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北方四島での日ロ共同経済活動 制度の協議は難航も／nhk
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161217/k10010810241000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_049
12月17日 5時03分
安倍総理大臣は、ロシアのプーチン大統領との首脳会談で、焦点となっていた北方領土での共同経済活動について、四島を対象に行うための特別な制度を設ける交渉を開始することで合意しました。ただ、北方四島をめぐって、双方ともに基本的な立場を堅持していることから、交渉が難航することも予想されます。
安倍総理大臣は、ロシアのプーチン大統領と地元の山口県長門市と東京で２日間にわたって首脳会談を行い、プーチン大統領は１６日夜、大統領特別機で羽田空港を出発し、日本を離れました。
今回の会談で両首脳は、焦点となっていた北方領土での共同経済活動について、「平和条約締結に向けた重要な一歩」と位置づけ、四島を対象に行うための特別な制度を設ける交渉を開始することで合意しました。
これに関連して、安倍総理大臣は１６日夜、ＮＨＫの番組で、「この会談をもって、平和条約の問題、北方四島の問題が解決したわけではないが、本格的な議論をスタートさせることができた。今後、ロシア法でもなく日本法でもない特別な制度を、これから専門家が協議を行っていくことになる」と述べ、ロシアや日本の法律とは異なる、新たなルールを検討していくことになるという認識を示しました。
ただ、北方四島をめぐって、日本側が日本固有の領土という基本的な立場を変えていないのと同様に、ロシア側は先の大戦の結果ロシアの領土になったという主張を堅持し、会談前には、共同経済活動をロシアの法律の下で行うよう求めていたことなどから、交渉が難航することも予想されます。
アメリカでは「日本は慎重に対応すべき」の声も
日ロ首脳会談の結果について、アメリカ政府はこれまでのところ公式の反応を出していませんが、国務省のカービー報道官は１５日の山口県での首脳会談のあと、「外交政策はそれぞれの国が決めることで、会談とその内容について判断を下す立場にない。日ロ両国が対話し、関係を強化させることは重要だと思う」と述べています。
しかし、オバマ政権内では、ウクライナの問題でロシアに経済制裁を科す中、Ｇ７の足並みを乱さないよう日本は経済協力について慎重に対応すべきだという声もあります。
一方、来月就任するトランプ次期大統領はロシアとの関係改善に前向きで、外交を担う国務長官にロシアとの関係が深いことで知られる大手エネルギー企業、エクソンモービルのＣＥＯ、ティラーソン氏を指名していて、対ロ政策に変更があるかどうかが今後の焦点となっています。
米 専門家「ロシアのほうがよりよい成果得た」
日ロ首脳会談の結果について、アメリカのシンクタンク、ＣＳＩＳ＝戦略国際問題研究所のロシア専門家のジェフリー・マンコフ上級研究員は、「日ロ両国の合意では北方領土について実質的な進展はなかった。日本側が当初期待したような結果にはならなかった」と指摘しました。そして、「全体的に見ると、ロシアのほうがよりよい成果を得た」と述べ、アメリカでトランプ次期大統領が、ロシアとの関係改善に前向きなティラーソン氏を国務長官に指名するなど、米ロ関係を取り巻く外交環境が変わる中、交渉力の面で、プーチン大統領のほうが有利だったという見方を示しました。
また、日本がロシアと経済分野での協力を進めればウクライナ問題でロシアに経済制裁を科してきたＧ７の結束を乱すと、オバマ政権が懸念してきたことについては、「トランプ政権になって、仮に、制裁に力点が置かれることがなくなれば、日本に対するアメリカの懸念も和らぐだろう」と述べました。
さらに、北方領土をめぐる今後の日ロ交渉について、「トランプ政権の誕生で、ロシア側に『時の利』があり、それが交渉力につながる。ロシアにとっては、交渉を長引かせることも、日本側にさらなる譲歩を求めることもできる」と述べ、トランプ政権がロシアとの関係改善に前向きな姿勢を続ける間は、日本にとっては難しい交渉になるだろうという見方も示しました。
一方、トランプ政権の下での米ロ関係については、「これまでもアメリカの新しい政権は、発足直後は、ロシアとの関係の『リセット』を掲げ、しばらくは良好な関係が続くものの、その後、根本的な利益の対立が生じ、緊張を繰り返してきた。トランプ政権でも同じような流れになる可能性がある」と述べ、関係の行方は不透明だと強調しました。
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