20:23: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

2017年の円安論、その根拠とは
2017年の円相場は、日銀が量的緩和を縮小しなければ、15年半ばに付けた水準かそれ以下まで下落する可能性が高い

By WILLIAM PESEK
2017 年 1 月 12 日 17:14 JST
 日本の企業や消費者のマインドが改善し、日経平均株価が堅調に推移する中、日本銀行が量的緩和を縮小するのではないかとの観測が浮上している。債券・株式市場に加え、世論までも誘導しようという日銀の黒田東彦総裁の歴史的な試みはその役目を終えた、との理屈からだ。黒田総裁が米連邦準備制度理事会(FRB)にならって量的緩和を終了し、資産買い入れ規模の縮小、さらには利上げ再開に踏み切る日も遠くないだろう。それもそのはずで、中央銀行がさまざまな投資先で大きな存在感を示していた時期はもう終わったのだ。こうしたことから導き出される結論は「2017年の円相場は上昇間違いなし」となる。

 そこで、日本の最新の経済指標を調べてみると、この国が希望的観測にどれだけ支えられているかがよく分かる。良いニュースは、内閣府が10日発表した16年12月の消費者態度指数が約3年ぶりの高水準となったことだ。逆に、消費支出総額の減少傾向に歯止めが掛からないことは、悪いニュースと言える。いったい何が起きているのだろうか。日銀は二つの問題に直面している。一つは、日銀の政策は事業環境を安定させたものの、心理面での改善効果は不十分で、支出や賃金が思うように伸びていないことだ。もう一つは、日銀が政策を講じても、国内の人口減少の影響がそれに勝り始めていることだ。

 ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は「心理が全てではない。それで何か買えるわけではないからだ」とし、「人口動態は非常に大きな問題だ。現に日本では人口動態が最大の問題となっている」と述べた。

 将来、2016年は日本にとって人口減少の「変曲点」として記憶されるかもしれない。例えば、英国は消費の伸びが実質賃金・所得の伸びを上回る。ドイツやフランスでは、消費者心理が横ばいでも消費は伸びている。米国の場合は、一般世帯がみじめな暮らしをしているとドナルド・トランプ次期大統領は言うが、それでも経済成長率は加速しつつある。これら欧州大国と米国が日本と大きく異なるのは、移民の流入によって若年層が一定の割合を保っていることだ。

 黒田総裁が量的緩和という壮大な実験を徐々に縮小していくと予想するのはまだ早い。世界第3位の日本経済は実質的に金融政策のみが支えている。金融政策という支えを失えば、国内総生産(GDP)が縮小、円相場は急伸し、デフレ圧力が高まる。国債利回りも上昇し、日経平均は強気相場が終わるだろう。要するに、日銀の量的緩和縮小に向けた動きはアナリスト予想ほど進まず、円安はさらに続く、と予想すべきなのだ。オックスフォード・エコノミクスやロイヤルバンク・オブ・スコットランドなどが目標とする1ドル=125円という水準は、常軌を逸した円安ということはなく、ほぼ確実に達成すると言えよう。

 明るい動きが少しも見られないというわけではない。武田薬品工業が9日、がん治療薬を手掛ける米アリアド・ファーマシューティカルズを47億ドルで買収すると発表し、「日本株式会社」が成長機会を海外に見いだそうとしていることが改めて示された。武田薬品の場合、売上高全体に占める海外の割合は既に6割超に達する。ソフトバンク、アサヒグループ、テルモ、日本生命など日本企業の経営者は、国内市場の縮小分を補うため海外市場に積極的に打って出ようとしている。これは賢明なことだ。安倍晋三首相も株主価値を高めるため「日本株式会社」を後押ししている。具体的には、透明性の向上や社外取締役の増員、投資家と企業の対話促進などに努めてきた。だが、「努めてきた」という表現にとどめたことを強調しておきたい。不正会計が次から次へと明るみに出た東芝を巡る危機が全てを物語る。東芝株は11日に上昇した。ただその理由は、「日本株式会社」を代表する企業ではあるが、身売り、あるいは破綻させた方がましかもしれない東芝に対し、主力取引銀行3行が融資継続を決めたことが材料視されただけの話だ。日本が「創造的破壊」を苦手とするのは誰もが知っている。それでも東芝の件では、アベノミクスが改革を約束する「古くからの慣習」がどれだけ根深いものか痛感させられた。

 同じことは、日本政府がやめられない「円安依存癖」にも言える。安倍首相は、雇用や産業、税制、技術革新、さらに女性の活躍推進などで大規模な構造改革を実施すると公約してきたが、就任4年目を迎えたいまでも全て未達に終わっている。アベノミクスの実態はクロダノミクスにすぎず、日銀もそれを承知している。プライドの高い日銀は、急激な円高によって日経平均が暴落した場合にその責任を負わされたくないと黒田総裁が考えるのと同様、デフレを悪化させたとの責めを負うことは避けたいだろう。それを踏まえると、日銀は今年、超緩和的な金融政策をやめるどころか、それを堅持すると予想するのが妥当ということになる。

 トランプ次期政権は安倍首相のこの取り組みを後押しする可能性がある。トランプ氏は中国の習近平国家主席の鼻をへし折ることを外交政策の最優先事項に掲げている。トランプ氏は、仮に元相場の上昇を求めたとしても、(バラク・オバマ現政権のように)円安には目をつぶるかもしれない。そうなれば、安倍首相は昨年11月にわざわざトランプ・タワーまで出向き、大統領選に勝利したトランプ氏を祝福した甲斐(かい)があったというものだろう。安倍首相はさらに、円安が容認されている状況を利用して、トランプ氏の経済勢力圏で日本が有利な立場にあることを中国に思い知らせようとするかもしれない。

 今後、筆者が円安論の修正に追い込まれるような出来事がいくつも起こるかもしれない。トランプ氏の就任から間もなくして市場の混乱や想定外のショックが生じれば、円は再び安全通貨としての需要を集めるだろう。中国経済が大きく減速した場合はもちろん、フランスとドイツの選挙も投資家の緊張を高める可能性がある。「ミスター円」の異名を持つ元財務官僚の榊原英資氏は、米大統領選でトランプ氏が勝利した数日後、円高が1ドル=90円まで進むこともあり得ると述べた。ただ、日銀が量的緩和という「パンチボウル」を片付けなければ、円相場は15年半ばに付けた水準かそれ以下の水準まで下落する可能性の方が高そうだ。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwis0faWprzRAhWFU7wKHa2ECHwQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582554541231858470&usg=AFQjCNHvNptnrab1d9yEJCG94kWQ_zCOPA

 


 

2017年経済予測、前半は好調、後半は大荒れか小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字
2017年1月12日(木)
小宮 一慶
 あけましておめでとうございます。経営コンサルタントの小宮一慶です。本コラムでは、経済ニュースでよく取り上げられるGDPや消費者物価指数、鉱工業指数といった「景気指標」をベースに、日本経済と世界経済を分析していきます。
 私は職業柄、日本経済新聞が月曜日に掲載する景気指標欄を何十年もチェックし続けています。数字の羅列にしか見えないかもしれませんが、景気指標の定義を知り継続的に観察することで、日本や世界の経済が具体的にどのように動いているのか、手に取るように見えてくるのです。
 今回は、重要な景気指標を見つつ、2017年の日本経済と世界経済を展望します。

「トランプ相場」はいつまで続くのか(写真:ロイター/アフロ)
 結論から申しますと、2017年の日本経済は、前半は好調に推移すると考えています。後半は波乱含みの可能性があります。その大きな原因はドナルド・トランプ次期米大統領の政策にあります。皆さんもご存じのように、1月20日に同氏が米大統領に就任します。
 2016年に行われた米大統領選挙は、米国を分断する選挙だったと言えるでしょう。トランプ氏とクリントン氏が本選で獲得した州を地図上で見ると、中央はほぼすべてトランプ支持を示す赤色、西海岸と東海岸周辺はクリントン支持を示す青色に染まりました。つまり、繁栄を享受する人と、それから取り残され、大きな不満を持っている人に分かれたと言えます。
 トランプ氏を支持する層は、「プアホワイト」と呼ばれる白人の低所得者層が多くを占めているのが特徴的です。このため、鉄鋼や自動車などの産業が衰退したかつての工業地帯「ラストベルト(さびついた工業地帯)」が、赤色に染まったわけです。また、大学を出ていない白人の75%がトランプ氏を支持したとも言われています。学歴差が所得差を生み、それがさらに貧困の連鎖へとつながるのが現在の米国です。

経済成長こそ分断を解消する
 では、この分断を融和する最も効果的な方法は何でしょうか。それは、経済を成長させることです。トランプ氏も同じように考えているようで、大幅な減税とインフラへの投資を表明しています。これらが実現すれば、米国景気は高い確率で浮揚するでしょう。
 ただ、減税とインフラ投資は米国の財政赤字を増大させる可能性があります。結局のところ税収が減って支出が増えるわけですから。米経済はこれからインフレ傾向を強めながら、金利が上昇する局面に向かうと考えられます。
 財政赤字の拡大は、議会の反発を招く可能性もあります。けれども、これまでの通例では、大統領就任当初の100日間は新大統領との「ハネムーン期間」となり、その間は、共和党主導の議会も大きな反発はしないと考えられます。景気が順調に拡大することは、議会にとっても望ましいことであるわけです。
 これは、利上げを目指す米連邦準備理事会(FRB)にとっても都合のいい話です。FRBは2017年の利上げを「年3回」と想定しています。2015年9月時点の「年2回」よりペースが速まりました。

出所:米国政府
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000037/011100002/p1.jpg

 その理由は、米国の指標に表れています。米国のGDP成長率を見ると、2016年7〜9月期は実質年率3.5%となかなかいい数字になっています。
 米国のGDPの約7割を支える個人消費の伸び率も、4%台まで回復していますね。これが安定的に5%を超えるようになると、米国経済はほぼ巡航スピードに至ったと考えていいでしょう。
 次に雇用統計を見てください。11月の失業率は4.6%、非農業部門雇用者数も17.8万人増と、まずまずの数字が出ています。12月の数字は15.6万人台でしたが、賃金の上昇は前月比で0.3%増としっかりしたものです。イエレンFRB議長が目指す雇用の質の改善もある程度順調に進んでいると考えらえます。また、消費者物価上昇率も11月は前年比1.7%となっており、米国政府が目標としている2.0%に近づいています。
 以上の点から、現状の景気は、12月に政策金利の誘導目標を0.25%引き上げたFRBが今後さらに金利を上げることに躊躇する理由はありません。また、トランプ政権の今後の経済政策によって経済がインフレ気味に動くならば、景気にブレーキをかけないレベルでの緩やかな金利上昇をトランプ氏も容認するのではないでしょうか。同氏もデフレを望んでいるわけではないでしょう。さらに、FRBによる利上げは「景気好調の証」にもなりますからね。FRBが景気は好調だというお墨付きを与えるようなものです。
 このように、2017年前半の米国は、トランプ政権が経済政策によって国内の融和を図っていくと考えられるので、インフレ気味になり、比較的堅調なのではないかと考えられます。

トランプ政策の恩恵を受ける日本
 日本経済の話をしましょう。私は、米国の経済政策の恩恵を大きく受けるのは恐らく日本であると考えています。
 FRBが政策金利を上げ、米国の金利全般が上昇すると、円安・ドル高が進みやすくなります。すぐ後で触れますが、私は日本でも今年夏前には物価上昇率がプラスになると考えています。そうなれば、実質金利(名目金利から物価上昇率を差し引いたもの)は低いままなので、円安に振れやすいでしょう。円安に振れれば、当然のことながら日本のグローバル企業の業績が改善します。日経平均株価も上向くでしょう。2017年前半は、こういう流れで日本経済が比較的堅調なのではないかと考えています。

出所:総務省、日銀 ※は速報値
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000037/011100002/p2.jpg

 もう一つの注目点は、日本国内の消費者物価指数です。上の表を見ていただくとお分かりのように、昨年の春先からずっと、前年比マイナス0.4%前後で推移していますね。いわばデフレ傾向が続いているわけです。日銀が目標とする「物価2%」には遠く及びません。
 しかし、早ければ今年の夏前には、この数字がプラスに転じるのではないかと私は見ています。
 消費者物価指数がマイナスになっている原因として、表の右に出ている輸入物価が大幅に落ち込んでいることが挙げられます。なぜ輸入物価が落ち込んでいるのか。理由は二つあります。一つは、2016年の年初から続いた円高です。15年末には1ドル=120円台だった相場が、年が明けてから一気に円高に進み、8月には1ドル=100円台前半まで高騰しました。
 秋頃までこの水準が続きましたが、11月に転機が訪れました。米大統領選挙でトランプ氏が勝利し「まさかの円安」に転じたのです。
 先にも述べましたが、米国の経済政策によって今後もしばらくは現状通り、もしくはそれより少し円安の状況が続くと思われます。このため輸入物価および消費者物価も上昇しやすいのです。少なくとも前年比でみた場合には上昇すると考えられます。

コストアップインフレでもデフレよりまし
 二つ目の要因は、原油価格の下落です。原油価格は2014年夏に急落し、1バレル=100ドル前後から2016年2月には33ドル台まで落ち込みました。
 そして、こちらにも転機が訪れました。2016年12月、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国がウィーンで会合を開き、原油の減産に合意しました 。これを契機に、中東産ドバイ原油の価格は1バレル=50ドルを少し上回る水準で安定し始めました(ただし、これらの産油国は米国におけるシェールオイルの産出動向をにらんでいます。シェールオイルの増産は原油価格の上値を抑えますから、1バレル=60ドルを大きく超えることは考えにくいでしょう)。
 円高と原油価格の下落という輸入物価を落ち込ませる二つの大きな理由が解消する方向にあることから、輸入物価は昨年の水準より上がる可能性が高いのです。早ければ年初から、前年比のマイナス幅が縮小して、プラスに転じるかもしれません。
 そうなれば、国内の消費者物価も上昇することになるでしょう。先にも触れたように、夏前には前年比プラスに転じる可能性があります。
 ただし、この傾向は「良いインフレ」とは言えません。需要が拡大し景気を引っ張るディマンドプル型のインフレではなく、輸入物価の上昇によるコストプッシュ型のインフレだからです。価格上昇分は海外に出ていくということです。ただし、現状のデフレ傾向が続き、デフレスパイラルに陥るよりははるかにましだと考えます(ちなみに、今後の一つの焦点は、伸びが鈍い「現金給与総額」が上昇に転じるかどうかです)。
 特に、日銀にとって輸入物価の上昇は「神風」です 。2013年4月以降の「異次元緩和」で、日銀が国債の3分の1を保有するほどの量的緩和を続けてきました。その効果が薄まると、マイナス金利政策まで導入。それでも物価は下落し、銀行から企業への貸し出しも増えず、結局、景気浮揚効果は現れませんでした。それどころか、マイナス金利のせいで民間金融機関の収益が大きく悪化する副作用の方が大きくなってきてしまったのです。
 そこで日銀は、民間金融機関に配慮して、マイナスだった長期金利を0%程度に引き上げる誘導目標を立てました。しかし実現は難しく、もはや手詰まりといった状況に陥っています 。そんな時に、トランプ氏の勝利とOPECの減産という二つの要素によって円安・原油高に振れ、日本の金利が上がり始めた。さらには今後、物価も上昇する可能性が高い。これはまさに日銀にとって願ったり叶ったりの状況なのではないでしょうか。
 また日本のグローバル企業も、中期的には問題が生じる可能性をはらんでいるものの、短期的には円安メリットを享受しています。現状のドル−円レートの水準は、今期の想定レート(105〜110円程度)を上回る水準にありますから。中期的な問題とは、NAFTA(北米自由貿易協定)見直しの可能性などを指します。トヨタのメキシコ工場についてのトランプ次期大統領のツイッター発言が注目されていますね。
 以上の点から、2017年前半の日本景気は比較的明るいと私は考えています。

波乱含みの年後半
 問題は2017年後半です。米国の大統領と議会の「ハネムーン期間」が終わっても米景気が順調に拡大していれば問題は小さくてすむでしょう。しかし、皆が期待しているほどに景気が拡大しなければ、繁栄から取り残された人たちが思ったほどの恩恵を感じないことになりかねません。減税は大企業や富裕層に偏ってメリットが出やすいものです。
 また、インフラ投資にも課題があります。民間主導のPFI方式で行い、それを行う企業に減税するという方法が考えられています。この場合には、どれだけの企業が実際に参加するかは不明です。
 いずれにしても、景気拡大がうまくいかない場合、トランプ大統領は保護主義的傾向を強めざるを得なくなるでしょう。NAFTAを見直すことで、メキシコからの輸入に対する関税を強化したり、貿易赤字が大きい中国に対して厳しい経済政策を課す可能性があります。
 ただし、対中政策を保護主義的にすると、中国での米企業の活動を大きく阻害するとの見方もあります。トランプ新政権の動きが注目されるところです。中国経済の動向は、もちろん日本経済にも大きな影響を与える可能性があります。このことは、後にもう少し詳しく説明します。
 さらに、欧州において不確定要素がいくつも存在します。最悪の場合、EUが瓦解する方向に動き、大波乱が起こる可能性があります。
 最初の注目点はイタリアです。2016年12月、改憲の是非を問う国民投票が行われ、反対派が過半数を占める結果となりました。これによって、改憲を推し進めていたマッテオ・レンツィ首相が引責辞任に追い込まれました。
 イタリアの総選挙がいつ実施されるか分かりません。しかし、イタリア国内では早期の総選挙を求める声が強まっており、早ければ今年前半にも実施される可能性もあると報じられています 。
 もしこの総選挙で、EU離脱を目指す ポピュリズム政党「五つ星運動」が躍進し、EU離脱の可能性が高まった場合、私はイタリア国内で金融危機が起こるのではないかと危惧しています。国民投票が実施された当時の世論調査を見ると、政党別支持率で与党・民主党が首位となっているものの、「五つ星運動」が僅差で2位に着けていました 。
 今、イタリア3位の銀行、モンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナの不良債権問題が取り沙汰されています。レンツィ首相が国民投票に敗れたため、同行は周辺国を中心とした金融機関などから増資を受けることが難しくなりました。イタリア政府が公的資金を入れることで、何とか現状は小康状態を保っている状態です。イタリア政府は、モンテ・ディ・パスキをはじめとする銀行の不良債権を処理するために200億ユーロを用意すると表明しています。しかし、それで足りるかどうかは分かりません。
 イタリアの銀行全体では、GDPの20%(約3600億ユーロ)に上る不良債権を抱えていると報じられています。GDPの20%といえば、日本で90年代にバブルが崩壊し、処理を強いられた不良債権の比率とほぼ同じ規模です。その際には、1997年、2003年と二度の金融危機に見舞われ、中小銀行のみならず大手行までいくつも破たんしました。あの時と同じ規模の衝撃を、イタリアが受ける恐れがあるわけです。
 総選挙が実施され、五つ星運動が躍進したとしても、そう簡単には、イタリアがEUから離脱するとは考えらえません。あのギリシャでさえ離脱しなかったのですから。そう考えるわけですが、EU離脱やトランプ大統領誕生を考えれば、何が起きても不思議ではありません。もし、イタリアがEUを離脱するようなことになれば、イタリアの金融界およびイタリア経済は大混乱に陥ることが避けられません。イタリア経済は英国と違い足腰が弱いですから。イタリアのみならず周辺国にも間違いなく多大なダメージが及ぶことになります。

NAFTA廃止は、日本の自動車にも大ダメージ
 2017年には、フランスで大統領選、ドイツで総選挙が行われます。春に予定されるフランスの大統領選挙では、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ル・ペン党首が有力候補となっており、決選投票にまで進むだろうと予想されています。決選投票では、敗れるとの予想が大勢です。ですが、それでも勢いで勝たないとも限りません。予想が当たらないのが当たり前の昨今です。
 9月のドイツ連邦議会選挙では、メルケル首相の率いる「キリスト教民主同盟(CDU)」が苦戦し、難民支援の削減を訴える「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進する可能性があると報じられています。メルケル首相はEU統合の中心的存在です。彼女が首相の座を維持できなければ、EUからの離脱を進める加盟国が増加する恐れが生じます。ドイツの総選挙は、EUにとって一つの大きな転換点となる可能性があります。
 注意すべきは欧州だけではありません。先ほどから何度も触れているように、米国も2017年後半には日本経済を揺るがす存在になる可能性があります。
 私が最も恐れているのは、トランプ氏が北米自由貿易協定(NAFTA)を見直すことです。彼は元々、NAFTAに否定的で「最悪の協定だ」とまで発言してきました。
 メキシコは、自動車生産の中核的な場所となっています。米国の自動車産業のみならず、日本の自動車産業もメキシコに工場をたくさん置いています。もしもNAFTAが廃止になれば、日本の自動車業界にとって大きな打撃になりかねません。
 問題はほかにもあります。ドル高傾向がこのところ強まっています。トランプ氏はドル高に対して以前から懸念を示しています。欧州情勢が不安定になると、ユーロに対してもドル高がさらに進む可能性が高くなります。
 一番の槍玉に上げられるのは中国ですが、日本にも同様の可能性があります。米国の年間の貿易赤字額は、ここ数年は7千数百億ドルで、その最大は中国です。ただし、対日本でも貿易赤字額の1割弱に相当する700億ドル程度の赤字を計上しています。したがって、中国のみならず日本にも「通貨安を何とかしろ」とプレッシャーをかけてくる可能性があります。
 中国に対しては輸入制限や関税率を一時的に高めるなどの措置を発動する可能性も否定できません。議会の承認を得なくても、大統領令などで対応が可能なことが多いからです。通商代表部の代表(USTR)に、対中強硬派で知られるロバート・ライトハイザー氏を指名したことも対中政策が厳しくなる可能性を示唆しています。
 中国は、一時期4兆ドルあった外貨準備が3兆ドルぎりぎりのところまで減少しており、人民元の防衛に必死です。それでも元の下落トレンドはなかなか打ち消せません。人民元がさらに下落することがあれば、トランプ政権が厳しいプレッシャーをかける可能性もあります。
 米国経済が好調であればそんな圧力はかけてこないでしょう。しかし、米国経済が予定通りに拡大しない、さらには、欧州で波乱があり世界各国が内向きになれば、米国も保護主義的な強硬手段に出てくることがあるかもしれません。トランプ氏は、自身の支持基盤であるプアホワイトの雇用をとにかく守りたいわけですから。支持率をにらみながら、対策を講じていくと思われます。
 まとめますと、2017年前半の日本経済は、米国経済の拡大に支えられ比較的好調に推移すると思います。一方、年後半は国際情勢とトランプ氏の政策によって大きく動く可能性があるわけです。大きな波乱含みであることはこれまでと変わりありません。


このコラムについて
小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字
 2020年東京五輪に向けて日本経済は回復するのか? 日銀の金融緩和はなぜ効果を出せないのか? トランプ米大統領が就任した後、世界経済はどこに向かうのか? 英国の離脱は欧州経済は何をもたらすのか? 中国経済の減速が日本に与える影響は?
 不確定要素が多く先行きが読みにくい今、確かな手がかりとなるのは「数字」です。経済指標を継続的に見ると、日本・世界経済の動きをつかむヒントが得られる。
 企業の動きも同様。決算書の数字から、安全性、収益性、将来性を推し量ることができる。
本コラムでは、経営コンサルタントの小宮一慶氏が、「経済の数字」と「会社の数字」の読み解き方をやさしく解説する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000037/011100002

 


 

ダウ平均2万ドルが試す投資家の忍耐力
大台突破に意味はあるのか? 目先は心理的にプラス
2017.1.12(木) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙?2017年1月11日付)

米ダウ平均、終値で初の1万6000ドル超え
米ニューヨーク証券取引所(New York Stock Exchange)で働くトレーダー(2013年11月18日撮影、資料写真)。(c)AFP/Getty Images/Andrew Burton〔AFPBB News〕
?米国株式市場の強気派は、名作戯曲「ゴドーを待ちながら」に登場するウラジミールとエストラゴンのように感じたとしても許されるだろう。減税し、企業の規制を緩和するというドナルド・トランプ氏の約束は、同氏の米大統領選出以来、ダウ工業株平均を9%近く上昇させた。

?この高騰によって、ダウはクリスマス前から2万ドルの節目と戯れており、今では大台にいつ到達してもおかしくない状況にある。

?一部の人は選挙後初となる11日のトランプ氏の記者会見がダウの節目突破のきっかけになると見ている。一方で、米国企業の第4四半期の決算発表シーズンが突破口になると考えている人もいる。ダウが2万ドル近辺をうろうろしている中、これが投資家にとって何を意味するか、以下にまとめた。

投資家にとってダウ2万ドルは何を意味するのか。

?この節目の重要性について、投資家の意見は割れている。往々にして切りのいい数が心理的な意味を持つことについては大半の人が同意しているが、上昇相場を維持できるかどうかについては見方が割れる。

?アトランティック・トラストの最高投資責任者、デビッド・ドナベディアン氏は、「市場の進展の節目として、誰もが切りのいい数を好む。だが、アナリストとして、そしてストラテジストとしては、短期的に市場を動かしているプラスの投資家心理に追加の刺激を与える可能性があることを除けば、(2万ドルという数字に)ほとんど意味はない」と指摘する。

?もう1つ、極めて重要な側面は、120年前に創設されたダウ平均は、市場のプロに概ね見限られ、S&P500種指数に切り替えられたということだ。例えば、S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズによると、S&P500に基づくパッシブ運用のインデックス商品に2兆1000億ドルの資金が投資されているのに対し、ダウに基づくパッシブ運用インデックス商品に投資されているのはわずか395億ドルだ。

「S&Pは機関投資家向けで、ダウはその他すべての人向けの指数だ」と証券会社コンバージェックスのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ニコラス・コラス氏は言う。

ダウとS&P500の違いは何か。

?この2つの米国株指数の間には、重要な違いがいくつかある。決定的に重要なのは、S&Pの構成銘柄が500社なのに対し、ダウ工業株平均に含まれるのはわずか30社で、このためダウが米国経済の指標としてあまり包括的ではないことだ。

?2つのベンチマークは構成も異なる。S&P500の水準は、指数を構成する企業の株式時価総額を反映しているのに対し、ダウ平均は最も値が高い30銘柄の株価に最大の比重を置く株価加重平均だ。

?これは、株価が242ドル前後のゴールドマン・サックスなど、最も値の高いダウ構成銘柄が、株価は相対的に低いが時価総額が高い可能性のある構成銘柄よりもずっと大きな影響を指数に及ぼすことを意味している。

「売上高が最も大きく、株式時価総額が最も高い企業よりも値がさ株に大きな比重が与えられるため、我々はこれを歪みと見なす」とドナベディアン氏は言う。

ダウはなぜS&P500をアウトパフォームしているのか。

?米国の大統領選以降、ダウ平均は8.7%上昇し、S&P500の上昇率6.4%を上回っている。上げ幅が大きい理由の1つは、選挙以降に進んでいるセクターローテーションだ。このローテーションでは、S&P500での比重が大きいハイテク株よりも金融株が好まれた。

?ハイテク企業はダウの17%を占める一方で、S&P500ではその割合が20%を超え、最大セクターとなっている。対照的に金融株はダウ平均の約18%を占め、S&P500では15%どまりだ。

?ダウ平均はS&P500を上回っているとはいえ、米国の小型株は両指数に圧勝している。そうした小型株で構成されているラッセル2000は選挙後に約15%上昇している。

「小型株は最も純粋なトランプ・プレーだ」とコラス氏は言う。「ドルについて心配する必要がない。小型株は国内に経営が集中している傾向があり、そのため、ドル高に利益の足を引っ張られることなく、新たな政策の恩恵を受けられる」

?米国経済の成長加速と金利上昇の見込みがドルを14年ぶりの高値に押し上げ、多国籍企業が海外で稼ぎ、国内へ持ち帰る売上高を目減りさせている。

By Nicole Bullock in New York
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48893
 

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