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コラム:フィリピン大統領の暴言、中国の思うツボ   
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 9 月 07 日 18:44:46: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

コラム:フィリピン大統領の暴言、中国の思うツボ

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[6日 ロイター] - 米国の歴史的同盟国であり、中国のような台頭する超大国から圧力の高まりを感じているのであれば、米大統領を下品な言葉で表現することは得策ではないだろう。

しかしフィリピンのドゥテルテ大統領は、普通の大統領とはかけ離れた人物だ。ドゥテルテ氏と同氏率いる政権の行動は、かつてないほどさまざまなレベルで、米国政府に重大な挑戦を突きつけている。

米国とフィリピンは常に複雑な関係にあった。フィリピンは1946年に独立するまで、米国の数少ない植民地の1つだった。ただし米軍は同国で現在再び駐留している。

中国が台頭し、南シナ海問題が悪化するのを受け、米国とフィリピンのつながりは著しく強まるだろうと、大半の専門家はみていた。実際のところ、そのような見方は米国の思考において、基軸の1つとなっていた。オバマ政権が2012年に「アジア重視」戦略を発表してからはなおさらだ。

だが、今年5月にドゥテルテ氏がフィリピン大統領選で当選してからというもの、米国とフィリピンとの関係は、全く不可能とは言わないまでも、ますます難しくなっている。これまでのところ、そうした動きの戦略地政学的な影響は限定的だ。とはいえ、ドゥテルテ政権が長期に及ぶほど、米国との関係だけでなく、国際社会全般との関係も悪化の一途をたどるほど、関係は硬直化するばかりだろう。

ホワイトハウスはある意味、ドゥテルテ大統領がオバマ大統領について暴言を吐き、ついに、やり過ぎてしまったことに安堵(あんど)したかもしれない。ほとんどがフィリピン人であった記者団を前に行われたドゥテルテ大統領の発言を受け、ホワイトハウスはラオスの東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で予定していた米比首脳会談を中止にした。この発表の前から、ホワイトハウスはすでに外交上最悪の事態に備えていた。

問題の中心にあるのは、ドゥテルテ大統領が推し進める「麻薬戦争」だ。大統領選を戦うなかで、ドゥテルテ氏は麻薬密売人を殺害することで犯罪を減らすことを公約に掲げ、同氏の任期中、法執行機関はいかなる法的手続きからも解放されると明言した。

これは基本的に、超法規的な殺人キャンペーンを悪びれもせずに行うという公約だった。ドゥテルテ政権は約束を守っている。7月1日以降、約900人が警察による捜査で死亡し、さらに1500人が「捜査中」だとする未解決事件で殺害された。だが多くの場合が、政府が許可する超法規的な請負殺人とみられると、人権団体は指摘する。

その結果、非常に不快な事態を招いている。BBCは8月、増加する女性の殺し屋の1人を特集した。この女性は政府から報酬を得て、複数の麻薬密売人を殺害したと証言。大抵は平然と殺すことができたという。とりわけ、取り締まりの期間中は政治的・個人的な恨みを晴らせるかもしれないとの風評のせいで、こうした麻薬撲滅戦争に対する世間の批判が比較的少ないことに驚きはない。

米国の同盟国が受け入れがたい行動に出るのは、これが初めてではない。米国の支援を受ける中南米諸国は、特に1980年代、さまざまな形の暗殺集団を指揮していた。しかしながらドゥテルテ氏は、殺人を得意げに正当化し、批判にはかつてないほど容赦ない態度で臨む。国連機関やその当局者から非難されると、国連からの脱退をほのめかした。

オバマ大統領への暴言は、ドゥテルテ氏の麻薬撲滅戦争について、同大統領も批判的な姿勢で会談に臨むとの報道を受けてのものだ。

地政学的影響がこの問題を非常に厄介なものにしている。米国は、国際的に受け入れられている法と秩序の基準を破ることを明らかに楽しんでいる指導者を支持できないばかりか、緊密に接することなどできない。その一方で、米国のアジア戦略は、フィリピンのような国々と密接な関係を築けるかどうかに左右される。そして皮肉にも、米国は国際的なルールに従う重要性を他の幅広い問題において強調しているのだ。

とりわけそれは、中国が主張を強める南シナ海問題において言えることだ。オランダ・ハーグの仲裁裁判所は7月、南シナ海のほぼ全域にわたって主権が及ぶとする中国の主張を退ける画期的な判断を下し、フィリピン政府は勝訴した。

フィリピンが主張する場所も含む岩礁などで前哨基地を建設している中国に対し、米国は特に批判的な態度を示している。フィリピンは米国との軍事協力を強化しており、両国は2014年に新たな軍事協定に署名。米軍が再びフィリピンに駐留できるようになった。

フィリピンは、アジアで最も緊迫する係争領域のいくつか、特にスカボロー礁の領有権をめぐって中国と争っている。ここで起きることは、日本、台湾、ベトナムなど他の火種となり得る領有権問題を方向づける一助となるだろう。中国当局者たちは、自分たちのツキを信じることができないのではないか、と勘ぐる者さえいる。

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/column-president-duterte-china-idJPKCN11D0SE  

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コメント
 
1. 2016年9月07日 21:55:13 : YFp1Jp0f7c : o5_@_EINh5g[1]
>そして皮肉にも、米国は国際的なルールに従う重要性を他の幅広い問題において強調しているのだ。

自国で強権を振るうより、他国で勝手に空爆して一般市民を殺傷する方が、国際ルール上も倫理上も大きな問題だと思うけどね。どの口が偉そうに国際的なルールに従うよう説教を垂れるんだろうね。
ドゥテルテ大統領ならずとも頭にくるでしょう。


2. 2016年9月08日 11:56:10 : nQ54sO4ZiM : mG0jneX@2bQ[3]

フィリピンといえば、長く米国の植民地であった国だ。
安倍さんの米国お追従が情けなさすぎるので、
ドゥテルテ大統領がカッコよく見えてしまう。

当事国のフィリピンがしたたかに米中とかけひきしているのに、
なぜ、南シナ海に日本が介入するのか理解できない。


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