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トランプの外圧は日本の国防“独立”への好機 やはり暴走、「オルタナ右翼」が牛耳るトランプ政権 正確な情報分析は二の次? 
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/599.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 2 月 02 日 17:02:46: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

トランプの外圧は日本の国防“独立”への好機
米国のご機嫌取りでは同盟強化にならない
2017.2.2(木) 北村 淳
米海兵隊のF35、岩国基地へ出発 国外で初配備
英国で開かれた「ファンボロー国際航空ショー」で飛行したロッキード・マーチンの最新鋭ステルス戦闘機F-35(2016年7月12日撮影、資料写真)。(c)AFP/ADRIAN DENNIS〔AFPBB News〕
 先週の本コラム「トランプの『防衛費増額』要求はこうして突っぱねよ」では、トランプ政権による在日米軍駐留経費の増額(例えば沖縄を本拠地にしている第3海兵遠征軍の駐留に関連する経費の全額負担、あるいは大幅増額など)に対しては、金銭に見積もれば日本側だけでなくアメリカ側も莫大な利益を享受している情況を示しながら日米交渉にあたるべきだということを指摘した。

 ただし、これは「駐留経費」増額の要求に対してである。トランプ政権は駐留経費増額以上に日本の国防費全体の増額も求めてくるであろう。それに対しても突っぱねるべきだというわけではない。

 日本の国防費が国際的指標ならびに日本を取り巻く軍事的環境から客観的に評価すると異常なほど少ないことは明らかである。トランプ政権からの国防予算の増額要求は、いわば外圧を契機として国防費を国際常識的規模にするための良い機会と言える。

国防費のGDP比が低い日本とドイツ

 中国の覇権主義的海洋進出や北朝鮮の核戦力強化などに対応すべく、安倍政権は防衛費の増額を進めている。とはいうものの、増額の幅はいまだに微増レベルに留まっている。各国の防衛努力を数量的に指し示す国際指標である国防支出対GDP比は依然として1%レベルであり、国際社会平均(2.3%)の半分以下の状態が続いている。

 ちなみに、日本の国防予算の規模そのものはストックホルム国際平和研究所(スウェーデン)が公表した国際比較(2015年)では第8位である。しかしGDP比はきわめて低い。

 下の表はストックホルム国際平和研究所のデータより作成した国防支出トップ15カ国のデータである。表から明らかなように、GDP額が高い割に国防支出が低いのが日本とドイツだ。結果として両国は国防支出のGDP比がそれぞれ1%と1.2%と15カ国中最低レベルになっている。

国防支出トップ15カ国(ストックホルム国際平和研究所のデータより作成)
(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49060

トランプの言う「同盟力強化」とは

 トランプ政権はオバマ政権下でGDP比3.5%以下にまで落ち込んでしまったアメリカの国防費を、かつてのレベルである4.0%以上に引き上げるという方針を打ち出している。この程度の額にしなければ、選挙期間中より公約してきた海軍力再建は不可能である。そして、アメリカ自身の国防費を増額する以上、NATO諸国や同盟諸国に対しても経済規模相応の国防費増額を要求することは必至である。

 アメリカが国防費を増加させて戦力増強に努めるのと歩調を合わせ、同盟諸国も国防費を増加させ戦力アップを図ることで、アメリカと同盟諸国の総合戦力は大増強が目論める。これこそ、トランプ大統領が打ち出している同盟の強化の実体的意味である。

「同盟を強化する」と首脳同士が誓い合っても、自動的に同盟国全体の戦力すなわち同盟力がアップするわけではない。また、どちらか一方が国防費を増額し戦力強化に励んでも、他方がそのような努力を欠けば、それは同盟戦力の強化とは見なせない。それぞれの同盟国が経済規模や戦略環境に応じて、相応の国防費を計上して戦力アップを図ることにより、同盟力が強化されるのだ。

 おそらくトランプ政権は、世界第3位の経済規模を誇る日本と同じく4位のドイツには、少なくともイギリスやフランス並みにGDP比2%以上、できれば国際平均値である2.3%程度を目標に国防費を引き上げるように要求してくるものと思われる。その場合、日本の国防費は11.5兆円まで引き上げられることになる。

従来の慣行では血税を無駄遣いするだけ

 だが、仮に日本が国防費をGDP比2%程度まで、もしくはそこまではいかずとも1.5%程度まで引き上げたとしても、従来の国防予算編成の慣行から脱却しない限り、血税の無駄遣いを倍増させる結果となりかねない。

 すなわち、予算が大幅に増えたからといって国防当局がここぞとばかりに「買い物リスト」をこしらえて「モノ先にありき」を繰り返すようでは、それこそトランプ政権の思う壺になってしまう。

「日本の国防費が倍増されそうだ」となったら、トランプ政権はアメリカの基幹産業たる軍需産業を陣頭指揮して日本への売り込みを図るであろう。

 すでに日本への売り込みを始めている超高額兵器の弾道ミサイル防衛システム「THAAD」、F-35戦闘攻撃機などをはじめ、日本を売り込み先として狙う商品は少なくない。

 同時に、アメリカ自身が高額すぎて調達に支障を来している最新鋭高性能超高額兵器を日本に売り込むことでコストダウンを図り、米軍にとっても手ごろな価格に引き下げる策を実施するであろう(例えばTHAADはあまりにも高額なため、アメリカ軍は思ったように配備数を増やせない。F-35も、トランプ大統領自身が高額過ぎるとクレームをつけた)。

米国のご機嫌取りでは同盟強化にならない

 アメリカの超高額兵器を日本が多数購入すれば、トランプ政権は、日本政府やメディアを喜ばせるノウハウに長けているアメリカのシンクタンクなどと一緒になって「日米同盟が強化された」などというまやかしを並べ、日本側を持ち上げたり安心させたりするであろう。

 しかし、自衛隊がアメリカ製の超高額兵器を手にしたとしても、必ずしも日本の防衛力が強化されるわけではない。場合によっては、日本防衛にとって決して効率の良いツールとはならない。莫大な予算を投入してアメリカ製超高額商品を調達する前に、そのような予算を投入して揃えるべき日本の防衛にとって不可欠なシステムがいくらでも存在するのだ。

 地政学的戦略環境を考えれば、日本にとって国防費総額の倍増は間違いなく必要である。トランプ政権の外圧を利用することはその絶好のタイミングであるし、ひょっとすると最後のチャンスかもしれない。

 しかし、アメリカに対する“ご機嫌取り”が、すなわち“日米同盟の強化”という誤った姿勢のままでいては、国防費倍増も無駄な出費に終わるだけである。そうした姿勢は即刻捨て去り、アメリカも日本も共に戦力強化に努め、トータルで同盟力を強化するという正しい方向性に向かわなければ、日米同盟が中国に太刀打ちできなくなる日が遠からず訪れることになるであろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49060


 


やはり暴走、「オルタナ右翼」が牛耳るトランプ政権
正確な情報分析は二の次?政治の経験と知識に乏しいトランプ
2017.2.2(木) 黒井 文太郎
メディアは「野党」 バノン首席戦略官、口つぐめと威嚇
米ニューヨークで行われた記者会見の場に姿を見せたトランプ大統領の最側近の1人、スティーブ・バノン氏(2017年1月11日撮影)。(c)AFP/DON EMMERT〔AFPBB News〕
 暴走一直線のトランプ政権だが、その最大の理由は、トランプ政権の政策決定過程にある。アメリカ政府の省庁・機関にいた強力なヒューマンリソースが政策決定ラインから外され、ホワイトハウス内に入り込んだ少数の側近が、政治の経験と知識に乏しいトランプ大統領に影響を与えているのだ。

 まさに絵に描いたような側近政治だが、安全保障面でいえば、問題の根が深刻なのは、その側近グループがその分野のプロフェッショナルではない人物ばかりで、しかも中心に、情報・知見より政治的主張を優先する「オルタナ右翼」(オルト・ライト)系の人脈が陣取っていることだろう。

 トランプ大統領は、自分に批判的な主要マスメディアの報道を信用せず、「ロシアがトランプ政権誕生を水面下で支援した」と分析した米情報機関を遠ざけ、フェイク(偽)ニュースに満ちたオルタナ右翼系メディアなどが発信する情報を信用している。

 世界に影響力をもつ超大国がそのような側近政治になってしまっていることは、当然ながら世界の安全保障環境に影響を与える。超大国アメリカが偏った視野の情報認識だけで、思いつきのような政策を実行していけば、世界が蒙る迷惑は多大なものになるだろう。

トランプ政権の安全保障政策を司る4人

 では、トランプ政権の安全保障政策チームとは、どのような人々によって構成されているのか。

【スティーブ・バノン】(主席戦略官兼上級顧問)

 まず、安保政策に限らないが、現在のトランプ政権で最も発言力が大きいのが、主席戦略官兼上級顧問のスティーブ・バノンである。彼は、オルタナ右翼の中心人物の1人であり、オルタナ右翼の宣伝に大きな影響力を持つニュースサイト「ブライトバート・ニュース」の元会長だ。

 ブライトバート・ニュースは、白人至上主義系の人種差別的な主張を展開し、激しい論陣で移民反対を訴えてきた。既存のエスタブリッシュメント層に強い反感を表明し、「もう1つの保守」として共和党主流派をも攻撃している。

 早くからトランプ支持を打ち出し、本選でも「クリントンはISを創設した」「クリントンは重病」などのフェイクニュースすら利用してクリントン陣営を攻撃した。最近も「昨年の大晦日にドイツでイスラム教徒が警察署を襲撃し、教会に放火した」というフェイクニュースを流して、イスラム教徒への反感を煽っているが、このようにブライトバート・ニュースは「ファクト(事実)より主張が影響力を持つ」というSNS時代に顕著になっている“ポスト真実”の傾向を、まさに体現しているメディアといえる。

 ブライトバート・ニュースの主張とトランプ大統領の主張はほぼ同一であり、トランプ大統領がブライトバート・ニュースの論調の強い影響を受けていることが窺える。

 その中心人物であるバノンは、いわばトランプ政策のイデオローグのような存在である。選挙戦では、苦戦が伝えられるなかの2016年8月、当時の選対本部長が退いた後に、選対本部の最高責任者に就任した。その論功行賞もあってのホワイトハウス入りだが、彼はそれだけの存在ではない。

 トランプ政権のホワイトハウスでは、本来なら側近ナンバー1である首席補佐官と同等の立場とされているが、政策面では、批判の集中砲火を浴びているトランプ大統領に対して、ブレーンとしてむしろ影響力が強いとみられる。

 また、米政権としては例外的なことだが、トランプ大統領は閣僚でもないバノンを、外交・安全保障政策を検討する国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーにした。通常、米政権内での発言力は、国務長官、国防長官が上位で、政権によっては副大統領が強い影響力を持つこともあるのだが、トランプ政権では大統領の懐刀であるバノンが優位にある。

 トランプ政権の政策は、バノンと共鳴している大統領が、情報機関や省庁の分析を退け、ファクトより主張を優先するオルタナ右翼の手法をそのまま持ち込んでいるため、現実面でさまざまな問題を生じている。

【ジャレッド・クシュナー】

 トランプ大統領の娘婿である36歳のクシュナーは、通商・中東政策担当の上級顧問としてホワイトハウスに入ったが、トランプ大統領の身内であることから、大統領の対外的な窓口を担当する秘書的な最側近として振る舞っている。当然、背後には大統領が最も信頼している実娘のイヴァンカ・トランプがいる。

 クシュナーは不動産業者の家に生まれた実業家だが、トランプ大統領と同じく政治経験はない。トランプ陣営の選挙顧問を経てのホワイトハウス入りだが、安全保障問題はまったくの門外漢である。それでも中東政策担当とされたのは、ユダヤ人だからであろう。

 しかし、クシュナーは安全保障政策も含めて、トランプ大統領の独自政策のほとんどでアドバイスを行っているとみられる。妻のイヴァンカは公的には大統領の顧問ではないものの、夫とともに父親に広範囲にアドバイスしているとみられる。

 トランプ大統領は人を「自分にとって味方か敵か」で考えていて、自身が最も信頼しているイヴァンカとクシュナーを近くに置いているため、この“政治経験もなく安全保障に関する知識も乏しい若い夫妻”の政治への影響力が非常に大きくなっている。

【マイケル・フリン】(国家安全保障担当大統領補佐官)

 NSCをとりまとめ、ホワイトハウスの安全保障政策の要となるのが、国家安全保障担当大統領補佐官である。トランプ政権でその要職に抜擢されたのが、マイケル・フリン元陸軍中将だ。

 この要職には本来、国際関係・安全保障の専門家が就くのだが、トランプ政権の場合、共和党予備選中に、主だった共和党系の専門家がトランプ不支持を表明してしまっていたために人材が枯渇しており、そんな中でトランプ大統領と波長が合ったフリンが抜擢された。もっとも、フリンは軍出身とはいっても、その特異な言動で主流派からは外れた人物である。

 フリンは国防総省の情報機関「国防情報局」(DIA)の元局長で、米軍のインテリジェンスの要職にいた。だが、当時からイスラム教全体を嫌悪し、差別的な言動が問題視されていた。部下の分析を思い込みで否定することも多く、DIA内でも浮いた存在となり、アメリカの各情報機関が集まる「情報コミュニティ」でも孤立して2014年に更迭されている。

 また、フリンにはロシアとの密接な関係も指摘されている。昨年、ロシアの宣伝放送「RT」関連の会合に参加して金銭を受け取っていたほか、オバマ大統領(当時)がロシアへの追加制裁を決めた前日、駐米ロシア大使と5回にわたって電話連絡していたことも判明している。

 そんな人物だが、それでも安全保障問題に関わった人物が少ないトランプ政権では、その分野での発言力は大きい。NSCのまとめ役として、政権の事実上の安全保障ブレーン集団となるNSC事務局スタッフの人選にも大きな影響力を持っている。

【ラインス・プリーバス】(大統領首席補佐官)

 44歳の弁護士であるプリーバスは、学生時代から政治運動に参加し、共和党スタッフとして長く活動。共和党ウィスコンシン州委員長から共和党全国委員長となった。共和党組織に精通し、前出のバノンと違い、共和党の実力者たちにも人脈がある。

 政治のプロが少ないトランプ政権では、数少ない政治のプロであり、選挙戦ではトランプ陣営のとりまとめに奔走した。その功績を認められたことと、やはり政権の政治運営を期待されての首席補佐官抜擢となった。

 政権では政策面より、組織運営面で中心的な存在となる。安全保障政策を含め、トランプ大統領がバノン主席戦略官などと繰り出していく急進的な政策に対しては、それを主導するというよりは、政治的な手法の部分でフォローする役割にまわってしまっているとの指摘もある。

*  *  *

 以上4人が、トランプ政権の安全保障政策で中心となる大統領最側近の政権内実力者といっていい。ホワイトハウス内の序列ではバノンとプリーバスが双璧といえるが、現時点では大統領と近いバノンの発言力が突出しており、安全保障政策でも主導権を握っているものとみられる。

 また、大統領の身内のクシュナー夫妻も、ほぼすべての分野で大統領の最も信頼するアドバイザーとして大きな影響力がある。フリンは安全保障分野の専門的なアドバイザーとして、自らの発言力の確保を画策している状況といえる。

大統領を支えるホワイトハウスのキーマン

 この他、ホワイトハウス内で安全保障政策に関与しているキーマンは以下である。

【スティーブン・ミラー】(政策担当大統領補佐官)

 トランプ大統領のスピーチライターでもある31歳のミラーは、政策担当の大統領補佐官である。学生時代から政治運動に関わり、複数の共和党議員のスタッフを経て、トランプ陣営に加わっている。

 前出のバノン主席戦略官とも交流があり、トランプ政権のホワイトハウスでは、バノンと組んで政策の主導権を握る。世界中を大混乱に陥れた「中東7カ国の国籍保持者の入国禁止」の大統領令において、当初は「永住権保有者は除く」とした国土安全保障省案をバノンとミラーが独断でひっくり返したと報じられている。

【キャサリン・マクファーランド】(国家安全保障担当副補佐官)

 もともとはフォード政権時代のキッシンジャー補佐官のNSCスタッフで、安全保障問題のアナリストとして実績を上げ、レーガン政権で国防次官補代理も務めた。その後は主に保守系のFOXニュースの解説者などとして活動してきた。

 安全保障問題の経験者が少ないトランプ政権では、数少ない専門家の幹部として一定の発言力を持つとみられる。オバマ前政権の対テロ政策の甘さを強く批判しており、上司のフリン補佐官と同様、イスラム過激派への警戒を強めるべきと主張している。

【キース・ケロッグ】(NSC事務局長)

 フリン補佐官の部下として、政権の安全保障政策ブレーン集団「NSC事務局」のスタッフをとりまとめる。

 元陸軍中将で、空挺部隊の出身。第82空挺師団長も務めた。また、イラク戦争では有志連合作戦指揮官も務めている。選挙戦中からトランプ陣営の安全保障問題アドバイザーだった。彼もまた、政権内の数少ない安全保障の実務経験者として影響力を持つ。

*  *  *

 ホワイトハウス内の大統領の側近としては、この他にも、元選対本部長で実質的な対外広報役を務めるケリーアン・コンウェイ上級顧問、ホワイトハウスの正規の報道官であるショーン・スパイサーなどがいるが、安全保障政策立案にはあまり関わっていないものと思われる。

 さらにこの他にも、ホワイトハウスのスタッフではないが、トランプ大統領が頼りにする人物がいる。

【ルドルフ・ジュリアーニ】(元ニューヨーク市長)

 サイバー・セキュリティ・アドバイザーに指名されているが、安全保障政策も含めた広範囲な分野で、トランプ大統領の実質的なアドバイザー役になっている。ジュリアーニはテレビのインタビューで「イスラム教徒を合法的に入国させない方法はないか、大統領から聞かれた」と発言している。

発言力を削がれる「長官」たち

 以上がトランプ大統領に直結し、政権の安全保障政策に深く関わるホワイトハウスの関係者である。側近政治を進めるトランプ政権では、それ以外の要人の影は薄い。

 国務長官になるのは、エクソン・モービル社元最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーソン。国務長官は本来なら、政権で大統領に次ぐ外交・安全保障政策を司るナンバー2である。ティラーソンはロシアとの関係が深い人物だが、外交・安全保障の未経験者であり、その手腕は未知数だ。しかも、国務省では新政権発足にあたって、大勢の主要幹部がその任を離れており、影響力の大幅な低下は必至となっている。

 国防長官はジェームズ・マティス元海兵隊大将。アフガニスタンやイラクで戦闘部隊の指揮をとった勇猛な指揮官(あだ名は、勇猛を意味するスラング「マッドドッグ」)として知られ、米中央軍司令官も務めた。トランプ政権では最も直近まで軍の要職にいた専門家である。

 ロシアへの警戒を表明し、同盟国を重視する姿勢を示すなど、政権幹部としては現実的な安全保障政策を主張している。トランプ大統領が「水責め」復活を示唆した際には、マティス国防長官が反対を表明し、それでトランプ大統領が取り下げたこともあった。

 このようにマティス国防長官の存在は、トランプ政権の暴走を抑制する数少ない要素だが、ホワイトハウス主導の側近政治の下では、その指導力を発揮することができるか未知数である。

 同じことは、国土安全保障長官のジョン・ケリー元海兵隊大将にも言える。中東7か国国籍保有者への入国禁止措置では、担当省庁である国土安全保障省の責任者であるケリー長官に事前に相談もなく、すでにホワイトハウスと軋轢が生じている。

 発言力が制限されるのは、ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長とダン・コーツ国家情報長官(前上院議員)も明らかだ。両者ともトランプ政権ではNSC常任メンバーから外された。とくにコーツ国家情報長官は、駐ドイツ大使や上院情報特別委員会委員の経験があり、ロシアに対する厳しい姿勢が知られているが、この措置で情報機関全体とともに政権内での影響力は著しく低下することになる。

 トランプ大統領と敵対関係になっていたCIAについては、対テロ戦の強化を主張するなどトランプ大統領と主張が近いマイク・ポンペオ前下院議員が長官に任命された。CIAの重視というより、むしろCIAの影響力を削ぐ人事であり、その影響力は制限されるだろう。それに比べると、ニッキー・ヘイリー国連大使(元サウスカロライナ州知事)は、ロシアに厳しい立場ではあるが、トランプ大統領との距離は近い。

 こうした面々に加え、政権運営に発言力を持つマイク・ペンス副大統領(元インディアナ州知事)なども安全保障政策では比較的現実路線だが、ダンフォード統合参謀本部議長などの一部の専門家を除けば閣僚級幹部に安全保障分野の経験はほとんどなく、側近政治の下で指導的役割は与えられないだろう。

 1月30日、トランプ大統領は「自分の政権は記録的なスピードで政策を実行している」と自画自賛したが、オルタナ右翼が主導する側近政治では、充分に確度の高い情報が適切に分析されているとは考えられない。今後しばらくは、安易に提案された政策が実行され、混乱と分断が続きそうだ。

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コメント
 
1. 2017年2月02日 19:09:43 : 7YR7uvQtAg : 8bEsx3_oCqM[166]
何から守る?
ネトウヨはハシゴを外されたな。

マティス長官はソウルで記者団に対し、「『THAAD』は我々の連合国および米兵の安全保障のために存在しているため、仮に北朝鮮からの煽動的行動がないとすれば、THAAの必要性もなくなる」と語った上で、「北朝鮮以外の国はTHAADについて憂慮する必要はない」と補足した。


2. 2017年2月02日 23:53:50 : oQPtAwVU7o : 7FF2nG05v8k[9]
アメリカ。アメリカ人は日本人ウヨ。ネトウヨが大嫌い。

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