★阿修羅♪ > 経世済民119 > 477.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
日本の低所得者が米国の低所得者と比べて「不幸せ」な理由 検察官、若手はマックのバイト並 弁護士もう「バラ色の人生」はない
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/477.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 2 月 24 日 21:12:49: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

生活保護のリアル〜私たちの明日は? みわよしこ
【第80回】 2017年2月24日 みわよしこ [フリーランス・ライター]

日本の低所得者が米国の低所得者と比べて「不幸せ」な理由

トランプに揺さぶられる米国科学界
筆者が現地で見た日本との違いとは?


トランプに揺さぶられる米国科学界で筆者が見た、日本との違いとは?
 今年1月20日に発足した米国のトランプ政権は、発足以来、オバマケア廃止・移民に対する制約の強化など、米国内の低所得層やマイノリティの生活と存在を脅かす方針の数々を表明し続けている。影響は米国内にとどまらず、日本を含む他国の産業・外交にも及んでいる。現在進行形で、世界中がトランプ政権に揺さぶられている。社会保障・社会福祉・教育・文化・学術研究は、最も大きな揺さぶりを受けている。

 そんなさなかの2月16日〜21日、私は米国・ボストン市で開催された米国科学振興協会(正式名称は“American Association for Advancement of Science”。以下、AAAS)の年次大会に参加した。AAASをご存じない方も、科学誌『Science』の発行元と言えば納得されるかもしれない。

『Science』は、STAP細胞問題の舞台となった『Nature』、バイオ分野の『Cell』とともに、科学者なら一度は論文を載せてみたい3大トップ論文誌“CNS” (Cell、Nature、Science)の1つとして知られている。AAASは基本的に米国の科学団体であるが、現在、関連団体を含めて世界中の1000万人以上の会員と年間約100億円の予算規模を誇る、世界最大のNPOでもある。

 毎年2月に開催されるAAAS年次大会は、世界の科学の大祭典の1つだ。科学のあらゆる分野の最先端研究が、社会との関わりや、政策へどう影響をもたらすべきかと共に語り合われる。私にとっては、日本の貧困問題を「世界の課題に向き合い解決する科学」という視点から捉え直す大切な機会だ。

 貧困問題を含めて、社会の課題は、社会にとって課題であるからこそ科学の課題であり、大きなチャレンジの機会でもある。科学界がこの問題の解決に取り組むのは、当然すぎるくらい当然。これが世界の科学界の「あたりまえ」、文字通りのグローバル・スタンダードだ。

 さて、今回のAAAS年次大会は、トランプ政権が発足して1ヵ月足らずという絶妙すぎるタイミングで開催されることになった。「世界の科学界が固唾を飲んで見守る中で開催された」と言っても過言ではない。

 今回は、日本の貧困問題、特に生活保護に関する問題に関心を向け続けている本連載の読者に向けて、米国および世界の科学界が今何を思い、何を考え、何をしているのかを紹介したい。

 まず、米国社会の活力の源であり、多様性の源でもあり、貧困の拡大・固定と深く結びついている移民問題に対しては、どうだろうか。

大統領令から4日後に発せられた
米国学会164団体によるメッセージ

 今年1月27日、トランプ大統領は、イスラム圏7ヵ国からの入国を禁止する大統領令に署名した。わずか4日後の1月31日、米国の科学界164団体は、トランプ大統領に公開書簡を送った。この公開書簡は、大統領令に対する「外交・人道・安全保障への甚大な影響、そして我が国の科学と技術に対する悪影響」への懸念で始まる。

 ついで科学と技術、外国人学生・研究者・技術者・科学者の修学と就労、そして米国に及び得る悪影響を簡潔に示している。結びでは、米国の繁栄と国境の”強化”に寄与する移民政策・ビザ政策に協力する用意が科学界にあることを、米国は移民国家であるという事実と共に示し、問題の大統領令の廃止を求めている。公開書簡の発行元164団体のリストは、アルファベット順で先頭のAAASから末尾のイエール大学まで、PDFで足掛け5ページに及んでいる。

 移民政策を含め、トランプ政権下で起こりそうな問題の数々については、大統領選終了直後から、世界の科学界に懸念され、議論され、発信が続けられていた。このことが、大統領令から4日間での公開書簡の取りまとめと公開につながったのだろう。

 日本の近代科学は、明治維新前後に欧米から輸入されたことになっている。しかし実際には、世界規模の情報流通がなかった時代も鎖国していた時代も、日本なりの科学の進歩があった。また、それらは、日本でだけ評価されるようなレベルにはとどまっていなかった。

 一例を挙げると、江戸時代の和算は、世界の数学からほとんど切り離されていながら全く遅れを取っておらず、ほぼ同時期に同様の重要な発見が行われていた。また日本は、多数のノーベル賞受賞者をはじめ、優れた科学者を多数輩出してきた国でもある。科学・技術そのものに関しては、今のところまだ、世界から取り残されているわけではない。

 しかし、社会や政治に対する的確な働きかけやインパクトある発信、結果として何らかの影響を及ぼして物事を動かすことに関しては、正直なところ「日本の科学界は全然かなわない」と思う。「欧米では」という決まり文句は「出羽守」(でわのかみ)として嫌われるが、日本ではまだまだ繰り返す必要がありそうだ。

基調講演にAAAS新会長が込めた
トランプ政権への皮肉


初日の会長講演の様子。会場は熱心に聞き入る200人以上の聴衆で埋め尽くされていた
 AAAS年次大会では毎年、初日の木曜日の夜、前年の会長が新会長を紹介し、新会長による基調講演が行われる。今年基調講演を行った新会長は、生物学者のバーバラ・ショール氏であった。前会長は聴衆に新会長を紹介する中で、オバマ全大統領などキーパーソンのアドバイザーを務めた経歴にも触れた。

 講演の中で、トランプ大統領に対する名指しでの直接的な批判はなかった。しかしショール氏は、ルーズベルト大統領が第二次世界大戦終結直後、基礎研究に対して重点的な予算投下を行ったことに触れた。また、新政権が優れた科学者のアドバイスを受けながら妥当な政策決定を行う必要性を、トランプ大統領が重要視している国防とも関連させながら示した。また、移民とビザに関連する喫緊の問題の数々については、懸念と危惧をストレートに示した。

 すぐに利益を産むわけではない基礎研究は、トランプ大統領が縮小したいターゲットの1つだ。ショール氏は、基礎研究の1つ1つは、将来のいつ、どのように実用化されるのか予測しにくいことを述べた。そもそも基礎研究の多くは、科学者の知的関心によって行なわれるものであり、最初から実用化が意識されることは少ない。アインシュタインの相対性理論も、そのような基礎研究の1つであった。

 しかし約100年後の現在、スマートフォンのGPSの中で、相対性理論は多くの人々に利便をもたらしている。ショール氏は、GPSと相対性理論のエピソードに加え、現在、実用化されている過去の基礎研究のいくつかを紹介し、基礎研究なくして産業の繁栄はありえないと明言した。これらをトランプ政権への皮肉と呼ばずして、なんと呼ぶべきであろうか。

 しかしショール氏は、トランプ政権への牽制・皮肉に深入りすることなく、市民と研究者たち1人1人が取るべき態度を呼びかけた。それは開かれた対話であり、民主主義的なプロセスを重視することであり、根拠を共有して議論を重ねることによる意思決定であり、気象変動など地球環境に関する関心を常に持つことであり、安全な水・栄養不足に陥らないだけの食料・医療へのアクセスなど先進国の「あたりまえ」から程遠い状況にある人々が世界に数多くいる事実を忘れず、解決のために行動しつづけることである。

 目的は、地球を健康で幸せな人々で満ち溢れた、健康な星にすることである。講演は「科学の力になろう」というメッセージで締めくくられ、会場を埋め尽くした数百人の聴衆は大きな拍手で答えた。

 会場で鳴り響く大きな拍手を聴きながら、私は深い溜め息をつき、涙ぐんだ。2013年以後の日本で続いている生活保護基準引き下げは、生活保護を生きて暮らすための拠り所としている人々の生活費や住宅費や暖房費用を、磨り減らし続けている。AAAS年次大会の会場で「健康で幸せな人々で満ち溢れた、健康な地球」という希望が語られている今この瞬間も、日本の寒冷地には、充分な暖房や栄養が得られないことから、健康を害している人々がいるだろう。

 生活保護基準を引き下げ、必要だから設けられてきた各種加算をなくし、生活保護を必要とする人々を健康や幸福からさらに遠ざけようとしている日本は、すでに健康な国とは言えないのだが、さらに健康な国でなくなろうとしている。「ふつう」の健康や幸福から遠ざけられる生活保護の人々が百万人のケタで存在し、生活保護よりさらに低いレベルの生活をしている人々が高齢者を中心に1000万人以上存在すると言われ、ワーキングプアが「生活保護の方がマシ」と嘆く現在の日本は、生活保護の引き下げを重ねることによって、さらに「健康な国」から遠ざかろうとしているではないか……。

低所得家庭の「ボキャ貧」解消は
何よりも子ども本人のために


子どもの「ボキャ貧」問題解消研究の記者会見。記者席は半分ほど空席だったが、それでも40名ほどの記者が参加していた。発表を行った研究者は、左からA. Darcy-Mahoney氏、A. Mendelsohn氏、C.Molina氏
 今回のAAAS年次大会では、時節柄、多様性と貧困解消に関するプログラムが、例年よりも目についた。中には、あまりにもの程度の低さに呆れるほどのシンポジウムもあった。内容に「貧困」が含まれていれば、大きな問題点が事前に判明していない限り、採択される可能性が高まっていたのかもしれない。

 もちろん、大いに感銘を受ける発表もあった。その1つを紹介したい。低所得家庭の子ども、特にヒスパニック家庭の子どもの言葉の発達が遅れがちである問題を解決する研究だ。


研究グループが作成した、子どもの成長にとって親の語りかけがいかに重要かというメッセージビデオ。YouTubeで公開されている
 研究グループは、低所得家庭に実際に介入を行い、効果を測定した。結果として、子どもたちの語彙数・言語の発達・家庭のコミュニケーションが増加し、子どもの発達上の問題は減少した。

 もともと発達障害の研究をしていたという女性研究者は、「赤ちゃんにとっては言語も栄養。両親は最初の、最良の教師」と言う。低所得層の親たちはしばしば、我が子に対し、その「言語」という栄養を適切に与えることができない。特にヒスパニック家庭では、子どもの英語の発達が遅れがちになり、その後の学校や社会での困難、成人後の経済的困窮につながる可能性が高くなる。とはいえ親たちは、貧困ゆえに傷つきやすく、地域コミュニティとの関係を確立するのも難しく、孤立しやすい。介入のきっかけをつかむ段階にも、困難がある。


看護師による介入を行った研究グループのウェブサイト”Talk With Me Baby”には、言葉を通じて、赤ちゃん・子どもと家族がどれほど幸せになれるか、魅力的に分かりやすく紹介されている。
 そこで彼女たちは、看護師に注目した。親の99%は、出産時に看護師と接触している。看護師が継続的に育児に関わることは、不自然ではない。看護師が親に「なぜ親が赤ちゃんに話しかける必要があるのか」「赤ちゃんに話しかけるにはどうすればよいのか」を知らせ、家庭への介入を続ける役割を担いつづけた結果、赤ちゃんは英語とスペイン語のバイリンガルに育ちやすくなった。

 また、親が使うためのスマホアプリも開発した。英語・スペイン語の2ヶ国語に対応したスマホアプリは、赤ちゃんにどう話しかければよいかを2ヶ国語で示す。ほとんどスペイン語以外は使えない親も、赤ちゃんに英単語や英語を教えられるというわけだ。また、赤ちゃんの言語発達の様子を、親がチェックすることもできる。どこまでも「這えば立て立てば歩めの親心」に沿ったこのアプリは、近日リリース予定であるという。

ハイリスク家庭に対する
かかりつけ医の介入戦略

 次に発表した男性研究者は、貧困はじめ数多くの問題が重なっているハイリスク家庭に対し、かかりつけ医(プライマリ・ケア)が周期的なケアを行う介入戦略について報告した。家族向けの個々のプログラムには、爆笑の「LOL」を思わせる「ROR(Reach Out and Read)」や「VIP (Video Interaction Project)」といった親しみやすい名称がつけられている。

「ROR」は家庭訪問、「VIP」はビデオ電話を通じた各家庭のケアだ。ハイリスク家庭では、3歳時の子どもの41%に発達上の問題が見られるが、「VIP」を2年間続けていた家庭では15%であったという。並行して、孤立しやすい各家庭を地域コミュニティにつなぎ、「ヘルスケアをコミュニティにつなぐ」というプログラムも実施されているそうだ。

 最後に発表した女性研究者は、家族をサポートするプログラム「PROVIDENCE」について報告した。参加した家族の3分の2で、子どもの語彙数が増え、子どもと家族のコミュニケーションは、平均で44%増加したそうだ。ざっと1.4倍、家族の会話が増えるという結果は、もちろん、会話とコミュニケーションが楽しいから実現しているわけである。

 特に会話の増加が著しかったのは、ひとり親家庭など、そのプログラムを必要としている家族だった。彼女は「最もプログラムを必要としている子どもに、最も大きな効果があった」という。また、そのプログラムの場そのものが楽しい会話の場となっており、親の97%は満足しているそうだ。彼女は「子どもに対する言葉と会話を、子どもの将来のために、最も大切にしたい」と発表を結んだ。


子どもの「ボキャ貧」問題に関する参与研究を行っているグループのネットワーク、“Brigging the Word Gap National Research Network”の研究紹介ページ。本文で触れた研究も紹介されている。
 前ページで紹介した、実際に介入を行いながらの研究の数々は、充分な説明を受けた親の同意と協力のもとで行われている。参加が強制されることも、参加しないからといって不利な扱いを受けることもない。また、ヒスパニック家庭という家族の特性や固有の文化は尊重されている。子どもが英語だけで育つことや、親と違う文化に属する人間に育つことを目的としているわけではない。

 もちろん、各家庭を別の何かに作り変えることは、最初から目指されていない。目的は、各家庭を尊重したまま、子どもの言語能力を英語・スペイン語ともに発達させやすくすることだ。そこには、各家庭が孤立せず、地域の中で幸せに暮らし、地域とともに我が子とともに発達していけるというオマケもついてくる。

医療へのアクセスは容易でも
低所得者を救えない日本


本連載の著者・みわよしこさんの書籍「生活保護リアル」(日本評論社)が好評発売中
 私はまたしても、日本と比較して、深い溜息をついてしまった。米国に比べれば、今のところ、日本の低所得層の医療へのアクセスは、世界に誇るべきレベルにある。しかしながら、「欠点や不足だらけの親であるアナタを、正しい私たちが指導してやるんだ」という公的機関や医療機関の指導を怖れて遠ざける親は多く、虐待が発見されにくい背景の1つともなっている。特に生活保護のひとり親は「子どもを愛情深く育てよ」「子どもに配慮を」「就労を」「もっと就労時間を増やして就労収入の増加を」と、矛盾した指導の数々に翻弄されやすい。

 生活保護ケースワークの最重点目標は、親に対しても子どもに対しても、近未来または将来、就労によって「自立」し、生活保護を必要としなくなることに置かれがちだ。親と子が健康に幸せに過ごし、子どもが伸びやかに発達し、選択肢を増やし、幸せな生涯を送ることは、何よりも重要な目標とは考えられていない。もしかすると、そのような方針が取られれば、就労による生活保護脱却は、より容易になるかもしれないのだが。

 日本において「米国では」「米国の〇〇をモデルに、我が国でも」と語る必要があるとすれば、少なくとも、トランプ政権下でさらに進行しそうな社会保障費用削減・社会保障縮小についてではないだろう。やはりまだ、確信犯で「米国では」と“出羽守”化し、日本に充分に伝えられていない米国の「いま」を伝える人々が求められているようだ。

(フリーランス・ライター みわよしこ)
http://diamond.jp/articles/print/119142

 

『週刊ダイヤモンド』特別レポート

2017年2月24日 週刊ダイヤモンド編集部
弁護士にもう「バラ色の人生」はない…司法制度改革失敗の傷跡

週刊ダイヤモンド2017年2月25日号
「弁護士 裁判官 検察官 司法エリートの没落」より


司法制度改革は失敗だった。もう法曹資格に経済的価値はない――。特集企画の取材で113人の法曹関係者に本音を聞くと、特に弁護士でこう漏らす人が多い。弁護士人口が増え過ぎた一方で仕事が増えず、収入が下がり続けるという現実に直面しているからだ。(週刊ダイヤモンド2017年2月25日号の第1特集は「弁護士 裁判官 検察官 司法エリートの没落」。法曹3者がそれぞれ抱える環境変化への苦悩を追った)


司法制度改革は「是」か「非」か。法曹関係者に問うたところ、天秤は「非」に傾いた(写真は公正な司法のシンボルであるテミス像) Photo by Kosuke Oneda
 法曹人口増加を図り国民に十分な法律サービスを提供すべく、国と法曹関係者を中心に、1999年から法科大学院制度や裁判員制度などの司法制度改革が実行されていった。背景には、「これから訴訟が増える」という改革推進派の目論見があった。一時は過払い金利息返還請求バブルなどで訴訟件数が急増し、甘い汁を吸った弁護士もいたのもたしかだ。

 しかし、基本的に日本ではトラブルを訴訟で解決しにくいという問題が横たわる。

 米国では被告も証拠提出の義務があるが、日本では訴訟の前に原告がしっかりと証拠収集をする必要がある。しかも証拠資料の必要性を示すのも原告側で、訴訟に至るまでのハードルが高いのだ。

 そのため当初の思惑が外れて訴訟件数は減少傾向となり、法曹人口増加の受け皿ができなかった。

『こんな日弁連に誰がした?』(平凡社)の著者である小林正啓弁護士は、「昔は10年かけて司法試験を受ける人もいた。ハイリターンだったからこそ一生をかけて挑戦できた。しかし、今はローリターンの上に、法科大学院で奨学金に頼って多額の借金を抱えるなどハイリスクとなり、法曹資格そのものに魅力がなくなった」と語る。

 その上で、「日本弁護士連合会は『我々は勝った。司法制度改革万歳』と言っていたが、私はむしろ負けたと著書で伝えたかった」と、改革の弊害を指摘する。

空洞化する法科大学院
制度維持は風前の灯


「妥協の産物」で生まれ、崩壊寸前の法科大学院に対し、文科省がどんな舵取りをするか注目される Photo by K.O.
 また、司法制度改革失敗のなれの果てとして、よく槍玉に上がるのが法科大学院だ。

 かつては司法試験に合格すれば法曹資格を得られたが、今は法学部出身なら2年、それ以外なら3年、法科大学院に通ってから司法試験を受けなければならない。

 たしかに、法科大学院で弁護士数は急増したが、受け皿がなく、ついに国と弁護士会は司法試験合格者を減らす方向に舵を切った。

 そのため、法科大学院の志願者が2004年の7万2800人から16年には8274人へと激減し、募集停止や廃止をする大学が続出。しかも、高額な学費が払えない人のために設けた予備試験制度が、成績上位者のバイパスとなり、法科大学院の空洞化に拍車をかけた。もはや制度維持は風前の灯だ。

 この状況に対し、『誰が法曹業界をダメにしたのか もう一度、司法改革を考える』(中央公論新社)の共著者・斎藤浩弁護士は「私は司法制度改革を是とする立場だ」と前置きした上で、「何よりも“大きな司法”をつくることによってのみ、法曹界は救われる。仕事がないと言うのは、大都市で裁判をやりたいということにすぎない。地方の県で非常にいい条件で常勤弁護士を募集しても若者は行かない。弁護士の仕事は裁判だけではない。法曹資格者数に恣意的な制限を設けないことが重要だ」と言い切る。

 その上で、「最初の制度設計の間違いから、魅力のない法科大学院ができてしまった。アメリカは法学部がもともとなく、韓国では法学部のある大学には法科大学院を置かないようにした。日本でも地方に分散させて校数を20校程度に抑えなければ、本当にいい法科大学院はつくれない」と分析する。

 さらに「文部科学省が、『法学部が日本を支えている』と耳を貸さなかった。彼らの省益にも関わるからだろう。つまり法科大学院は妥協の産物だ」と指摘する。

 かつて、司法試験は「最難関の国家試験」と評され、合格すれば法曹関係者は「センセイ」ともてはやされた。そんな「法曹界入りさえすればバラ色人生」だったはずのビジョンは、司法制度改革により、もはや消えてなくなってしまったのだ。
http://diamond.jp/articles/-/119144

2017年2月23日 週刊ダイヤモンド編集部
ヤメ検に聞く検察官の待遇、若手はマックのバイト並み?
週刊ダイヤモンド2017年2月25日号「弁護士 裁判官 検察官 司法エリートの没落」より
政界汚職や経済事件など、深刻な不正を取り締まる役割を担うが、警察官ほど市民に身近ではない検察官(検事)。退職して弁護士に転じた新旧「ヤメ検」への取材を基に、実像をレポートする。(週刊ダイヤモンド2017年2月25日号の第1特集は「弁護士 裁判官 検察官 司法エリートの没落」。法曹3者がそれぞれ抱える環境変化への苦悩を追った)


 検事は超難関の司法試験に合格し、司法修習を経て任官する。頭脳明晰なのは当然として、他にどんな特長が求められるのか。それはバブル期前後で大きく変わったようだ。


市川寛氏。中央大法学部卒。93年検事任官。05年辞職。07年弁護士登録。アパリ法律事務所。著書に「検事失格」(毎日新聞社)
 バブル崩壊前までは弁護士の方が極めて待遇が良く、検事は「売り手市場」。例えば1993年任官の市川寛弁護士は「バブルの残り香があって、渉外弁護士がやたらお金をもらえる時代だった。僕の前後が検事採用の厳冬期だったと思う」と言う。「健康で普通の正義感があれば誰でもなれた」と振り返る元検事もいる。

 一転、バブル崩壊後は公務員人気の高まりで「買い手市場」。司法制度改革以降は弁護士就職難もあって、安定志向を腹の内に抱えた若者も門をたたいている。近年倍率が3倍を超えた年もあったとか。優秀な人材は大手弁護士事務所、裁判所との綱引きになっている。


落合洋司氏。早稲田大法学部卒業。1989年検事任官。東京地検公安部、特捜部など。2000年辞職。泉岳寺前法律事務所。コメンテーターも務める
 法科大学院修了の若手ヤメ検は「成績上位なのは必須で、証拠の見立てとかセンスがないと肩たたきに遭う。飲み会の幹事を買って出るなど『体育会系』を必死にアピールした」と振り返る。

 晴れて任官できたとして、その後はどんな教育を受けるのか。

「容疑者の自白がすべて。上司からの言葉は『とにかく割れ』だった」と振り返るのは市川弁護士。しかし裁判員裁判(2009年〜)、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件(10年)を経てだいぶ変わってきたようだ。若手ヤメ検は「自白がとれるに越したことはないが、それよりも客観証拠。良い証拠を集めるよう警察に指示することを教育された」と話す。

 キャリア形成はどうなっているのか。法務省を中心に進む「赤れんが組」と、特捜部中心の「現場組」が二大勢力と言われてきたが、「裁判員裁判が始まって変わってきているのでは」と話すのは1989年任官の落合洋司弁護士だ。例えば特捜部に行ける能力がある人でも、証拠改ざん事件で特捜部にネガティブなイメージが付いたこともあり、「若い検事で公判部希望者が少なくないと聞く」という。

残業時間を記録
多ければ指導が入る


中村勉氏。中央大法学部卒。94年検事任官。東京地検特捜部など。02年辞職。同年、弁護士登録。中村国際刑事法律事務所
 ヤメ検弁護士で気になることは、現職との癒着の有無だろう。今回本誌が複数の検察関係者に取材する限り、いずれも否定。94年任官の中村勉弁護士は「コネで有利なことをしてくれるという期待感が客の方に今もあると思うが、私は不義理を感じるぐらい現職に連絡しない。対立型の刑事弁護で真実が明らかになると信じている」と話す。ただ、顔が利く“ポーズをとる”ヤメ検弁護士は少なからずいるようだ。

 検事生活の「満足度」はいかがなものか。刑事部では常時10件以上の身柄付き事件を、裁判担当の公判部では40件以上の裁判を抱えるのがざらだそう。若手ヤメ検は「再犯を少しでもなくしたいという純粋な思いがあったが、事件が多すぎて容疑者や被告人と向き合う時間はとれなかった」と嘆く。


石川雅巳氏。東洋大法学部卒。95年検事任官。00年辞職し、同年弁護士登録。虎ノ門法律経済事務所
 また95年任官の石川雅巳弁護士は「転勤が多いのと、どうしても組織で仕事をするので裁量が少ないのが引っ掛かった」と振り返る。転身後しばらくは良かったが、近年は弁護士増で競争が激化し、経営は苦しいという。それでも「検事を続けていた方が良かったなとは思わない。収入はうらやましいが(笑)」とのことだ。

 ただし近年は「残業時間を記録し、多ければ指導が入る」(元検事正)そうだ。女性採用が増え、女性検事の産休育休で仕事のしわ寄せが男性検事に向かっているとの声もあるが、「弊害は一切ない。単純に女性が増えて心が和む」(同)との反対意見もある。

部長クラスになれば
弁護士をしのぐ高給に

 気になる待遇だが、法律で明らかになっている俸給以外のボーナスなどを含めると、1年目で年収500〜600万円、特捜部長など部長クラスで約1700万円、各都道府県にある地検トップの検事正で約2000万円(いずれも関係者取材に基づく推定額)。

 1年目から管理職扱いで残業代は出ず、「公式な会合でも経費精算が出来ず自腹」「原則2年毎の異動で引っ越し貧乏」、「若手は時給換算でマクドナルド並み」だそうだが、部長クラス以上になれば、「弁護士になってもそれだけ稼ぐのは結構大変」(落合弁護士)なほどの高給人生が待っている。
http://diamond.jp/articles/-/118999

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2017年2月26日 20:53:23 : PQx4bYw7Mo : 1NlCruTPb0s[8]
弁護士の仕事を確保したのはサラ金過払い金の返還。これに功績のあったのが原発反対ではあるが怪しげな例の宇都宮弁護士。実際には野党共闘の足を引っ張った。

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民119掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民119掲示板  
次へ