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米テロ被害者がサウジを提訴可能に The Economist 懸念される報復――米軍人が訴えられる恐れ 
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 10 月 06 日 00:35:17: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

米テロ被害者がサウジを提訴可能に

The Economist

懸念される報復――米軍人が訴えられる恐れ
2016年10月6日(木)
The Economist


テロ支援者制裁法の支援者たちがホワイトハウス前でデモを実施し(写真:ロイター/アフロ)
 米国議会は9月28日、米国内でのテロ活動を支援・扇動した疑いで、米国民が外国政府を提訴できる法案を圧倒的多数で可決した。2001年9月11日に起きた同時多発テロの犠牲者遺族からの圧力や、イスラム過激派の脅威が議会選挙の主要な論点となっていることが、同法の成立を後押しした。

 オバマ大統領が発動した拒否権を覆すとともに、サウジアラビア政府による猛烈なロビー活動を退けての成立である。この法律はサウジアラビア政府を最大の標的としている。上院を賛成97、反対1で通過。下院も賛成348、反対77で通過し、大統領の拒否権を覆すのに必要な3分の2のハードルを易々と乗り越えた。拒否権が覆されたのはオバマ政権になって初めてのことだ。

 法案成立を、オバマ大統領は嘲りに近い表現で非難した。同大統領は米CNNのインタビューに答えて、議会の決定は「誤り」で、「議会選挙の直前であるこの時期に、9.11テロの遺族の権利に反対する投票をしたとみられたくない」との意向が働いたものと述べた。大統領報道官はさらに踏み込んで、この法案の成立は過去数十年で「議会がした恐らく最も恥ずべき行為だ」と語った。

英国人過激派が米国を攻撃したらどうする?

 テロ支援者制裁法(JASTA) と呼ばれるこの法律は、長く支持されてきた「主権免除」の原則を揺るがすものだ。この原則の下で各国の政府は、他の国の裁判所で起こされる訴訟から概ね除外されてきた。

 同法が成立する前から、ジョン・ブレナン中央情報局(CIA)長官、ジョン・ケリー国務長官、ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長はいずれも懸念を表明していた。テロ支援者制裁法は、安全保障を巡る同盟国との協力関係を損ねかねないからだ。他国が報復的な法律を成立させるよう動き、米国の軍、諜報機関、外交関係者を訴訟にさらすことになる恐れがある。

 オバマ大統領は、英国人の過激派が米国で攻撃を仕掛ける例を挙げて反対した。その犠牲者が新法を利用して英国政府を訴えれば、弁護士は英国に対し「あらゆる文書」を提出するよう要求するだろう。英国は「米国の最も親しい同盟国」だ。

 オバマ大統領はさらに、フィリピンなどの国で災害救助活動に従事している米軍関係者が、交通事故を起こして訴えられる事例も想定した。米国の政府関係者が外国で訴えられる事態を避けられているのは、「主に」米国が外国政府に対して同様の権利を与えていることよると訴えた。

9.11テロを巡るサウジの責任を問う

 テロ支援者制裁法は共和党と民主党から超党派の支持を得て成立した。賛同者たちは、同法案は9.11テロの犠牲者に、テロ支援国家の責任を米国の司法の場で問う機会を与えるだけだと主張している。

 この法により、サウジ当局がハイジャックの企てを知っていたとか、支援したといった疑いについて、真実を探り出せるという。ハイジャック犯のうち15人がサウジアラビア国籍だった。だがサウジ当局はそのような事実はないと否定している。9.11同時多発テロを正式に調査した委員会も、サウジ政府が組織的に関与した証拠を見つけることはできなかった。

賛成派の中にも懸念の声

 テロ支援者制裁法の支持者は、主権免除はすでに絶対的なものではないと述べている。米国政府が「テロ支援国家」と公式に認定している国は、ある状況においては、すでに訴訟の道が開かれているからだ。現在、こうした不名誉な認定を受けているのはイラン、スーダン、シリアの3ヵ国だ。これら3ヵ国は長期にわたる公式調査を経て認定された。

 テロ支援者制裁法の成立に不安を感じている政治家の1人がボブ・コーカー氏だ。テネシー州選出の共和党上院議員で、外交委員会委員長を務めている。オバマ大統領が発動した拒否権が覆される直前に、コーカー氏は新法の危険性についてレポーターに次のように語っていた。「弁護士に外交政策が筒抜けになる」。テロ支援者制裁法の賛同者の一部でさえ、適切に検討されていない未知の影響があると認めている。

 同法が誤りだと考える議員は11月8日の選挙後に同法案を再び取り上げ、2001年同時多発テロの犠牲者だけに適用範囲を絞るよう、修正を試みるかもしれない。議会選挙まであと数週間。この間に、議会が勇気ある行動をとることはないだろう。

© 2016 The Economist Newspaper Limited.
Oct 1st - Oct 7th 2016 | From the print edition
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。


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