★阿修羅♪ > 経世済民119 > 110.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
やはり財政赤字の推計は過大 物価は上昇基調へ  トランプに揺れるメキシコ 後始末に追われる金融当局  FTPLと資金需要
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/110.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 2 月 12 日 17:02:47: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

やはり財政赤字の推計は過大
SG証券・会田氏の分析
(写真=PIXTA)
シンカー:財政収支の赤字として、国民経済計算確報、資金循環統計、そして内閣府の試算をならべてチャートにしてみると、2016年度の内閣府の試算の赤字のジャンプが異様であることがわかる。この財政収支の赤字の異様なジャンプがある2016年度を基点として、2020年度まで試算を伸ばしているため、内閣府の財政収支の赤字の試算は過大になっていると考えられる。このジャンプを修正し、それを起点に試算を延ばせば、チャートからも、2020年度の基礎的財政収支の赤字は完全に解消してしまうことも十分に考えられるような財政収支の改善ペースであることがわかる。このジャンプの一つの説明の仕方として、2015年度の第二次・三次の補正予算の成立による国債発行の増加がある。しかし、それが理由なのであれば、補正予算の影響は一時的なものであるため、元のトレンドに戻るはずの2017年度の財政収支の赤字の推計が2016年度からまったく変化していないことが説明できないことになる。これ以上に過度に財政赤字を懸念して緊縮政策に傾けば、デフレ完全脱却は成功せず、経済パフォーマンスの悪化が財政状況を悪化させるというこれまでの悪循環を脱することができなくなってしまうだろう。財政問題を含め、国民は危機に気づいていないから悲観論を誇張してでも関心を持たせ、対策を早めなければいけないというこれまで政策の考え方は危険であり修正する必要がある。その誇張された悲観論自体が景気センチメントを冷やし悲観論が自己実現してしまうリスクを高めてきたこれまでの失敗の歴史があるからだ。

財政赤字の推計
報道される国家予算の一般会計の収支には特別会計や地方政府が入っていないため、国民経済計算確報でまとめられて一般政府全体の財政収支の赤字がわかることになる。

国民経済計算確報の資本取引から算出された純貸出(純借入)では、2015年度の一般政府の財政収支の赤字はGDP対比3.3%であった。

2012年度の8.2%、2013年度の7.2%、2014年度が4.9%であったことを考えれば、財政収支はしっかり改善してきている。

しかし、国民経済計算確報は公表まで1年程度の時間がかかるため、四半期ごとに公表される日銀資金循環統計で直近の動きを確認することになる。

資本取引の裏には金融取引があるため理論的には同一であるはずだが、実際には算出方法の違いにより、純貸出(純借入)は資本取引と金融取引で若干の誤差が存在する。

資金循環統計の純貸出(純借入)も、金融取引のものであり、公表が早いため推計値が多く入るため、国民経済計算確報の資本取引から算出された一般政府の財政収支とは若干の誤差が存在する。

しかし、両者の2009年度からの相関係数は0.98となっており、トレンドはほぼ同一であり、資金循環統計で実際の財政収支の動きをより迅速に追うことは可能である。

資金循環統計の一般政府の純貸出(純借入)に相当する資金過不足では、2015年度の財政収支の赤字は2.9%となっている。

2016年度に入った2016年7−9月期までの1年間では財政収支の赤字は2.3%となっており、赤字の縮小ペースが継続していることが確認できる。

1月25日に内閣府は中長期の経済財政に関する試算を改定し、一般政府の財政収支の赤字の予測を行っている。

2020年度の財政収支の赤字は2.2%となり、そこから利払い費などを控除した基礎的財政収支の赤字(2020年度で1.4%)の解消が困難であるということの根拠になっている。

もちろん、内閣府も新たに公表された2015年度の国民経済計算確報を考慮して試算を行っているはずだ。

問題なのは2016年度から
しかし問題なのは、2016年度の財政収支の赤字が5.1%となっており、2015年度の3.3%から大幅に悪化していることだ。

新たに公表された2015年度の国民経済計算確報によって明らかになった大幅な財政収支の改善、そして直近の資金循環統計の動きをほぼ無視するかのような試算になってしまっている。

資金循環統計の動きを考慮すれば、2016年度の財政収支の赤字はどんなに悪くとも2015年度と同程度であるというのがより現実的だろう。

円安に転換したことにより、2016年度後半の税収はしっかり増加し、2016年度の財政収支が改善することも十分可能だろう。

財政収支の赤字として、国民経済計算確報、資金循環統計、そして内閣府の試算をならべてチャートにしてみると、2016年度の内閣府の試算の赤字のジャンプが異様であることがわかる。

この財政収支の赤字の異様なジャンプがある2016年度を基点として、2020年度まで試算を伸ばしているため、内閣府の財政収支の赤字の試算は過大になっていると考えられる。

このジャンプ(1.8ppt)を修正し、それを起点に試算を延ばせば、チャートからも、2020年度の基礎的財政収支の赤字は完全に解消してしまうことも十分に考えられるような財政収支の改善ペースであることがわかる。

このジャンプの一つの説明の仕方として、2015年度の第二次・三次の補正予算の成立による国債発行の増加がある。

しかし、前倒し発行も含めた国債発行計画はGDP対比1.4%程度しか増加しておらず、政府支出が増加すれば税収で戻ってくる部分も多いため、国債発行計画の増額分をそのまま財政赤字の推計に載せるのは過剰である。

前倒し発行のように国債を発行してもその資金を使わず、現金が増加しただけであれば、両建てで資産と負債が増加するだけなので、国民経済計算確報での財政収支(純借入)はほとんど動かないはずだ。

補正予算による国債発行をそのまま財政赤字に載せるというのは、国債の発行を増やし、それをすべて使い(すべてを海外で使うのが例)、税収の増加がまったくないという極端な前提が必要になる。

更に、補正予算の影響は一時的なものであるため、元のトレンドに戻るはずの2017年度の財政収支の赤字の推計がGDP対比5.1%と2016年度からまったく変化していないことも、このジャンプが補正予算だけでは説明できないことを示している。

これ以上に過度に財政赤字を懸念して緊縮政策に傾けば、デフレ完全脱却は成功せず、経済パフォーマンスの悪化が財政状況を悪化させるというこれまでの悪循環を脱することができなくなってしまうだろう。

財政問題を含め、国民は危機に気づいていないから悲観論を誇張してでも関心を持たせ、対策を早めなければいけないというこれまで政策の考え方は危険であり修正する必要がある。

その誇張された悲観論自体が景気センチメントを冷やし、悲観論が自己実現してしまうリスクを高めてきたこれまでの失敗の歴史があるからだ。

https://cdn-zuu-online.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/wp-content/uploads/64e51936d515bd7911bfcb36ddee6c08.gif

日本の財政収支

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
会田卓司

【編集部のオススメ記事】
・あの有名企業への合格判定はA判定?あなたのビジネスパーソンとしての偏差値を測る(PR)
・100万円で79万円儲かる?「究極の」資産運用術とは
・年末年始の人気海外旅行先は?エグゼクティブの海外での過ごし方(PR)
・東京23区「平均年収ランキング」圧倒的1位は902万円の……
・日本で唯一「シワを改善する薬用化粧品」が証明。ポーラ・オルビスグループの底力(PR)

https://zuuonline.com/archives/139218


 

 
企業物価指数(2017年1月)

2015年3月以来の上昇、物価は上昇基調へ
企業物価指数,輸入物価,最終財
(写真=Thinkstock/GettyImages)
国内企業物価は2015年3月以来の上昇
2月10日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2017年1月の国内企業物価は前年比0.5%(12月:同▲1.2%)と2015年3月以来のプラスとなり、事前の市場予想(QUICK集計:同0.0%)を上回った。前月比では0.6%(12月:同0.7%)と3ヵ月連続でプラスとなった。今回から2015年基準に改定され、16年1月から17年1月までの平均で前年比▲0.1%の小幅な下方修正となった。

55041_ext_15_1

国内企業物価(*1)の前年比寄与度をみると、鉄鋼・建材関連(12月:前年比0.1%→1月:同0.3%)、為替・海外市況連動型(12月:前年比0.3%→1月:同1.2%)のプラス寄与が前月から拡大したほか、素材(その他)(12月:前年比▲0.6→1月:同▲0.3%)のマイナス寄与が縮小したことが、国内企業物価を前年比で押し上げた。

国際商品相場が需給の改善を背景に堅調に推移していることや、為替が円安基調にあることから物価上昇圧力が高まりつつある。対前年比の伸び率をみると、鉄鋼・建材関連(12月:前年比1.1%→1月:同2.5%)は、スクラップ類(12月:前年比32.3%→1月:同38.1%)の急上昇を主因に堅調に推移している。

為替・海外市況連動型(12月:前年比3.3%→1月:同16.9%)についても、石油・石炭製品(12月:前年比4.0%→1月:同22.3%)や非鉄金属(12月:前年比1.6%→1月:同6.7%)の上昇などを受けて前年比で伸びが拡大した。

非鉄金属では、銅の国際市況が改善したことなどから上昇している。石油・石炭製品では、OPEC・非加盟国による減産が着実に進んでいることを背景に石油製品が堅調に推移しているほか、中国政府主導の過剰生産能力の削減などが石炭製品を押し上げている。

———————————-
(*1)
1.機械類:はん用機器、生産用機器、業務用機器、電子部品・デバイス、電気機器、情報通信機器、輸送用機器
2.鉄鋼・建材関連:鉄鋼、金属製品、窯業・土石製品、製材・木製品、スクラップ類
3.素材(その他):化学製品、プラスチック製品、繊維製品、パルプ・紙・同製品
4.為替・海外市況連動型:石油・石炭製品、非鉄金属
5.その他:食料品・飲料・たばこ・飼料、その他工業製品、農林水産物、鉱産物
———————————-

輸入物価は約2年ぶりの上昇
1月の輸入物価は、契約通貨ベース(12月:前年比1.2%→1月:同7.1%)では2ヵ月連続のプラス、円ベース(12月:前年比▲2.6%→1月:同4.5%)では2014年12月以来となるプラスに転じた。

輸入物価(円ベース)(*2)の前年比寄与度をみると、石油・石炭・天然ガス(12月:前年比0.6%→1月:同6.6%)、金属製品(12月:前年比0.5%→1月:同1.2%)のプラス寄与が前月から拡大したほか、機械器具(12月:前年比▲1.8%→1月:同▲1.6%)のマイナス寄与が縮小したことが輸入物価を押し上げた。

対前年比の伸び率をみてみると、原油(前年比48.3%)や石炭(前年比58.8%)が堅調に推移したことや円安を背景に、石油・石炭・液化天然ガス(円ベース)は前年比26.5%(12月:同2.3%)と前月からプラス幅を大きく拡大した。金属・同製品(円ベース)についても、金属素材(前年比13.3%)や鉄鋼(前年比22.8%)の急上昇を受けて前年比11.2%(12月:同4.3%)と伸びを拡大した。

為替レート(月中平均)は1月に1ドル=114.7円、前年比3.0%の円高水準となった後、2月は1ドル=112.8円(前年比1.9%の円高)で推移しており、対前年比での円高の影響はほぼ一巡しつつある。足元では円安の進行が一服していることから、輸入物価(円ベース)の大幅な上昇は見込みにくいものの、国際商品市況が支えとなり緩やかな上昇が続くと予想する。

55041_ext_15_2

———————————-
(*2)
1.機械器具:はん用・生産用・業務用機器、電気・電子機器、輸送用機器
2.その他:繊維品、木材・同製品、その他産品・製品
———————————-

最終財への下押し圧力はほぼ一巡
55041_ext_15_4

1月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比17.5%(12月:同3.2%)、中間材が前年比0.3%(12月:同▲2.2%)、最終財が前年比▲0.6%(12月:同▲1.7%)となった。

国際商品市況の持ち直しや円安の進行で素原材料は前年比で伸びが拡大しており、上昇圧力が高まっている。川下の最終財についてもマイナス幅が縮小するなど、川上から川下への下押し圧力は一巡しつつある。消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い最終消費財は1月の前年比▲0.6%から2016年度末までにプラスに転じた後、円高の影響一巡やエネルギー価格の上昇を受けて伸びを高めると予想する。

国内企業物価は緩やかな上昇が続く見込み
国際商品市況の改善や円安を背景に、前年比でみた国内企業物価は2015年3月以来となるプラスに転じた。特に原油価格(ドバイ)はOPEC・非加盟国による減産を受け1バレル=50ドル台で推移するなど、昨年の水準(1バレル=30ドル程度)から大幅に水準を切り上げており、国内企業物価の押し上げ要因となっている。

先行きは、国際商品市況が堅調に推移すること、国内景気の持ち直しを背景に需給が改善することなどから、緩やかな上昇が続くことが予想される。もっとも、トランプ新政権が掲げる政策に対して不透明感が高まっており、引き続き商品市況や為替レートに与える影響を注視する必要があろう。

岡圭佑(おか けいすけ)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究員

【関連記事】
・鉱工業生産16年12月〜10-12月期の生産は消費増税前以来の高い伸び
・貿易統計16年12月〜10-12月期の外需寄与度は前期比0.3%程度のプラスに
・家計調査16年12月〜乖離する需要側と供給側の消費関連指標
・消費者物価(全国16年12月)〜全国コアCPIは17年1月にプラス転化へ
・景気ウォッチャー調査(17年1月)〜回復基調に一服感、トランプ新政権に対する不透明感が重石

Share
Tweet
Share
2015年3月以来の上昇、物価は上昇基調へ
ZUU online の最新記事を
毎日お届けします

関連記事

やはり財政赤字の推計は過大 あいかわらず保守的「日本人の資産構成」から分かること 景気ウォッチャー調査(17年1月)〜回復基調に一服感、トランプ新政権に対する不透明感が重石 「年金カット法案」が示す「世代相互の思いやり」 マクロで見た日本の財政の本当の姿
あなた
https://zuuonline.com/archives/139281

 


財政政策でインフレは実現するか / トランプ政権発足に揺れるメキシコ
掲載日:2017-02-11 発表元:みずほ総合研究所 総アクセス数:52 PDF
リンク切れ報告 / ブックマーク数(0) / 発表元で検索 / 発表元の関連書籍
共有する
※PDFファイルをご覧になるためには、Acrobat Readerが必要です。 無料ダウンロード
※各レポートは作成時点での意見・分析結果とお考えの上、読者自身の判断でお読み下さい。
キーワード検索: 金融市場ウィークリー | 金融市場見通し | 株式相場 | FTPL | 物価水準の財政理論 | トランプ政権 メキシコ |
シリーズ・関連レポート:シリーズ一覧を表示
金融市場ウィークリー 2017年2月3日号〜トピックス:トランプ砲が鳴り響く中、様子見し...−17-02-04
金融市場ウィークリー 2017年1月27日号〜トピックス:トランプ大統領就任後の為替相場...−17-01-28
金融市場ウィークリー 2017年1月20日号〜トピックス:英国はハード・ブレグジットへ ...−17-01-21
金融市場ウィークリー 2017年1月13日号〜トピックス:新興国を襲ったトランプショック...−17-01-14
お薦めレポ: 金利はどのように決まるのか〜財政赤字の影響は小さかった
同カテゴリーの最新レポート:
【記者会見】中曽副総裁(高知、2月9日)...−17-02-11
金融市場ウィークリー 2017年2月10日号〜トピックス:財政政策でインフレは実現す...−17-02-11
Weekly金融市場 2017年2月10日号−17-02-11
メキシコの政策金利引き上げについて−17-02-11
国内FinTech(フィンテック)市場に関する調査を実施(2016年)〜積極的な銀行...−17-02-10
最近の金融経済情勢と金融政策運営:高知県金融経済懇談会における挨拶 日本銀行副総裁 ...−17-02-10
金融政策決定会合における主な意見(1月30、31日開催分)−17-02-09
2016年アジアパシフィックにおける金融セクターディールの状況〜金融セクターの201...−17-02-08
Weekly Market Report(2017年2月6日〜)〜振り回される日々−17-02-07
金融分野のAPIエコノミー〜オープンAPIが生み出す革新的なサービス−17-02-07
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/market-w/weekly_170210.pdf
http://www3.keizaireport.com/report.php/RID/299459/

 

トランプ政権の金融・財政政策 後始末に追われる金融当局
2017.2.8 05:00

 トランプ米政権の下、金融政策と財政政策は衝突に向かい、米金融当局は需要面のショックに直面すると当初、想定されていた。だが、一部の国々への新政権の敵対的な姿勢を見ると、金融政策が衝突するのは国際的な貿易・金融政策で、金融当局が見舞われるのは供給面のショックかもしれない。

 ◆国際貿易は「安全弁」

 トランプ氏当選を受けてまず台頭した基本的なシナリオは、米経済が完全雇用に近い現状で、赤字財政によって需要が膨らめばインフレを加速させ、米金融当局は支出拡大の効果を相殺するために一段と積極的なペースでの引き締めを強いられるというものだった。

 こうした金融政策運営はトランプ大統領の経済政策目標と対立し、金融当局とホワイトハウスが衝突するという筋書きだ。

 しかし、この論理展開では常に、対外セクターが難問の部分的な突破口となってきた。成長加速はドル高を招いて輸入品価格を押し下げ、増大する内需を海外の生産者に振り向ける。輸入品の値下がりはインフレ圧力を和らげ、金融当局の負担も多少軽減される。言い換えれば、米国の貿易赤字拡大により、政権との衝突につながるような金利の大幅引き上げなしで内需の増大を可能にする。

 これがホワイトハウスと金融当局との対立を回避する部分的な解決策にすぎない理由には、ドル高が米製造業の重しになる点が挙げられる。貿易赤字拡大を容認すれば増大する内需をカバーできるが、製造業部門の雇用は打撃を受ける。そして、トランプ氏が公約に掲げてきたのは同部門の雇用を保護して増やすことだ。

 トランプ氏は本気でこの約束を守ろうとしているようだ。だが、そうなれば米国は国際貿易という安全弁を失うことになる。国家通商会議(NTC)のナバロ委員長は、国際的なサプライチェーンを米国本土に取り戻したい考えだが、それには時間がかかり、その間にインフレ高進が予想される。

 ◆逆回転と悪循環

 北米自由貿易協定(NAFTA)発効後の世界では、こうしたサプライチェーンが広がり、耐久財価格は大幅に下落した。この世界的な流れを逆行させるなら、正反対の事態が予想される。さらにトランプ氏の政策では、インフレ高進の下で米金融当局が利上げで内需の伸びを抑制しようとしても、海外に内需を振り向ける余地は小さくなる。この結果、急増する内需に金融当局は一層積極的にブレーキをかけなければならない。

 高めの金利は一段のドル高につながると想定され、ドル安を志向していると受け止められるトランプ氏らの通商政策に、ここでも金融政策が衝突することになる。ナバロ氏はユーロが「甚だしく過小評価」されていると指摘。トランプ氏は、中国と日本がそれぞれの通貨を操作して押し下げるのを、米国は「間抜けな集団」のように傍観してきたと主張した。

 それでも、ドル安はインフレ圧力をあおり、米金融当局にさらなる引き締めを促す。それがドル高圧力を高めてトランプ政権に目標達成をあらためて阻害する。

 結局のところ、新政権が推し進めようとしている通商やドル、移民をめぐる政策は、供給サイドのショックと捉えるのがベストだ。その帰結は成長鈍化とインフレ圧力の高まりであり、金融当局は苦境に陥ることになる。ショックは恐らく、最近の商品相場高に絡んだものよりずっと深刻となりそうだ。金融当局は商品値上がりを一時的なものとして受け流し、ほとんど対応を必要としなかったためだ。これに対し、政権の対外政策の転換の場合、衝撃はもっと長期的で、金融当局の対処の仕方もそれに相応したものでなければならない。(Tim Duy)

                  ◇

 この寄稿を書いたティム・ドイ氏は米オレゴン大の教授で、「ティム・ドイのフェッドウオッチ」の執筆者です。この寄稿文の内容は同氏自身の見解です。このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません。
http://www.sankeibiz.jp/macro/print/170208/mcb1702080500023-c.htm

 


物価水準の財政理論とネットの資金需要(前編)
SG証券・会田氏の分析
(写真=PIXTA)
シンカー:現在注目されている物価水準の財政理論(FTPL)は物価動向を説明するツールとしては、鈍い刀であると考えられ、1%単位の細かな物価の変動を説明することは困難であろう。しかし、景気過熱を考慮しない異常な財政拡大が、いずれ異常な物価上昇をもたらすことは説明できる。一方、逆にも応用でき、過剰な政府債務残高への警戒感による異常な財政緊縮が、デフレの原因になってしまうということも説明できる。

物価を説明する一般的な経済理論では、貨幣の量を動かすことにより物価が動くと考えられ、物価上昇は貨幣的現象であり、貨幣の量を調整する金融政策だけでコントロールできると考えられてきた。

しかし、リーマンショック後、日本や欧米先進国は大規模な金融緩和政策により市場に流通している貨幣の量を増やしたが、物価上昇率はなかなか加速せず、低インフレ状態が続いてきた。

日銀は2%の物価上昇率の目標を掲げて、マネタリーベースを年間80兆円程度増加させる大規模な金融緩和政策を行っているが、足元の物価上昇率はマイナスになってしまい、目標を達成するには相当の時間がかかりそうである。

一方、現在注目されている物価水準の財政理論(FTPL)では、物価水準(インフレ)は財政政策の拡大で起こすことが可能であるとし、物価上昇は貨幣的現象であるという従来の一般的な経済理論の考えと大きく異なる。

一般的な経済理論では、現在の実質政府債務残高は、将来の実質財政収支の黒字で返済されるとされる。

物価は貨幣的現象として前提となり考慮されず、現在の実質政府債務残高と、将来の実質財政収支の和の現在価値がイコールとなるように、財政収支が調整されると考える。

一方、FTPLでは、将来の財政収支の和で必ずしも債務残高が返せないという仮定を置き、将来の物価期待が変動(上昇)することにより、現在の名目政府債務残高と、将来の名目財政収支の和の現在価値がイコールになると考える。

財政拡大により現在の名目政府債務残高が増加すれば、家計が将来的に増加分を増税等で返済することが無い信じれば、将来の実質財政収支が一定であるため、物価が上昇してバランスすることになる。

一般的な経済理論では物価は貨幣的現象として財政政策と切り離されて考えられるが、FTPLでは財政運営が物価期待に大きな影響を与えると考える。

FTPLは物価動向を説明するツールとしては、鈍い刀であると考えられ、1%単位の細かな物価の変動を説明することは困難であろう。

しかし、景気過熱を考慮しない異常な財政拡大が、いずれ異常な物価上昇をもたらすことは説明できる。

一方、逆にも応用でき、過剰な政府債務残高への警戒感による異常な財政緊縮が、デフレの原因になってしまうということも説明できる。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
会田卓司

【編集部のオススメ記事】
・あの有名企業への合格判定はA判定?あなたのビジネスパーソンとしての偏差値を測る(PR)
・100万円で79万円儲かる?「究極の」資産運用術とは
・年末年始の人気海外旅行先は?エグゼクティブの海外での過ごし方(PR)
・東京23区「平均年収ランキング」圧倒的1位は902万円の……
・日本で唯一「シワを改善する薬用化粧品」が証明。ポーラ・オルビスグループの底力
https://zuuonline.com/archives/138220


 


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民119掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民119掲示板  
次へ