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竹島 池内敏著 政治的問題を歴史学から検証:領土問題は歴史学どころか政治さえ超越し情念の問題にはまり込みやすい
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/119.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 3 月 24 日 03:54:07: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 

(回答先: 我慢の日韓外交 慰安婦合意から3カ月 互いに批判抑える 「ぶれない首脳」が支え:安倍首相「朴槿恵を信じている」 投稿者 あっしら 日時 2016 年 3 月 24 日 03:43:58)


竹島 池内敏著
政治的問題を歴史学から検証

 慰安婦問題など日韓間の歴史問題を見ていると、ある意味でこれは「歴史学の敗北」なのではないか、と思うことがある。というのは、歴史学自体がきれいに「右」と「左」の陣営に分かれてしまって、自陣に都合のよい事実だけをきれいに編集したあげく、「実証的に論証した」と言い募っているからである。歴史学がおのれの客観性を主張すればするほど、歴史の真実や全体像から乖離(かいり)してしまうという現象が起きている。

 竹島(韓国名・独島)をめぐる論争もそうだ。韓国の学者はみな一様に「韓国領土」と主張するし、日本でも「日本領土」をきれいに論証する学者がいる。だがそういうすっきりした分析をいくら聞いても、もはやわたしたちは信じる気にはなれない。あまりにも歴史に対する敬意を欠く態度のように見える。

 池内敏の本書は、難解な政治的問題を、見事に本来の歴史学に回収して見せた。そもそも竹島をめぐる論争は、実に錯綜(さくそう)している。そのからみあった網の目を、冷静にひとつひとつ、解きほぐしていく。

 現在竹島と呼ばれている岩島を指し示す呼称が日韓両国で歴史的に一定しないし、近代以前の文献にはそれぞれ複雑な文脈がまとわりついている。それらから領有権主張の根拠を単純に引き出すことには無理がある。また古地図の表記が、現代における領有権と直接結びつくと考えるのはむずかしい。江戸時代と朝鮮王朝時代の文献に対する池内の毅然たる態度(それをもって政治的主張に結びつけない態度)にまず、読者は静かで強い感銘を受ける。ひとことでいえば、前近代資料による日韓双方の主張に根拠はない、と著者はいうのだ。江戸時代に日本が領有権を確立していたなどということもない。

 とするとやはり、サンフランシスコ平和条約が重要になる。明文規定はないが、サ条約は竹島を日本領と含意したと著者はいう。だがサ条約に影響を及ぼしたのはラスク書簡であり、それが依拠したのは1905年の日本領編入だ。ここに重大な問題がある。この後日韓両政府が数次にわたって「見解」をやりとりして正面衝突したが、結局、押し問答状態で終わった。

 最後に、日本政府がいう「固有の領土」という意味不明な表現についての批判的考察がある。これは本当に勉強になった。

 全体的にいって、この本は、歴史学の復権を語っている。日韓双方の偏狭な政治的主張や解釈を切り捨てる、強い倫理の力が、ここに立ち現れている。

(中公新書・880円)

 いけうち・さとし 58年愛媛県生まれ。名古屋大教授。専攻は日本近世史、近世日朝関係史。著書に『竹島問題とは何か』など。

《評》京都大学教授
小倉 紀蔵

[日経新聞3月20日朝刊P.21]

 

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