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賃上げへ政府関与は適切か:経団連なども財政支出や税制について政府に口出ししているのだから当然
http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/713.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 12 月 18 日 04:43:22: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


[創論]賃上げへ政府関与は適切か


 安倍晋三首相は来春に少なくとも今年並みの賃金引き上げを実現するよう経済界に求めた。賃上げへの政府の関与は適切か。上昇率を高めるには何が必要なのか。「日本は賃上げを強く促す所得政策が必要」との提言を今夏にまとめた国際通貨基金(IMF)の対日審査責任者、L・エフェラールト氏と日本商工会議所会頭の三村明夫氏に聞いた。


■将来不安の払拭が先決 日本商工会議所会頭 三村明夫氏

 ――過去3年間の賃上げをどう評価していますか。

 「賃上げする場合にはいくつかの要因がある。収益改善や生産性の向上のほかに、足元の経済は少し停滞していても、今後は確実に良くなるという見通しがあれば実施する要因になる。ただ、生産性の向上は一生懸命やろうとしていても、まだ具体的な実績をあげているわけではない。潜在成長率が0%近辺しかないのに、2%も3%もいきなり経済成長するのは難しい」

 「それにもかかわらず過去3年間に中小企業の5〜6割が賃上げしてきた。賃上げしないと人手が確保できないというのが理由の大部分だ。タイトな労働需給を端的に反映した結果であり、収益や生産性とは乖離(かいり)している。企業は実力以上の賃上げをしたとみている」

 ――安倍政権は賃上げを求めて来年の春季労使交渉にも介入してきています。

 「デフレからインフレに向かう時期に、政府が旗を振って経営者のマインドを変えようとすることは悪いことではない。デフレの最中は経営者にコスト削減を優先するマインドが染みつき、賃上げを見送ってきた。賃上げを通じて個人消費を喚起し、経済の好循環をつくるという政府の意図は明確だった。だから1回目の賃上げ要請は適切なことをやったと思っている」

 「だがこれまでの賃上げは消費増へ本当につながっているのだろうか。消費が低迷する原因は賃上げの有無のほかにたくさんあると考えている。その一つが将来への不安だ。50歳代にも若者にも年金制度への不安がある。賃上げがうれしくても、貯蓄に回す行動が出てくる。インターネットでなるべく安いモノを買ったり、中古品に抵抗感がなかったりする賢い消費者も増えている。なぜ消費が低迷しているのかという原因をつきつめて分析して、それに対応することが必要だ」

 ――デフレ脱却のために賃上げが起点になるべきだとの主張があります。

 「はっきりしているのは物価予想を絶対的な基準としては賃金交渉できないということだ。この主張は物価が上昇気味のときに労働組合がする。一方、経営側は物価が本当に上がるかはわからないと主張する。物価予想自体にいろんな意見があって一つにまとめるのは難しい。交渉の付加的な要素として物価予想を考えるのはありえるが、物価と賃金の上昇率がストレートにはつながらない」

 ――経済界では賃金水準全体を高めるには、雇用の流動化が必要だとの見方が多くあります。

 「成熟した産業で賃上げを積み重ねるのは限界がある。成長産業に人が移らないと賃上げを継続していくのは難しい。職業訓練やマッチング機能といった安全網の整備や、解雇の金銭解決ルールの明確化も効果があるかもしれない。人員が余っている段階で人材と企業のマッチングといっても絵に描いた餅だったが、いまは人手不足で働く場所はある。中小企業は即戦力になる人材を待ち望んでいる。失業することなく、比較的スムーズに労働移動が進みやすい状況だ」

 「企業統合を進めていくためにも雇用の流動化は必要だ。統合効果は本来は人員削減に表れやすいはずだが、今の日本では人員削減がなかなかできないからだ。企業統合でより生産性が高い企業が誕生すれば、社会全体の生産性向上に役立つ。中長期的には賃上げにもつながりやすいはずだ」

 ――日本型雇用の象徴でもある年功賃金制度にメスを入れる必要はありませんか。

 「労働力不足の時代には、若者と女性に活躍してもらうための制度設計が必要になってくる。たとえば子育て世帯の負担は大きく、若者に賃金を重点配分するために、年功賃金は維持したとしても賃金カーブの傾きを寝かせる配慮は必要になってくる。戦後の経済成長期は経験を重ねれば能力が上がるという前提があったが、今はそうでないことも少なくない」

 ――最低賃金が近年、大幅に引き上げられています。

 「最低賃金は小規模事業者も含めてすべての企業に適用され罰則もある。政府は今年の3%引き上げの理由を『総合的に判断した』というが、判断の理由がわからない。足元の現実を反映していないと思う。労働市場の状況や賃上げの事例を具体的に示して基準を明確にしてほしい」

(聞き手は中村亮)

 みむら・あきお 東大経卒。新日鉄住金の相談役名誉会長を務める。2013年に日本商工会議所の会頭に就任した。76歳。

◇     ◇
■経済の好循環へ不可欠 IMF対日審査責任者 リュック・エフェラールト氏

 ――IMFは今夏、より積極的な賃上げを促す所得政策を採用するよう日本政府に提言しました。なぜですか。

 「アベノミクスによる財政・金融政策、構造改革でも成長率は高まらず、物価上昇率も目標には遠い。円安で企業収益が増えても賃上げや設備投資につながらなかった。それならば賃金の上昇と物価上昇がうまく連動して進むような補完的な政策が不可欠と考えた。(賃上げを通じて)物価が上昇するという実績をつくらないと、(日銀が目指している)インフレ期待の引き上げも日本では困難だ」

 「年2%の物価上昇率目標を持続的に実現するには、賃金が全体平均として少なくとも2%上がる必要がある。これに生産性の上昇分を加えた賃上げを実現させたい。この分は毎年変わるのではっきりといえないが、0.5〜1.0%程度だろう」

 ――具体策を説明してください。

 「安倍政権は今年、最低賃金の3%引き上げを実現させたが、これは良い政策だ。政府の権限が及ぶ公務員賃金も物価目標に応じた引き上げが求められる」

 「重要なのは、民間企業全体としてどう賃上げを促すかだ。税制で企業の賃上げを誘導する政策はすでに実施されているが、これはもう少し強化できるはずだ。そのうえで、政労使がマクロ経済的な目標に見合う最低2%の賃上げ実施で合意することが望ましい。容易でないことは承知しているが、欧州でもマクロ的な目標を考慮に入れつつ労使交渉を進めている国が幾つかある」

 ――「賃上げ率の合意に従うか、従わない場合は説明責任を負う」という仕組みを取り入れることも提言していますね。

 「こうした仕組みも使いうるということだ。賃上げを引き出すための一つの例という意味であり、これが必要で唯一のメカニズムだと主張しているわけではない」

 ――賃上げ率が鈍い背景には雇用維持を優先する日本企業の慣行もあります。

 「長期雇用を約束しているので収益性を悪化させるような賃上げは望まないということは理解している。しかし企業の利益は大きく、現預金保有残高は国内総生産(GDP)の50%になっている。日本経済の問題は高い収益が活用されてこなかったことにある。また、高い賃上げは時間のラグを置いて一般価格にはねかえるので、中期的には利益への影響は受けなくなる」

 ――一律の賃上げ要請は市場の価格決定メカニズムをゆがめませんか。

 「一律の上げこそが、低すぎる物価上昇率を引き上げるのに必要なことだ。生産性が企業ごとに違う点には同意する。こうした部分は賞与に反映するなど、生産性を賃上げにどう織り込むかを各企業レベルで合意すればいいことだ。だが全体としては最低2%の賃上げが必要になる。あくまで、賃金と物価の好循環を生むメカニズムをつくりだすのが目的だ。インフレ期待が正常なレベルに上がれば、続ける必要はなくなる」

 ――実現性に難があるようにも見えます。

 「日本とは全く逆のケースだが、欧州では1970年代から80年代にかけて、インフレを抑えるために政労使対話で賃上げ抑制をはかった。日本は物価と賃金の上昇率が低すぎるという問題を抱えている。これを変えるための協調の仕組みが必要なのだ」

 ――賃上げが持続するには企業の生産性向上も欠かせません。そのために何が必要と見ますか。

 「労働市場の改革が重要だ。日本には生産性の高い若者や女性が数多くいるのに、非正規雇用の契約で働いているので、企業からの人的投資や訓練を受けられない労働者が多い。一方、終身雇用のなかで生産性が低い中高年層もいる。企業はグローバル経済の変化への対応として安易に非正規社員を増やしたが、それは自分の足を撃っているようなものだ。賃金が低いままで上がらず、将来の所得が不透明な人が増えて、製品やサービスへの需要を減らしているからだ」

 「労働市場の二重構造が生産性や賃金低迷につながっているわけで、このゆがみをたださなければならない。非正規労働者の労働条件を改善させるための契約形態を促す必要がある。政府が確立しようとしている同一労働同一賃金の仕組みも改革の促進につながるだろう」

 Luc Everaert ジュネーブの国際研究大学院で博士号。92年にIMFへ。欧州担当などを経て現職のアジア太平洋局次長に。56歳。

◇     ◇
〈聞き手から〉硬直的な労働市場に課題

 政府に賃上げ促進への積極関与を求めたIMFの提言は話題を呼んだ。自由な市場取引を重視する伝統的な立場からの転換と見られたからだ。

 エフェラールト氏は「勧めているのは市場の失敗への対応。市場介入ではない」という。高収益が賃金増加につながらない構造や、賃金体系が異なる正規、非正規の二重の労働市場が「資源の効率的な配分を阻んでいる」と説く。

 政府が前面に出てでも、賃金引き上げと物価目標達成という道筋をつくらなければ、経済の歯車はいつまでたっても回らない。そんな危機認識が主張の背景になっている。

 問題はそうした理論がミクロの現実に即しているかだ。三村氏は経営者の視点から経済改善の見通しが立たない中での大幅賃上げの難しさを指摘。将来不安の解消が経済再生の鍵との見方を示した。

 一致したのは硬直的な労働市場が賃上げを阻む一因との点だ。個人の能力を育み、それがいかされる機会をつくらないと日本に活力は戻ってこない。(編集委員 実哲也)

[日経新聞12月11日朝刊P.9]


 

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