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2017年2月8日 井手ゆきえ [医学ライター]
死にたくなければ「米国人以外の医師」日本人の研究が反響
「女性医師(内科医)が担当した入院患者は男性医師が担当するよりも死亡率が低い」という衝撃的な論文を米国医師会の学会誌で発表し、米国のマスメディアに注目された日本人研究者が、今度は「アメリカ人医師よりも、米国外で医学教育を受けた外国人医師の方が患者の死亡率が低い」という内容の調査研究を発表し、再び米国内で大きな話題となっている。折しも、いまトランプ大統領による移民やイスラム圏7ヵ国などからの入国制限に関する混乱で、米国の医療サービスを質の高い診療で支えてきた外国人医師が、米国を避ける可能性が出てきたからだ。(医学ライター 井手ゆきえ)
米国医師の4人に1人は外国人医師
「入国禁止令」が研修医の採用にも影響
(写真はイメージです)
米国の医師の4人に1人は、米国外で医学教育を受けた後、アメリカンドリームを求めて渡米した米国籍を持たない「外国人医師」だ。
その多くはインド、パキスタンなど英語圏で医学教育を受けた医師や医学生だが、米国の(かつての)懐の広さを反映して、宗教や政治的立場を異にする中国やシリア、エジプト出身者もかなりの割合を占める。もちろん日本の医学部を出て米国で臨床医として活躍する日本人医師も"外国人医師"に含まれる。
外国人医師たちは、米国の医学部出身の医師と比べ、へき地や貧困層の住む地域で診療を行う確率が高いことが知られている。彼らは地方の小さな施設や都市部の貧困層の健康を守るプライマリケアの担い手として、あるいは専門医として米国の医療を支えてきた。高齢者医療や腎臓内科など半数近くを外国人医師が占める診療領域もある。
しかし1月27日、トランプ大統領が中東・アフリカ7ヵ国の人々の入国を禁止する大統領令に署名したことで、実際に再入国できず足止めをくらっている医師や、先行きが判らない7ヵ国出身の研修医の受け入れをためらう施設が続出。トランプ VS 連邦裁判所の成り行き次第で米国の医療の基盤が崩れる懸念が生じている。
30日死亡率で有意差
外国人医師はより質の高い医療を提供
混乱が広がるなか、ハーバード公衆衛生大学院の津川友介氏は「外国人医師の入国を阻む政策はアメリカ人の健康に悪影響を及ぼす可能性がある」と断言する。その根拠は先日、津川氏らのチームがBMJ(英国医師会誌)に報告した調査研究だ。
つがわ・ゆうすけ ハーバード公衆衛生大学院(医療政策管理学)研究員。東北大学医学部卒業後、聖路加国際病院、世界銀行を経て現職。ハーバード公衆衛生大学院でMPH(公衆衛生学修士号)、ハーバード大学で医療政策学のPh.D.を取得。専門は医療政策学、医療経済学。ブログ「医療政策学×医療経済学」において医療政策におけるエビデンスを発信している
今回、津川氏らは、米国でメディケアの利用者(65歳以上の高齢者)を対象に、急性期病院時の入院データ約120万件と担当医約4万4000人の診療データを解析。海外で医学教育を受けた後、米国で医師免許を取得して働いている医師(以下、外国人医師)と米国で医学教育を受けた医師(以下、米国人医師)とで、入院後30日以内の死亡率を比較した。
その結果、入院日から30日以内の死亡率は外国人医師11.2%、米国人医師11.6%で、外国人医師が担当した患者の30日死亡率は統計学的に有意に低いことが示されたのだ。これは患者の重症度や診療している病院などをすべて補正した後の比較である。
これが事実なら、外国人医師が診療することで250人を診療するごとに、米国人医師が担当した場合に亡くなったかもしれない1人の生命を救っている計算になる。
しかも外国人医師の担当については、入院の原因となった病気のほかにも複数の病気を抱え世帯年収が低くいなど、悪条件が重なる患者の比率が高く、より重症の患者を診ていたと推測される。もし患者の重症度に関するもっと詳細なデータがあった場合、外国人医師の治療成績は米国人医師をさらに上回る可能性すらあるのだ。
選ばれた人材が米国を忌避し、
別の国へ流出する可能性
津川友介さんと中室牧子さんによる『「原因と結果」の経済学 データから真実を見抜く思考法』(ダイヤモンド社)が2月17日から発売予定。208ページ、1728円(税込み)
外国人医師の治療成績が優れていることに関して、津川氏は「米国の医学教育が劣っているという意味ではありません。そうではなく、彼ら外国出身の医師は、向上心があり、米国の医師免許の試験や就職活動などに成功してきた選りすぐられた人々なのです」という。
「これまで外国人医師は、米国の医療の4 分の1という"量"を担っていることが知られていました。しかし、今回の研究結果から彼らは米国人医師と同等か、それ以上に"質"の高い医療を提供していることが明らかになりました」
自国での医学教育を終えたのち、米国の医師国家資格試験と不利な条件下での研修施設側からの選別という高いハードルを超えてきた彼らの背景を考えれば、当然といえば当然だろう。マイノリティであることは成功への強いモチベーションとなる。
「しかし、トランプ大統領の入国禁止令はこうした貴重な人材を他国へ追い出すことになりかねず、アメリカの医療の質が低下するという予期せぬ結果を生むかもしれない」と津川氏は懸念する。
外国人医師の比率が米国並みの国は、英語圏だけでも英国、カナダ、オーストラリアがある。特にカナダのトルドー首相は、難民・移民を歓迎する姿勢を示しているだけに、米国を見限った外国人医師がカナダを目指す可能性はある。トランプ政権下の4年が米国の医療にどう影響するのか、不透明感は増すばかりだ。
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