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「「大本営発表と記者クラブは一体となっていました。」辻田真佐憲氏インタビュー(後編):岩上安身氏」
http://www.asyura2.com/16/senkyo216/msg/684.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 11 月 29 日 00:10:10: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「「大本営発表と記者クラブは一体となっていました。」辻田真佐憲氏インタビュー(後編):岩上安身氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/21196.html
2016/11/29 晴耕雨読


https://twitter.com/iwakamiyasumi

1月25日(金)「岩上安身による辻田真佐憲氏インタビュー(後編)」の模様を実況します。

辻田氏のご著書『大本営発表』の内容を中心に、戦時下における大日本帝国の「プロパガンダ」の実態について岩上安身がお聞きします。

岩上「前回は『たのしいプロパガンダ』の実例についてお聞きしました。その後、欅坂46のナチス風衣装が炎上するという件がありましたが」

辻田氏「悪意はなかったようですが、『ナチスが危険な記号である』という文脈はちゃんと理解しておくべきですね」

辻田氏「ナチスというのは、服のデザインそれ自体が宣伝でした。秩序に対する欲求をかき立てる役割を果たしているわけです。中国や北朝鮮など、東アジア諸国ではアイドルの政治利用がよくやられています。モランボン楽団などがそうですね」

岩上「さて、本日はいよいよ『大本営発表』の内容に入ってゆきたいと思います。まず早速ですけれど、大本営発表と実際の戦果の比較なのですが、これが本当にビックリ!」

辻田氏「空母は約7.6倍、戦艦は約10.75倍の水増しです」

岩上「もともと、大本営とは何かというところから入ってゆきましょう」

辻田氏「大本営は、常設ではなく戦時に際して特別に設置されていました。軍の中の最高の発表が大本営発表でした。天皇の権威を利用した発表です」

辻田氏「参謀本部は、陸軍の参謀本部と海軍の軍令部の寄り合い所帯でした。しかし陸軍と海軍はお互いに対立していて、嘘を付き合ったりするような状態でした。まさに日本的なセクショナリズムですね」

岩上「戦場から大本営発表までは、どのような流れだったのでしょうか」

辻田氏「前線から報告が上がってきた後、定例の幹部会議で公開範囲が決定されます。さらに、参謀総長や参謀次長ら関係各所の承認を経ます。その過程でドンドン現実から離れていくわけです」

岩上「この段階で記者が独自に動いて取材をすれば、大本営発表を防げたのではないでしょうか」

辻田氏「マスコミがしっかりした調査報道をできれば、戦争の経過ももしかしたら変わったかもしれません。メディアの責任は本当に大きいですね」

辻田氏「大本営海軍報道部課長に平出英夫大佐が着任して以降、海軍はそれまでの『サイレント・ネイビー』の伝統を打ち破り、華々しいプロパガンダを展開するようになりました。この人はまさに『たのしいプロパガンダ』の一例だと言えます」

辻田氏「大本営発表と記者クラブは一体となっていました。読売新聞の記者は『報道を生命として働く大本営陸軍報道部と陸軍省記者会とは、とけあって一体となり(中略)』などと証言しています。とけあったら、ジャーナリズムの死ですよね」

岩上「今の記者クラブも、当時と何も変わらないのではないかと思います。第2次安倍政権の発足以降、首相会見ではフリージャーナリストはまったく指名されません。事前に質問取りをして、プロンプターに映る原稿を読んでるだけなんですよ」

岩上「民主党政権の時は、私でも総理会見で指名されましたし、総理もガチンコで答えていました。その時と比べると、今の記者会見の状況は比べものになります。本当にお話にならない状態になってしまっています」

岩上「では、太平洋戦争の推移に即して、大本営発表の具体的事例を見てゆきましょう。まずは真珠湾攻撃です」

辻田氏「この頃の大本営発表は、まだ正確だったんです。『十分慎重を期す』として戦果の修正をしたりもしています。下方修正をしたりもしました」

辻田氏「次の香港攻略戦になると、だいぶレトリックが入ってきます。『将兵の士気極めて旺盛、意気天を衝く』『断固鉄槌的打撃を加ふるに決したるものなり』など。陸軍報道部は、寄席に通って話術の研究をしたりしていました」

岩上「ここまでは、緒戦の勝利でした。しかしミッドウェー海戦で日米の形勢が逆転します。ここから、大本営発表がどんどん酷くなっていくのですね」

辻田氏「アッツ島の『玉砕』からガダルカナル島からの撤退、サイパン島の全滅などです」

岩上「サイパン島が陥落して東条英機内閣が退陣した時点で、普通なら戦争は終わりですよ。しかし、誰も終わらせようとしなかった」

辻田氏「誰も戦争を終わらせる決断ができないまま、玉砕、本土空襲、原爆投下といった具合に死者だけが拡大していくと」

岩上「ミッドウェー海戦の敗北を、大本営発表はどう伝えたのでしょうか」

辻田氏「大本営報道部の田代格中佐が戦後に回想しています。『幾度か原案を書き直しても通過しなかった』『自然の成り行きであった、理屈もなにもない』と。これが本音なのでしょう」

岩上「次が、ガダルカナル島の攻防戦です。ここは本当に悲惨で、日本軍の戦死者22,400人のうち、15,000人が餓死・戦病死でした」

辻田氏「日本からはるかに遠い熱帯の島で、戦う前に病気と飢えで死んでしまうのですから、なんのための戦争なのかと」

辻田氏「ソロモン海戦の大本営発表については、高松宮宣仁親王が『けしからぬ話であり』と批判しています。高松宮は海軍の軍人で、戦時中は海軍参謀でした」

岩上「先日亡くなった三笠宮が陸軍で、ともに戦争の実態を現場で見聞きした皇族だったんですね」

辻田氏「ガダルカナル島の戦いでは、『撤退』が『転進』の糊塗されました。『二月上旬同島を徹し、他に転進せしめられたり』といった具合です。陸軍は、嫌でも『撤退』という言葉を使いたくなかったのです」

岩上「次は、初めて『玉砕』という言葉が使われたアッツ島の戦いです」

辻田氏「2600人の日本軍が全滅した他、攻撃に参加できなかった重傷者は自決させられました。これを大本営発表では『皇軍の神髄を発揮せんと決意し』といった具合です」

辻田氏「『全滅』を『玉砕』と言い換えることで、参謀本部の無策を誤魔化したわけです。『霞ヶ関文学』といいますか」

岩上「現在の『東大話法』と同じですね。今も当時とほとんど変わらないんですね」

岩上「水木しげるさんに『総員玉砕せよ』という作品があります。『玉砕』の生き残りに対し、『お前はもう死んだと発表された』と言って、再び『玉砕』を強要するという話です。こうなると、もはや戦争は関係ないですよね」

辻田氏「現実を虚構にあわせる、と」

岩上「大岡昇平の小説『野火』では、人肉食の話が出てきます」

辻田氏「私も昨年、この『野火』の映画版(塚本晋也監督)を観ました。『猿の肉』が本当は人間の肉だった、という話が出てきますね。戦争の一番エグい部分を描いた映画だと思います」

岩上「さて、戦争末期の神風特攻隊です」

辻田氏「軍部は神風特攻隊について、当初からプロパガンダに使う目的があったようです。『悠久の大義に殉ず。忠烈万世に燦たり』と海軍省が発表しています。事前に計画されていたことを知ることが大切ですね」

岩上「戦時中、日本軍兵士には『戦陣訓』が大きな影響をお呼びしました。『持たざる国』が『持てる国』に勝つには、『日本人がどんどん積極的に死んでみせればよい』と。これはもう、戦略でもなんでもありません。本当にヒドい」

岩上「次が、沖縄戦です」

辻田氏「地上戦は本当に悲惨なので、大本営発表は特攻隊の戦果ばかりを強調しました。『轟沈 航空母艦一隻 巡洋艦二隻 駆逐艦二隻 艦種不詳三隻』と。しかし実際は、連合軍は沖縄戦において一隻の空母・戦艦も失っていません」

辻田氏「原爆投下に関しては、広島と長崎では対応が違いました。なんと、長崎での原爆投下は大本営発表が行われませんでした。新聞の隅にちょこっと載るだけです」

岩上「なるほど、大本営発表の究極形態は『大本営発表をしないこと』であると」

辻田氏「最後に、まとめです。なぜ、大本営発表はこんなに酷いものとなったのか。@組織間の不和対立A情報の軽視B戦局の悪化C軍部と報道機関の一体化、この4点があげられます。なかでもCが一番大きい。大本営発表を支えたのは当時のメディアです」

岩上「こうしたプロパガンダはもちろん、これからも展開される可能性があります。先日の南スーダンへの自衛隊派遣について、メディアは隊員の笑顔の写真を取り上げています。しかし実際は、家族との涙の別れだったんです」

辻田氏「まさに、出征ですよね」

辻田氏「戦死者が発生すると、そうした戦死者を利用する政治的な動きが出てきます。遺族の方が出てきて涙ながらに『立派だった』というと、もう誰も何も言えなくなってしまいます。こうした戦死者の政治利用は警戒しなければいけませんよね」

以上で「岩上安身による辻田真佐憲氏インタビュー(後編)」の実況を終了します。動画アーカイブは準備が整い次第、IWJのホームページ(http://iwj.co.jp/ )にアップいたします。どうぞ、ご注目ください。

 

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コメント
 
1. 2016年11月29日 17:44:19 : VRP2irdeZw : xUVqY0ZGly4[2]
> 今の記者クラブも、当時と何も変わらないのではないかと思います。

そうですね。今は戦争はしていませんが、外交交渉等の報道では同じです。安倍総理とトランプ氏の会談でも、始まる前から「全世界注目の」と煽り、終わった後は「安倍外交の勝利」「中国が悔しがっている」とさんざん持ち上げていました。実際は成果ゼロで敗北と言っても良いのに「勝った勝った」と言っていた訳で、全く同じといっても良いくらいです。


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