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白骨化遺体に結核蔓延…西成あいりん地区ホームレスの絶望 生活保護受給者が区民の4人に1人 女性死亡、5歳娘保護で判明
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/506.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 2 月 25 日 23:57:40: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

JAPAN Another Face
2017年2月25日 秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]
白骨化遺体に結核蔓延…西成あいりん地区ホームレスの絶望
(上)
入院患者が路上で酒盛りする姿も見られる西成「あいりん地区」。はたからは自堕落に見えるだけの光景だが、ホームレスたちや、彼らを支援する行政、NPO関係者から話を聞いていくと、貧困ゆえに社会生活を営む上で最低限の知識すら身につけられていない彼らの哀しみと絶望が垣間見えた。(写真・文/フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

点滴しながら酒をくらう
酒は西成住民の必需品

「わいらにとって酒は万能の薬なんや!なんか文句あるんかい!!」――。


「風邪を引いたら酒で消毒、病気や怪我の痛みにも酒」――冗談とも取れる言い分だが、背景を取材していくと、そう言うしかない彼らの哀しみが見えてきた。(写真:秋山謙一郎、以下同)
 大阪・西成「あいりん地区」の玄関口ともいえる場所にある「あいりん労働福祉センター」。地元民の間では“センター”と呼ばれるここには、病院も併設されている。

 平日の日中、記者がこの辺りを歩いていると、この病院に入院中の患者と思しき人たちが車椅子に点滴を携えて路上で“酒盛り”しているところに出くわした。

「(酒を飲んでも)ええんですか?ご主人、入院中とちゃいますの?」と声掛けすると、そのなかの1人から、「なんやオノレ?行政か、医者か?堅いことゆうとったらシバキ廻すど。アホンダラ!」と、早速、「西成」ならではの“洗礼”を受けた。

 もっとも文字にするとキツく聞こえるこの言葉も、標準語に訳すと、「あなたはどちら様でしょうか?行政関係者、それとも医療関係者です?あまり堅いこといわないでくださいね」という意味である。「シバキ廻すど」や「アホンダラ!」は、「こんにちは」「お元気ですか?」などの挨拶に相当する親しみを込めた言葉だ。


そこら中にある酒の自販機。その周辺では、酒を飲んだまま路上で眠る人たちが大勢いた
 なぜそう言い切れるのか。彼らから、「まあ、一杯」とばかりにワンカップ酒が記者に手渡されたからだ。記者に洗礼をしてくれたのはユタカさん(66)。西成での酒について、早速講釈が始まった。

「ここ西成ではな、風邪引いたら喉を酒で消毒する、病気して痛みがあれば酒をかっくろうたら体中、消毒できるがな。怪我してもキツめの酒飲めば一発で治るんや……」

 たしかに、西成と酒は、切っても切れない関係にある。早朝8時から開店している居酒屋もあるし、至る所にアルコールを扱った自動販売機が設置されている。その周囲では、簡易宿泊所(ドヤ)で寝泊まりすることもできない日雇い労働者たちが酒を呷って、そのまま路上で寝ている。

“訳あり”の路上生活者
西成の死亡率はダントツ


酒を呷り、路上で眠る。彼らの多くは、いわゆるアルコール中毒患者だが、適切な治療は受けていない
「このおじさんにとってはお酒を飲んで路上で寝ている時こそ天国なのでしょう。起きてお酒が切れたら地獄でしょうから」

 西成のメインストリーム「三角公園」近くの路上で寝ている60年配の男性を見回っていた、ホームレス等の支援活動をしているシスターはこう語った。

 もはやアルコール中毒患者といってもいい人たちが、この西成には数多くいるとされている。だが大阪府・市などの行政や支援NPO関係者の間でも、その正確な数字はわからないという。

「西成で暮らす人たちと一口に言っても、そもそも彼らの多くは全国の建設現場などを廻っている人たち。移動が多い彼らの状況を把握するには無理がある」

 西成事情に詳しい大阪市関係者はこう前置きし、続けて次のように語った。

「もちろん西成に住み着いている人もいる。ただ、それは長年、西成で商売を営んでいる人、自宅がある人、もしくは生活保護受給者といった人たち。こうした人たちの状況は把握できる。でも、それ以外の路上生活者については、アルコール中毒者の人数や、その健康状態を把握することが非常に難しい」

 無念といった表情で前出・大阪市関係者は語る。西成の路上生活者の多くは、みずからの氏素性を語りたがらない“訳あり”の人たちなのだ。そんな彼らは、行政はもちろん、支援NPOにすら自身の経歴を嘘偽りなしに話すことはない。

 だが、実態の解明が難しいこの西成に居つく日雇い労働者やホームレスの人たちの「病」について、ひとつのヒントをこの大阪市関係者から得られた。

「西成区の死亡率は他の大阪市各区に比べても断トツに高い。その死因と医療関係者、そして当の日雇い労働者やホームレスたちの生の声を聞けば何かが見えてくるかもしれない――」

亡くなっても発見されず
白骨化やミイラ化遺体も

 この大阪市関係者のヒントをもとに、大阪市西成区の死亡率や死因に当たってみた。

 事実、「あいりん地区」を擁する西成区の死亡率(人口千人あたりの死亡数)は、2013(平成25)年時点で21.1‰、第2位の大正区の12.9‰と比べるとその約2倍という高さだった(大阪市調べ)。1位の西成区、2位の大正区、ともに住民の高齢化が著しく、生活保護受給率も他の大阪市各区に比して高い区だ。経済苦と病、そして死は、やはり密接な関係にあるのかもしれない。


あいりん労働福祉センター。行政関係者も対策を取っているものの、ホームレスの実態を把握することすら簡単ではない
 その西成区での死因は、男女とも1位はがん、2位は心疾患、3位は肺炎、4位は脳血管疾患となっている。さらに10位以内には高血圧性疾患、肝疾患といった疾患のほか、自殺、不慮の事故などが並ぶ。

 地元医療関係者によると、このうち「不慮の事故」とは、事故死ではなく餓死や凍死を指すのだという。

 生活保護受給者や、地元支援NPOといった支援団体などセーフティネットの網にかかっている人ならば、誰かが声掛けをする。だから何らかの疾病を抱えていても、その発見が早く、死には至らないことも多い。

 しかし、そうではない日雇い労働者やホームレスの場合、誰も声掛けする者がいない。だから、病気の発見が遅れることはもちろん、亡くなった場合もすぐには発見されないのだという。

「ご遺体となって発見された場合、多くは腐敗が進んだ状態です。白骨化したのものも珍しくはありません。まれにミイラ化された状態での発見もあります」。こう語る医療関係者は、その発見が遅いのは生活保護受給や地元支援NPOとの繋がりがないだけでなく、家族との縁が薄いという事情もあると話す。

「彼らの多くは40代から60代の独身男性です。そのうち約6割ないし7割弱が婚歴なし。残りはその回数を問わず離婚経験者。行政や支援NPOはもちろん、家族とも連絡を取っていない。声掛けする人もいないので、こうした状態での発見になるのです」

>>(下)に続く
http://diamond.jp/articles/-/119219?
白骨化遺体に結核蔓延…西成あいりん地区ホームレスの絶望(下)
>>(上)より続く

死期を悟った路上生活者の
不思議な行動

 だが西成は都会のど真ん中。路上生活をしているなら、腐敗が進んだ状態、もしくは白骨化での発見というのは、どこか腑に落ちない。これについて前出・地元医療関係者はこう解説した。


500円、800円といった格安ドヤ(簡易宿泊所)すら、一部の人にとっては贅沢。死ぬときくらい…そう考える路上生活者も少なくないという
「人目につかない路上、もしくはドヤに長期間滞在している人たちです。もっとも西成には1泊500円からドヤがありますから。カネを少し貯めて1ヵ月程度、ドヤに宿泊して、そのまま亡くなるという話はよく耳にするところです」

 カネがなく、人目につく路上生活のほうが、いざという時、毎日見回りを行っている支援NPOや行政、消防といったセーフティネットの網にかかりやすい。だが、なぜか亡くなる直前に路上生活から足を洗い、ドヤに住む人が少なくないのだという。

 自らの死期を悟ってのことなのだろうか?それまで路上生活をしていた人が、無茶なスケジュールを組み、働き、収入を貯めるようになると、「ちょっとアイツ、大丈夫か?」(地元ホームレス・60代)と、日雇い労働者やホームレスたちの間で話題になるという。

 前出・医療関係者が続けて語る。

「死ぬときくらい、畳の上で死にたい……本能的にそうさせる何かがあるのかもしれませんね。彼らの多くは発見時の所持金は1000円以下。死因は心疾患、肝硬変、肺炎が主なところです。日頃の不摂生にもかかわらず適切な治療を受けず、酒を呷っていたことがわかるご遺体もありますね」

 さて、そうした大阪市に住民登録がない日雇い労働者やホームレスの人たちは、実年齢を聞くと10歳から20歳くらい上に見える人が多い。これは背が低く、歯が欠けている人が多いからだろう。地元支援NPO関係者が声を荒げる。

「子どもの頃から栄養を摂っていないからです。ちなみに彼らのなかで高卒者はほとんどいません。中卒ばかりです。40代でもそう。貧困家庭に生まれ育ち、ロクな教育機会、医療機会に恵まれず、社会とはいえない就労の場に出た人たち――そんな彼らにとって最後に行き着く場所、それが“西成”なんです」

被害に遭っても「酒で治す」
貧困家庭出身者の絶望

 路上で寝ている日雇い労働者やホームレスにバットで襲い掛かる、火を放つといった、心なき者たちもいる。だが、被害者である路上生活者たちは病院を受診することもなければ、警察に被害を届けようともしない。


病気や怪我をしても、しばらく休むことしか考えられない路上生活者たちも少なくない。重症化すれば打つ手がなくなり、危険だ
「病院に行くという発想がないからです。だから怪我をしても患部に酒を吹きかけて、そのまま日雇いに出ようとする。あるいはしばらく休んで自然治癒を待つのです。早い段階で保護されれば、まだ手の打ちようはあるのですが、人目を避けた場所に隠れられて重症化すると、もう打つ手なしです」(大阪市関係者)

 警察への届け出をしないのは、身元を明かしたくないという理由と、こちらも病院への受診同様、「そもそも警察に相談するという発想がない」(前出・同)という事情が大きい。

 そのため骨折や火傷の後遺症が残ったまま、就労を余儀なくされる日雇い労働者やホームレスもいるくらいだ。そんな彼らにとっての憂さ晴らしは「酒」に尽きる。やがて、その度を超えた酒量が体を蝕んでいく。

 ともすれば、自堕落な生活の末に、酒に溺れて……と見られがちな「西成」と「酒」の関係。しかし、舞台裏を取材すればするほど、生まれ落ちた瞬間から貧困に苦しんできた彼らの絶望が浮き上がってくる。

「彼らの事情を聞くと、酒に走る気持ちもわからなくはないのですが…。それでも度を超えた酒量は体のことを考えると看護師としては止めなければなりません」(地元病院・看護師)

 今、「西成」に携わる行政、医療関係者の間で、酒以上に深刻な問題として捉えられているのが「結核」である。

 厚生労働省の「結核新規登録患者数・罹患率」や医療関係者が持つ資料によると、2014(平成26)年、新規登録患者数は全国で1万9615人、国内での罹患率は15.4だった。都道府県別では大阪府が1位、大阪市の新規登録患者数は988人、罹患率は36.8と国内罹患率を大きく上回っている。

 もっともこの大阪市の新規登録患者数と罹患率は、西成「あいりん地区」に限ると、新規登録患者数は99人、罹患率は383.7と驚異的な数字を示す。これでも多少マシになった方で、2010年には600を超えていたし、それ以前には700を超えていたという。

“訳あり”な人が頼る
3人の闇医者

 西成「あいりん地区」に結核が蔓延するのには理由がある。前出・地元医療関係者が語る。


現実生活の痛みを忘れるのは酒が一番――自販機のそばで眠る人たちの心には、そんな絶望が隠れているのだろうか
「栄養状態が良くなく、生活が不安定、かつ日雇い労働者として建設現場やシェルターといった場所での共同生活の場での寝泊りの機会も多い。それで結核が蔓延しやすい」

 咳、痰、微熱が長く続く結核の症状も、「医療機関で診察を受ける」という習慣のない日雇い労働者やホームレスたちならば、「泥棒市(詳しくはこちら)で風邪薬でも買おうかいな…」で済ましてしまう。これが症状をさらに悪化させ、感染を拡げていく。

 もっとも早朝に路上で商われる「泥棒市」でも、風邪薬の代金は500円から1000円程度と、彼らからすると決して安い値段ではない。その額を薬代として出費するくらいなら、「酒でも飲んだほうがマシやで!」(地元ホームレス・本人によると50代)というのがもっぱらの声だ。

 これではとても真っ当な医療を受けることは考えられない。

 病気や怪我が重症化した場合、 “訳あり”の人は窮地に陥る。正規の医療機関では身元を明かす必要があるからだ。それができない彼らが頼るのが、「闇医者」だ。

 地域住民らの話によると今、あいりん地区には3人の闇医者がいるといわれる。この闇医者は、かつて医師免許を持っていたが何らかの事情で医師免許を剥奪された元医師や、現役医師がこっそりと医業を行う2つのケースにわかれる。どちらも医者としての腕は確かだという。

 だが、この闇医者への受診は、諸説あるものの、「薬代込みで1回の診察で1万円。手術が必要となれば5万、10万円という単位で受診料は変わってくる」(前出・地元ホームレス)というから、経済的に逼迫している日雇い労働者やホームレスの受診は難しいのが現状だ。

「たとえ保険証がなくとも『無料低額診療』という制度がある。体調が良くないと思えば、すぐに病院に駆け込んでほしい」(大阪市本庁係長)。行政側とて、ただ現状を放置しているわけではなく、こうした対応メニューを用意している。しかし、行政や地元支援NPOですら把握が困難な、住民登録をしていない日雇い労働者やホームレスにこの声ははたして届くのだろうか。

 社会の片隅で身元を隠しながら生きている、あいりん地区の“訳あり”住人たち。生まれた環境ゆえに十分な教育も社会性も身につけられなかった彼らに対しては、ただ支援メニューを作るだけでは到底役に立たない。それでも日々、彼らに支援の手を差し伸べる関係者たちの努力には頭が下がる思いがした。

 あいりん地区の問題は、日本が抱える貧困問題、それも最底辺の人たちの窮状に他ならない。貧困問題を放っておくと、どういった事態になるのか、政治家たちにも目を向けてもらいたいと強く感じた。

(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)
http://diamond.jp/articles/-/119309


 

2017.2.23 19:00
浴槽内で女性が倒れて死亡…5歳娘保護で判明 大阪・西成

 23日午後0時35分ごろ、大阪市西成区千本南のアパートの一室で、この部屋に住む職業不詳の女性(36)が浴室内で死亡しているのを、通報を受けて訪れた大阪府警西成署員が発見した。遺体は死後間もないとみられ、目立った外傷はなかった。府警は司法解剖して詳しい死因を調べる。

 同署によると、女性は5歳の娘と2人暮らし。同日朝、現場アパートの近くで娘が泣いているのを通行人が発見、近くの交番で保護した。娘のほほにはすり傷があり、「お母さんがお風呂場で倒れていて、びっくりして外に出たら転んだ」などと説明したため、署員がアパートを訪問したところ、女性が水のたまっていない浴槽に頭を突っ込んだ態勢で死亡していたという。
http://www.sankei.com/west/print/170223/wst1702230064-c.html

 


 
2016年12月14日 秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]
生活保護受給者が区民の4人に1人、大阪市西成区「受給日の朝」
全国で群を抜く生活保護受給者を抱える大阪市西成区。月初の「支給日の朝」に区役所を訪れ、我先に現金を手にしようと役所になだれ込む受給者と、周辺でたむろするヤミ金や貧困ビジネス事業者たち、そして山積する問題を前になすすべを持たない行政関係者などに話を聞いてみた。(文・撮影/フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

生活保護支給日は
ヤミ金への返済日

「こら〜。われ、何、写真撮っとるんじゃ〜。商売の邪魔すな!どき晒せ!死ね!!」


我先にとエレベーターに駆け寄る受給者の中には、ヤミ金への返済を抱えている人も
 生活保護受給率全国1位の大阪市――そのなかでもいわゆる「あいりん地区」を擁する大阪市西成区は、生活保護受給世帯2万4516世帯、同受給者数2万6806人を抱える。実に1000人中240.3人が受給者(いずれも大阪市HPから)という、大阪市のなかでも群を抜く生活保護者数だ。

 その大阪市西成区役所では、毎月月初ともなれば区役所の周りをぐるり囲むような人だかりができる。この日は、生活保護受給者たちが「給料日」と呼ぶ生活保護費の支給日だ。

 銀行振込ではなく「手渡し」での支給を選択している受給者たちが、少しでも早く「給料(生活保護費)」を手にしようと、早朝から区役所にやってくる。

 区役所の業務開始と共に、受給者たちは我先にと受給会場となっている区役所4階を目指す。階段で駆け上る者もいれば、朝11時まで「(受給会場である4階まで)直通」運行されているエレベーターを目指し走る者もいる。

 エレベーターホールでは、首から職員証をぶら下げた市職員たちの「気をつけてください!4階まで行きます」という大声が響く。この一連の流れを「ゲート・イン」(大阪市職員)と呼ぶのだという。


区役所のすぐそばには路上駐車の列が。大胆にもヤミ金が借金の取り立てを行っているのだ。こうして保護費がヤミ金に流れていく
 かつては、このゲート・イン中の受給者を敷地外から撮影しても、誰も何も言うことはなかった。

 しかし今回は少し様子が違っていた。それが冒頭部の言葉だ。この言葉の主は、ひとしきり記者に怒声を浴びせると、区役所横に連なって路上駐車している車のなかへと消えた。

「お兄ちゃん、あれ、借金取りやな。トイチかトニでカネ貸す連中や」

 こう声をかけてくれたのは、今年69歳になるというマサトシさんだ。九州出身というマサトシさんは中学校を「自発的に卒業」した14歳の頃、大阪に出てきた。以来、西成のあいりん地区を拠点に建設作業員として働いてきたという。だが、3年前、怪我が重なり就労できなくなったことから生活保護を受給するようになったと、問わず語りに語ってくれた。

「保護受けてもな。ああいうのからカネ借りたらあかんわな。10日で1割、2割なんて。あっという間に元金よりも借金のほうが多なるで。ま、保護受けてる人にもいろんな価値観があるからな」

物価の安い西成では
生活保護で十分生きて行ける

 借金はないというマサトシさんのような「余裕のある受給者」は、朝9時から11時までの時間帯にゆっくり「給料(生活保護費)」を取りに来る。

 しかし切羽詰まった受給者はそうはいかない。早朝からゲート・インし、一刻も早く“給料”を受け取り、区役所に横付けされている車に向かって借金の返済を行う。そんな生活保護受給者の1人である50代男性に話を聞くことができた。

「ま、自分で汗水垂らして働いたカネではないし。日本は先進国家や。いざとなったら弱者は法で守られるゆうことやな。どうしようもなくなったら借金を踏み倒す方法もあるやろうよ。日本はええ国やで。ホンマに」

 こう語る50代男性は、一瞬黙ると、右手の人差し指と中指を揃えて自身の唇に当てタバコを吸うジェスチャーをする。タバコを無心しているのだろう。こんなこともあろうかと、あらかじめ用意しておいたタバコとライターを渡すと、実にうまそうな表情でそれを吸いながら、にっこり明るく笑いながら続けた話を聞かせてくれた。


生活保護支給日は“給料日”――ギャンブルや花街で散財してしまう受給者にも出会った
「今日は給料日やさかい、これからドヤ(木賃宿のこと。この場合は福祉アパートの意味)に帰って仲間と花札でもやって一杯飲んで…飛田(新地)にでも繰り出そうか思うてるんや!」

 悲壮感のようなものは微塵も感じられない。実際、区役所から一歩外に出た受給者たちの様子を見ていると、「オッス!」「後で、一杯やろか?」などと久しぶりに会う受給者仲間同士が明るく声を掛けあう光景を目にすることができる。そんな声掛けの輪のなかにいた1人、ショウタさん(39)は言う。

「ぶっちゃけ就活なんてする気ないですわ。そら保護受けたら楽やもん。毎月約9万円くらいかな?家賃も出るし。西成は物価も安いから十分暮らしていけるねん。下手に節約して貯蓄なんかしたら保護受けられへん。だから毎月使い切るんですわ」


物価の安さは折り紙付き。西成には、受給者たちが生きて行ける環境が整っている
 どうやら就労する気はさらさらなさそうだ。

 さて、記者が受給者たちと区役所の敷地外で話を聞いている際も、区役所横に停まっている車のなかでは生活保護費の入った封筒を封切りせずそのまま受け取る男性や、封切りし保護費を数え、電卓で何やら計算の後、保護費をいくらか抜き取り、それを受給者と思しき人に手渡す様子が窺える。

ヤミ金だけではない!
受給者に群がる黒い業者たち

 これらを見ているとそのすべてが“借金取り”という雰囲気でもなさそうだ。いったい彼らは何者なのか。記者が疑問に思ってじっとその様子を見ていると60歳代と思しき男性が近づいてきて、こっそり教えてくれた。

「あれはホームレスを“保護(生活保護受給者のこと)”に仕立てて、そいつらから受給費の一部を“世話料”として取っとるとちゃうかな?まあ、関わらんほうが身のためや思うで」

 続けて彼は、区役所における保護費手渡しという制度上の“穴”について次のように語った。

「区役所4階もな…。名前と生年月日だけ言えば受給費渡しよるもん。大勢の人間が保護費もらいに来るやろ?せやから職員かてホンマに受給者本人かどうかわからんと思うで。なかには他人が受給費もろうてるゆうこともあるんとちゃうやろか?“貧困ビジネス”ちゅうもんが成り立つわけよ」

 生活保護費支給日に大阪市西成区役所に横付けされる車は、トイチ、トニのヤミ金融や貧困ビジネス業者と思われるそれだけではない。何人かの受給者と思しき人たちを乗せてどこかへ行く車もあった。この車はいったい何なのだろうか。

「手配師と仕事に行く“保護”の人たちやないかな。全額保護もらえばええのにな」

 保護費を受け取り、西成区役所の敷地を一歩外に出た路上で座り込んでタバコを吸っていた50代という受給者男性はこう語る。

 なお、これら区役所に横付けされる車やその周辺にたむろする人たちに、「あなたたちはどういう目的でここにいるのか?」と記者が問うと、彼らは無言を貫くか、「おんどりゃ〜、シバキまわすぞ!」と凄みはするものの、ついぞ彼らから明確な回答を得ることはなかった。

ブラック業者の跋扈に
打つ手を持たない行政

 はたしてこうした実態を大阪市西成区役所は把握しているのだろうか。

「敷地外に、(ヤミ金融業者や貧困ビジネス業者、手配師などの)それらしい人がいるようですが、こちらから『お宅そうですか?』と聞くわけにもいかない」(大阪市西成区役所生活保護担当)

 明言を避けたものの、生活保護受給者を取り巻くこれらの存在を把握していることを暗に認めた格好だ。


あいりん地区には、生活保護受給者をターゲットにした宿も多数ある
 そして、「生活保護受給費は満額受け取ればいいというものではなく、就労して“生活に足りない分”だけ生活保護受給することも可能」(前出・同)とし、生活保護費支給日に手配師と思われる者が生活保護受給者をどこか就労現場に連れていくことは、それをもって即、違法とは言えないとの見解を示した。

 では、受給者本人以外の者が保護費を受け取ることは可能なのか。

 これについて大阪市関係者のひとりは、「受給者は大勢いるが、職員は受給者本人の顔をきちんと覚えている。だから、受給者以外の他人が生活保護費を受給することなどとてもできないし、チェックは厳格に行っている」と明確に否定したものの、どこか一抹の不安が残る話だ。

 またヤミ金融業者による生活保護受給者への貸付について、前出・大阪市関係者は、現在、生活保護を受けている市民に向けて、「違法業者からの借り入れならば返済の必要がないものもあるだろう。してしまったものは仕方がない。まずは正直に役所に話してほしい」と呼びかける。そして、次のように語った。

「ヤミ金融業者による貸付は警察マター。本来は、警察にもっと頑張ってもらわなければならないのだが…」

 ヤミ金などのブラックな業者が、支給日の朝に区役所の周りで堂々と“商売”をしている現状がある以上、大阪市生活保護行政の見解や取り組みには異論や批判もあろう。真摯に行政が生活保護受給者の生活の立て直しに取り組んでいるのも、また事実なのだが、十分な効果を上げるにはほど遠い状況だ。

 実は、西成あいりん地区では生活保護受給者の“地位”は決して高くない。「やっぱり歯を食いしばって自活せなあかんのや。この歳でも“保護”受けんと、俺は路上生活で頑張ってんで!」(70歳代のホームレス・日雇い労働者)。

 社会の、いわば「底辺」に置かれてなお、自活するというのは相当な茨の道だ。たとえホームレスでボロボロであろうとも“保護”を受けずに生きている人は、あいりん地区では、どこか尊敬のまなざしで見られるのだという。一方、やせ我慢をやめて“保護”を受け、身を持ち崩さずに暮らしていく人もいれば、保護費を受け取って1時間も経たぬうちに路上でたむろしてタバコを吹かし、花札に興じながら、酒を煽り、近隣の飛田新地へと急ぐ者もいる。

 ヤミ金や貧困ビジネス業者のバックには当然、暴力団がいることだろう。そして、彼らの存在を感じながらも、有効な手だてを打てずにいる行政関係者たち――。生活保護受給日の朝の西成区役所では、「貧困」が引き起こすあらゆる問題が、一堂に会しているかのような光景を目にすることができた。
http://diamond.jp/articles/-/111234

 

大阪市西成区「あいりん地区」にある安宿に滞在して見た景色
http://gigazine.net/news/20160526-nishinari-airin/


 


日本一治安の悪い町大阪市西成区!知られざる隠れた魅力について
http://www.ooborisatoru.com/entry/2016/02/24/190411
 

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