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特別リポート:トランプ大統領が誇る米空母戦略の「落とし穴」 韓国政治混迷で日本に降りかかる「火の粉」
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 3 月 15 日 22:47:07: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

News | 2017年 03月 15日 19:11 JST 関連トピックス: トップニュース
特別リポート:トランプ大統領が誇る米空母戦略の「落とし穴」

  3月2日、トランプ米大統領は、国防支出の増額計画を自画自賛する演説の舞台として、建造に約1兆5000億円を費やした米海軍の最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」の甲板を選んだ。写真は米バージニア州で、空母での演説前にブリーフィングを受ける同大統領(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)
 
Scot Paltrow

[ワシントン 9日 ロイター] - トランプ米大統領は2日、国防支出の増額計画を自画自賛する演説の舞台として、建造に130億ドル(約1兆5000億円)を費やした米海軍の最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」の甲板を選んだ。

トランプ大統領は、史上最も高額な軍艦となる最新世代の「フォード級空母」が、今後も米軍事力の海外投入における主役だと述べた。

「近い将来、これをもっと増やしていく」。トランプ大統領は熱心に聞き入る海軍将兵らにそう語り、最新型の空母は非常に大型で堅牢に作られているため、どんな攻撃にも耐えると断言した。

トランプ大統領は、米国が実戦配備する空母の数を10隻から12隻に拡大すると語った。さらに、3艦の「超大型空母」の建造コストがこの10年間で270億ドルから360億ドルへと3分の1も膨らんだことについて、コスト引き下げを約束した。

軍当局者によれば「ジェラルド・R・フォード」1艦だけでも、予算を25億ドル超過し、就役は予定より3年遅れている。2艦目のフォード級空母「ジョン・F・ケネディ」も予定より5年遅れている。

米海軍の最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」。昨年6月撮影。米海軍の提供写真(2017年 ロイター)
米最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」。昨年6月撮影。米海軍提供写真(2017年 ロイター)
トランプ大統領による拡張計画表明は、米国が巨費を投じた空母群の多くを撃滅できるような対艦兵器を仮想敵国が新たに建造しているとの証拠が増えているなかで行われた。また、空母が潜水艦に対して脆弱である点は、ここ数十年変わっていない。

2015年にフロリダ沖で行なわれた戦闘演習で、フランスの小型原子力潜水艦「サフィール」が、幾重もの防御網をすり抜け、米空母「セオドア・ルーズベルト」及び護衛艦艇の半数を「撃沈」した。他の海軍演習でも、ディーゼル電気推進の旧式潜水艦でさえ空母に勝利している。

1980年代初頭以来、現実の戦闘をシミュレートすることを意図した、いわゆる「フリープレー(無制限)」の軍事演習において、米国や英国の空母は少なくとも14回は撃沈している、と複数のシンクタンクや、各国海軍、メディア報道は指摘する。米海軍は演習の報告書を機密指定しているため、正確な合計は不明だ。

現在、空母を基盤として海軍戦略を構築している国は米国だけだ。米軍が展開している現役空母は10隻で、軍事的なライバルであるロシア及び中国が実戦配備しているのが各1隻ずつであるのに対して、10倍の規模となる。

防衛アナリストで韓国の慶煕大学教授でもあるロジャー・トンプソン氏は、中国、ロシア、イランを含む米国の仮想敵国が近年開発している強力な対艦兵器群により、空母の脆弱性は高まっているという。

こうした新たな兵器としては、中国の「東風21」のような地上配備型の対艦弾道ミサイルなどがある。射程距離は1100マイル(1770キロ)、音速の10倍で飛行するとされている。またロシアと中国の一部の潜水艦は、遠方から精密誘導巡航ミサイルを一斉発射することができ、空母艦隊の対ミサイル防衛網を圧倒する可能性がある。

2015年9月、北京の軍事パレードで登場した対艦弾道ミサイル「東風─21D」を積んだ車両。代表撮影(2017年 ロイター)
 
ロシア、中国、イランその他の諸国は、いわゆるスーパーキャビテーション魚雷も保有している。この魚雷は前方に気泡を発生させることで、時速数百マイルでの超高速移動を可能にしている。この魚雷は自律誘導できないが、艦艇を直線的に狙う場合、回避するのは困難だ。

2015年、ランド・コーポレーションによる報告書「米国水上艦艇に対する中国の脅威」では、武力衝突が発生した場合、「米軍の空母にとってのリスクは大きく、それは増大しつつある」と結論づけた。

「一片の疑いもなく、空母は単なる標的にすぎない」。1966年から1986年まで米国防長官の下で働き、国防アナリストとして米軍の兵器調達について批判的なピエール・スプレー氏はそう断言する。

<空母擁護論も>

海軍首脳部は空母を支持している。米太平洋艦隊司令官のスコット・スウィフト海軍大将は、昨年末に行なわれたインタビューで、空母の持つ多用途性を高く評価している。スウィフト司令官は、空母は戦闘地域の真ん中に送り込むのに十分な堅固さを備えており、依然として「非常に生存能力が高い」と述べた。

スウィフト司令官は、自分なら、激戦のなかでも「直ちに」空母の投入を命じると語った。とはいえ、新たな対艦兵器に言及した同司令官は、空母の「生存能力は15年前ほど高くはない」とも述べている。

トランプ大統領は、艦艇を350隻まで拡張するという選挙公約を守ると述べている。米海軍が展開可能な艦艇は現在277隻である。フォード級空母を新たに1隻建造するだけで、コスト超過がないとしても105億ドルかかる。大統領は来年度国防予算の540億ドル増額を提案しているが、これだけで20%近くを費やしてしまう計算だ。

国防総省の元幹部を含む批判派のなかには、米国政府は、高額で脆弱な少数の空母に国防予算を注ぎ込みすぎだという声がある。

トランプ大統領は演説のなかで、どのようにして空母12隻体制を実現するかを明らかにしなかった。だが彼は、フォード級空母は米国の英知を結集したものであり、攻撃に耐え得ると述べている。

「この艦に競争相手は存在しない」とトランプ大統領は断言した。その上で最新鋭空母「ジェラルド・R・フォード」は、米国工業技術の「最大、最高、最良」を体現していると称賛した。

 3月2日、米海軍の最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」での演説に臨むトランプ大統領(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)
http://s2.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170315&t=2&i=1176596983&w=&fh=&fw=&ll=644&pl=429&sq=&r=LYNXMPED2E0AF


<システムの不具合>

トランプ大統領が演説で触れなかった点がある。建造元であるハンティントン・インガルス・インダストリーズが「ジェラルド・R・フォード」を進水させたのは3年以上前だが、海軍は深刻な欠陥を理由に、いまだに同艦を就役させず、実戦配備に至っていない。着艦する艦載機を捕捉・停止させる拘束制動装置など基本的なものも含め、最新のハイテクシステムの多くが機能していない。

海軍は同艦の年内就役を予定しているが、批判は続いている。

上院軍事委員会のジョン・マケイン委員長は7月、声明書のなかでコスト超過を指摘し、未解決のまま残っている重大なシステム機能不全をリストアップした。

「フォード級空母計画は、わが国の兵器調達システムを改革すべき理由を示すケーススタディだ」と同氏は指摘した。

1月に退任したレイ・メイバス前海軍長官は、「ジェラルド・R・フォード」について、「このように艦艇を建造するなという典型例だ」とロイターとのインタビューで語った。「失敗するかもしれない要素がすべて失敗している」

メイバス前海軍長官によれば、彼が海軍長官に就任する以前にすでに計画が確定していたため、フォード級にはまだ設計すら済んでいないハイテク設備が満載されることになったという。

また前長官は、造船会社に「コストプラス(原価加算)」方式の契約を認めてしまったことも批判する。これによって造船会社は、建造費用にかかわらず一定の利益を確保できることになった。「コストを引き下げようというインセンティブがまったくなかった」

2013年11月、バージニア州での米最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」の命名式に集まった人々。米海軍提供(2017年 ロイター)


戦略的な欠陥を指摘する声もある。

海軍大尉と国防総省職員の経験があり、現在は「センター・フォー・ニュー・アメリカン・セキュリティ」で国防戦略評価プログラム担当ディレクターを務めるジェリー・ヘンドリックス氏は、空母は仮想敵国に対し、少ない投資で大きな成果を挙げるチャンスを与えてしまっている、と電子メールのやり取りのなかで指摘している。

彼の計算によれば、空母1隻の建造費用で、仮想敵国は空母攻撃用の対艦ミサイルを1227発配備できるという。

「同額の投資で、敵国はわが国の空母よりもはるかに多数のミサイルを製造可能で、それによってこちらの防御能力を圧倒できる」とヘンドリックス氏は言う。

空母中心の戦略に対する代替案として最も一般的に言われているのは、潜水艦や水上艦など、空母より小型で敏速な艦艇を圧倒的に多く建造することだ。潜水艦は護衛を必要とせず、地上の標的を遠方から攻撃できる。空母は、もう70年以上も前の第2次世界大戦以降、反撃能力を備えた敵との戦闘で実力を試されていない。

海軍及び外部の国防専門家の一部は、脅威が増大しているとはいえ、空母は依然として十分に生存能力が高く、重要な任務を遂行できると主張している。彼らは空母の機動性と迅速性を高く評価し、それ以外の方法では到達できない場所に米国が空軍戦力を投入することを可能にしていると言う。

ワシントンにあるハドソン・インスティチュート・センター・フォー・アメリカン・シーパワーのブライアン・マクグレイス副所長は空母擁護派だ。彼は、空母は地上の固定された空軍基地よりも脆弱性が低いと言う。

誘導ミサイル駆逐艦の元艦長であるマクグレイス氏は、「空母は巨大な浮かぶ空港だ。そして、単なる浮かぶ空港ではなく、時速40ノットで移動できる」と言う。「それに比べて、移動しない地上の空港がどれほど脆弱なことか」

だが、元国防総省職員で以前から国防総省の調達方針に批判的なスプレー氏は、より費用対効果の優れた兵器システムの構築に使えるはずの資金を空母が浪費している、と指摘する。

「フォード級空母を1隻作るごとに、米国の防衛力を損なっている」とスプレー氏は言う。

<深刻な欠陥>

熱心な空母擁護派と批判派の双方が同意するのは、現在の米国空母の配置には深刻な欠陥があるという点だ。攻撃機の補完能力である。攻撃機のほとんどすべてがF18ホーネットなど航続距離の短い機種であり、一部の紛争では役に立たない可能性がある。

特に中国軍は多数の対艦兵器を配備した海域を確立しており、敵国の艦隊が侵入することが不可能になっている。

太平洋艦隊のスウィフト司令官や空母を担当する海軍航空総軍司令官であるマイク・シューメーカー海軍中将など、米海軍の指揮官たちは、米海軍の空母はそうした海域にも安全に侵入し、任務を遂行するのに十分な時間とどまることが可能だと説明する。

だが外部アナリストの多くは、これほど高額な艦艇と5500人もの乗員をリスクに晒すことを大統領は躊ちょするだろうと言う。

標的を攻撃して帰還するために必要な燃料を搭載した場合、F18の戦闘行動半径は400カイリ(740キロメートル)にすぎないが、空母が比較的安全であるためには、「東風」ミサイルの射程外となる1300カイリ離れている必要があるのだ。

空母擁護派・批判派双方の専門家によれば、空母が安全な距離を確保しなければならないとすれば、F18が標的まで往復するために必要な空中給油の回数は非現実的に多くなるという。つまり、空母による航空戦力の戦闘地域投入がほとんど不可能になってしまう。

F18は2020年までに新型のF35C「ライトニングII」に交代するが、こちらも戦闘行動半径は650カイリとわずかに改善されているにすぎない。

写真は2014年11月、ロッキード・マーチン製のF-35C戦闘機(2017年 ロイター/Mike Blake)
 
空母擁護派であるハドソン・インスティチュートのマクグレイス氏も、航続距離の短い戦闘機のために任務が果たせないと言う。

「まだ(海軍が)着手していないのは、1000マイル(約1600キロ)飛行して爆撃を行い、帰還できるような攻撃機の設計と予算確保だ」とマクグレイス氏は言う。

戦略・予算両面での空母コストは、空母が単独で行動できないという理由により、さらに倍加される。空母は自らの防衛のために多くの護衛艦艇とともに移動することになり、1つ1つの「空母打撃群」がそれぞれ実質的な大艦隊となる。

空母1隻には、通常、駆逐艦や巡洋艦で構成される最低5隻の護衛艦艇、少なくとも各1隻の潜水艦と複合補給艦、さらに敵潜水艦探知用のヘリコプターが帯同する。また十分に陸地に近い状況では、地上配備の新型対潜哨戒・攻撃機P8「ポセイドン」による護衛も受ける。

<長年の脅威>

空母の司令官にとって最も恐ろしい兵器は、150年の歴史を持っている。潜水艦に搭載された魚雷1発で、空母1隻を沈没させることも可能なのだ。

最も近代的な魚雷は、艦艇を直撃することを目的としていない。その代わりに、敵艦の直下で爆発するようプログラムされている。これによって海中に気泡が生じ、敵艦が宙に浮いて海面に落下し、艦体が破壊される。

過去数十年、近代的な魚雷に対する効果的な防衛方法を海軍が開発していないという批判もある。国防総省の運用試験評価室による2016年の報告では、最近海軍が大きな進歩を遂げたものの、システムには依然として重大な欠陥があると述べている。

複数の専門家によれば、現在でも運用されている最も古い海軍艦艇の1つ、ディーゼル電気推進型の潜水艦(ディーゼル潜水艦)の最新型が、空母にとって脅威になっているという。このタイプの潜水艦は、過去2度の世界大戦においても使用されていた艦種である。

ディーゼル潜水艦は小型という長所がある。電気推進ではあるが音は小さく、一般に原子力潜水艦よりも静かで発見されにくい。

また、ディーゼル潜水艦は原子力潜水艦に比べて建造費がはるかに安い。米国の同盟国も仮想敵国も、多数のディーゼル潜水艦を建造してきた。世界全体では、230隻以上のディーゼル潜水艦が使用されている。中国は83隻、ロシアは19隻を保有している。

元国防総省職員のヘンドリックス氏は、空母の脆弱性ゆえに、艦隊が資金、艦艇、戦闘機の無駄遣いになっていると言う。

「もっぱら防衛志向の艦艇建造に何十億ドルも注ぎ込んでおり、艦隊の攻撃力が失われている」と同氏は語る。「結局、44機の戦闘機を空母から発進させるために、巨額の国防予算を使っていることになる」

(翻訳:エァクレーレン)

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FX Forum | 2017年 03月 15日 19:10 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:韓国政治混迷で日本に降りかかる「火の粉」=西濱徹氏
西濱徹
西濱徹第一生命経済研究所 主席エコノミスト
[東京 15日] - 足元の世界経済を巡っては、米国をはじめとする先進国を中心に自律的な回復局面を迎えるなど改善の動きが広がっている。こうした動きは、輸出依存度が相対的に高く世界経済に連動しやすい新興国にとって外需を足掛かりにした景気底入れを促している。

事実、アジアをはじめとする多くの新興国では、景気の回復感が強まる動きがみられる。しかし、韓国はそうした波に乗れないでいる。

<対中関係悪化で韓国経済は苦境に>

昨年の韓国の経済成長率は前年比プラス2.7%と前年(同2.6%)を辛うじて上回るも、10―12月期については前期比年率プラス1.56%と前期(同2.49%)から減速感が強まった。他のアジア新興国が景気の底打ちを示唆する状況とは対照的な展開が続いている。

この背景には、韓国の内需と外需を取り巻く環境がともに厳しいことが挙げられる。外需については中国との関係悪化が大きく影響している。

韓国は対北朝鮮戦略の一環として、在韓米軍による「高高度ミサイル防衛システム(THAAD)」の配備を決定したが、その決定がなされて以降、中国国内では韓国製品・コンテンツの締め出しや、韓国旅行を自粛する動きが広がっているとされる。

韓国にとって中国は、財輸出の3割超を占め、テレビ番組をはじめとするコンテンツ関連でも輸出の半分を占めるほか、来訪者の半分が中国人観光客であるなど、さまざまな面で依存度が極めて高い関係にある。韓国国内では一連の動きが「禁韓令」として報道されているが、今月に入って以降、THAAD配備に向けた準備が着々と進むなか、中国による「圧力」は一段と強まっている模様であり、輸出に一段と下押し圧力がかかることも予想される。

一方、内需を巡っては、家計部門の抱える債務残高が国内総生産(GDP)比80%と高いなか、家計部門の資産の大部分を占める不動産価格の低迷が長期化したことで逆資産効果の影響が続いている。

さらに、若年層を中心に雇用を取り巻く環境も厳しい展開となるなか、中銀が政策金利を過去最低水準に引き下げるなどの取り組みをしているにもかかわらず、個人消費は弱含む動きが続いている。

また、中国との関係悪化などをきっかけにした外需に対する不透明感は、国内需要の弱さと相まって企業マインド回復の勢いを削いでいる上、設備投資意欲にも悪影響を与えている。

<THAADと慰安婦合意のちゃぶ台返しはあるか>

さらに、韓国経済にとって痛手となったのが、朴槿恵前大統領に対する弾劾を巡って政府が長期にわたって機能不全状態に陥ったことである。朴前大統領は今月10日に憲法裁判所によって弾劾妥当との判決を受けて即日失職したことから、5月9日に出直しの大統領選挙が行われる。

次期大統領選に関しては、さまざまな候補者の出馬が取り沙汰されているが、世論調査で上位に挙がるのはいずれも野党候補であるなど、政権交代は必至とみられる。

なかでも「共に民主党」は、朴前大統領に対する弾劾を巡って与党が分裂した影響で国会において最大の議席数を有している上、上位5人の候補のうち3人が所属するなど、大統領選を経て同党に政権が移行する可能性は高いと見込まれる。今後は各党内における予備選挙などを通じた候補者調整の行方に注目が集まる。

「共に民主党」で大統領選への出馬意向を示しているなか、世論調査で最も人気を集めているのが前代表の文在寅氏であり、文氏は前回の大統領選に出馬して朴前大統領に惜敗した経緯がある。文氏のほかには、支持率の高い順に同国中部の忠清南道知事を務める安熙正氏、同国北西部の京畿道城南市長を務める李在明氏が出馬に意欲を示している。

文氏は同党内の主流派とされる中道路線を標榜する一方、安氏は党内では穏健派に位置し、対する李氏は強硬派とされる。こうした姿勢は韓国が直面する課題(THAAD、慰安婦合意など)への対応にも違いを生んでいる。

穏健派の安氏はTHAADについては米韓合意を尊重し、慰安婦合意についても歴史問題と日韓関係の発展を切り分けるとの考えを示しているが、強硬派の李氏はTHAADの配備撤回、慰安婦合意も全面的な再検討を求めるなど、ちゃぶ台返しを示唆している。

他方、文氏は現時点でTHAADについては次期政権が決定するとし、慰安婦合意についても再交渉が必要とするなど、明確な態度は示していない。その意味ではこれらの方向性については、いかようにも変化し得ると判断できる。

<世論動向に左右されやすい韓国の外交>

ただし、朴前大統領に対する弾劾訴追を巡る動きなどから分かったことは、韓国の政治と外交は国民世論の動向によって大きく左右される傾向が強いことであり、次期政権がいかなる形で誕生し、支持基盤を固めることができるか否かによって、THAADや慰安婦合意を取り巻く環境はどちらにも転び得る不安定な状況に置かれていると言えよう。

なお、韓国の次期政権が比較的高い支持率を得られれば、対外的な強硬路線をとる必要性は低下するとみられる。ただし、日本へのリスクについて考えると、慰安婦合意については韓国国内に強硬な反対論が存在し、多くの候補がいかなる形であれ再交渉を求める姿勢をみせるなか、日本にとっては合意で示された「最終的かつ不可逆的な解決」が反故(ほご)にされることへの反発も予想される。

また、THAADについては中国による「禁韓令」を通じて韓国経済にすでに深刻な悪影響が出ており、次期政権にはその緩和に向けた対策が求められる。しかし、仮に次期政権がTHAAD配備を再検討する事態となれば、きな臭い動きを続ける北朝鮮に付け入る隙を与えることで朝鮮半島情勢の混迷が懸念されるほか、米韓関係の急速な悪化を招くとともに、日韓間で昨年合意された秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)の見直しも必要になるかもしれない。

日本にとっては、韓国次期政権の身の振り方により、さまざまな火の粉が降りかかるリスクが懸念される。

*西濱徹氏は、第一生命経済研究所の主席エコノミスト。2001年に国際協力銀行に入行し、円借款案件業務やソブリンリスク審査業務などに従事。2008年に第一生命経済研究所に入社し、2015年4月より現職。現在は、アジアを中心とする新興国のマクロ経済及び政治情勢分析を担当。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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