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<巨額損失>東芝を「要注意先」に格下げした主力行の計算(毎日新聞)
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/655.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 2 月 04 日 10:30:31: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

    東芝の綱川智社長(右)と成毛康雄副社長=2017年1月27日、根岸基弘撮影(毎日新聞)
 

<巨額損失>東芝を「要注意先」に格下げした主力行の計算
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170204-00000013-mai-bus_all
毎日新聞 2/4(土) 9:30配信


 東芝の綱川智社長は1月27日、記者会見を開き、米原子力事業で発生する巨額損失を穴埋めするため、半導体メモリー事業を分社化し、一部株式を外部に売却すると発表した。翌日の新聞の朝刊各紙は1面で「東芝が原子力事業を縮小する」との前日の会見の中身を報じた。そして日経新聞だけ15面で、社長会見の関連として小さな記事を掲載した。それが、東芝に融資している金融機関に大きな波紋を広げている。【毎日新聞経済プレミア編集部】

 掲載されたのは、「『要注意先』に下げ みずほ銀」という、2段見出しの記事だ。東芝の主取引銀行の一つであるみずほ銀行が、東芝の債務者区分を「正常先」から1段階引き下げ、「要注意先」にした、という内容だった。「要注意先」という言葉はなじみが薄い。だが、銀行や融資先企業にとっては大きな意味を持つ。

 ◇業績が良い企業は「正常先」

 銀行は融資先企業の財務状況や資金繰り、収益力を常にマークしている。収益力が落ち、財務状況が悪くなって融資が返済されなくなれば、損失になってしまうからだ。融資の焦げ付きを避けるため、銀行は、すべての融資先を六つに分類して管理している。自分でやるから「自己査定」といい、この分類を「債務者区分」という。

 業績が良く、財務状態も心配がない企業は第1分類であり、「正常先」と呼ぶ。これ以外は「正常でない先」ということになる。第2分類は「要注意先」だ。融資の回収について通常の度合いを超える危険がある企業である。この第2分類の中で、とくにリスクの高い融資先企業を「要管理先」といい、「要注意先」のなかでも別枠で取り扱っている。

 第3分類は「破綻懸念先」と呼ぶ。回収に重大な懸念があり、損失の可能性が高い企業である。そして、融資が回収不能の企業が「実質破綻先」で、実際に破綻した企業が「破綻先」だ。

 この分類と基準は、金融庁の金融検査マニュアルに細かく規定されている。金融庁は銀行に金融検査に入ったときに、マニュアルの規定通り、融資先企業をきちんと自己査定しているかを厳しくチェックする。

 ◇「要注意先」への分類が重い意味を持つ理由

 この「債務者区分」で、みずほ銀行が東芝を「要注意先」に引き下げた、というのだ。判断自体は、異常なことではない。むしろ自然な判断だと言ってもいい。数千億円の損失が発生すると発表した東芝に対し、格付け会社が格付けを引き下げた。東芝の格付けは「投機的な水準」になっているからだ。

 みずほ銀行は東芝の主取引銀行3行のうちの一つだ。それが、東芝を「要注意先」に引き下げたことはとても重い意味を持つ。「債務者区分」は、単に、融資先をランク付けするだけではない。銀行が決算で計上する「貸し倒れ引当金」と密接につながっているのだ。「貸し倒れ引当金」とは何か。融資が焦げ付くと困るから、融資額の一部を、あらかじめ損失と認定しておくというものだ。

 こうした微妙な問題があるので、銀行が融資先企業の債務者区分を公表することはない。企業の債務者区分がメディアで報じられることも、めったにない。影響が相当大きいからだ。今回の東芝の記事は、極めて稀なケースだ。

 ◇債務者区分と貸し倒れ引当金との関係

 貸し倒れ引当金は、銀行が融資の焦げ付きに備える予防措置だ。融資した企業の業績が回復すれば、引当金は戻る。ただし、引当金を積んでいる間は、損失と同様の効果を持つ。

 みずほ銀行や三井住友銀行といった主取引行は、東芝に対して1000億円規模の融資をしている。担保を確保している部分も多少あるかもしれないが、無担保分が相当あるはずだ。みずほ銀行が東芝を「要注意先」と認定すると、無担保の融資の一部を貸し倒れ引当金、すなわち損失として計上することになる。

 どの程度の貸し倒れ引当金を計上することになるのか。これは金融検査マニュアルに考え方が示されている。融資先企業の六つの債務者区分ごとに、各行は融資額の一定比率の引当金を積むことになっている。

 ◇「要注意先」は融資残高の5%程度の引き当て

 だいたいの目安でいうと、「要注意先」は融資額の5%程度、「要管理先」は40%程度、「破綻懸念先」は65%程度。「実質破綻先」や「破綻先」は100%だ。一般的に、その銀行が過去、各区分に認定した企業への融資が、どれだけ回収不能になったかの統計に基づいて、引当金を計上する。

 融資企業が「要注意先」になると、銀行の無担保の融資残高が100億円あれば、引当金は5億円になる。10億円なら5000万円だ。マイナス金利で金融界が利益を上げるのに苦労に苦労を重ねているなか、融資額の5%が損失になるのは大きな痛手だ。

 では、みずほ銀行はどうなのか。みずほ銀行は、融資先企業を「要注意先」と認定すると、融資の無担保部分の3.5%を貸し倒れ引当金として計上する。みずほ銀行が現時点でどれだけ東芝に融資があるか、担保がどれだけあるかは判明していない。仮に無担保部分が1000億円とすれば、引当金は35億円になる。

 メガバンクであるみずほ銀行は、この程度なら大きな痛手とはいえないだろう。ただし、東芝にはメガバンクだけでなく、地銀、外銀、生命保険など約80の金融機関が融資している。規模の小さい金融機関は損失1000万円でも影響は大きい。

 ◇東芝を「正常先」とする銀行の理屈は通るか

 他行も、損失覚悟で東芝の債務者区分を「要注意先」に引き下げるのだろうか。主取引行でみずほ銀行と同じメガバンクの三井住友銀行は、「正常先」のまま維持しているとみられる。では、他の約80の金融機関はどうか。そこに、金融庁の存在がクローズアップされる。

 金融庁は金融機関の査定が甘くないかいつもチェックしている。今回、表には出ていないが、金融庁は東芝に融資している金融機関にヒアリングをしているはずだ。融資残高はどれぐらいか、無担保部分はどれだけか、債務者区分は……。東芝が再建計画をとりまとめ、債務超過になるかならないかが明確になった段階で、金融庁はおそらく銀行に改めてヒアリングを行うことになるだろう。

 ◇金融庁の「横串」とは

 十数年前に、不良債権問題で大手行の経営破綻が相次いだ時期があった。そのころ、金融界では、「金融庁は横串(よこぐし)を通すのか」という会話がしきりと交わされた。経営不振に陥った企業の債務者区分をある銀行が引き下げた際、他行も横並びの措置を迫られる、という流れだ。時代が変わり、最近は「横串」という言葉は聞かれなくなった。だが、東芝が、似たような状況にならないとも限らない。

 ここでさらに話を一歩進める。金融機関は、東芝に融資する際に、「財務制限条項」という呼び名の条件をつけている。東芝は格付け会社から格下げされたことで、すでに「財務制限条項」に抵触している。金融機関には、この条項を適用し、東芝に対して融資の返済を求める権利が発生している。

 東芝への融資を続けるか続けないか、融資を続ける場合、債務者区分をどうするか。東芝の再建策の行方を見ながら、金融機関は判断を迫られる。
 

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