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日ガスが自由化に殴り込み、東京ガスより3割安 トランプ政権下で米経済学者はどこに行ったか 
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/365.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 2 月 21 日 01:13:33: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

日ガスが自由化に殴り込み、東京ガスより3割安

ニュースを斬る

東電と提携、「3段構え」で市場攻略に挑む
2017年2月21日(火)
飯山 辰之介
 今年4月から始まる都市ガス自由化に向けて、LPガス大手の日本瓦斯(ニチガス)が2月20日都内で会見を開き、家庭向け都市ガスの料金プランを発表した。競合する東京ガスよりも最大で3割引きとなる安い料金体系を提示することで、同社から顧客を奪う計画だ。今後は7月にも市場参入する見通しの東京電力と組んで、事業拡大を狙う。

日本瓦斯の和田眞治社長は2月20日、戦略的な価格プランを発表した。広告には、お笑いタレントの出川哲朗氏を起用する。
 「プレミムアム5+プラン」と名付けられた新料金プランは、東京ガスを利用する一般家庭の標準的なガス料金より3.6%以上割安とする。3月末までの先行キャンペーン期間中での申し込みやインターネット接続サービスの利用など5つのプランを同時に適用すれば、最大で東京ガスよりも3割程度安くするという。メニューの一つであるガス器具購入割引では、東京ガスのキャンペーンやチラシ価格より5000円割り引くという、大手家電量販店のような取り組みを始めることも明らかにした。

 ニチガスは昨年末、東京電力グループで小売りを手がける東京電力エナジーパートナー(東電EP)と共同会見を開き、東電からのガス供給を受けて初年度にも11万件の新規顧客を獲得すると発表していた。ニチガスの和田眞治社長はその目標値を今回の発表で大幅に引き上げ、「22万件程度を目標にしたい」と語った。同時に前回掲げた11万件について「第1四半期(2017年4〜6月)中にも達成したい」と自信を見せた。

需要開拓の「尖兵」

 和田社長が強気の姿勢を打ち出す背景には、提携先の東電EPの存在がある。同社も都市ガス事業に参入する計画だが、その時期は2017年7月と自由化から3カ月程度遅れる。東電グループは電力自由化の際、新電力が料金を算定するのに必要な各家庭の電力使用量データをシステム障害によりスムーズに通知することができなかった。その反省を踏まえ「今回は万全を期して慎重に準備を整える」(東電EPの小早川智明社長)ため、展開が遅れるという。

 都市ガスの原料となるLNG(液化天然ガス)を大量に抱える東電が参入する影響は大きいが、それが自由化から3カ月遅れでは消費者に対するインパクトはどうしても薄れてしまう。

 一方のニチガス。東電と組んで都市ガス事業を展開することは和田社長の数十年越しの悲願であり、提携により東京ガスの牙城を切り崩して市場を開拓しようと準備を進めてきた。足元の市場調査では目標としている22万件を大きく上回る潜在顧客がいるとも予測している。そこで東電EPの「尖兵」として、自由化直後から東京ガスに攻勢をかけることで、消費者に都市ガスを選ぶ自由ができたことを強く印象付ける狙いがある。

 当面、ニチガスと東京EPはそれぞれ別個に顧客開拓していく計画だが、和田社長は「東電とタイアップし、ガスだけでなく電力でも割引ができるようなプランを作ろうと準備している」と話す。さらに、今後は提携関係を強化し、両社で合弁会社を設立、共同で異業種が参入しやすい都市ガス小売り事業のプラットフォーム(基盤)を開発する計画も進める。

 都市ガス小売り事業に異業種が参入するハードルは電力事業よりも高い。LNGを抱える企業は電力、ガス会社を除けば限られており、ガス機器の保安義務も異業種が手がけるのは難しい。そこで原料を多く抱える東電EPと、保安ノウハウのあるニチガスが原料調達と業務を担い、ガス小売り参入を検討する企業に開放していく計画だ。関係者によれば、このプラットフォームの利用を検討する企業が既に水面下で東電EPやニチガスと協議を進めているようだ。

盛り上がるか関東圏のガス競争

 ニチガスはLPガス業界で強気な営業をする「暴れん坊」として知られる。ITを使った事業の効率化に力を入れ、近年ではネットベンチャーと資本業務提携したり、仮想通貨ビットコインを決済に取り入れたりと、保守的な姿勢が目立つ業界では異色の会社だ。今回の都市ガス小売り参入にしても、「AI(人工知能)やフィンテックなどを取り入れて今までにない都市ガス事業を展開し、生産性を上げていくことが目的」(和田社長)と強調する。

 この「暴れん坊」がまずは自ら都市ガス市場で攻勢をかけて、消費者の需要を喚起する。これを第一段階とすると、東電EPという電力とLNG界の「巨艦」と共同して市場開拓に乗り出すのが第二段階と言えるだろう。さらに、両社で異業種参入の枠組みを作り東京ガスを包囲する大船団を作りあげる。ニチガス和田社長が思い描く野望は壮大だ。

 株式市場や業界関係者からは「東電が本気でニチガスと組む気があるとは思えない」(業界アナリスト)といった指摘や、「ニチガスはブランドの認知度が低いから、需要喚起の主役にはなり得ない」(業界関係者)といった冷ややかな見方も出ている。ただ東電は福島第一原子力発電所の事故費用を賄うため国から収益を上げることを強く要請されており、小売り分野で営業力のあるニチガスを利用しない手はないだろう。またガス自由化を成功させたい国としても、前のめりで市場攻略に挑むニチガスを後押しこそすれ、足を引っ張ることはないとみられる。

 ニチガス・東電連合を迎え撃つ東京ガスは1月31日、独自のポイント制度を拡充してガスと電力を割り引く新プランを発表した。ポイントによりサービス強化を図ることで過度な料金競争は避けたい考えだが、ニチガスや東電EPの出方次第では、新たな対応を迫られるかもしれない。

 既に料金競争が激化している関西圏などと比べ、関東圏は盛り上がりに欠けていると指摘されてきた。ニチガスはどこまで国内最大消費地である関東圏の都市ガス市場で暴れることができるか。その巧拙はガス自由化の成否にも直結しそうだ。


このコラムについて

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日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/022000582/


 

トランプ政権下で米経済学者はどこに行ったか

岡部直明「主役なき世界」を読む

誤った経済観を正すとき
2017年2月21日(火)
岡部 直明
 ノーベル経済学賞の授賞者を多く輩出している米国の経済学者たちがトランプ政権下で冬の時代を迎えている。経済政策の理論的支柱であるはずの大統領経済諮問委員会(CEA)委員長の座はいまだに人選されていない。トランプ政権が繰り出す「米国第一」の保護貿易主義や個別企業への強制介入は、経済学の基本原則を大きく踏み外している。にもかかわらず、米経済学者の警告はあまり聞かれない。トランプ流排外主義は、世界経済を停滞させ、結局、米国経済を悪化させる。米経済学者には経済学の基本原理をトランプ政権に説く重い責任がある。

エコノミスト不在のトランプ政権

 「ドル高がいいかドル安がいいか」。トランプ大統領からの真夜中の問い合わせに、ロシアへの経済制裁解除をめぐって疑惑をかけられていたマイケル・フリン国家安全保障担当大統領補佐官は戸惑ったはずだ。「わかりません。エコノミストに聞いてください」と答えたという。聞く方も聞く方なら、答える方も答える方である。これがトランプ政権の中枢でのやり取りだとすれば、あまりにお粗末である。

 フリン氏はこのあと、ロシア疑惑で辞任に追い込まれたのだから、二度とご下問はないだろうが、大統領の質問に答えられるまともなエコノミストがトランプ政権にはいないことを如実に示す結果になった。

 トランプ大統領は「経済学者不要論者」なのかもしれない。だいいちCEA委員長のポストをどうするか真剣に考えた形跡はない。CEA委員長は米連邦準備理事会(FRB)議長への登竜門ともいえる重要なポストである。長くFRB議長をつめたアラン・グリーンスパン氏をはじめ、ベン・バーナンキ前議長、ジャネット・イエレン現議長もCEA委員長経験者である。ほかにもノーベル経済学者のジョセフ・スティグリッツ教授、グレン・ハバード教授ら有力経済学者がCEA委員長をつとめている。単なる政権のお飾りではなく、政権の経済観のバックボーンであり、大統領の経済指南役として重要な役割を担ってきた。


ジョセフ・スティグリッツ教授=2016年(写真:Polaris/amanaimages)
 トランプ大統領は、経済学者から指南など受けたくないということだろう。大統領の経済感覚がまともなら、それでも問題は小さいかもしれないが、大統領が経済の現実からかけ離れた誤った経済感覚にとらわれているとすれば、世界経済にとって大きなリスクである。

大統領の経済観は間違いだらけ

 トランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)を「時代遅れ」と批判したが、大統領の経済感覚ほど「時代遅れ」のものはない。輸出は利益で輸入は損失だという見方は大きな誤解にもとづいている。誤った経済観にもとづく2国間主義は時計の針を30年戻すようなものである。2国間の貿易不均衡を是正しようとして、保護主義を連発し管理貿易に走れば、世界貿易は縮小し、世界経済は停滞するだけである。

 環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱し、北米自由貿易協定(NAFTA)を見直す。海外に工場進出した企業からの輸入には「罰を課す」として、35%の高関税をかける方針だ。自動車業界をはじめ個別企業への直接的な介入は日常茶飯事だ。「米国第一」の名のもとに、企業のグローバル戦略を力づくで抑え込んでいる。これでは、中国の「国家資本主義」を批判できなくなる。

 トランプ大統領の経済観はこの30年間、進化してないようにみえる。冷戦後のグローバル経済の相互依存は、世界経済全体を大きく底上げした。たしかに先進国の製造業は新興国に追い上げられたが、情報通信革命など産業構造転換が新たな雇用機会を生んだ。この経済の新しい現実を無視して、衰退産業を保護しようとすれば、結局、より大きな雇用機会を失うことになる。長い目で見れば、大統領選でトランプ氏を支えた白人の中低所得層の雇用を奪い、所得格差をさらに拡大させることになる。

 危険なのは、石炭産業の規制緩和などで地峡温暖化防止の潮流に水を差すことだ。環境長官には温暖化懐疑派のスコット・プルイット氏が起用された。化石燃料回帰によりパリ協定から離脱に動けば、世界経済だけでなく地球を危機にさらすことになりかねない。

経済学者の声は小さすぎる

 問題は、トランプ大統領の誤った経済観に対して、経済学者の批判の声が小さすぎることである。もちろん、批判のつぶやきは聞こえる。グローバリズムの進展に警鐘を鳴らしてきたジョセフ・スティグリッツ教授は「2国間の貿易収支にこだわるのは誤りだ。赤字削減で政治的に勝利しても市場経済をゆがめる」と警告する。「特定の企業への脅しは市場経済の原則を傷つける」とも指摘する。

 シムズ理論(物価水準の財政理論)で知られるクリストファー・シムズ教授は「法人減税やインフラ投資など人気取り政策は財源の具体性を欠く。インフレ圧力の抑制が難しくなる」と警告している。そのシムズ教授は、先進国中最悪の公的累積債務を抱える日本には、「財政健全化目標などやめて財政拡大を」と指南しているのだから、皮肉な話である。日本よりトランプ政権にまず厳しく注文をつけるべきだろう。

 経済学者らしい意地をみせているのは、イエレンFRB議長ぐらいである。トランプ政権の財政政策は持続可能ではないと指摘するとともに、移民を制限すれば「米国経済は減速する」と警告している。トランプ政権が打ち出している金融規制緩和にも「金融規制が低成長の要因ではない」と異論を唱えている。

 それでも、トランプ政権の暴走ぶりからすると、米国の経済学者の声は小さすぎる。トランプ政権が大変身しないかぎり、政権入りは経済学者としての将来を損なうことになりかねない。トランプ政権での内からの改革が無理なら、政権外からトランプ政策を正すため先頭に立つしかないだろう。

遥かなる黄金時代

 米国の経済学者ほど政権に大きな影響力を発揮してきた存在はない。なにしろノーベル経済学賞を授賞した米国の経済学者は51人にものぼる。日本人経済学者は皆無なのだから、米国人経済学者の影響力の大きさは明らかだ。

 米国人経済学者として初めてノーベル経済学賞を受けたのはポール・サムエルソン教授だ。世界的なベストセラー「経済学」の著者として、また新古典派総合の理論経済学者として戦後の世界の経済学を主導した。同時に、民主党のケネディ政権の経済顧問としてワシントンに大きな影響力を誇った。その系譜は甥の経済学者、ローレンス・サマーズ元財務長官に受け継がれた。

 筆者は1980年代、MIT(マサチューセッツ工科大)のサムエルソン教授の研究室をたびたびたずねた。教授のデスクには、かならずウォールストリートジャーナル紙が置かれていた。大経済学者は、米国経済、金利、為替など現実の経済について、嫌な顔ひとつせず語ってくれた。象牙の塔にこもるのではなく、常に経済の現実を見据えていた。

 そのサムエルソン教授のライバルは、ミルトン・フリードマン教授だった。マネタリストで自由主義者の教授は、共和党のニクソン政権、レーガン政権の理論的支柱になった。金ドル本位のブレトンウッズ体制はニクソン・ショックで崩壊し、変動相場制に移行することになるが、その背景にいたのがフリードマン教授だった。

 1985年のプラザ合意のあと、スタンフォード大のフーバー研究所にいたフリードマン教授に会った。目標相場圏構想が取りざたされていたころ「変動相場制は、最も問題の少ない国際通貨制度だ。各国の通貨当局が市場を操作しようとしなければ、もっとよくなる。変動相場制は将来も存続するだろう」と言い切った。ドル高是正のため通貨当局が市場介入で協調したプラザ合意には、自由経済論者らしくあくまで批判的だった。


ミルトン・フリードマン教授=2006年(写真:ZUMA Press/amanaimages)
「ものいえば唇寒し」でいいのか

 いまの米国の経済学者にサムエルソン教授やフリードマン教授のような絶大な影響力を期待するのは無理だろう。二人の経済学の巨人のような鮮明な経済学説も経済思想もカリスマ性も現代の米経済学者にはない。

 それにしても、世界第一の経済大国にあって、その大統領が時代遅れで誤った経済観にもとづいて経済運営を実施しようとするとき、経済学者がはっきりと「ノー」を突きつけられないとすれば、何のための学問かが問われることになる。

 ノーベル経済学賞の授賞者を中心に、米国の経済学者は結束し共同宣言をまとめ、トランプ政権の暴走を止める責務がある。さらに日欧など世界中の経済学者に参加を呼び掛けることだ。「ものいえば唇寒し」はもう許されない。トランプ政権発足から1カ月。いまこそトランプ政権の誤った経済観を正すため声を上げるときだ。経済学者の出番である。


このコラムについて

岡部直明「主役なき世界」を読む
 世界は、米国一極集中から主役なき多極化の時代へと動き出している。複雑化する世界を読み解き、さらには日本の針路について考察する。
 筆者は日本経済新聞社で、ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、取締役論説主幹、専務執行役員主幹などを歴任した。
 現在はジャーナリスト/明治大学 研究・知財戦略機構 国際総合研究所 フェロー。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/022000018/  

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