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健康高齢者にはアスピリン使用は効果無く、有害の可能性 アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/653.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 10 月 06 日 19:09:53: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

健康高齢者にはアスピリン使用は効果無く、有害の可能性
万能薬みたいな呼称されてきたアスピリン

大腸がんの予防効果もNEJM自体にとりあげられてたのに・・・

ASPREE Investigator Group 19万名(オーストラリア 16,703、米国 2,411)名のランダム化二重盲検研究


70歳以上で登録、米国内はアフリカ系アメリカ人・ヒスパニックは65歳とややトリッキーな基準。平均フォローアップ4.7年間と比較的短い期間に結果・有意差出現。

アスピリン 100mg

アスピリン服用にて重大出血リスク増加、全原因死亡リスク増加、とくに癌原因死亡増加、ベネフィットとしての心血管イベントリスク減少認めず


Effect of Aspirin on Cardiovascular Events and Bleeding in the Healthy Elderly
John J. McNeil
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1805819

高齢成人の一次予防としてのアスピリン少量投与はプラシーボに比較して有意に重大出血リスク増加するも、心血管イベント有意低下示せず
(Funded by the National Institute on Aging and others; ASPREE ClinicalTrials.gov number, NCT01038583.)

重大出血累積リスク

Effect of Aspirin on Disability-free Survival in the Healthy Elderly
John J. McNeil
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1800722

健康高齢者アスピリン使用は、5年間においては、プラシーボ比較で、無障害生存(健康生存)期間延長示せず、重大出血リスク増加
(Funded by the National Institute on Aging and others; ASPREE ClinicalTrials.gov number, NCT01038583.)


プライマリ複合エンドポイント累積頻度

死亡・認知症・持続的障害累積頻度


Effect of Aspirin on All-Cause Mortality in the Healthy Elderly
John J. McNeil
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1803955
プラシーボに比較してアスピリン連日投与健康高齢者で全原因死亡増加し、がん原因死亡が主に関連。以前の研究と異なり予想外で今後解釈に注意が必要
(Funded by the National Institute on Aging and others; ASPREE ClinicalTrials.gov number, NCT01038583.)


死亡原因による累積死亡頻度

投稿時刻 3 weeks ago、投稿者 内科開業医のお勉強日記 さん
ラベル: アスピリン 高齢者
https://kaigyoi.blogspot.com/2018/09/blog-post_18.html


 


アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?/NEJM
提供元:
ケアネット
公開日:2018/10/03印刷ボタン
アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?/NEJMのイメージ

 毎日アスピリンの投与を受けた健康な高齢者の死亡率は、プラセボと比較してむしろ高く、しかも主な死因はがん関連死であるとする予想外の研究結果が示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らA… [続きを読む]

(医学ライター 菅野 守)

原著論文はこちら

McNeil JJ, et al. N Engl J Med. 2018 Sep 16. [Epub ahead of print]

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。
アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?/NEJM
提供元:
ケアネット
• 公開日:2018/10/03




 毎日アスピリンの投与を受けた健康な高齢者の死亡率は、プラセボと比較してむしろ高く、しかも主な死因はがん関連死であるとする予想外の研究結果が示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らA… [続きを読む]
(医学ライター 菅野 守)
原著論文はこちら
McNeil JJ, et al. N Engl J Med. 2018 Sep 16. [Epub ahead of print]
掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。
https://www.carenet.com/news/journal/carenet/46790
 

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コメント
1. 2018年10月06日 19:11:12 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1614] 報告
アスピリンが健康な高齢者の癌死亡率を増加ASPREE試験の予想外の結果に対する死因別の分析
2018/10/5
大西 淳子=医学ジャーナリスト
 オーストラリアMonash大学のJohn J. McNeil氏らは、オーストラリアと米国で健康な高齢者に対するアスピリンの1次予防効果を調べるために実施され、既に報告されたASPREE試験のデータを分析し直して、プラセボ群よりアスピリン群の総死亡率が高かった原因は、癌死亡の増加によるものだったと報告した。結果はNEJM誌電子版に2018年9月16日に掲載された。

 Aspirin in Reducing Events in the Elderly(ASPREE)試験は、健康な高齢者に対するアスピリンの1次予防効果を調べるための研究で、オーストラリアと米国の地域住民1万9114人が参加したランダム化対照試験だ。100mgアスピリン腸溶錠またはプラセボに割り付け、認知症や身体機能障害がない状態で生存している人の割合を比較したが、中央値4.7年の追跡で、アスピリンは障害のない生存率を増やしていなかったことが報告されている。

 この試験の2次評価項目を比較したところ、アスピリン群の総死亡率がプラセボ群よりも高かった。1次予防を目的とした研究で、アスピリンが死亡率を増加させたというデータはまれなことから、著者らは原因別の死亡率を分析してみることにした。

 ASPREEでは、2010年3月から2014年12月まで参加者を募集し、オーストラリアの住民1万6703人と米国の住民2411人が参加した。対象は心血管疾患や認知症がなく、持続する身体障害のない70歳以上の高齢者(米国の黒人とヒスパニックの人々については65歳以上も含む)。アスピリン群(100mg腸溶錠)9525人とプラセボ群9589人にランダムに割り付けた。2017年6月12日の段階で、「これ以上試験を継続しても主要評価項目のメリットを検出できる可能性はない」とするNational Institute on Agingの勧告により、試験は打ち切られた。

 中央値4.7年の追跡で、計1052人(5.5%)が死亡していた。1000人・年当たりの総死亡率は、アスピリン群が12.7、プラセボ群は11.1で、ハザード比は1.14(95%信頼区間1.01-1.29)だった。死因別では、癌による死亡は522人(死者の49.6%)、脳梗塞を含む心血管死亡は203人(19.3%)、脳出血を含む大出血による死亡は53人(5.0%)、その他の死因(敗血症、慢性肺疾患、認知症など)による死亡は262人で、12人については死因を特定するための情報が不十分だった。

 アスピリン群の死亡リスク上昇に主に寄与していたのは癌死亡だった。癌死亡はアスピリン群の3.1%とプラセボ群の2.3%に発生していた。1000人・年当たりの癌死亡率はアスピリン群6.7、プラセボ群5.1で、ハザード比は1.31(1.10-1.56)だった。脳梗塞を含む心血管死亡のハザード比は0.82(0.62-1.08)、脳出血を含む大出血による死亡のハザード比は1.13(0.66-1.94)、その他の死因のハザード比は1.16(0.91-1.48)で、両群に差は見られなかった。

 癌による累積死亡率を両群間で比較すると、当初3年間には差は無く、それ以降にアスピリン群の死亡が増加し、両群の差は拡大していた。

 これらの結果から著者らは、アスピリンを使用した健康な高齢者の総死亡率がプラセボ群より高かった理由は、主に癌による死亡率が高いためだった。これは以前の研究と異なる予想外の結果であり、慎重な解釈が必要だと結論している。なお、この研究はNational Institute on Agingなどの支援を受けている。

 原題は「Effect of Aspirin on All-Cause Mortality in the Healthy Elderly」、概要はNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる
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https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/201810/558068.html


 

第4回 30歳代男性、身体表現性障害との診断に納得せず痛みを難治化する医原性のスティグマ・恨み
2018/10/1
水谷 みゆき、牛田 享宏(愛知医科大学病院痛みセンター)
 「スティグマ(stigma)」とは、「社会における多数者の側が、自分たちとは異なる特徴を持つ個人または集団に押し付ける否定的な評価」(広辞苑)のことで、「烙印」とも訳される。医師に付けられた病名はそれが何であれ、患者にとっては多少の差はあっても何らかのスティグマとなり、本人の行動を変容させることになる。また「恨み」とは「自分を不当に傷つけた相手に対して抱く感情」であり、「持続的な怒り」(中野信子、澤田匡人 著『正しい恨みの晴らし方』[ポプラ社、2015]より )ともいえる。

 スティグマと恨みは、慢性痛を引き起こす心理社会的要因の1つである。例えば本人にとって残念な病名を付けられたり、「もうこの痛みは治らない」と医療者から説明されたり、痛みが残ったという負の感情を執刀医が適切に支えなかったりするなどでも生じる。慢性痛の治療の場でこれらの感情が患者に芽生えると、治療の進展を妨げることがある。今回は、このスティグマと恨みについて取り上げる。
心理療法を阻むスティグマと恨み

 症例を提示する前に、慢性痛治療のおおよその全体像を説明する。当センターでは臨床心理士が難治性慢性痛患者を対象に催眠を含む心理療法を行っている。慢性痛の治療では、まず器質的な問題に一般的な治療を行い、それでも十分な効果が得られなかった患者に対して、薬物療法とともに認知行動療法および運動療法を行う。これにより、患者の痛みに対する反応を変え、自己教育によって痛みに対する適応的な行動を形成できるようにする。これが現在の慢性痛における「標準的な治療」である。

 過去の統計ではこの標準的な治療により、初診から3〜6カ月の間に約60%程度の患者が改善し、35%は変わらず、5%は悪化するという経過が見られる。これらの治療で期待される効果が得られない、もしくは悪化する、治療のコンプライアンスが得られないなどの患者が心理療法の適応として紹介される。認知行動療法や運動療法による治療後にも残る痛みについて、催眠※を用いる心理療法に取り組んだ患者のうち70%はセッション内で鎮痛を経験し、さらにそのうち約65%で日常的な改善が得られる。

※ここで用いる催眠は、鎮痛そのものにつながる心身の経験を患者につくり出してもらうことを目的とする。

 ただ、スティグマや恨みが、こうした心理療法による治療の進展をも妨げるケースが存在する。そのため、医療者はできる限りスティグマや恨みの感情を発生させないことを心に留めておく必要があると考える。以下に、特に考えさせられた症例を紹介する。登場する患者が治療のどの場面でスティグマや恨みを抱いてしまったのか、どうすればそれを回避できたのかを想像しながら読み進めていただきたい。なお、症例はプライバシー保護のために内容を改変している。
症例(Aさん)30歳代男性「身体表現性障害」という病名に納得できない
主訴:右上肢の持続的な痺れ、痛み、動かしにくさ、頸肩背部の痛み。

既往歴:運動が好きで、10歳代に下肢を骨折したが完治。工場勤務中のX年前に他の製造部署に応援に行き、その作業中に右上肢に痛みが出現。3カ月後に手根管症候群の診断を受けた。しかし神経ブロックや鎮痛薬などの治療効果が上がらず、神経内科、精神科の受診を勧められ、「身体表現性障害」と診断されたころに、1回目の休職となった。

 産業医の勧めで受診した痛みセンターでは、認知行動療法と運動療法に取り組んだ。日中活動中や夜間就寝中も症状が出るものの、休職前と比べると緩和していた。

 完治はしていないが2年の休職期間が切れる前に復職。発症前より負担の軽い部署の仕事に復帰したものの、症状悪化のため復帰後1カ月で2回目の休職となった。以前のような負荷がかからなくても症状が悪化し、痛みセンターも再度受診したが、1回目と同じ治療メニューは断った。現在の症状は1回目の休職時と全く同じだという。一方で、何とか良くなりたいとインターネットで調べた遠方の医療機関も受診していることを知った主治医が、心理療法を紹介した。

 筋緊張が強いという理学療法士の評価はあるが、特別な診察所見はなし。あらゆる検査において明らかな異常を検出せず、線維筋痛症の診断基準も満たさない。
 心理面接では時間をかけて経過や症状を聞き取る。Aさんは、(1)上半身を中心とする持続的自発痛、(2)突発痛、(3)突発的な全身の不快な脱力感・倦怠感・痛みで動けなくなる──の3点を訴えていた。(1)から(3)までの一連の流れによって、手から物が落ちる、歩くのが遅くなる、背中が痛み、それが止まらないと全身が硬くなって動けなくなるなどの症状が生じる。また、痛みが治まった後もこむら返りの後のように動きにくくなるという。

 Aさんは運動好きで、身体を動かすことをいとわない。X年前に応援に行った部署は、力仕事で負傷する者も多かったが、Aさんは耐えられる自信があったという。最初に痛みが生じた際は、筋肉痛の一種でいずれ治ると考え、趣味の運動も続けていた。だが、応援に行ってから3カ月弱のあるとき、手の奥の方で「パチン」と何かが吹っ飛んだような痛みがあった。その後、頸肩背部痛が悪化し、休職した。

 Aさんは妻と暮らしている。目の前のAさんは背筋をすっと伸ばしており、表情や身のこなし、声の調子からは警戒心と抑えた緊張が感じられる。Aさん自身は、「身体表現性障害」という病名は「心の病」だと思っており、自分がその病名を付けられたことに納得しておらず、「妻も私の様子を見て、『心の病ではない』と認めている」と言う。

 自身の痛みに関してAさんはこう語った。「痛みなんて誰にでもある。痛みがあっても対処できればいい。筋肉が衰えているわけでもない。運動をするようにと言われて、その通りにやってきた。治してもらえるならと思い、精神科にも行った。結局、この痛みは骨折した時の痛みとも違い、医師に伝わらない。検査や見た目では何ともないのに、痛いからという理由で仕事に行けない成人男性の自分を周りはどう思う?」。
Next心理療法で一度は改善したのに…
病名への不満が心理療法への抵抗感を生む
 今回のAさんは、働き盛りで事故などをきっかけに、些細な外傷、もしくは外傷が見られないのに慢性化する痛みを持つ患者の1つの典型例だと考えられる。Aさんの痛みは常に筋肉の描写を伴い、実際に身体も緊張している。周囲の評価にも敏感で、内的な緊張も強かった。しばしば、こういう患者は「入浴時もリラックスする感じは全くない」「リラックスということ自体がそもそも分からない。だらんとすることですか?」などと言う。実際、Aさんもそうであった。

 恐らく、筋緊張の持続的な亢進状態があり、通常ならば適切な運動によって生じるはずの自然なリラクセーション反応が得られず、むしろ緊張が高まって生じる“こむら返り”のような状態が発作痛を生むのだろう。あるいは以前、痛みが悪化した記憶が影響を与えているかもしれない。そのため認知行動療法や運動療法も、Aさんの状態に合わなかったのだろう。自己催眠のやり方を身に付け、生じている緊張を自ら緩和できるようになり、その反復によって緊張のベースラインが低下すれば、痛みは改善してくるはずである。

 こうした説明を行った上で、2回目の面接では呼吸法を含む催眠誘導を行った。その結果、痛みは半分以上低減し、苦痛は消失した。Aさんは信じられないという顔をして、「取りあえず、よい」と言った。しかし、家に帰る途中で症状が戻ってしまった。3回目のセッションでも同様に、帰宅時に痛みが戻った。長引く慢性痛を持つ患者では、セッション内で鎮痛を経験しても痛みが戻ることはよくあるが、催眠を繰り返すうちに次第に鎮痛持続時間が伸び、日常的な痛みのレベルも低下する。しかしAさんは「マッサージやジェットバスで緊張がほぐれても10分で痛みが戻る」と話すようになった。また、催眠が深くなりかけると驚いたように自ら覚めるようになり、セッション中も十分な鎮痛を得ることが難しくなった。

 それでもAさんは、10回目の面接で「催眠状態に入る感覚が分かった」と認めた。そうなると、日常でも痛みを自ら改善させることが可能になるはずだが、Aさんは「一時的に改善しても仕事中に突然、悪化を繰り返すのであれば駄目だ。この痛みは幾らでも悪くなる」と話し、破局化思考(痛みにとらわれ無力感が強く、痛みを重大に考えること)も顕著なままであった。休職の期限が近付くにつれ、症状は再び悪化した。

 今回の症例では以下の2点のピットフォールが挙げられる。

<ピットフォール>

(1)「身体表現性障害」というスティグマ病名がAさんの心を硬直化させた
 薬物療法や運動療法による改善効果が得られない慢性痛で、筋緊張が疼痛に関わる場合でもしばしば「身体表現性障害」と診断される。これが治療、特に心理療法の効果を阻害することがある。患者が「身体表現性障害」という診断に納得していない場合、心理療法に反応すれば自分の痛みを自分で作り出していたことが証明されてしまうと感じるためであり、Aさんも途中から催眠状態に入るのを拒むようになった。こうした場合、せめて筋緊張などの身体要因が痛みに関与するような疾患名が付いていれば、心理療法に対する抵抗は少なくなるだろう。類似の症例でも線維筋痛症の病名を持った患者は、自己催眠を習得し、セッション外でも症状の改善を自ら得ようとする。

(2)職場環境の痛みに対する関心の低さは症状を悪化させる
 痛みのエピソードが発生した初期段階で適切なリラクセーションや休息が必要だったと思われる。Aさんが応援に行った部署は、頻繁に従業員の負傷が報告されていた。しかし、作業環境の改善や異常を感じたときの対処について産業医の指導はなかった。真面目な勤労者で体力にも自信があったAさんにとって、検査や見た目では何ともないのに仕事に行けないことは、精神的に苦痛だったに違いない。

 Aさんのような患者が目の前に現れたら、読者の皆さんはどう対応するだろうか。医療とは別次元の問題だとする考え方もあるかもしれない。ただ、スティグマや恨みが問題化するのは、治療に反応しない痛みや、病態に不釣り合いな痛みがある場合であり、これは慢性痛診療の本質にも関わる問題である。

 痛みが改善しないことに対し、医療者が否定的なレッテルを貼ると、それがスティグマとなる。また、治療に反応できないことに対する患者の無力感を背景として、恨みの感情が生まれる。そしてこれらが痛みの状態をさらに複雑化させてしまう。医療者はこうしたスティグマを「予防すること」を心に留めておくべきといえる。次回も症例とともに、慢性痛治療におけるスティグマや恨みについて考えたい。
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「こじらせ疼痛」にどう向き合う
連載の紹介
慢性的な疼痛は、身体的な問題、精神心理的問題、社会問題が複雑に合わさって生じるものです。そのため、慢性疼痛を抱えた患者の診療には麻酔科、精神科、整形外科など様々な診療科の知見を組み合わせた集学的・統合的な治療が求められます。本連載では、疼痛をこじらせてしまった症例を取り上げ、症状の経過を振り返りながら、日常診療で見落としがちな特徴的な症状・病態・経過、薬剤処方における注意点、患者への接し方などについて解説いたします。
著者プロフィール

牛田享宏(愛知医科大学学際的痛みセンター教授)●うしだ たかひろ氏。1991年高知医科大学卒。神経障害性疼痛モデルを学ぶため1995年テキサス大学医学部客員研究員、2004年ノースウエスタン大学客員研究員、同年高知大学整形外科講師を経て、2007年から現職。慢性の痛みに対する集学的な治療・研究に取り組み、2012年から愛知医科大学医学部運動療育センター長を併任。厚生労働省の「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究」の研究代表者。
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コメント(1件)
1. 総合診療医(2018/10/01 15:44)
全く同意。医療者の心無い言葉がトラウマとなって慢性疼痛症候群になる患者のいかに多いことか。痛みは100%主観的なもので、患者本人にしかわからない。それを「おおげさな」、とか、「我慢が足りない」、とか、安易な扱いをすると、「わかってもらえない」恨みが痛みを増悪させる。「そんなに痛いのによくお仕事を続けられていますね。我慢強いんですね。でも、無理なさらないでください。いつも真面目なので緊張から解放されていない可能性はないですか?リラクセーションの呼吸法をお教えしましょう。吐く息を長くすると緊張が解けてずいぶん違いますよ。」などと相手の辛さを受け止める最初の対応が肝要だ。決して甘やかしているのではない。トラウマ化を防いでいるにすぎない。患者の主観を認める診療教育を受けていない昔かたぎの医師が一番困る。
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「こじらせ疼痛」にどう向き合う
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グルコースの構造式から見える薬のカタチ
2018/10/5
 皆さん、こんにちは。神戸市ポートアイランドにある兵庫医療大学薬学部の清水忠です。今回から、本コラムで化学構造式の楽しみ方について紹介をしていきます。どうぞよろしくお願いします。

 さて、読者の皆さんは「化学構造式」や「有機化学」にどのようなイメージを持っていますか? 大学時代に学習した「SN2反応」や「Friedel-Crafts反応」と言った多くの有機反応名や、反応が起きる様子を電子の巻矢印で書いたことを思い出す方もいるのではないか思います。

 もしかしたら、一部の読者の方は大学時代の有機化学のトラウマから「化学構造式は見たくない!」と感じている方もいるのではないでしょうか。ところが、“化学構造式=薬のカタチ”をよ〜く見ていると、医薬品の薬理作用、物性、薬物動態の知識とつながってきたりします。

 本コラムでは、医薬品の化学構造式を楽しむための基礎的な考え方について紹介します。既に医薬品の化学構造式を臨床現場で活用することについて解説している良書は複数ありますが、ここではウェブ連載の特徴を生かして、読者の皆さんから頂いたコメントの中で、もし、化学構造で解説できる事例があれば、この場で取り上げていきたいと考えています。ぜひ、皆さんと一緒に考えていく連載になればうれしいです。
化学構造式から薬の類似性を理解しよう
 第1回は、生体内物質と医薬品との類似性について紹介します。まず初めに、糖尿病の薬物治療に使われる血糖降下薬(α-グルコシダーゼ阻害薬)を題材に、グルコースとの類似性を見てみましょう。

 ショ糖はグルコースとフルクトースがグリコシド結合でつながった構造をしています。小腸粘膜に存在するα-グルコシダーゼと呼ばれる酵素は、このショ糖の構造を認識し、グリコシド結合を加水分解して、ショ糖をグルコースとフルクトースに分解します(図1)。ここで生じたグルコースが小腸から吸収されてヒトのエネルギー源となります。

図1 α-グルコシダーゼによるショ糖の加水分解(模式図)
 健常人では血液中のグルコース濃度(血糖値)は一定の範囲で調整されますが、糖尿病の患者さんは血糖値が高くなり過ぎないようコントロールする必要があります。そこで、血糖コントロールを行う薬物治療戦略として、α-グルコシダーゼがショ糖を認識できないようにするという方法が考えられます。

 α-グルコシダーゼがショ糖を認識する際は、図2の模式図で示すようなα-グルコシダーゼに存在する凹みの部分(鍵穴)が重要な役割を果たしています。α-グルコシダーゼ阻害薬はこの凹みの部分に結合して、α-グルコシダーゼがショ糖を認識することを防ぎます。ということは、同じ凹みに結合するグルコースとα-グルコシダーゼ阻害薬は「α-グルコシダーゼが勘違いしちゃうほどカタチが似ているのではないか?」ということが予想されます。

図2 α-グルコシダーゼ阻害薬による阻害のイメージ
 それでは、グルコースとα-グルコシダーゼ阻害薬であるボグリボース(商品名ベイスン他)、ミグリトール(セイブル他)の化学構造式を見てみましょう(図3)。

図3 グルコースとα-グルコシダーゼ阻害薬(ボグリボース、ミグリトール)の構造
 ボグリボースもミグリトールも、グルコースに非常に似ていると感じませんか?どちらも、グルコースに類似した糖鎖の構造を手掛かりとしてデザインされた医薬品ですので、グルコースとの類似性が高くなっています1〜3)。

 1例ではありますが、医薬品のカタチをよく見ると、生体内物質と医薬品の類似性、同効薬の類似性について理解できそうだなと少しでも感じてもらえたらと思います。

 では、今回のトピックとなった化学構造の類似性について宿題を出題します!次回は、この宿題の解説を行いながら、もう少し類似性について皆さんと一緒に考えようと思います。
今日の宿題
 生体内のナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)2を阻害する医薬品は、A〜Cのどれでしょう?図3のグルコースの構造から予測してみましょう。

[参考文献]
1)ベイスン錠 インタビューフォーム
2)有機合成化学協会誌 2000;58(5):485-7.
3)セイブル錠 インタビューフォーム
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清水忠の「薬のカタチを楽しもう!」
連載の紹介
医薬品の添付文書にも書いてある「化学構造式」を見る機会はありますか?苦手という方は多いかもしれませんが、化学構造式を興味深く眺めていると、その薬の薬理作用、物性、動態(吸収、代謝、排泄)などを把握する助けになります。医薬品の化学構造式をどのように見て考えたらいいのかについて、一緒に考えていきましょう。
著者プロフィール

清水 忠(兵庫医療大学[神戸市中央区]薬学部准教授)しみず ただし氏。1998年東京工業大学理学部卒業後、同大大学院修士課程、北海道大大学院理学研究科博士課程修了。2008年より兵庫医療大学薬学部で有機化学教育、創薬化学研究に従事し、18年10月より現職。大阪薬科大、徳島大、東京薬科大で非常勤講師を勤めるほか、関西を中心に薬剤師向けの化学構造式研修会を不定期で開催するなど、薬学教育に尽力している。暑い街・群馬県館林市出身。
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ムンクが描いたのは「抗うことができない…」精神科医の斎藤環氏が読み解く
https://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/series/off/201810/off003.pdf 2018/10/6
柳本 操=ライター 
 見る者に不安や恐怖をかき立てる、ムンクの『叫び』。小学生でも知っているポピュラーな絵には、統合失調症の人が感じる、圧倒的恐怖の世界が映し出されていると、精神科医は語る。
________________________________________
 勘違いしがちだが、ムンクの『叫び』のなかで、手前の人物は叫んでいない。叫びが聞こえ、耳を塞いでいるだけだ。ムンク自身は日記に、「自然を貫く果てしない叫びが聞こえ、思わず耳を塞いだ」と書いている。

 自然の叫びに恐怖を感じて両耳を塞いでいるというこの情景について、精神科医の斎藤環さんは、「ムンクその人自身が実際にその疾患であったかどうかについては意見が分かれますが、『叫び』には、統合失調症患者が見ている世界が克明に絵解きされています」と説明する。
 背景に描かれるのは世界没落の予兆
 人物ばかりがクローズアップされがちだが、「この作品の神髄は背景にあります」と斎藤さん。

 背後の影は自分を迫害しようとする人物という被害妄想を表し、火の海のような赤、歪(ゆが) んだ背景は、統合失調症患者特有の妄想で、「いびつに歪んだ世界が圧倒的な強度をもって崩壊し、自らに迫りくるが、自分は為すすべも持たない」という、「世界没落体験」の病理を表しているという。

 「統合失調症の患者は、こういった形のない恐怖に何とか形を与え、恐怖を和らげようと試みることがあります。例えば幻聴は、何かが聞こえると感じることで恐怖に形を与える試みなのです。ムンクにとっての絵画表現もまた、恐怖に形を与え、カタルシスをもたらしている可能性があるといえるでしょう」(斎藤さん)。

 ただし、統合失調症の症状が重く、その渦中にある患者がこのような絵を描くのは難しいという。「そもそも、見たものや風景をひとまとめに統合するのが難しい病気だからです。えたいが知れない恐怖を描こうという意思と、絵という出力結果とが一致している点では、ある種の健康を取り戻してから描いたものと推察できます」(斎藤さん)。

このPDFはこちらでご覧いただけます。
※プリントアウトはできませんのでご了承ください。
(イラスト:鈴木衣津子)
斎藤さんの結論
ムンクは描くことで自分の恐怖を具現化していた

「ムンク展─共鳴する魂の叫び 」
10月27日〜2019年1月20日 東京都美術館

招待券を5組10名様に進呈。こちらから応募ください(応募受付は10月6〜12日のみ)。※抽選者にはご登録住所に送付します。会員登録以降に住所変更があった場合は、こちらで登録情報を変更した上でご応募ください。
日経おとなのOFF presents 医師の絶対教養 美術編
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