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ハマスが不倶戴天の敵と同盟を組んだワケ
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 5 月 06 日 13:05:35: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

ハマスが不倶戴天の敵と同盟を組んだワケ
2016年05月06日(金)佐々木伸 (星槎大学客員教授)
 パレスチナ自治区ガザのイスラム原理主義組織ハマスが不倶戴天の敵であるイスラエルとの間で、過激派組織「イスラム国」(IS)の浸透を食い止めるため“あり得ない同盟”を組んでいる。エジプトの圧力に応じたものだが、「敵の敵は味方」という中東独特の論理が浮き彫りになった格好だ。

300人以上を配備


iStock
 ベイルート筋や米有力紙などによると、ハマスは先週、エジプトとの境界沿いに精鋭の治安部隊300人以上を配備した。1部隊は海岸地帯を厳戒、他の2部隊はエジプトとの2カ所の境界検問所一帯に展開している。

 とりわけ、エジプトとガザの境界下に掘られている無数の密輸トンネルの出入り口はエジプトのIS分派「シナイ州」の工作員の侵入を阻むため、戦闘態勢が取られているという。

 このハマスの動きは、イスラエルの求めを受けたエジプトのシシ政権からの要求に応じたものだとされる。ハマス、イスラエル、エジプトの3者がたとえ短期間であっても“同盟”を組むなど中東の専門家からすれば、想定できないような事態だ。「何が起きても不思議ではない」中東世界の複雑怪奇な政治ゲームを垣間見る気がする。

 このハマス治安部隊が配備される数日前、イスラエルのネタニヤフ首相はエジプトとの国境沿いに新たな防護壁を建設するという決定を称賛。「この防護壁がなければ、シナイ半島から数千人に上るIS戦闘員が侵入してきただろう」と述べたが、防護壁とはハマスの治安部隊展開を指したものだ。

イスラエルの生存権を認めない

 ヨルダン川西岸のパレスチナ自治政府と一線を画す武闘派のハマスはイスラエルの生存権を認めず、敵対関係を続けてきた。イスラエルは09年と14年にハマス攻撃のためガザに地上侵攻し、パレスチナ人3500人以上を殺害、イスラエル側にも約80人の死者が出た。

 ハマスはイランの支援を受け、エルサレムなどにも届く長距離のロケット弾を開発、イスラエル側の懸念が深まる大きな要因になっている。特に昨年9月以降、ヨルダン川西岸などでパレスチナ人によるイスラエル人襲撃、それに対するイスラエル治安部隊の攻撃が続発。ハマスとイスラエルの緊張も次第に高まっていた。

 ハマスとエジプトのシシ政権との関係も悪い。ハマスは元々、シシ大統領が軍事クーデターで倒したモルシ前大統領の出身組織「モスレム同胞団」のガザ支部。このため親組織を倒したシシ政権とは関係が悪化し、武器や補給物資の外部との唯一の搬入口であるエジプトとの境界検問所も閉鎖されたままだ。密輸トンネルも大半がエジプト軍の管理下に置かれている。

3者の思惑と実利が合致

 この3者が“同盟”を組むことになったのは、それぞれの思惑と実利が合致したからに他ならない。3者にとって共通の敵であるIS勢力に対抗する必要に迫られているからだ。

 ガザ地区やイスラエルに接するシナイ半島はISのエジプト分派組織「シナイ州」の拠点だ。「シナイ州」は2014年11月に反政府過激派がISに忠誠を誓い、設立された。それ以降、シナイ半島の町や村落、エジプト政府軍の陣地、検問所などへの奇襲攻撃を続け、政府軍との戦闘を繰り返してきた。

 特に昨年10月末、シナイ半島の世界的な保養地シャルムエルシェイクから離陸したロシア旅客機に爆弾を仕掛けて空中爆破、240人を殺害したテロ事件を起こし、政府軍への攻撃をさらに激化させている。

 クーデターで政権を奪取したエジプトのシシ政権の看板は治安の安定である。ところが「シナイ州」を壊滅できないどころか、首都カイロでもテロが頻発する事態に国民の信頼は低下しつつある。

 シシ政権はとりわけ、「シナイ州」とガザのIS勢力が合体することを懸念している。「シナイ州」のこれ以上の勢力拡大は治安の悪化に拍車を掛けることになるからだ。治安の回復ができなければ、どん底にある観光産業の復活は期待できない。早急に「シナイ州」の壊滅が必要なのだ。

 イスラエルにしてもISのテロの矛先がイスラエルに向けられるのは「時間の問題」という脅威に直面している。ガザに「シナイ州」の戦闘員が入ることになれば、イスラエルの安全保障が重大な危険にさらされてしまう。そうした思惑がシシ政権を通じてハマスを動かしたと言えるだろう。

ガザへのIS侵入は容認できない

 ISから不信心者の集団とレッテルを張られているハマスにしても「シナイ州」のガザ浸透は容認できない。それでなくてもガザ地区内にISシンパである「イスラム国の支持者たち」という過激組織が急速に台頭、対応を迫られている。エジプトから「シナイ州」が入り込んでくることはハマスの存亡にもかかわってくるからだ。

 しかも、東京23区の6割という狭い面積に180万人のパレスチナ人が居住するガザはイスラエルとは高い塀によって隔離された“巨大な監獄”。イスラエル側の検問所が閉鎖されている状況では、エジプト側の検問所に物資の補給を依存せざるを得ない。しかしシシ政権が検問所を閉鎖しているため、経済的な困窮に追い込まれているのが実状だ。

 ハマス側には、ガザの境界の警備強化というシシ政権の要求を受け入れ、その見返りに検問所を再開させたいとの切羽詰まった事情があるのだ。ISの恐怖が生んだあり得ない“同盟”である。


http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6714  

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