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多くの日本人が知らない「人口減少」と「東京一極集中」本当の意味 首都圏から見た地方創生 前編(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/332.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 2 月 19 日 10:47:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

多くの日本人が知らない「人口減少」と「東京一極集中」本当の意味 首都圏から見た地方創生【前編】
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50889
2017.02.19 山下 祐介 首都大学東京准教授社会学 現代ビジネス


■地方創生を首都圏から考える

人口減少は東京一極集中によって起きている。これが政府の示す地方創生が取り組む問題の基本図式である。

ところが、2015年6月に発表された「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」の副題、「ローカルアベノミクスの実現に向けて」が示すように、その対策の中心は地方の仕事づくりであり、地方は「稼ぐ力」をつけて東京に対抗する経済を作りなさいという方向へと流れてしまった。

だが、人口減少の原因が東京一極集中にあるのなら――そして事実、子育て世代が最も多い東京で極端に出生率が低いのだから――、東京でこそ、少子化対策を行わねばならず、またもっとも仕事の多い東京でもっとも出生力が低いのだから、地方や農村においても仕事づくりではなく、もっと別の対策が行われる必要があるはずだ。

私たちは今一度、こう問わねばならない。

人口減少は一体何によって引き起こされているのか。東京一極集中の何がどう問題なのか。そして東京一極集中が人口減につながる理由をふまえて、一体どういう人口維持対策を用意できるのかである。

もっとも東京都もまた地方(自治体)の一つである。都内の自治体もまた地方創生総合戦略を事実上義務づけられている。正確に言えば、東京一極集中ではなく、この国の首都への集中、首都一極集中が問題なのである。

ここではそれ故、首都圏における人口増・人口減はどのように現れているのか、そしてその分析をふまえて、人口減少対策としてどのようなことが必要なのかを考えてみたい。

ここまでなぜか、人口減少と東京一極集中の関係が語られながら、東京から見た地方創生というテーマは語られることは少なかった。「首都圏から見た地方創生」について考えてみよう。

■首都圏の人口増地帯はいかなる場所か

首都圏のとらえ方には様々な範囲があるが、ここでは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の4都県を中心に考えておきたい。

首都圏一極集中は、まずはこれら4都県への43府県からの人口集中としてとらえることができるが、これらの市区町村の間でも人口の出入りがあり、少子高齢化の進行には地域差がある。首都圏一極集中を問題化するためにも、まずは首都圏内部での人口の集中や分布の現状を押さえておこう。

はじめに確認すべきは、首都圏でも全体として人口は縮小傾向にあるということである。

多くの地域がすでに人口減少に入っている。首都圏といえども人口が増えているところは限られる。それどころか山間部の町村では、首都圏といえども一貫して人口減少しつづけてきた地域が多く、地方よりもむしろ事態の進行は早いかもしれない。

これに対し、人口増地帯はどういうところになるだろうか。どこが比較的若い人口を抱えているのだろうか。それははたして、地方創生が想定するような、地域間競争に勝ち抜いた、努力した有能な自治体なのだろうか。

4都県の市区町村の人口を見てみると、その人口増減の状態は、競争に勝った負けたというよりも、むしろ全体の中で見たときのその地域の位置が――それもごく近年の変化が――深く関わっているようである。

増加地帯は全体の構造によって決まっている。そこにはむろん各自治体の努力もあるのかもしれないが、それ以上にもっと大きな要因が働いているようだ。「頑張った地域が成功している」というのは、実態にそぐわない、というべきである。

人口の増減を決定するマクロな構造的要因として、もっとも目立つのは、@交通である。高速移動を可能にする交通手段が新しく敷設された場所の周辺で、人口が伸びる。

これは首都圏に限らずどこでも同じ傾向が見られ、JRや私鉄沿線はもちろんのこと、地方もふくめれば新幹線駅や空港の周辺などでも増加が目立つ。もっとも目立つのはつくばエクスプレス沿いだが、細かく見ればバイパスやトンネルの開通、高速道路のインターチェンジの設置などでも同じような事が起こっているようだ。

第二に、そうした交通の便のよいことが条件であるが、A新しく広大な住宅団地が開発された場所で人口増加が起きている。そしてしばしばこうした人口増地帯は、都心に近接して(つながって)生じるよりは、やや離れた場所に、浮島のように現れるという特徴も持つ。

@Aをあわせてみれば要するに、こういう事が起きているのである。結婚し子育てをしようと考える若い人々が住宅をもつ際に、都心に通勤できる場所でかつ安価な住宅を求めることができるところに、人口増の場所がうまれる。

これは要するに、都心の仕事と家族の暮らしをどうにかこうには両立させようとして、新しい住宅団地でかつ安価でかつ交通の便がよい、そういう場所を人々が求めた結果である。

こうした場所は、都心居住に比べれば通勤するには不便である。しかしまた都心から離れれば離れるほど、通勤時間さえ覚悟すれば座って通うこともでき、楽でもある。

こうして都心に通う労働者が子どもや家族のために自分を犠牲にすることで、新たな交通開発と住宅地開発がセットとなって、新しい郊外がこれまで数多く作られてきた。人口増加が今も起きているのはそうした場所である。

ただし、こうした郊外は必ず老朽化し、住民も高齢化する。子育てが終われば少子化が始まる。決して持続可能な場所ではなく、むしろ一過的な人口増で終わる可能性が高い。

すでに多摩ニュータウンをはじめ、昭和40年代前後に開発された初期の郊外住宅地でそうした現象(ニュータウンのオールドタウン化)が起きているのだが、にもかかわらず、さらに新たな郊外となる開発場所を探して、交通を拡大し、都市域を膨張させていこうとする勢力があり、その傾向は今も止まっていない。

加えて、B新たな産業立地・再編のあった場所にも人口増が起きる。ただしここにも付言が必要である。

近年は新たな製造業などはなかなか興こらないので、基本は関係する企業や業界の再編統合によって(とくにグローバル化や業界全体の再編の波の中で)「選択と集中」が行われた際に、集中の方に選ばれた場所で人口増加が起こっている。

それゆえその反対側には人口の抜けた地帯が存在するわけであり、全体としては縮小傾向の中での現象だということである。

結局、首都圏においても、人口増加地域の多くが、個別の努力によるものというよりは、むしろ各自治体の経済成長政策の成功によるものではなく、より大きな構造的要因に基づいているということになる。

むろんそこには個別の工夫や努力はあるのだが、それが人口増の主たる要因だというわけではないのである。

そしてBは@Aと同時に生じることもあるが、@Aはしばしば独自に生じ、Bは必然でもないから、新たな産業の立地はなくても(つまりは仕事づくりはなくとも)、@Aの要因のみで人口は増えるのである。

しかも重要なのは次の点である。@Aは、基本的には若い夫婦の、子どもを伴った(あるいは出産をもくろんだ)移動を伴う。それゆえ、その受け入れによってその市区町村の出生率は高く出ることになる。

しかしこれは、そもそもこれから出産し子育てをしようと考えている人が、どこで子ども生み育てるかの場所選びをしているだけであって、国全体の出生率がこの移動によって上昇したわけではない。むしろかえって遠距離通勤を常態化し、かつ新築による住宅購入だとすれば、元いた地域の空き家を増やしたことにもなる。

しかも親との同居から別居への転換を伴ったとすれば、家族の分散をも進めているので、子育て力を一部犠牲にして住宅取得を優先している可能性さえあるわけである(むろん逆に、家族との近居のためにその場所を選んでいることもあるはずだが)。

郊外住宅地区のこれ以上の開発はしたがって、その地域の人口を増やし、一時的に出生率を上げるかもしれないが、首都圏全体の出生力を減退させるものになろう。ある地域で人口が増えたからよかったね、というわけにはいかないのである。

この形態はまた、都心に近い場所では沿岸埋め立て地の高層マンションという形でも出現している。

主要駅前でも土地を有効に活用するために高層マンション化が生じているが、こうした高層化も、土地が不足しているからというよりは、交通の便がよく高い地価となっている土地をより多くの世帯に分割して提供して、一戸あたりの価格を下げてより多く売りさばこうという開発側や、少しでも安ければよいという購入側の金銭的理由からであり、しかもそれでも高額なため、高層マンションについては資産価値目当てに建設・購入している場合もあって、必ずしもすべてが人口増につながっているわけではないようである。

つまりは首都圏との関係で増えている人口増加地帯は、各地域が持つポテンシャルによって生じているものというよりは、もっとマクロな構造から生じているものである。

各地域の努力が無駄だというわけではないが、そうした努力以上に構造的な作用の中で人口増地帯は現れている。そして人口減地帯も同様に、大きくは構造的要因のうちに現れるのであって、こうした全体の力学を前提にして、人口維持対策として、いかなる施策が妥当なのかが問われることになる。

■過剰な人の動きをもたらす一極構造

さて、このように考えるなら、各地に仕事づくりや人口誘致を競争させ、新たな人口増地帯を生み出すのではなく、もっと別のマクロな方策――構造的問題の解決――を検討した方がよいはずだということになる。

いま地方創生では「地方の仕事づくり」をもくろんでいるが、必ずしも人は仕事だけを求めて動いているのではない以上、「仕事づくり」とは別の視点で人口問題の解決を図る必要がある。

まして首都圏には仕事はあるのだから、ここでこれ以上仕事を増やして、地方からさらに人口を奪うようなことがあってはならない。人口は減るということに正面から向き合う政策を、首都圏においてこそまずは作り上げていくべきである。

ここではそうした政策の柱となるべき考え方として、次のように整理しておきたい。

まず第一に必要なのは、人口減少地帯の出生率を回復することである。人口の奪い合いをして社会増減をいじる前に、まずは今住んでいる人々の人口の再生産力を回復することだ(@)。結婚支援、子育て支援は地方や農山村で盛んに行われているが、まず必要なのは首都圏における対策だ。

その上で第二に、社会増減もふくめて人の移動のあり方を今一度見直すことだ。とくに、過剰な人の動きを抑制し、調整していくことが必要である(A)。

@Aの論理を明確にするためにも、はっきりと言っておこう。もはやこれ以上の都市郊外の拡大は止めるべきだ。国家全体として人口減少に入った以上、あらたな市街地形成は抑制できるようにする必要がある。これは高層化についても言える。

そして、このことが重要なのは、郊外型の住宅団地や高層マンションは、必ずしも子育てにとって有利な場所ではないからである。一方で都市拡大を調整して今一度都心へと人口回帰を進めるとともに、すでに形成されている郊外住宅をふくめ、現在の子育て世代の子育て環境を充分に育成していくことが必要である。そのために大切なのはまずは次の視点である。

ここまでは東京一極集中に対する首都圏一極集中を強調してきた。ここからはここに、郊外への人口集中と、都心への仕事の一極集中を対置して、首都圏の内部構造を浮き彫りにしてみよう。

人口の集中といった場合、必ずしもその集中場所は都心への集中を意味しない。子育て世代が働く場所は都心だが、住宅は郊外においていることが多いとすれば、人口集中地帯はむしろ郊外ということになる。

他方で、それはまた住民票のおいてある場所だけに注目するからそういう議論になるわけで、働く場から見れば、働く場は都心に集中しており、この人々は平日の昼間は都心にいる。

要するに、東京一極集中といっても、「ひと」「しごと」の分布には違いがあるということである(以上は地方の中核的な都市、とくに県庁所在都市などでも同じ)。

そしてこのことが何を意味するかといえば、都心にはオフィスや財は集中できるとしても、人はそうはいかず、逆にオフィスや財の中心地から離れて住んで、仕事のために日々人が長距離移動するという生活スタイルをとらざるをえないということである。

そして、この日常的な過剰移動こそが、首都圏における出生力低下の正体である可能性が高く、要するに人が首都のために日々過剰に動いているこの構造こそが、人が生まれない社会を生み出している原因だと論ずることができるのである。

だとすれば、例えば、都心から郊外へ、あるいはさらに地方への企業の分散こそが必要だということになるが、しかしまた都心にオフィスが集まっているからこそ、人々は自由に仕事を選ぶこともでき、例えば夫婦ともに同じように働けるのであった。

だが、人々の過剰な移動は、家族を維持するのにはあまりにも過酷になっており、私たちはこの過剰な人の動きをこの機会に抑制し、人々の暮らしがオフィス中心ではなく、家族や地域の中にもあるよう、もっと時間の配分を調整しなければならない。

しかもまた、こう言うことも正しいのである。

人が色々と動くことによって社会に活力が生まれる。移動は少なすぎても力を削ぐことになる。まして日本社会は国家として一つになっているので、遠距離移動を否定しては、国家そのものが維持できなくなる。

とはいえ、その高速遠距離移動社会の形成があまりにも行き過ぎたために、各人の生活設計に破綻をきたし、子どもが産まれなくなっているのだから、暮らしの合理性を高めるべく、事態を調整していかねばならない。人の動きの適正化をはからねばならない。

首都圏一極集中とはだから、一見、住民票の集中化(住所の集中化)だが、これは本当の都心にまでは全て集められないので、都心=首都への集中の本体はオフィスの集中化であり、そしてそのオフィスの集中化を生み出すものは何かと言えば、国家権力の集中だということができる。

あまりにも国家に権限が集中しすぎていることによって、日本中の機関(とくに企業)が首都に集まり、そしてその機能を支える人口の消費を支えるために、さらに事業所が集中していく。これら都心が果たす機能を支える人はしかし、都心には限られた数しか住んでおらず(とくに家族形成をしようと思えば都心を離れざるをえなくなる)、多くの人が長距離移動を行って自らの役割と家族の形成を必死で両立させようとしている。

だが、人はそれぞれ生きた生身の個体である以上、その頑張りには限界がある。この人の過剰な動きを抑制しなければ、人口減少を止めることはできない。それどころかどこかで必ず破綻が来るだろう。

だとすれば、解はやはり、こうなるはずである。

地方への国家の権限委譲や、財源移譲、なにより地方分権を進めることである。分権によって、これまで国の権力集中に伴って過剰に集まりすぎた都心の働く場を、首都から分散させていくことである。

このところ地方創生で話題になった一部の国家機関の地方移転ではなく、まして企業版ふるさと納税などではなく、権力の再編を伴う企業の再配置が進むよう、もっと抜本的な対策が求められる。それも長期的視点で進めるしかない。

これを働く首都圏民の側からいえば、郊外住宅=持ち家=遠距離通勤=夫婦共働き型を目標とするのではない、もっと別の、暮らしにやさしい生き方のモデルを工夫し、生み出し、一般化していくことである。

またこのことは一朝一夕で変えられるようなものではないので、より若い世代、今の子どもたちの代で転換可能となるような、長期的視野による対策が求められる。少なくともそういう覚悟と、実際の政策形成が必要だということになる。

これは当然、与野党の勢力変動とは関係なく、長期的に安定的な政策が図られねばならないということを指し示している。

<つづく>

 

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コメント
 
1. 2017年2月20日 00:33:05 : txPUG22m6s : a4RuHJK1OyM[14]
> 山下 祐介 首都大学東京准教授社会学

コイツ頭悪い。話を引っ張るだけ引っ張って、要点がまとまってない。


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