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パナマ文書とBrexit 欧州規制を逃れる可能性
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投稿者 あっしら 日時 2016 年 7 月 17 日 02:41:22: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


[今を読み解く]パナマ文書とBrexit 欧州規制を逃れる可能性
神戸大学教授 地主敏樹

 英国の国民投票は衝撃だった。内容を理解した離脱派の一部が後悔しているとも報じられている。ロンドンの金融街=シティーに並ぶ世界の有力金融機関も、対応を迫られているという。英国の銀行免許を得てシティーに拠点をもてば、欧州連合(EU)の全加盟国での支店展開と金融サービス提供が認められてきた。Brexit(英国のEU離脱)となれば、英国の銀行免許では国境を越え難い。

 諸金融機関は、欧州大陸向けの新法人設立を検討するだろう。パリやフランクフルトだけでなく、税金の低いルクセンブルクやダブリンも候補になろう。しかし、本隊はロンドンに留まりたいはずだ。シティーは自由な市場である。金融危機で欧州金融システムは大きく傷み、回復は緩慢であった。安定性を高めるためにユーロ圏では金融規制・監視を強化・共通化し、銀行同盟に向かいつつあり、自由度低下が見込まれる。少しバランス調整が必要かもしれない。

 旧植民地などとともにシティー=中核の大英帝国系タックスヘイブン群を構成する王室属領の島々も欧州の諸規制の枠外に留まるだろう。スイスやルクセンブルクのような欧州中小国がタックスヘイブン批判への対応を迫られつつある中、有利な展開かもしれない。

●3つに分かれる

 R・パランらの『タックスヘイブン』(青柳伸子訳、作品社・13年)によると、これら2つとその他グループ(パナマや移行経済およびアフリカの小国群)に、世界のタックスヘイブンは3分される。

 19世紀末に米国で法人設立が容易となり、戦間期にスイスで銀行の秘密保護が立法され、英国で非居住者の設立したオフショア企業が非課税となって、タックスヘイブンの3要素が揃(そろ)った。連邦制の下では州間競争が生じて、デラウェアやツークという「周辺」州が、「中心」であるニューヨークやチューリヒの需要に応える立法を進めたという。第2次世界大戦後にスイスが総合タックスヘイブンとして興隆し、大英帝国系が金融ビッグバン以後に追随した。今や、太平洋の島々やアフリカの小国も開発戦略として採りつつあるが、犯罪との関連も指弾されている。

 3要素のうち、最も厄介なものは主権国家による守秘であろう。スイスが代表だが、「ナチスに迫害されたユダヤ人の財産を守るためだった」という「神話」は否定されている。G・ズックマンの『失われた国家の富』(林昌宏訳、NTT出版・15年)はスイスの資産管理業の発展を詳述し、戦間期における最大の顧客はフランス人だったこと、現在でも顧客の過半は欧州諸国民であることを示している。

 スイスの銀行の秘密業務は後退しつつあるかに見えるが、実は新たな分業体制を築いており、非居住者からの預り残高は1兆8千億ユーロに増大しているという。資産を運用する投資ファンドの登記は、ルクセンブルクやアイルランドおよびケイマン諸島に移されて、配当の無税化に寄与している。スイスの銀行口座の保有者は個人ではなくなり、「パナマ籍のペーパーカンパニーやヴァージン諸島の信託およびリヒテンシュタイン籍の財団」になって、本当の所有者を隠すようになった。ここが国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)のパナマ文書公開によって暴かれたのである。シンガポールや香港などに支店を作る動きもある。

●各国の協力が鍵

 タックスヘイブンの存在は悪なのだろうか? パラン等は、税率の競争的引き下げが政府規模を抑制して効率を高めるという「小さな政府」派の意見も紹介しつつ、国際的な所得移転を正当化できないと論じている。開発戦略としても、英米など主要国の動向次第なので、頼りにならないと批判する。

 公的なタックスヘイブン対策は芳しい成果をあげてこなかった。他方で、多国籍企業の納税額を公開させる市民団体「PWYP」や、パナマ文書以前にもヴァージン諸島やシンガポールなどの暴露を行ってきたICIJなど、民間の活動は効果的であった。とはいえ、様々な国家への圧力としては力不足である。ズックマンは、自動的な情報交換に基づく国際的な資産台帳の作成と、非協力国への厳しい経済制裁を推奨している。主要国の協調が必要だが、シティーを擁する英国と、デラウェア州を抱える米国の動きが鍵となるだろう。

 日本は脇役の観があるが、旧大蔵省などでタックスヘイブン対策に携わった志賀櫻が一連の著作を発表してきた。遺作となった『タックス・オブザーバー』(エヌピー新書・15年)では、日本の国際課税に携わる人的資源の貧しさを嘆じ、税制全般についても縦横に論じている。

[日経新聞7月10日朝刊P.19]

 

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