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The Beatles― Here, there and everywhere
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投稿者 チベットよわー 日時 2018 年 6 月 12 日 11:20:31: Xy93FIMaJupUQ g2CDeINig2eC5oLtgVs
 

ビートルズの活動にドラッグの影響が強くみえだしたのはアルバムの時期でいえばHelp!であり、そのタイトルがアイロニーそのものであるが、まだ異常は顕著にあらわれていなかった。


次作のRubber Soulでジョンがついに「アイデア切れ」を訴えるものの、アルバムは後世に残る名盤にしあがっていて、そのままビートルズ現象は続行されていくことに疑いはなかった。


しかし翌年の1966年に転機が訪れる。世界ツアーで日本を含むアジアに出かけたビートルズはその道中にトラブルに巻き込まれる。そしてジョンはユダヤ人相手に、そしてその後はキリストへと非常識な放言を繰り返しアメリカをはじめとする欧米でもビートルズ焚書運動がおこる。


そして一切合財のライブ活動の停止へ。1967年発表のSGT Pepper’sではレコーディング中にジョンはドラッグによる錯乱で倒れているので、やはり1966年のRevolverはビートルズがギリギリで平常心を持つことのできた時代の最後の騒動を収めたアルバムだった。


よくジョン・レノンの代表作はヨーコとのコラボ時代のたとえばイマジンやインスタント・カルマのようなかったるい曲だと真顔で言う人がいるが、一体何を聞いているのか理解できない。ジョンはRevolverで終わってる。LucyもRevolutionもいい曲だしホワイトアルバムにも名曲はいくつかある。しかしそれらStrawberry Fields以降の自我にしがみついたような締まりのない単発作品にはビートルズの魅力がまるで生きていない。


それだけにこのRevolverでジョンが最後の力を絞って作り出したAnd your bird can singはマスターピースとしてアルバムのクライマックスを飾っていると信じたい。


しかし、ジョン派であるはずの私には既に答えがわかっている。Revolverの最大の名曲はポールのHere, there and everywhereである、と。この曲はレコーディング・スタジオの万代の神が味方をしたとしか思えない。曲の良さとパフォーマンスの良さに加えて、録音する瞬間の奇跡が働いているからだ。


今日、急にこの曲をYoutubeで探したら、なんと無い。Revolverのアルバム・バージョンであるオリジナルのHere, there and everywhereはどこにもあがっていないのだ。あがっているのは、未公開バージョンなど使われなかった掘り起こしテイクばかりだ。そしてその中の動画のコメントに私と同じフラストレーションを感じていた欧人がコメントをつけていた「オリジナル・バージョンは一体どこにあるの?」と。無理もない。アルバムのあのHere, there and everywhereに流れる一秒も無駄のない神業は他のバージョンには見当たらないのだから。


アルバムが丸ごとあがっていたので辛うじてオリジナルを見つけたが、どうして同じ時代の同じ人間の手による同じ曲がここまで違うのか、これこそが「奇跡」のしわざなのだ。無論、ライターでリードボーカルを受け持ったポール・マッカートニー自身にも再現できないことであろうことは想像に難くない。



ちなみにジョンは同アルバムの中で彼にとっての最高傑作はやはりポールの作品でFor no oneだと後になって語っている。このアルバムを制作した時期からしばらく、ポールには神がかりな力が宿っていたのではないか。


余談: 一昨年に私はオーストラリア出身のギターリスト、トミー・エマニュエルのライブに珍しく出かけていったのだが、その行く途中の車の中で私は特に脈略もないままこんな話をした。「エルヴィス・プレスリーの中でJailHouse Rockという曲は特別の価値を持つ。この一曲だけがずば抜けて格好よく仕上がっているのは、レコーディングしたときの場が不思議な興奮に乗っ取られた瞬間にエルヴィスが逆らわずに溺れていくことで破壊的な自己陶酔が能動的な超自我のもとで表現されたからだ」と。
それから小一時間して一通りの演奏で会場を熱気に包んだトミー・エマニュエルがトークに入った。トミーはいきなりプレスリーの話をしはじめたのだ。そして彼はこういった。「エルヴィスで一番好きな曲はJailhouse Rockだ。この曲の偉大なところは、エルヴィス一人でなく、演奏していた(名前は忘れたが)誰々のせいでもなく、レコーディング・スタジオに起こった奇跡の瞬間をキャプチャーすることにプロデューサーが成功したからなんだ。」


そのときの鳥肌のたつような現実ばなれした感覚を今でも忘れない。小一時間前に車の中で言ったことをあのギターの巨匠が同じ論旨でステージから語りだしたのだから。


世界的なギターリストのトミー・エマニュエルであっても、名作を生み出すのは才能や技能だけでなく、場に流れた不思議な偶然が重なり会った奇跡によるものだという見解は支持してくれたようなので、よしとしよう。
 

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コメント
 
1. チベットよわー[1416] g2CDeINig2eC5oLtgVs 2018年6月18日 03:03:20 : PiLqis80OY : vul47KNEra4[397]

Here, there, and everyhwere はポール・マッカートニーが、ビーチボーイズの
God only knowsへの返歌として1966年に作った曲である。

ブライアン・ウィルソンによるPet Soundsは商業音楽のロックだけでなく、
音楽、芸術、思潮、文化というものを根底から覆すような強烈な電波を発していた
ので当時の覇権グループであるビートルズでさえ感化されオマージュに駆り立てられた。

ポールはその後も、ビーチボーイズのSmiley Smileのセッションにカリフォルニアを
訪れ、効果音として同アルバムのレコーディングに参加したくらいブライアン・
ウィルソンに関心をいだいており、ポールの独壇場になったSGT Pepper'sの
最大の音楽的影響はブライアン・ウィルソンだったとジョージ・マーティンは
ドキュメンタリー映画で語っている。

クオリティーでPet Soundsを超えるビートルズのアルバムというのはないと思うが、
(というか50年以上もたって人類史の中でそれを超えるものはない)
God only knowsとHere there and everywhereでは私は後者に軍配をあげる。
前者は教会で行う懺悔であり社会と遮断された個人の観念の世界であるのに対し、
後者はつむじ風の吹く夕暮れの繁華街でふと内面が崩壊するような心細さを必死で
繕いながら歩みを止めない人生が感じられる。

その違いは実の父を追い出したブライアンと実の父を持たずに育ったポールの
違いであり、世の中のスピードを感じないほど没頭してしまった自分人間の
ブライアンと、常にマネージャーやプロデューサーに協力的で4人の公私のリズムを
まとめ望まれる仕事をこなしていたポールの違いであり、アメリカ人とイギリス人の
違いでもある。

Here there and everywhereではビートルズの全員が指をスナップする音が
はいっている。チームワークの象徴であり、社会性・社交性を反映させている。
リードギターは不安を駆り立てるように冒険的な背景音を提供しながら
メジャーコードのEverywhereで何度も立ち直るストーリーを形どる。
自分と神の間の狭き門を暗中模索するブライアン・ウィルソンはその不安を
不安だ不安だといってマントラのように繰り返すだけで、ポールがやったように
ストーリーテラーとしての味付けに換えるだけの客観性を放棄している。

純粋に歌がどちらがうまいかといえば、それはブライアンの弟でリードを担当
したカールのほうだろうが、ウィルソン兄弟に比較すれば牧歌的な素人っぽさが
隠せないポールのヴォーカルは変容なスタイルで情緒を表現できることでは革新的
であり、圧倒的なヴァ―サタリティーでクリエイトするイカガワシサの魅力を
放つ。

それより、驚いたのは、And your bird can singでリードギターを弾いていたのは
ポールだったこと。ずっとジョージとジョンのツインだと思い込んでいたのだが、
ジョンはリズムに徹していた。ポールおそるべし。しかしGood Day Sunshineや
Got to get to into my lifeみたいなアドリブでできそうな下らん駄物もポールの
作品であり、一流と二流を使い分けるところが一流の濁流の中で溺れてしまわない
ひけつかもしれない。


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