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自動運転車、規制のあり方
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投稿者 あっしら 日時 2016 年 10 月 30 日 04:37:17: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


[創論]自動運転車、規制のあり方

 自動運転車を巡る規制が論議を呼んでいる。米テスラモーターズの車の衝突死亡事故が起きた米国では9月、開発や走行に関する初の指針が出た。技術革新に配慮しつつ、どう規制すべきか。米消費者向け情報誌の自動車試験担当ディレクター、ジェイク・フィッシャー氏と、米自動車業界のロビー団体の上級ディレクター、マイケル・カミサ氏に聞いた。

■安全への信頼 裏付けを 米コンシューマーリポート自動車試験担当ディレクター ジェイク・フィッシャー氏

 ――テスラの事故後、同社の「半自動運転」の安全性に警鐘を鳴らしました。

 「我々は自社の試験場で車を実際に走らせて性能を見ている。テスラの車は走行レーンから逸脱する事例を減らし、前の車をきちんと追従するなど優れた機能を持つ。ただ、だからといって車を手放しで運転してもよいということではない。ところがテスラのユーザーの中には手放し運転をしている人がいる。だから我々は『オートパイロット(自動運転)』の名称を使わないよう、テスラに求めた」

 「同じことは独ダイムラーの新型『ベンツ Eクラス』でもあった。同モデルは『セルフ・ドライビング(自動運転)』をうたい文句にしており、テレビ広告でもハンドルが自動で動く映像を流していた。だが、Eクラスは完全自動運転ではない。我々は当局に虚偽広告の疑いを知らせるレターを出し、ダイムラーは広告を取り下げた。人々の期待と、実際に車ができることの間にギャップがある」

 ――米政府の指針では、自動車メーカーに衝突防止の機能やハッキング対策を事前に確認し、米運輸省に提出するよう求めました。システムが誤作動を起こしたり、避けられない事故に対応するプログラミングの内容なども事前の確認が必要としています。

 「技術の進化のスピードを考えると、政府の対応は遅すぎたくらいだ。もちろん、過度な規制は技術開発の足かせになる。それは我々も望んでいない。ただ、誤った技術の使い方によって死亡事故が起きてしまうほど規制が緩いというのにも問題がある。各メーカーがせっかく積み上げてきた安全技術の信頼を損ねることにもつながってしまう」

 「自動車事故の原因の大半はよそ見運転だ。今の車の安全システムは運転中にメールを確認したり、車載端末で動画を見たりと、よそ見を助長しかねない。完全な自動運転であれば衝突も防げるだろうが、現時点の技術はそうなっていない。衝突を無くすための技術が衝突を増やすという皮肉が今起きている」

 ――規制は法的拘束力の無い指針となりました。

 「自動車メーカーがどこまでルールに従うかが問われる。ただ、米国は訴訟社会だ。指針に従わずに事故が起きるリスクをメーカーが事前に知っていたらどうなるか。大量の訴訟にさらされるだろう。リーガルリスクはメーカーにとって決して軽くはない」

 「もちろん、そうでない場合もある。例えば、車載端末は米国では指針で一定の機能にとどめるよう規制している。だが、テスラはネット上の情報すべてが見られる端末を搭載している。会社によっては指針は意味をなさない」

 ――自動車メーカーとIT(情報技術)企業で安全についての認識が異なるのでは。

 「まさにそうだ。(従来型の自動車メーカーが集まる)デトロイトと、(グーグルやテスラが本社を置く)シリコンバレーの考え方の違いともいうべきものがそこにはある。シリコンバレー企業はリスクテイカーだ。進取の気性に富むシリコンバレーのおかげで車の性能は上がった」

 「一方で、トヨタ自動車やゼネラル・モーターズ(GM)はリスクを避ける。例えばトヨタは車の走行中にカーナビの操作すらできないようにして事故の可能性を減らすようにしている。どちらがよいかはさておき、テスラについては運転手をもリスクにさらしているようにみえる」

 ――規制当局や消費者は自動運転の世界とどう付き合っていけばよいでしょうか。

 「消費者保護の視点からいえば、IT企業的な『ソフトウエアの更新』で不具合を直すという考え方にはやや懸念がある。毎年モデルが変わるスマートフォン(スマホ)は同じ機種を数年間も使い続ける人はほとんどいないが、車は平均で7年近く保有する。古い車のソフトを更新しても、古いスマホに最新基本ソフト(OS)を載せるようなもので使い物にならない」

 「自動運転車を社会のどの場で活用するかといった議論も必要だ。米運輸省は自動化をレベル分けしている。特に今のように半自動の技術については、レベルに応じた適切な規制がなされれば車の安全性は高まる。完全自動運転が実現するのは10年先だろうが、すぐに市街地を走るとは思えない。例えば自動運転の輸送トラックに限って深夜帯の高速道路の通行を認めるなど、一定の条件下で市場投入するのがよいのではないか」

 Jake Fisher 米GM勤務を経て、99年から非営利の米消費者団体が運営する「コンシューマーリポート誌」の自動車試験担当に。
◇     ◇
■開発促進へ制度柔軟に 米グローバルオートメーカーズ上級ディレクター マイケル・カミサ氏

 ――米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)がまとめた指針をどう見ますか。

 「この分野に特に関与してこなかった国がリーダーシップをとってまとめたということは、非常に大きなステップだととらえている。米国で車を扱う自動車メーカーは、自動運転についての規制が州によって異なることにずっと懸念を抱いてきた」

 「例えば、これまでは州をまたいで自動運転車を運転してもいいのか、販売するために各州のルールがどうなっているのかなど、自動運転車を扱う企業にとって分からないことが多かった。ルールが一本化されておらず、手続きの混乱も招いていた。国主導の指針によって誰が何をすべきかが明確になった」

 ――自動車メーカーは、衝突防止の機能や不測の事態への対応策など事前の確認が必要です。車の開発という意味で足かせになりませんか。

 「適切な規制であると思う。いま世に出ている車の安全のための技術は当局の規制とは関係なく生まれてきた。産業界にとって一番大事なことはイノベーションにフタをすることではなく、それを生み出す力だ。指針は我々自動車メーカーが今後よく考慮すべき分野を示したのは確かだが、一方で法律と違って関係者の意見をふまえて柔軟に改定できるようにしており、規制としては非常によいアプローチだと思っている」

 ――指針にはハッキング対策や人工知能(AI)の倫理といった従来自動車メーカーになじみのなかった分野への対応も盛り込まれました。

 「ハッキングについてはすでに関連情報を共有する『自動車ISAC』という組織を米国内につくっており、そこでの活動を通じて対策をとっている。またサイバーセキュリティーについては関連業界とも常に意見交換している」

 「AIの倫理についてはいずれは対策をとらねばならない事柄だと理解している。今の自動運転システムはセンサーで前方の障害物を検知し、それに伴いブレーキを踏むかどうかを判断する。その判断に倫理が介在するかどうかは議論の余地があるが、いずれにせよ検討すべきテーマだ。ただ、これについては車同士が通信するシステムが普及すれば、そもそも衝突事故に見舞われる可能性を大きく減らせると思っている」

 ――車の走行データの共有も盛り込まれています。従来、自動車メーカーは自社固有の財産としてデータを外部に公開してきませんでした。

 「ここについては詳細をよく勉強しているところだ。指摘の通り、走行データには各メーカーが独自に集め、社内で保持しているものがある。一方で、安全に関するデータについては皆で共有することで自動運転の開発を助ける場合もある。共有するデータがどういったものになるのか、今後よく精査していきたい」

 ――当局は今回の指針策定にあたり、5月に米テスラの車が起こした死亡事故も念頭に置いたといわれています。

 「個別案件にはコメントできないが、当然ながらすべての死亡事故は悲しい出来事だ。米国では昨年だけで3万5092人が運転中の事故で亡くなった。自動運転のアイデアの背景にはこうした死亡事故や衝突事故を防ぐ狙いがある。その意味では、自動運転の技術に消費者が信頼を抱いてくれるかが大事。技術を実用化する前に当局や業界がきちんと目配りしていることを消費者に示すという点でガイドラインの存在は大きい」

 ――自動運転にはIT(情報技術)企業も参入しており、競争環境が変わります。

 「今回の指針は既存の自動車メーカーだけでなく、IT企業などの新規参入者も対象にしている。これは自動運転にかかわるすべてのプレーヤーに対して競争上の公平さが提供されたと考えるべきだ。IT企業であっても国が定める安全上の規制に従わないといけない。そして米国で車を売るのであれば、それについて定められた規制に従わないといけない」

 ――今回の指針が日欧の規制に与える影響はあるでしょうか。

 「どんな規制も、市場をまたいで統一であることが望ましい。それは技術の普及を助け、消費者にとって費用負担の軽減にもつながる。我々はこれまで各国当局に規制づくりでの協調を呼びかけてきた。NHTSAが先駆けたが、これは間違いなく他の当局も同様の規制を考えるきっかけになるだろう」

 Michael Cammisa 米ジョージタウン大で公共政策学修了。自動車保険のアナリストを経て00年からロビー活動の世界に。54歳。
◇     ◇
〈聞き手から〉主導権争い 規制も米先行

 「自動運転」という言葉には魔法にも似た響きがある。消費者は近づく未来に思いをはせ、メーカーも市場開拓へ技術開発にひた走る。皆が同じ夢を見ているようで、実は消費者側の期待とメーカー側の実力に溝があったというのがフィッシャー氏の指摘だ。

 関連する死亡事故も起きており、日本であれば規制強化が叫ばれてもおかしくない。だが米政府は今回、イノベーションの推進を前提にルールをつくった。グーグルなどIT業界も巻き込んで統一指針こそ設けたが、業界で過度の負担になる項目はほとんど無く、基本は自己責任。国として自動運転の技術を支援する姿勢がむしろ明確になった。

 日本では「半自動運転」の車が発売されつつあるが、規制の議論はこれから。欧州主要国とともに2018年にも開発基準を作ることを目指している。無人走行実現のための公道実験も警察庁が検討を始めた段階だ。世界で主導権争いを繰り広げる自動運転技術。規制の面でも米国が先行する構図が浮かび上がる。

(ニューヨーク=中西豊紀)

[日経新聞10月23日朝刊P.9]

 

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