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トランプ・サンダース効果と次期大統領 ――アメリカの貿易政策と外交はどう変化するか
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投稿者 あっしら 日時 2016 年 10 月 26 日 01:38:40: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


「フォーリン・アフェアーズ リポート」2016年7月号
P.18〜21

トランプ・サンダース効果と次期大統領 ―― アメリカの貿易政策と外交はどう変化するか
How Populism Will Change Foreign Policy


リチャード・フォンテーヌ
センターフォーアメリカンセキュリティ会長

ロバート・D・カプラン
センターフォーアメリカンセキュリティ シニアフェロー


ドナルド・トランプとバーニー・サンダースはアメリカ社会のムードとアメリカ人が何を望んでいるかについておおむね適切に理解している。現在のアメリカ人は、終わりのない外国での戦争にうんざりし、格差に苛立ち、ビジネス・政治エリートたちに不信感をもっている。貿易を敵視し、対外介入を嫌がっている。したがって、次期大統領は貿易をめぐってはより強固な社会的セーフティネットを準備して、国際貿易批判に対する防波堤を築く必要がある。外交領域では、介入して泥沼に足をとられても、一方で行動を起こさなくても大きなコストを抱え込むことになる以上、相互に関連する慢性的な危機にうまく対処できる政策を形作らなければならない。いずれにせよ、2016年のアメリカの政治を特有なものにしているトレンドが、近い将来に終わることはなく、むしろ現状はその入り口であることを認識する必要がある。


■国際貿易への攻撃

 ドナルド・トランプとバーニー・サンダースという2人の大統領候補の台頭を前に、ワシントンの外交エリートたちは、置き去りにされ、困惑している。2人は、数十年にわたってアメリカが外交と国内政策の基盤としてきた基本的前提そのものに異を唱えている。選挙結果がどうなるかを予測するのは時期尚早だが、次期政権のグローバルエンゲージメントが成功するかが、国内ムードを適切に判断できるかに左右されることはすでに明らかだろう。

 トランプとサンダースがうまく特定した国内状況とは、高まる一方の深刻な経済不安のなかで、賃金の停滞と拡大する格差への怒りが蔓延し、中間層の再生が待望されていることを特徴とする。こうした国内の暗いムードが外交政策にも大きな意味合いをもつことを、次期大統領は認識すべきだろう。すでに2016年が(アメリカで)「ポピュリズムが台頭した年」として歴史的に記憶されるのは間違いなく、ポピュリズムがなぜ台頭したかを検証せずに、選挙の今後を考えるのは不可能だろう。

 主流派ではない2人の候補者たちは、国際貿易をもっとも激しく攻撃した。ドナルド・トランプは「われわれが知るとおり、NAFTA(北米自由貿易協定)はアメリカを破壊した」と主張し、バーニー・サンダースは、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)のことを「労働者、消費者、アメリカの民主主義の基盤と環境を犠牲にして、巨大多国籍企業の利益を守るために設計された壊滅的な貿易協定」と揶揄した。貿易協定に反対する2人の主張に呼応してか、ヒラリー・クリントンもTPPへの反対を表明している。

 一見すると、その人口が世界人口のわずか5%程度で、外国市場を確保することを国家的優先課題に据えてきたアメリカにとって、貿易を制限しようとするのは奇妙に思えるかもしれない。(実際これまではそうではなかった)。ビル・クリントンは、ジョージ・H・W・ブッシュ政権が交渉したNAFTAに調印し、ジョージ・W・ブッシュ大統領もオーストラリア、チリ、ヨルダンその他との自由貿易合意をまとめている。コロンビア、パナマ、韓国との貿易協定がオバマ政権期に発効し、オバマ大統領自身、TPP協定の合意形成を試みた。

 それでも、アメリカ人の多くは「国際貿易は労働者を苦しめ、豊かな企業に利益をもたらすだけだ」と考えている。例えば、最近のピューリサーチセンターの世論調査によると、米市民の半分は「賃金を引き下げ、雇用を少なくするグローバルな経済エンゲージメントは悪いことだ」と考えている。

米議会が大統領に、新しい貿易合意を迅速かつ合理的にまとめるために貿易促進権限を与えてまだ一年と経っていないが、次期大統領はより強固な社会的セーフティネットを準備して、批判に対する防波堤を築く必要があることは明らかだろう。その一環として、国際貿易によって職を失った労働者のための教育と再訓練プログラムを用意する必要がある。


<対外関与批判>

 ポピュリストが批判の矛先を向けているのは国際貿易だけではない。トランプとサンダースは、オバマの言う「国内の国家建設」を重視し、市民もこの路線を支持している。
 ピューリサーチセンターの世論調査によれば、殆どの米市民は「アメリカは国内問題に専念し、諸外国は可能な限り、自分で問題を解決すべきだ」と考えている。サンダースとトランプはともにブッシュ政権のイラク戦争、オバマのリビア介入、そして民主化促進策として相手国の体制変革を試みるという概念そのものを批判している。かたやヒラリー・クリントンは、上院議員としてイラク戦争やリビアへの人道的介入を支持したことで批判されている。

 一方で、アメリカ人はテロとの戦いには依然として前向きで、イスラム国(ISIS)をアメリカに対する主要な脅威とみなしている。ここにおける教訓ははっきりしている。

 アフガンやイラクでの戦争、リビア介入の失望を禁じ得ない結果を前に、アメリカの大衆は「ワシントンの指導者が明確に定義できる国益が脅かされていないのに、コストのかさむ軍事的冒険に乗り出すことを望んでいない」。市民たちは、指導者たちがこの点を十分に認識することを望んでいる。それでも「同盟諸国が協調し、事態が進展すること、そして、戦争をするのなら犠牲者が少なく、短期間で終わること」を米市民は望んでいる。次期大統領が大衆の支持を確保するには、アフガン、リビア、シリアでの紛争を下火に向かわせるとともに、今後起きる新しい紛争についても大衆のこうした思いに十分配慮する必要があるだろう。

 さらにポピュリストたちは、アメリカは自信をなくしつつあるとみている。トランプが「アメリカを再び偉大な国にする」と約束しているのはこのためだ。実際、PEWの世論調査によれば、ほぼ半数のアメリカ人が、10年前に比べてアメリカの世界における役割はかつてほど重要でも、パワフルでもなくなったと考えている。この認識と対外エンゲージメントに消極的な態度に矛盾はない。大衆はアメリカがパワフルであることを望んでいるが、対外的にエンゲージするとすれば、明確に定義された擁護すべき国益が存在し、しかも関与の成功を期待できる地域にだけエンゲージすることを望んでいる。

 もちろん、サンダースとトランプは、アメリカの病への処方箋を示しているが、病んでいるという認識は間違っている。とはいえ、2人はアメリカ社会のムードとアメリカ人が何を望んでいるかについては概して正しい判断をしている。現在のアメリカ人は、経済と国土防衛を気に懸け、終わりのない戦争にうんざりし、ビジネス・政治エリートに不信感をもっている。誰が大統領になろうとも、こうした感情が一夜にして消えることはない。

 歴史的にみれば、米大統領のなかには、ポピュリズム感情を利用して、うまく国の刷新へと向かわせた人物たちもいる。選挙に敗れたライバル候補たちが示した処方箋を利用して、外交政策を持続的な成功に導いた大統領もいる。例えば、1896年と1900年の大統領選挙でウィリアム・マッキンリーに敗れた民主党の大統領候補ウィリアム・ジェニングス・ブライアンが重視した市民の正義と良識という考えを、後に、セオドア・ルーズベルトやウッドロー・ウィルソンは国内アジェンダの一部として取り込んでいる。冷戦に勝利するというロナルド・レーガンのビジョンも、部分的ながらも、1964年の共和党大統領候補でコロラド州選出の上院議員バリー・ゴールドウォーターの考えに刺激されている。

 次期大統領はオバマの政策よりも積極的で、ジョージ・W・ブッシュのそれほど拡大的ではない外交政策をとる機会を手にしている。介入して泥沼に足をとられても、一方で行動を起こさなくても大きなコストを抱え込むことになる、相互に関連する慢性的な危機にうまく対処できる政策を形作るチャンスを手にしていると言い換えることもできる。しかし、2016年のアメリカの政治を特有なものにしているトレンドが、近い将来に終わることはなく、むしろそのプロローグであることを先ず認識しなければならない。●


Richard Fontaine センターフォーアメリカンセキュリティ会長。国務省、国家安全保障会議などを経て現職。

Robert D. Kaplan アメリカの作家、ジャーナリストで、センターフォーアメリカンセキュリティシニアフェロー。専門はアメリカの政治と外交。冷戦後の1994年に冷戦後の特質を「カミング・アナキー(来るべき無秩序)」と 位置づけるエッセーを発表し、世界的に大きな注目を集めた。

 

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コメント
 
1. 2016年11月02日 04:46:32 : OdXyAMzp92 : CrE4L2tJ0Ug[17]
アメリカでは格差が政策によって人為的に作られ、富裕既得権益層たちがそれを無視しながら富裕政治を続けてきました。

格差の原因。
金融セクターの規制緩和開始、税制の累進性縮小を始めたロナルド・レーガン政権の誕生。
労働組合の弱体化、貿易自由化はグローバル化につながり、労働者は新しい技術とアウトソーシングに置き換えられました。最富裕層(上位0.1%)の人々の所得が著しく増え、中位層が空洞化。
アメリカの経済100年、少なくともここ30年をリサーチしたグラフを見ると一発で理解できるでしょう。

今日のアメリカの民主主義を破壊した張本人はレーガン・ブッシュであり、現在のファシズムアメリカを形作ったのは他でもないレーガン政権です。
現在、レーガン(富裕層による新自由主義)政治は共和党・民主党両党に存在する既得権益層政治家によって引き継がれています。

-抜粋-
『レーガン政権は、一方で「小さな政府」の掛け声の下で社会保障、福祉、教育などの予算を削減しながら、他方でそれ以上に軍事予算を増加。30年代のニューディールをはるかに超える巨大な財政支出だ。レーガン政権の「大陸間弾道弾を迎撃ミサイルやレーザーで打ち落とす」というSDI(戦略防衛構想、スターウォーズ計画)は軍事技術的には空想物語にすぎない。しかし、その空前の軍事支出は「景気対策」として行われ、『軍産複合体・金融資本』を救済したのだ。軍産複合体は、アメリカ最大の産業部門であり、また政治的、社会的にその利権構造が浸み込んでいる。
 後のブッシュ(子)政権のラムズフェルド国防長官の下で国防省は、「わが省は世界最大のビジネスです。最大の財務規模、最大の取引規模、最大の人員雇用です。国防省との取引を希望する会社は、ここに連絡を」をホームページのトップに掲げた。』
http://www.zenshin.org/zh/ilm/2014/11/i04580301.html

-抜粋-
『新自由主義は80年代のアメリカ・レーガン政権、イギリス・サッチャー政権、日本・中曽根政権に始まる。新自由主義の核心は、民営化・労組破壊である。国内支配においては労組破壊を核心とする階級関係の大転覆、階級闘争の絶滅攻撃である。そして新自由主義は、外に向かっては侵略戦争である。
-中略-
レーガン軍拡とは、新自由主義が、その柱に軍産複合体の強化・大軍拡・戦争をすえたということだ。
-中略-
アイゼンハワー大統領が、1961年の退任演説で、軍産複合体にアメリカ政治がのっとられて破滅してしまうという危機感を表明したのは有名な話だ。レーガンは、軍産複合体に対して軍事費の増額を約束した。軍事産業に利益をもたらすために、戦場を陸海空から宇宙へと拡大した。これはレーガンの新自由主義の大戦争であった。
-中略-
レーガンは巨大な軍事支出に伴う莫大な財政赤字と貿易赤字という双子の赤字をブッシュ政権に残した。ブッシュは、財政赤字の圧力で国防費の削減を迫られた。』
http://blogs.yahoo.co.jp/huwawatanpopo2010/30420937.html


米国の富裕層独裁支配格差資本社会造りは、
「富裕層への減税、労働組合潰し、公営事業の民営化、社会保障切り捨て、福祉公共事業削減、軍需産業強化(戦争)、企業ロビーと政府の癒着、金融緩和、企業規制緩和」政策によって確立されました。

結果、州政府と大企業や団体による癒着(特に保険・医療・不動産業界による政治家への大献金、詐欺・ぼったくり価格による国民負担の増大)と土地高騰による資産家のぼろ儲け、企業による寡黙化(モノポリー化)、労働組合潰しによる賃金カットや就職難やリストラ、公共福祉予算を削り道路や橋や公共施設などの老朽化、企業規制緩和による環境破壊、富裕層への減税策と金融緩和による格差(大企業や資本家・資産家だけが肥える)、州予算で水質や人件費を削り毒水を提供、国民の税金を軍需産業や金融業界へ勝手に流す。
起業家、企業家、富裕層は政治家を買収して共謀し、メディアは企業プロパガンダ機関として国民を騙す。

貧しい州のゴーストタウン化、国民の健康も生活水準も益々苦しくなり、現在のプルトクラシー(超富裕層による政治)は、利己的且つ強欲なアメリカの大金持ちたちによって確立された、立派な策略(政策)です。最近までは超富裕層トップ20%による富の搾取の汚さが言及されていましたが、最近は1%があまりに酷い。

超富裕層のための(プルトクラシー)政治を実現して政府の力を小さくしたい新自由主義者、そして金と権力で独裁政権を持ちたい企業家オリガーキーたちは民主・共和どちらにも働きかけることが出来ます。
大統領を支持しなくとも地方議員たちを手籠めにして(賄賂で)動かすことが出来る資金力を持っているのです。

それら利己的で非人道的な(彼らは税金が返ってくる自慰的な献金活動は行っている)超富裕層(資産家と起業家のオリガーキーやリバタリアン)たちによって、二大政党はそれほどまでに支配され腐りきっています。
国民皆保険制度案が踏み倒され続けているのも、リバタリアンたち、病院・医師会(AMA)、医療保険組合による二大政党への大献金と賄賂が政治家に流れ込みながら、ぼったくり価格で国民の生活を困窮させて儲けている原因だと思います。

ヒラリーはもちろんのこと、トランプの政策はレーガン政策のトリクルダウン策を採用しており、信用出来ません。


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