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待機児童問題の視点(上)需要側からも解決策探れ 1〜2歳児保育、優先 
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投稿者 あっしら 日時 2016 年 4 月 17 日 02:16:47: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


待機児童問題の視点

(上)需要側からも解決策探れ
1〜2歳児保育、優先 

前田正子 甲南大学教授

 「保育園落ちた」のブログを契機に、保育所の待機児童問題に社会的関心が集まっている。1994年のエンゼルプラン以来、待機児童対策は政策課題に挙げられ、保育所の定員も大幅に増えている。2015年4月からは子ども・子育て支援新制度が始まり、小規模保育や家庭的保育なども地域型保育事業として位置づけられることになった。

 15年度の受け入れ枠は、保育所と幼保連携型認定子ども園で前年度比約13万9千人、地域型保育事業も含めれば19万6千人増えた。だが待機児童は減らず、14年4月に2万1千人強、15年4月に2万3千人強にのぼる(図参照)。入所申込者も急増しているからだ。背景には出産後も退職せず就労を継続する人や、いったん退職しても早期の職場復帰を希望する人の増加、新制度が需要を掘り起こしたことがある。最初から入所をあきらめている潜在待機児童も6万人程度いるといわれる。

 待機児童の3割強を占める東京都を含め、7割強は首都圏・近畿圏の7都府県と政令指定都市・中核市にいる。全国では受け入れ枠約253万人分に対し、利用児童は約237万人と保育所は定員割れしている。15年には保育所の利用児童数が前年を下回る市区町村が628ある。地方では少子化が進み、保育所入所児童が減る一方で、都市部では待機児童があふれる。首都圏でも、郊外の駅から遠い保育所は定員割れしている。

 待機児童を減らすには需要と供給双方からのアプローチが必要だ。供給側から考える。

 第1にマンションや空き店舗、あらゆる既存施設を利用して小規模保育や家庭的保育など0〜2歳児の保育を増やすことだ。待機児童の8割強は0〜2歳児だ。都心部で土地を確保して大規模の保育所を設置するには2〜3年かかるし、そもそも土地がない。

 第2に幼稚園を活用することだ。幼稚園がなかなか認定子ども園にならないのは、給食施設の整備などハードルが高いだけでなく、低年齢児を預かるノウハウや収入面の利点がないからだ。図が示すように1〜2歳児の保育所利用率が4割近くにのぼる一方、3歳になった時に移る施設がない「3歳の壁」も生じている。幼稚園を3歳からの受け入れ場所とし、長期休暇のない恒常的な預かり保育の実施で、保育所と同程度の保育時間を確保するのが現実的だ。

 第3は保育士の確保だが、これが最大の壁だ。15年11月時点の東京都の保育士の有効求人倍率は5.72倍だ。国は15年1月に「保育士確保プラン」を打ち出し、17年度末までに新たに6万9千人の保育士確保が必要としている。

 近年、保育士養成施設の卒業生の約半分しか保育所に就職しない。再就職者も含め毎年約4万9千人が保育所に就職するが、逆に年約3万3千人が離職している。保育所で働く保育士は41万人いるが、資格がありながら保育士として働いていない潜在保育士は76万人いると推計される。

 保育士が確保できない要因としては第1に、給与の低さに対する不満だ。保育士は勤続年数も短く、全職種の平均給与約33万円に対し、保育士は約22万円だ。いくつかの自治体では国の補助に加え、独自に保育士の処遇改善費を運営法人に補助している。

 実際に補助金が保育士の給与として支払われているか確認する必要がある。ある社会福祉法人の保育所では、夫婦の園長と副園長合わせて年2500万円の給与をとり、働いていない親族を職員にしていたという不正が発覚した。

 ではお金さえ払えば保育士は確保できるのだろうか。第2に保育士のワークライフバランスだ。保育士の退職理由の一番は出産であり、潜在保育士の復帰に当たっての懸念は給与よりも、労働時間だ。

 個々の保育所の運営方針や保育士の働き方には大きな違いがある。ある園では朝7時半から夜8時半までの13時間保育を実施しているが、学童保育も併設し、その担当職員や園長もすべて保育士資格を持ち、職員全員が正規職員だ。そこでは「自分の子どもの予定を優先してよい。そのためにみんなで助け合う」というルールを徹底し、子どもの学校行事や病気の際には、保育士が休めるようにしている。働きやすいため離職率も低く、男性保育士も多い。

 第3に一層深く保育を学べる機会であり、現職も潜在保育士も望んでいる。発達障害やアレルギーを持つ児童が増え、親とのコミュニケーションは難しく、乳児が増える中では事故が起きるリスクもあり、保育士が受けるプレッシャーは強い。人手不足の現場では研修にも参加しにくい。

 保育士が定期的に研修を受け、知識や技能を深め、自信を持って働けるようにする現場への支援が必要だ。保育施設に保育指導者が訪れ、実施研修や助言をしている自治体もある。退職していた保育士が職場復帰する際には、実習も含め、体系的な研修を事前に受ける工夫も必要だ。

 待機児童を減らすには需要側からの対応も必須だ。第1に育児休業の徹底だ。保育所入所が激戦になる中で1年間育児休業がとれる人も早めに切り上げ0歳児から入所させようとする。非正規雇用の人が増え育児休業がとれないだけでなく、自営業など経済的に長期間休めない親もいる。

 だが0歳児保育は人手もコストもかかる。非正規雇用者も含め、親が安心して育児休業を取得できるようにし、1歳児からの定員を増やすのが有効だ。週3日の勤務や子育て中は短縮勤務が可能という人でも、保育の入所選考が不利になると、無理に勤務日数を増やし長時間勤務をすることもある。長時間労働の方が保育所入所の必要度が上がるからだ。保育所入所が多様な働き方を阻む皮肉な現実だ。

 第2に親の働き方も変えなくてはならない。医師など夜間保育が必要な人もいる。しかし現在の長時間かつ生産性の低い働き方を当然視せず、短時間で生産性の高い働き方への改革に社会全体が取り組まなければならない。女性の労働力率も出生率も高い国はそもそも男女ともにすべての人の労働時間が短く、労働生産性も高い。大人の働き方を変えずに、保育のみで何もかも解決するのは不可能だ。

 少子化が進展する中で、幼稚園に入るまで他の子と遊んだことがない児童もいる。保育所は乳幼児期から子どもが集団で遊び、共に育ち、親に育児文化を伝える重要な拠点だ。子どもたちの健やかな育ちを守るという視点から乳幼児の保育や教育をどうするのか、再設計も必要であろう。

 一方、保育所をさらに増やし保育士の処遇を改善することは公費の投入増を招くだけに、私たちが税や保育料で負担する覚悟が欠かせない。

 仕事を求めて人々が首都圏に流入し、保育ニーズの増加に応えるため、首都圏の自治体は全国から保育士を集めている。地方でも県庁所在地に人口が集中し、待機児童が発生している。地方都市の保育士不足の背景には、給与の高い首都圏への保育人材の流出がある。首都圏の人々の暮らしを支えるために若年人口が首都圏に流れ、地方の人口減が一層加速することになる。

 目の前の待機児童対策は喫緊の課題であり、今できることにはすぐに着手しなくてはならない。だが長期的にみれば、企業や職場を地方に分散し首都圏一極集中を是正することなしに、根本的な待機児童対策は困難だといえよう。

○供給側では既存施設や幼稚園の活用急務
○育児休業普及させ1歳児からの定員増を
○働き方改革や首都圏一極集中是正も重要

まえだ・まさこ 60年生まれ。慶大博士(商学)。専門は社会保障、地方行政、人口問題

[日経新聞4月14日朝刊P.27]

 

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