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船舶修繕業界に吹く神風(WEDGE)
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/883.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 1 月 18 日 11:23:35: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

                 三和ドックの新設大型ドック(同社提供)


船舶修繕業界に吹く神風
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8550
2017年1月18日 葉田邦夫 (経済ジャーナリスト) WEDGE Infinity


 船舶の修理・修繕業界などに"特需"という神風が吹こうとしている。国際海事機関(IMO)によって、世界の生態系を守る狙いから船舶のバラスト水(海水)の浄化を義務付ける条約が発効したためで、既存船を含めて短期間のうちに浄化装置を取り付けなければならなくなったためで、関係業界の中には大型ドックを新設する動きなども出ている。その動きを探った。

 瀬戸内海のほぼ中央に位置する広島県尾道市因島。かつては人口が4万人を超え、日立造船が主力造船所を置くなど「造船の島」として栄えたことはよく知られている。最近はその造船業も衰退し、代わりに「しまなみ海道」(本四連絡橋・尾道ー今治ルート)沿いの観光資源を活かした「観光の島」として再生を図っている。

 その因島の北端にほど近い重井地区に立地する三和ドックが6万3000トンクラスの新設大型ドックを完成させ、地元ではちょっとした話題になっている。ドックの大きさは全長220メートル、幅約45メートルで、付随する本社ビルなど関連施設を含めると、投資額は約120億円に達する巨大投資だ。

■なぜドック新設なのか?

 造船業界は海運市況低迷の直撃を受けた「船余り」(海運業界関係者)から受注が激減し、先行きに赤信号が灯っているが、なにゆえに今、ドックの新設なのだろうか。

 これについて、三和ドックの寺西勇社長は「国際海事機関(IMO)によって、外航船舶のバラスト水の規制強化が採択され、バラスト水の処理装置の設置が船舶に義務付けられるため、設置工事など船舶の修繕工事が今後、急増することが予想される。このドックはそのための修繕船用なんです」と、その理由を説明する。

 船舶のバラスト水は積荷を降ろした船を空荷の状態で運行する際、船体を安定させるために積み込む海水のことで、荷物を積載した後は再び海中に放出される。問題はこのバラスト水(海水)だ。海水中にはプランクトンなど多くの微生物が生存しており、バラスト水の注排水によって本来の生息地ではない場所に移動させられ、世界の生態系を崩すことになるのだ。

 このためIMOでは生態系を守るため、外航船舶に積み込むバラスト水の浄化を義務付けた「船舶バラスト水規制管理条約」を採択した。この条約はフィンランドが批准し、対象船腹量の35%以上という発効要件を満たしたため、2017年9月8日から正式に発効することになった。

 浄化装置の設置が義務付けられる船舶は新造船だけでなく、現在、運航されている既存船にも適用されるため、対象となる船舶は「全世界で約6万隻、国内の海運会社や船主がからむのは2000〜3000隻程度ではないか」(国土交通省関係者)とみられている。

■1隻当たり5000万〜3億円

 では、条約の発効によって海運会社や船主などにはどのくらいの費用負担が生ずるのだろうか。これについて関係者は「船舶の大きさなどによって異なるが、1隻当たり5000万〜3億円程度ではないか」とみられており、設置されていない船舶は「それぞれの港で入港を拒否されたり、差し押さえられたりするケースも発生する」とみられている。期間は向こう5年程度で、既存船はこの間に定期検査などでの入渠の際に設置工事を行うことになる。

 しかし、海運業界にとっては新たな負担となることは間違いない。国土交通省などによると「老朽船などではこの際、スクラップに走るのではないか」(船舶産業課関係者)という見方も出ている。「スクラップが多く発生すれば、"船余り"の状態が解消されて、新たな需要が生まれ、造船不況も多少緩むのではないか」(内海造船関係者)という声も漏れる。

 一方で修繕やヤードを備える造船所や水処理装置メーカーなどにとっては「ちょっとした特需の発生」(三浦工業関係者)ということになる。三和ドックが大型ドック新設という大型投資に踏み切ったのもこれを千載一遇のチャンスとしてのものだ。

 特に大型ドックの完成によって「これまでは内航船中心だった修繕事業が近海船なども対象になり、売り上げも現状の約51億円から70億〜80億円レベルにアップする」(寺西社長)と期待を込める。

 また三浦工業やJFEエンジニアリング、粟田工業など装置メーカーでも生産能力の強化など規制強化に合わせた体制作りを急いでいる。

 中でも三浦工業では本社工場(愛媛県松山市)に約30億円を投じて組み立て専用の新工場を建設中だ。完成は2017年6月頃の予定でこれによって装置の生産能力は現在の年産300台から720台に高まる。これに合わせて海外での営業体制も強化する方針で、台湾やシンガポール、オランダなどでの体制整備を急いでいる。

■不透明な米国の動向

 だが、本当に“特需”は発生するのだろうか。実は不安視する向きも多いのだ。それはバラスト水対策にからむ米国の存在だ。米国は「バラスト水対策についてIMOより厳しい規制策を求めている」(杉原毅向島ドック社長)とされるが、米国の規制当局である米国沿岸警備隊(USCG)による処理装置の認定作業が遅れているためだ。

 このため一船主などの間では「USCGの認定を受けた処理装置がまだ存在していないことを理由に装置の導入延期を求める動きがある」(修繕事業界関係者)ことも事実だ。こうした状況下、関係者の間からは「しばらくは様子見だ」(杉原・向島ドック社長)という声も出ているが、最近になってUSCGは機械の認定作業をはじめ、一部メーカーの機械について認定を始めているという報告も伝わっている。バラスト対策を巡る業界関係者の一喜一憂ははじまったばかりである。
 

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コメント
 
1. 2017年1月18日 16:22:24 : vAT9DA47wX : 2lCBf1qwfJ0[20]
規制による需要の創造ってのは、役人が考え付きそうなことだ。
CO2削減のときにも同じような需要があったが、結果的にどうだろう?
日本の鉱工業が発展したか?

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