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ドイツの難民受け入れ、生活摩擦の実態を見 多賀一晃 (家電評論家)  難民は100万人を超 人口80人に一人 負担は増加
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 11 月 08 日 14:25:49: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

ドイツの難民受け入れ、生活摩擦の実態を見る
2016/11/08
多賀一晃 (家電評論家)
 現在、難民は100万人を超。ドイツの総人口は約8000万人、単純計算で人口比約1.25%。ざっくり100人で難民一人を支えている勘定になる。ベルリンの知り合い(以下、K氏)のアパートに、難民が来てといると聞き、実態を確認させてもらいに行ってみた。

難民に関する法律

 まず、ドイツの難民の対応を説明したい。第一段階は、「登録」。この時、健康状態もチェックされる。第二段階は、居住エリアの決定。ドイツを形作る連邦州の16の内、どこに行くのかが割り当てられる。割り当ての方法は決まっており、機械的に決められるという。そうしてドイツに難民として受け入れられる。原則、そのエリアの収入で人数割り当てがされるため、ベルリンなど都市部は多くの難民を受け入れることになるが、このようなことができるのも、ドイツが日本のように極端な東京一極集中していないためだ。

 難民は、3カ月の居住後、就労許可書が発行され、就労することができる。また、難民は食事や宿泊施設に加えて月額135ユーロに達するポケットマネーを受け取る。かなりの優遇であるが、ドイツでは、難民は貴重な労働力と見なされている。労働人口の低下という問題は、日本だけでなく先進諸国共通の問題なのだ。

 ベルリンはドイツ連邦共和国の首都。観光地も多い。すぐに名前があがるのがポツダム広場だろう。ソニーセンターがあることで有名だが、1キロ以内に、ブランデンブルグ門、国会議事堂があり、またベルリンフィル(コンサートホール)も歩いて5分という近さで、街の交通の要でもある。

 ヨーロッパに行かれた方は、よくお分かりのことと思うが、彼の地の都市は東京のように有名な建造物があちこち点在するのではなく、数キロ四方に固まっていることが多い。

 そのポツダム広場から、数百メートル東、歩いて数分のところに、K氏のアパートはあった。日本で言うと、いろいろな建築がびっしりと並ぶ銀座〜有楽町〜日比谷から、ほんの少し離れた赤坂辺りというとお分かり頂ける人が増えるかもしれない。

http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/e/1/670m/img_e1282c808b5337aaae1541f3408afe4d92274.jpg

アパートから見た景色。ベルリンでも有名なミュージアムが見える
 なぜ、こんな一等地に難民が? という思いである。難民の居住場所は、自治体が借りるので、安い方がイイに決まっている。ところが一等地。考えられるのは、安い物件が底を付いたのである。そうなると、100万人といわれる難民の受け入れキャパシティは限界に近づきつつあると思われる。

 このアパート、元々、下がホテルで上がアパートだったそうだ。1Fにはカフェ、レストラン。ポツダム広場から、数百メートル。前は小さな公園。ホテル立地としても優良。当然、アパートとしても優良物件である。

 その状況が一変したのは、昨年12月17日。大家さんの手紙から始まる。内容は「赤十字にアパートを貸します」。当たり前ではあるが、難民はドイツ国民のようにアパートを借りることはできない。赤十字が、難民の代理人としてアパートを借りたわけだ。大枠は、システム的に振り分けられるのだが、難民一人一人に対応しているのは、ボランティア。カリスタ、赤十字などが、実務を行っている。

 そして、12月23日。150人以上の難民が一挙にアパートにやって来たという。

 K氏のアパートの前に着いて見ると、黒いユニフォームに身を包んだ男が三人。聞くとセキュリティだという。難民は、テロリストに命を狙われる可能性があるので、このような措置が取られているという。住民の静かなる日常は、モノモノしい日常へと変わった。

 セキュリティの視線を浴びながら、K氏の案内でアパートの中へ。かなり薄汚い。清潔を旨とするドイツ人ではあり得ない感じ。ドイツの冬は日が短い。このためドイツ人は、窓をかなりキレイにする。その窓が汚い。また絨毯は斑、隅の方は湿っている感じがする。壁には子供の落書き、削れているところすらある。

 掲示板コーナーには、4カ国語の張り紙がしてある。アラビア語系であることは、うかがい知れるのであるが、まったく分からない。一部、英語で書かれているモノもある。内容は「14歳になるまで、一人でエレベーターを使わないように」ということだった。

 また、はみ出した位置には、メンタルケアのポスターがあった。高層階に上がるために、エレベーターに乗ろうとしたが、ここの床は特に汚い。ガムの捨て跡がいたるところに散見される。エレベーターに乗り込むと、10歳位の女の子が一人で乗ってきた。小ぎれいな感じで、少なくともみすぼらしさは感じられない。ボタン操作も鮮やかに、さっさとエレベーターを動かし、降りて行った。状況から見て、張り紙の効果もないし、今までと違う生活空間になっている感じである。

 K氏によると、やはりアパート内の公共部分は段々汚くなっているそうだ。

 アパートの裏口から出ると、そこは食堂から眺められる花壇になっている。食堂は元々レストランスペース。ちょっとした集団生活の場合、食堂スペースは何かと便利。案外このスペースがあったので、難民の居住に定めたのかもしれない。


「ネズミがうろつく原因となるため、ゴミ捨てはルール通りに」との内容のチラシも貼ってあった
 その食堂外には、ゴミコンテナが並ぶ。金属でできたモノは古くからの設置。先住人が使っており、ドイツ人の几帳面さそのまま。フタもキレイに閉まっており、臭いもしない。逆側には、難民のためのゴミコンテナ。こちらはプラスチック製で車輪付き。臨時設置であることが一目瞭然である。こちらは列もヨレヨレどころか、フタは飽きっぱなし。

 そこへ難民と思われる女性がゴミを捨てに来た。見ていると、ゴミの入れ過ぎでフタが閉まらなくなったコンテナの上に載せ、チャツチャツと歩き去る。我々が居ても無視。目に入らない感じである。夕方になり、アパートの前に、暇な難民がたむろし始めた。十人以上なので、圧迫感を覚える。

難民への過度な保護対応が原因か?

 何でこんなにゴミがでるのか? と、友人に聞いてみると、配給物が非常に多いためだという。前に書いた通り、三食全て支給される、服なども、ボランティアらが差し入れするため、小ぎれい。その上、月に一度支給金もある。自転車を持っている難民も多い。子供は学校に行くが、大人は日がな一日することがない。このため、たむろしてタバコを吸ったりして時間をつぶす。こんな状況下、赤ちゃんもそれなりに増えているという。

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生活摩擦を生み出すもの

 ベルリンの一等地にあったアパートは、どうしてこうなったのであろうか?まず「生活習慣」。「ローマではローマ人のする様に(郷に入れば郷に従え)」という西洋の格言があるように、よそから来た場合、その地域に溶け込むために、確実に必要なことと言える。宗教的、他の理由で譲れないところもあると思うが、これは一番大きな要因だと思う。

 そのためには「尋ねる」ことが重要だ。分からないことを周囲に尋ねるのだ。人間、質問されると不思議なモノで、優しさが産まれる。相互理解が進みサポートもしてくれるようになることも多い。今回は決定的にコミュニケーションが足らないように思った。都会の場合、隣には無関心が当たり前と言われる現代、なかなか踏み出せない一歩かもしれない。

 ドイツ政府はドイツ語教室も開いているのだが、教員不足、場所不足など、いろいろな問題があるようだ。

 今回、K氏を含め、いろいろなドイツの方に難民をどう思うかと尋ねた。私が日本人ということもあるのかもしれないが、異口同音に「まだ(経済的に)余裕がある。サポートすべきだ」と答えが返ってきた。大枠は良しとしているのだが、それでも生活摩擦は起こるのだ。

 今後、日本も移民を受け入れることになると思われる。日本の言葉の壁、習慣の壁を考えると、このアパートで見た生活摩擦より、より大変なことが予想される。意志疎通は、大きな課題だ。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8017
 

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