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ゲノム編集で肉厚マダイ、クエは大量養殖 近畿大水産研(朝日新聞)
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/776.html
投稿者 肝話窮題 日時 2019 年 7 月 25 日 23:06:25: PfxDcIHABfKGo isyYYouHkeg
 

朝日新聞デジタル 2019年7月25日15時39分

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家戸敬太郎教授(左)と学部生、大学院生がいけすのゲノム編集されていないマダイから卵や精子をとる=2019年6月、和歌山県白浜町の近畿大水産研究所白浜実験場

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https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190711003452_commL.jpg

 6月13日午後、和歌山県白浜町の近畿大学水産研究所。入り江のほとりにある実験室では、研究室のメンバーが高級魚クエの受精卵を顕微鏡でのぞき込んでいた。

 研究室の鷲尾洋平助教(35)と大学院2年の大浜光希(みつき)さん(24)が、アクリル板の細い溝に並べた、受精卵一粒一粒にガラス製の針を刺している。ゲノム編集用の分子を注入する神経を使う作業だ。生命科学で今、最も注目されている最先端技術「ゲノム編集」の現場だ。

 クエは若いころは雌しかおらず、卵の元となる細胞しか持っていない。卵になるはずの細胞をゲノム編集で精子へと変え、人工授精して通常よりも早く繁殖できるようになれば、大量に養殖して高級魚が庶民の食卓に並ぶようになる。

 研究室を主宰する、家戸敬太郎教授(51)は、魚の育種(品種改良)が専門だ。最初は遺伝子を入れる組み換え技術に取り組んでいたが、日本の消費者には抵抗感が強く、なかなか受け入れられそうになかった。

 そこで、新たに取り組んだのが、ゲノム編集技術だ。2012年、「CRISPR(クリスパー)―Cas9(キャスナイン)」と呼ばれる、狙った遺伝子を効率よく壊したり加えたりする画期的な手法が発表された。外部の遺伝子を加えなければ、これまで長年行われてきた育種と遺伝学的には何ら変わらない。

 「これだ」と思った家戸さんは翌13年、京都大学と共同で食用魚への応用研究を始めた。筋肉の成長を妨げるミオスタチンと呼ばれる遺伝子を壊すことで、魚の身が大きくなる。身が1・2倍ほどに増えた肉厚マダイを作ることに成功し、実用化を目指している。

 「受精卵への注入は熟練の技が必要。10年以上前に遺伝子組み換えで培った技術が今になって生きてきた」という。学生たちは海辺の研究室で2年かけて、この技を学ぶ。

 だが、大浜さんは「ゲノム編集2時間、飼育2年間」という。受精卵のゲノム編集作業はすぐに終わるが、そこからモノになるまでは地道な作業が続く。卵の質が悪いと孵化しない。多くの稚魚はすぐに死んでしまう。成長させて繁殖させ、性質のよいものを残す。商品になる大きさにまで成長する魚はわずかだ。

 研究室には、大浜さんら院生2人と学部生が3人いる。全員が宿泊施設に泊まり込み、毎日、いけすの見回りや魚の世話をしている。

 一日は朝8時のラジオ体操で始まる。そして白いシートで覆われた施設に向かう。ゲノム編集を受けた卵や、生まれた魚は外部の生態系に影響を与える可能性があるので、厳重に扱われる。施設の入り口には「関係者以外立ち入り禁止」と看板が掲げられている。稚魚が施設から外に出ないよう、排水設備には三重のフィルターが取り付けられ、卵などを殺すため紫外線が当てられている。

 施設の中には、直径1メートルほどの丸い水槽がいくつも並び、稚魚が泳いでいる。育ち具合に応じて違う種類、大きさのえさを与える。元気に泳いでいるか、えさの量に応じた大きさに成長しているか、水温はどうか……。目を配る。

 教授、助教、大学院生、学部生みんなで作業する。「800だと食いつきがいい。600では反応が鈍い」と鷲尾さんが叫ぶと、家戸さんが「こっちは全部800でええな」。えさの大きさについて魚を囲みながら議論する。

 春から夏にかけての産卵期は、魚の卵や精子をとる作業もある。学生たちの一日はすぐに終わってしまう。休みは少なく、近くに遊びに行くところもない。

 でも、みんな前向きだ。

 大学院1年の鈴木晴(はれ)さん(22)は「研究室で実験しているだけでなく、目の前に魚がたくさん泳いでいるのがいい」という。研究室に来るまでゲノム編集は知らなかったという大浜さんは、肉厚マダイを作るための二つの遺伝子を比較した研究を修士論文にまとめている。来春には養殖関係の企業に就職する。

 学部生3人は慣れない作業に必死だ。石田湧輝さん(21)は「近大に来た以上、マダイの研究に携わってみたかった」。小林翔(かける)さん(20)は「作業の意味や目的がわかってきた」。橋本慎司さん(23)は「(休みのときは)いけすで釣りをする。ここでしかできないことがある」。

 早ければ来年にもゲノム編集技術を使った食品が市場に出回る予定だ。肉厚マダイなどが社会でどう受け止められるか。家戸さんは不安に思いながらも、ゲノム編集や養殖が飢餓など食の課題の解決に役立つと考えている。

 ともに魚と向き合う学生たちには「ここは養殖の現場から最先端のゲノム編集まで学べるユニークな場。最新の技術を導入して養殖業を成長産業にするような人材になってほしい」と願っている。(勝田敏彦)

略歴
 家戸敬太郎(かと・けいたろう) 1967年、大阪府東大阪市生まれ。近畿大学農学部水産学科の学生だった時は魚のえさを研究していた。水産研究所では、遺伝子解析技術による魚の育種へと研究の軸足を移した。現在はゲノム編集技術による食用魚の開発のほか、育種で遺伝子の多様性が失われて奇形が発生しやすくなる仕組みも研究している。

https://digital.asahi.com/articles/ASM794SDYM79ULBJ00N.html?rm=313  

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