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英国民投票、「ＥＵ離脱」選択で何が起こるか
［ブリュッセル ３１日 ロイター］ - 欧州連合（ＥＵ）は、６月２３日に予定する英国の国民投票を控え、ＥＵ離脱（ブレグジット）が決まった場合のシナリオ作りを進めている。数多くのＥＵ高官や加盟諸国外交官への取材に基づき、離脱の場合に想定される「行程表」をまとめた。
●２４日（金曜）─３つの「Ｒ」
ブリュッセルで夜が明けるころ、英国民投票の結果は判明しているだろう。
金融市場は荒れ、イングランド銀行（英中央銀行）と欧州中央銀行（ＥＣＢ）は世界各国の中銀と手を携え、「ブレグジット・ショック」によるポンド急落への臨時対策を用意しているはずだ。
ドイツとフランス、ＥＵの各機関は共同声明を発表。「遺憾（Regret）、英国民の意思の「尊重（Respect）」、ＥＵ統合に向けた「決意（Resolve）」という３つの「Ｒ」が盛り込まれそうだ。
ただ、内心胸をなでおろすＥＵ関係者もいるかもしれない。フランスにはＥＵ連邦構想に異を唱える英国を快く思わない人々がおり、英国がＥＵに残留すれば市場自由化への働きを強めかねないと心配している。
●２６日（日曜）─ＥＵ旗の下に結集せよ
ユンケル欧州委員長は英国のジョナサン・ヒル委員を含む欧州委員２８人を集め、臨時会議を開く。英国のＥＵ離脱協議の責任を担うのが欧州委だ。
「月曜（２７日）までにすべての準備を整える必要がある」とＥＵ高官は話す。
英国とＥＵは２７日、投資家と有権者を安心させるため、秩序立った協議を進めていくこと、そして直ちに何かが変化するわけではないことを表明する。
●２８日（火曜）─キャメロン首相、離脱表明を迫られる
２日間にわたるＥＵ首脳会議が予定されている。離脱結果が出ればキャメロン英首相の政治生命は終わるかもしれないが、与党保守党が後継者を選出するまでは現職にとどまるだろう。首相はブリュッセルで開かれる夕食会に出席する見通しだ。
最大の注目点は、キャメロン首相がトゥスクＥＵ大統領に対し、離脱の法的根拠となるＥＵ法５０条の発動を通告するかどうかだ。
英国が態度を表明するまでＥＵは立ち往生することになり、多くのＥＵ関係者は早くはっきりさせてほしいと望むだろう。
●２９日（水曜）─キャメロン首相抜きで首脳会議
ＥＵ首脳会議２日目、キャメロン首相は別の部屋で待機させられ、残り２７カ国の首脳が英国離脱後の道筋について協議する。ＥＵ法５０条では、離脱協議の期限を２年間と定めている。
独仏を筆頭とするＥＵ指導者らは直ちにＥＵの結束と統合を推進しようとするだろう。懐疑派の英国が去ることで、ＥＵの軍事協力緊密化が再び俎上に上りそうだ。
２０１７年のフランス大統領選候補である極右のマリーヌ・ルペン氏の台頭を抑えるため、若年層を中心とした雇用創出などの対策も打ち出されそうだ。
●３０日（木曜）以降─２年間は現状維持
英国がＥＵ離脱手続きに着手しても、２年間はすべてのＥＵ法が英国に適用され、その後は一切適用されなくなる。
欧州議会の英国議員やヒル欧州委員は現職に留まり、ＥＵ公務員である英国人数千人も職務を続行し、英国の閣僚はＥＵ閣僚理事会メンバーに名を連ねたままだ。ただ、彼らは実質的な発言権を持たなくなる。
また、英国は２０１７年後半に予定されるＥＵ議長国の座を、次の順番のエストニアに譲るだろう。
http://jp.reuters.com/article/after-brexit-idJPKCN0YN3D3
「ブレグジット」なら広範囲で雇用喪失、製造大手幹部が相次ぎ警告
［ロンドン １日 ロイター］ - 欧州連合（ＥＵ）離脱の是非を問う英国民投票が６月２３日に迫る中、製造大手の幹部からは、英国のＥＵ離脱（ブレグジット）が広範囲で雇用喪失を引き起こすと警告する声が上がっている。
エンジニアリング企業ＧＫＮ(GKN.L)やシーメンス(SIEGn.DE)、欧州航空機大手エアバス・グループ(AIR.PA)のトップらは１日にＥＵ残留を呼び掛けるイベントに出席し、離脱により貿易障壁が生じれば事業を展開する場所としての英国の魅力が低下し、英製造業の雇用がリスクにさらされると訴える予定だ。
ＧＫＮのナイジェル・スタイン最高経営責任者（ＣＥＯ）は声明で「ＥＵから外れた英国はコスト増と規制面での不透明性に直面するだろう。われわれのような企業にとって英国の投資先としての魅力は薄れ、将来的な雇用に影響を及ぼす」と指摘した。
世論調査では残留支持と離脱支持が拮抗（きっこう）している。残留派は単一市場へのアクセスが需要拡大につながっていると主張する一方、離脱派はＥＵの難民・移民に対する開放政策が平均的な労働者の賃金を押し下げているとしている。
＜賃金減少のリスクも＞
英産業連盟（ＣＢＩ）が発表した５月の調査によると、向こう３カ月の製造業生産高の期待値はプラス１３と、２０１３年２月以来の低水準に落ち込んだ。前月はプラス１５だった。
ＣＢＩのエコノミスト、レイン・ニュートン・スミス氏は「英経済環境は安定しているとみられるものの、世界経済見通しの不透明性や英国民投票が迫っていることを背景に、リスクが明確になっている」と指摘した。
英国労働組合会議が発表した報告書では、同国がＥＵを離脱した場合、１週間当たりの平均賃金（４９２ポンド、約７１４ドル）が約３８ポンド減ると推計されている。特に製造業が影響を受けるという。
一方、ＥＵ離脱を支持する団体の一つ「ボート・リーブ」のジセラ・スチュアート労働党議員は、英国の労働者にはＥＵを離脱した方が有利だと指摘。「ユーロ圏では失業率は２桁台に上り、厳しい緊縮政策で公共サービスが削減されている。ＥＵ加盟は労働者に大きな被害をもたらしている」との見方を示した。
http://jp.reuters.com/article/britain-eu-economy-idJPKCN0YN3LG
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