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[習近平の支配]愛国のジレンマ
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投稿者 あっしら 日時 2017 年 7 月 15 日 17:11:46: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


[習近平の支配]愛国のジレンマ

(1)「あんなやつに会えるか」 中朝「血盟」の虚実

 北朝鮮の対外経済相、金英才(64)は5月15日、中国・天津の「海浜新区」を訪れた。客を厚遇する中国で異例だったのは、天津幹部が誰も金と会わなかったこと。前日早朝、北朝鮮は弾道ミサイルを発射していた。中国の国家主席、習近平(64)肝煎りの国際会議が北京で開幕する5時間前だ。顔に泥を塗られた習の怒りは天津に伝わった。


 1950年からの朝鮮戦争。多くの犠牲を払い、北朝鮮を支援した中国は、中朝関係について共に血を流し国を守った「血盟関係」と称してきた。ところが朝鮮労働党委員長、金正恩(33)と習の会談の可能性を中国の対朝政策関係者に聞くと、こう吐き捨てる。「あんなやつに会えるか」

 正恩は2013年2月、習が国家主席に就く1カ月前に核実験を強行。訪中の呼びかけを無視し、平壌の中国大使館さえ訪れていない。実態とかけ離れつつ、国家のために血を流す意義をうたい、世界が激変する中で共産党支配の正統性を強化しようと語り継いできた「血盟関係」という愛国の神話が中国を縛る。

北朝鮮利するだけ

 米大統領のドナルド・トランプ(71)が習に北朝鮮への圧力強化を迫った4月。中国共産党系メディアは「北朝鮮が核実験に踏み切れば、石油供給を制限すべきだ」とぶち上げた。だが想定外の事態が起きる。賛同の声だけでなく、「血を流して守った土地を忘れたのか」という批判が広がったのだ。最高指導部を入れ替える5年に1度の党大会を秋に控え、習は党内の分裂を嫌う。5月に入り、党系メディアの北朝鮮批判はぴたりとやんだ。

 「北朝鮮は同胞だ。米国が再び攻撃するなら、真っ先に軍に志願する」。朝鮮戦争に従軍した陳運秋(87)は自宅のベッドの上で拳を振り上げた。「毛沢東以来の『伝統的友好』は簡単に変えられない」(外交筋)。中国が在韓米軍との緩衝地である北朝鮮に対する政策転換に二の足を踏むうち、正恩体制は着々と核・ミサイル開発を進める。

 北朝鮮の核武装は中国にとっても脅威だ。党中枢を知る人物は、習が4月、トランプとの直接会談で語った内容を明かす。「北朝鮮は中国と旧ソ連の対立を利用してきた。中米が協力しなければ、北朝鮮を利するだけだ」。習は最近、指導部に提出された中朝の歴史に関する報告書を基に米中協力を説いたという。


「抗米援朝」消す

 北朝鮮に接する中国吉林省の延吉。「革命烈士陵園」の施設は今年初め、展示内容から「抗米援朝(北朝鮮を助け米国に対抗する)」の文字を消した。「上層部の指示だ」(館関係者)という。習は神話の呪縛から逃れられるか。習の支配の行方だけでなく、アジアや世界の未来も左右する。

 共産主義による統治が揺らぎ、中国共産党は支配の正統性を「愛国」に求める。だが政治があおる愛国は偏狭な民族主義に流れやすく、支配する側さえ揺さぶる。中国を縛る愛国のジレンマを追う。

(敬称略)

[日経新聞7月4日朝刊P.1]


(2) 3000万人操り「世論」形成 外交の振付師

 外交は内政の延長であり、その国の世論が左右する。共産党が一党支配する中国に世論はあるのか。


大学生らが軍服姿で愛国歌を合唱する

 「韓国に制裁を」。北京の韓国大使館が6月9日、中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」で文化事業を紹介すると、全く関係ない罵詈(ばり)雑言の書き込みが相次いだ。愛国主義的な主張をインターネット上で繰り返す若者「小粉紅」が攻撃をしかけたのだ。

 引き金を引いたのは中国共産党系の環球時報編集長、胡錫進(57)。パキスタンで20代の中国人男女2人がテロ組織に殺害された事件を巡り、2人が活動に参加していた「韓国のキリスト教団」に責任があるかのような論調を展開した。

 ちょうど、中国国家主席の習近平(64)が上海協力機構首脳会議に出席するため外遊を始めた直後だった。同機構への正式加盟承認を控えたパキスタンに悪感情が向くのを恐れた胡は、小粉紅を使って批判の矛先を韓国に向けた。

 小粉紅は、1994年に党が発布した「愛国主義教育実施綱要」で育った世代だ。中国当局が閲覧を制限する米グーグルなどに触れることなく、大学でも教養課程の半分は毛沢東思想、軍事訓練などが占める。


ネット言論利用

 「中華民族の復興へ、どんな困難にも負けない」。5月4日、全国の大学生ら2千人が北京に集まった合唱大会。学生が軍服姿で歌う愛国歌に拍手が湧いた。どこの国でもネット言論は過激な民族主義に染まりやすいが、中国ではそこに党支配の論理が強く働く。

 小粉紅が名をはせたのは2016年1月。台湾の女性アイドルが韓国のテレビ番組で台湾の「国旗」とされる旗を振ると、小粉紅は「台湾独立派だ」と批判。女性本人が謝罪動画を配信するまで追い詰めた。

 その背後で動いたのは、共産党の青年組織、共産主義青年団(共青団)トップの秦宜智(51)。共青団は15年、習から「大衆から遊離している」と批判された。窮地に立った秦は共青団に属する学生を小粉紅に育成し、微博で「小粉紅は愛国者だ」と持ち上げた。


暴走の恐れも

 3千万人の小粉紅は、習が掲げる「中華民族の偉大な復興」という大国外交を支える「世論」となる。在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)問題では韓国製品の不買運動を提唱。大手スーパー「ロッテ」の中国店舗の大半を休業に追い込んだ。

 だが、ゆがんだ「世論」は暴走気味だ。昨夏、中国競泳界のスター選手をオーストラリア選手が「薬物使用者」と批判すると、北京の豪州大使館の微博は「豪州は犯罪者が多い」などと侮辱する書き込みで埋まった。南シナ海問題で摩擦が生じていた両国間に緊張が走り、中国当局は慌てて「世論」を抑え込んだ。

 共青団は5月、上海のアイドルグループを「優秀青年」として表彰した。小粉紅世代に人気のグループの表彰には、想定を超える力を持ち始めた「世論」に、支配する側がおもねる空気さえ漂う。

(敬称略)

[日経新聞7月5日朝刊P.1]


(3)メンツ優先、摩擦起こす 一帯一路で反発

 山村に突如、巨大なタンク群が姿を現す。中国南西部の雲南省昆明。ミャンマーで陸揚げし、1千キロ超のパイプラインで運んだ中東産原油を精製する製油所だ。周辺住民は「環境破壊が進むと猛反対した」が、4月に運用が始まった。


 中国が消費する原油の3分の1は世界最強の米海軍が影響下に置くマラッカ海峡を通る。15億ドル(約1700億円)を投じたパイプラインはマラッカを経由せず原油を輸入できる。「米国によるマラッカ海峡封鎖」への恐怖感が完成を後押ししたが、輸送能力は中国の輸入量のわずか6%。マラッカ経由の代替にはほど遠いのが現実だ。

 愛国という名で14億人の民の自尊心をくすぐり、米国と並ぶ大国への「夢」を語る中国。国の体面を優先し、非効率をいとわない事業を「メンツ事業」と呼ぶ。国家主席、習近平(64)が主導する広域経済圏「一帯一路(海と陸のシルクロード)」構想も、メンツ事業と無縁ではない。


一方的な支援

 「こちらが100%負担することも多い」。中国国有建設大手の幹部は、一帯一路構想に絡む道路建設などの実態を明かす。相手国が建設資金の15%を出す基本ルールがあるものの、財政力の乏しい国の事業では中国企業が全て負担することも珍しくないという。「中国の国家保証も貿易保険もある。焦げついても我々がカネを出すわけじゃない」

 カザフスタンの首都アスタナで昨年末、バレエ劇場が開業した。バレエ学院も備える。中国石油天然気集団(CNPC)が寄付した。同社は海外権益の含み損に苦しみつつも国の威信を背負うが、バレエ学院の学生は同社の寄付について「よく知らない」という。

 自国への「愛」を他国にも押し付ける中国の姿勢は、摩擦を引き起こす。

 「主権国家として受け入れられない」。5月、北京で一帯一路の国際会議が開かれる1週間前、中国側が示した貿易関連の分科会の声明案に欧州諸国などが猛反発した。習の功績や一帯一路を称賛する文言ばかり並んでいたためだ。結局、修正協議はまとまらず、分科会声明は出せなかった。


企業誘致止まる

 一帯一路会議は習の威信を国内外に誇示するひのき舞台。だがロシア大統領のウラジーミル・プーチン(64)は意に介さず、開幕式で「皆さん、ロシアへ来て」と呼びかけ、中国への対抗心を隠さなかった。

 経済拡大を優先し、共産主義からかけ離れた中国。習は「愛国」を唱え、祖国を大国に導けるのは共産党だけだと統治の正統性を主張する。だが身勝手な自己愛は、尊敬を生まない。

 山東省煙台。最近、1千社の韓国企業の誘致計画が止まった。住民は「在韓米軍への地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)問題がきっかけ」という。昨年着工した「中韓産業園」では看板が墓標のように打ち捨てられている。韓国の財閥系企業幹部は嘆く。「中国市場を捨てられない我々は、横暴にも耐えるしかない」

(敬称略)

[日経新聞7月6日朝刊P.1]


(4)「一つの中国」離れる同胞 香港から台湾へ移住

 台湾の台中市で雑貨店を営む劉殷晋(33)。2年半前、故郷の香港で行政長官選挙の民主化を求めて市民が道路を占拠した「雨傘運動」の渦中にいた。警察によるバリケード撤去が進むなか、自宅に残した生後1カ月の息子を思った。「ここでは君を育てられない」。台湾への脱出を決めた。


 収入は香港時代の4分の1に満たないが、「何より自由がある。異なる意見に耳を傾けない香港は、もはや香港人のものではなく中国のものだ」。台湾当局によると、2016年に香港から台湾への定住許可は1086人と、前年に比べて6割近く増えた。

 香港に高度な自治を認める「一国二制度」は、中国の最高指導者だったケ小平が台湾との平和的統一のモデルとして考案したとされる。だが12年に最高指導者となった習近平(64)は「国家の安全」を盾に、香港の自由や民主への抑圧を強める。一国二制度が変容し、香港の人々の心は大陸を離れて台湾へと近づくが、中国当局は香港や台湾の民主化運動を「独立運動」と敵視。中国の若者の愛国心を鼓舞する道具に使う。


言論空間は断絶

 「国家分裂の勢力は必ず伝染する。台湾や香港の独立は絶対に許せない。『一つの中国』という原則論で、すでに決まっている話だ」。中国・遼寧省の大学3年生で国際関係学を専攻する王寧(22)は、台湾や香港の独立問題に話が及ぶと好戦的になる。「(台湾や香港の若者と)分かり合う? 全く甘い考えだ」

 経済の急成長は大陸の若者たちに国家へのプライドを植え付けた。スマートフォンでの連絡も中国の若者は「微信(ウィーチャット)」を愛用し、中国政府による情報検閲を恐れる香港や台湾の若者は大陸で使えないフェイスブックなどを好む。言論空間の断絶は「同胞」意識を薄れさせる。

 習は台湾の対岸にある福建省での勤務経験が長い。秋の共産党大会で権力基盤を固め、次に台湾との統一を政治目標に掲げるとの見方は強い。中米パナマが台湾と断交するなど、習による外交戦は加速している。


独立の動き批判

 「1等おめでとう」。6月18日、福建省アモイ。台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室主任(閣僚級)の張志軍(64)は賞金3万元(約50万円)を学生に手渡した。中台の若者が民間交流促進の知恵を競う大会だ。経済力は求心力。だが金銭だけで「同胞」の心はつなぎ留められない。台湾でネットベンチャーを起業し、中国のファンドの出資を受けた男性は「台湾への『愛国心』まで買われたつもりはない」と言い切る。

 「いかなる挑戦も絶対に許さない」。習は1日、香港返還20年の式典で独立の動きを強く批判した。だが直後の民主派デモでは「香港独立」の旗を掲げる若者も。習が「中華民族の偉大な復興」と訴える国家への愛は、「同胞」の心に響いていない。

(敬称略)=この項おわり

 大越匡洋、粟井康夫、多部田俊輔、原田逸策、永井央紀、伊原健作が担当しました。

[日経新聞7月7日朝刊P.1]


 

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