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日本企業を脅かす村上ファンドOB、想定外の苦戦相次ぐ…リコーや第一生命も買い占め(Business Journal)
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/352.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 1 月 27 日 00:49:35: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日本企業を脅かす村上ファンドOB、想定外の苦戦相次ぐ…リコーや第一生命も買い占め
http://biz-journal.jp/2017/01/post_17854.html
2017.01.27 文=高橋篤史/ジャーナリスト Business Journal


 買い占め側からすると、まるで「焦土作戦」に遭った気分かもしれない。
 
 1月10日、シンガポールに拠点を置く投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」は自動車部品メーカー、ユーシンの株式5.0%を取得したとして関東財務局に大量保有報告書を提出。その日の16時32分、電子開示システムのEDINETにおいて情報は公に開示された。

 買い占め株数は多くなく、投資額も5億円余りと、百戦錬磨のエフィッシモにすればそれほど重要な投資案件というわけではないが、注目すべきは同時に昨年12月22日付で会社側に株主提案を突き付けていたことも公表した点だ。田邊耕二会長兼社長(当時)の高額な取締役報酬をやり玉にあげ、次の株主総会で2億円以下への削減を決議するよう求めたのである。言ってみれば宣戦布告だ。

 高坂卓志氏ら村上ファンドの若手出身者3人が2006年6月に立ち上げたエフィッシモはここ数年、日本企業から最も恐れられている“物言う株主”といっていいだろう。その手法は村上ファンドを踏襲するもの。コーポレート・ガバナンス(企業統治)で問題を抱えている割安な中小型株に狙いを定め、株式を買い占めるや公然と会社側への批判を開始、自己株買いなどに追い込んで高値売り抜けを図るというものだ。

 ただ攻撃方法は微妙に異なる。村上ファンドは村上世彰代表(当時)がマスコミ相手にまくし立てるポジショントークによって、世論形成を図り会社を追い詰めていった。対してエフィッシモは正論を掲げて会社側の非をあげつらい、粛々と追い詰めていき、最終手段として裁判闘争に持ち込んでいくやり方が特徴だ。

■売り抜け成功相次ぐ

 そうやって上げた戦果の代表例は、ダイワボウ情報システムと新立川航空機・立飛企業グループの買い占め劇だった。

 デビュー戦ともいえるダイワボウ情報システムの買い占めが明らかになったのは07年8月。投資額は129億円に上った。同社は親会社である老舗繊維会社ダイワボウと親子で上場しているという難点を抱えていた。結局、翌年10月、ダイワボウは買い占め株の引き取りを決定。エフィッシモはじつに70億円もの売却益を得た。

 兄弟会社の関係にあった新立川航空機と立飛企業の株買い占めも、同時期に始まったものだった。投資額は213億円近くに達した。ただ、こちらはしばらく膠着状態が続くこととなる。そこでエフィッシモ側が繰り出したのが裁判戦術だった。提訴は09年9月のことだ。新立川航空機と立飛企業は互いに株式を24〜30%持ち合っていた。法律上本来ならそれらの議決権は認められないが、両社はルールを踏まえず議決権として数えていた。言ってみれば、兄弟会社が馴れ合いでシャンシャン総会を仕切ってきたわけで、エフィッシモはその急所を衝いたのである。

 結果、新立川航空機と立飛企業は自らの非を認めざるを得なくなり、10年10月に是正措置を約束する。そして1年後、MBO(経営陣による自社買収)を実施、それによってエフィッシモはまたもや売り抜けに成功したのである。売却益は約68億円に上った。

 その後もエフィッシモは日産車体やテーオーシー、オービックをめぐり裁判を仕掛けている。ただそうした公然活動は14年5月のオービック経営陣に対する株主代表訴訟を最後にぱったりと止んでいた。その沈黙を破り久々に強硬手段に打って出たのが冒頭のユーシンだったというわけである。

 ユーシンは30年以上にわたり最高権力者の座にある田邊氏の専横ぶりが目に付くようになっていた。海外進出で業容を拡大した功績があった一方、公募による後継社長の指名を撤回するゴタゴタがあった挙げ句、10億円を超す高額報酬を得ていたのである。

■焦土作戦

 ところがエフィッシモの大量保有報告書公表の約30分前、当のユーシンは思わぬ発表を行っていた。買収した海外事業で多額の特別損失が発生し、16年11月期が100億円近い最終赤字に陥る見通しとなったというのだ。さらにそのことが財務制限条項に抵触、銀行団の圧力もあり、権力を欲しいままにしていたはずの田邊氏があっけなく辞任し、会社から去ることになったのである。

 劇的な効果を狙ってタイミングを見計らい大量保有報告書を提出したエフィッシモにしてみたら、宣戦布告を突き付けた相手が突然いなくなってしまったわけで出鼻を挫かれたことこの上ない。しかも、突然の赤字転落により純資産は4分の1近くも一気に毀損されてしまい、投資の前提条件である株価の割安感もかなり薄れてしまった。

 じつは似たようなケースは15年にも起きている。投資先のセゾン情報システムズをめぐるものだ。同社も親会社のクレディ・セゾンともども上場しているという難点を抱えていた。クレディ・セゾンは09年に経営不振の上場子会社アトリウムを完全子会社化して事実上救済していた。そうした“実績”も踏まえると、セゾン情報システムズはまさにエフィッシモ好みの投資先といえた。

 それ以前から買い占めを進めていたエフィッシモは15年2月6日、さらに圧力をかけるべくTOB(株式公開買い付け)の実施を会社側に通告する。ところがその前日、セゾン情報システムズは大型開発案件の遅延に関わる引当金の計上で業績を大きく下方修正すると発表していた。エフィッシモはそれでもTOB計画を続行、約65億円を追加投資して持ち株比率を33.0%にまで引き上げた。
 
 すると1年後の16年3月、セゾン情報システムズは同じ開発案件でさらに約78億円の和解金を支払うことを発表した。大赤字が続いたことで14年3月末に165億円あったセゾン情報システムズの純資産は、わずか2年で3分の1以下の49億円にまで減ってしまった。

 一連の動きはエフィッシモからすると、狐につままれたような出来事だったかもしれない。というのも、問題の大型開発案件の発注者はセゾン情報システムズの親会社であるクレディセゾン及び同社の子会社だったからだ。確かに別個の法人間の取引なので開発失敗による和解金支払いには道理がある。が、クレディ・セゾングループ全体で見れば、それによる資金流出があったわけではない。突き詰めればグループ内での資金移動があっただけだ。エフィッシモにしてみたら、買い占め勢力に対抗して企業価値を意図的に低下させる焦土作戦と映ったことだろう。

■神経戦は続く

 こうした苦戦ぶりの半面、エフィッシモのファンド規模がここ2年ほどで急激に膨張しているのも事実だ。前述した新立川航空機・立飛企業グループに対する買い占め劇など過去の大々的な成功で、投資家から資金が大量に流入しているのだろう。

 ファンド膨張に伴い案件あたりの金額は大きく跳ね上がっている。15年以降に買い占めが本格化した案件は大型株が目立つ。直近の投資額はヤマダ電機が521億円(持ち株比率15.3%)、川崎汽船が863億円(同38.4%)、リコーに到っては1048億円(同12.1%)にも上る。さらに詳細は不明だが9.0%を買い占めている第一生命ホールディングスでも投資額は1000億円を上回っているものとみられる。

 これら投資先に対しエフィッシモは今のところ表立った動きを見せてはいない。リコーや第一生命ホールディングスは日本を代表するような優良銘柄だけに、コーポレート・ガバナンス上の問題点をあげつらうこれまでの戦術が通用する相手とも思われない。エフィッシモがこうした大型案件でどのような作戦を描いているかはこの先明らかになってくるだろうが、不気味な沈黙が長く続いている。

 そうした大型投資と並行するかたちで今回、ユーシンに狙いを定めて得意の戦術を繰り出したわけだが、必勝パターンの持ち込むどころか、戦端を開いた途端に大きく躓いた格好だ。しかもセゾン情報システムズに続いての失態である。

 もっとも、エフィッシモは一度食らいついた相手をなかなか手放さない。煮え湯を飲まされたかたちのセゾン情報システムズだが、現在も持ち株比率33.0%を維持している。強面ファンドと日本企業との神経戦はまだまだ続くことになりそうだ。

(文=高橋篤史/ジャーナリスト)
 

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