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サウジとイランの国交断絶で露呈した、産油国の弱体化という現実(まぐまぐニュース)
http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/769.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 12 月 21 日 18:15:51: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


サウジとイランの国交断絶で露呈した、産油国の弱体化という現実
http://www.mag2.com/p/news/232304
2016.12.21 まぐまぐニュース


サウジアラビアが王室に批判的だったシーア派の有力者を処刑し、その報復としてイランの群衆がサウジアラビア大使館を襲撃―。この一連の騒動は国家間の対立へと発展し、サウジアラビアとイランの「国交断絶」という取り返しのつかない結果を呼びました。今回の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では著者の嶌さんが、これまでの「石油利権」の歴史を振り返りながら、両国と友好関係にある日本ができるうることについて探っています。

■複雑化する石油価格 大丈夫か、日本の資源外交

2016年が明けてから株式市場、通貨、中国経済、北朝鮮の水爆実験、等々──国際社会は相次ぐ大波乱に見舞われている。なかでも、メディアでは大体二番手扱いだったが、気になったのはイスラム教スンニ派の大国・サウジアラビアとイスラム教シーア派の大国・イランの断交である。サウジアラビアに続いて同じスンニ派のバーレーン、スーダンなどもイランと断交を宣言しており、今後もスンニ派アラブ諸国が追随する可能性が高い。

■根底に宗派対立?

そもそものきっかけは、サウジアラビアが王室に批判的だったシーア派の有力宗教指導者ニムル師など47人をテロに関与したとして処刑したことだった。これに反発したイランはイラン国内の首都テヘランで群衆がサウジアラビア大使館を襲撃し混乱は一層広がった。

イランとサウジアラビアは中東の大石油大国である。面積はサウジアラビアが2,150万平方キロ(日本の約5.7倍)、イランが1,648万平方キロを持ち、人口はサウジアラビア3,089万人に対しイランは7,910万人。しかも原油と天然ガスの確認埋蔵量は原油ではサウジアラビアが世界第2位、天然ガスでは世界第6位なのに対し、イランは原油が世界第4位、天然ガスは世界第1位で、共に世界の大資源大国なのである。

この両国が断交し争えばいずれ石油、天然ガス問題にはね返ることは必定なので、世界は息をひそめて見守っていたわけだ。過激派組織・イスラム国(IS)や国際テロ組織アルカイダはスンニ派に属するが、イエメンのシーア派武装組織フーシにはイランが支援し、政権側にはサウジアラビアが後ろ盾になっていて、軍事衝突が繰り返されている。

一応、現段階では原油価格を上昇させるため、両国がOPEC(石油輸出国機構)の減産に合意(イランは増産を承認された)し、ひとまず落ち着いた。しかし、現在のサウジアラビア、イランの抗争は宗派対立だが、国際社会は再び抗争が再燃し、石油価格問題に飛び火することを恐れている。

両国を取り巻く国際社会も微妙だ。イランは核開発疑惑を受けて欧米と長い間協議を続け、ようやく昨年に妥協が成立したばかりで、欧米などによる対イラン制裁が解除されつつある最中なのだが、サウジアラビアは「イランが中東で混乱を引き起こせば、結果としてひどい合意だったということになる」と欧米のイラン制裁解除の政策を批判していた。国連も両国の対立問題を憂慮しており潘基文事務総長らが欧米主要国に仲介を呼びかけている。欧米主要国は「努力を惜しまない」と回答し、中東の混乱が広がるのを恐れているのが実情だ。

■70年代まではワシントン・リヤド・テヘラン枢軸だった

サウジアラビアとイランは宗派が違うものの、いつも対立していたわけではない。1960年代までの石油利権を握っていたのは欧米の国際石油資本(メジャー)の大手石油資本でセブン・シスターズといわれていた。70年代までの当時の原油価格は1バーレル=1ドル前後で、メジャーがその配給権利と価格の実権を握っていたのだ。

このためメジャーは原油価格を抑えるためにはサウジアラビアとイランの2大国をコントロールする必要があり、アメリカなどが武器を与えたり、軍事訓練を教えたりして統治していたし、イランのパーレビ国王政権にも支援していた。当時の原油価格はワシントン(米国)、リヤド(サウジアラビア)、テヘラン(イラン)枢軸で決まるとさえいわれていたものだ。

■ホメイニ革命で一変

その頃の実力者はサウジアラビアがファイサル国王、イランがパーレビ国王だったが、79年のイラン・ホメイニ革命でパーレビが追放されると情勢は一挙に変わった。中東産油国はメジャーを通じて石油を売ることをしなくなり、OPECや直接消費国と取引するDD原油に比重を移し変えていく。そこへ1973年に中東戦争が勃発し、もはやOPEC主体の石油価格決定も難しくなっていく。

そして現在はいまや石油に対抗するシェールオイルをアメリカが産出し始めたことから、ますます石油価格の安定が難しくなり、産油国の結束も弱体化していまや市場価格は投機に翻弄されている側面が強くなっている。さらに非OPECのロシアなどの産出量も多く、今やアメリカ、ロシアの産出量は中東を大きくしのいでいる。OPECが石油価格を支配できたのは昔の話なのである。

そんな時代に入った石油価格は、国際商品価格決定の大きな要素ではあるもののかつてのようなパワーはなく、むしろ中東内部の政治的対立が大きく影響し始めている。大国サウジアラビアとイランの国交断絶と最近の石油価格の低落、産油国パワーの弱体化は、中東産油国をまとめる国、人物がいなくなったことの証左だろう。

■サウジアラビアとイランに友好的な日本の役割は?

ただ、日本にとっては石油価格の下落は、輸入大国であるだけにプラスになろう。しかし石油は政治的製品でもあるだけに、やはり石油価格、中東情勢、政治などについて今後も注意を怠ってはなるまい。日本は中東石油の大輸入国としてサウジアラビアの脱石油依存=工業化に協力する一方、イランともイランが世界から孤立している時代から水面下で協力できるところは支援してきた。日本は両国にパイプを持つ国でもあるのだ。

日本が外交で存在感を持ちたいなら、サウジアラビアとイランの対立を和らげる行動に出ることも考えてもよいのではなかろうか。

(Japan In-depth 2016年12月16日)

image by: Claudio Divizia / Shutterstock.com

ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』
ジャーナリスト嶌信彦が政治、経済などの時流の話題や取材日記をコラムとして発信。会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会やウズベキスタンの話題もお届けします。



 

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