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中国国内でも盛り上がりつつある人民元「変動相場制」移行説 早ければ2017年末にも実現か!?(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/627.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 3 月 02 日 06:27:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


中国国内でも盛り上がりつつある人民元「変動相場制」移行説 早ければ2017年末にも実現か!?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51102
2017.03.02 安達 誠司 エコノミスト 現代ビジネス


■データを用いた計量分析の有用性

先日、筆者は、某省で開催された中国に関する政治・経済のついての研究会で、中国の政治経済分析の専門家を前にプレゼンテーションする機会をいただいた。

筆者は、中国経済を専門とするエコノミストではないため、専門家を前にしてかなりの緊張を強いられたが、プレゼンテーションの内容に対しては好意的なご意見を多く頂戴した。また、筆者にとってはかなり参考になるご意見を伺うことができ、大変有用な研究会となった。この場を借りて、関係者の皆様には厚く御礼申し上げたい。

筆者のプレゼンテーションの内容は、「中国人民元がいつ変動相場制に移行するか」というものであった。

筆者は、人民元の対ドルレート、中国の外貨準備高、中国と米国の市場短期金利差のデータ等を用いて「通貨危機モデル」を推計した。そして、その結果をもとに、「人民元の変動相場制への移行はもはや必然になりつつあり、タイミングとしては、今年の終盤頃から意識しておくべき段階に入るのではないか」という「仮説」を述べた。

これに対して、会場からは、@中国国内の経済政策を担当する官僚や経済学者の中にも、なるべく早く人民元を変動相場制に移行させるべきと考えている人がかなり多くいること、Aしかも、その数は今年に入ってから急速に増えつつあること、Bしたがって、筆者のプレゼンテーションもあながち「机上の空論」として無視することはできないこと、等のコメントをいただいた。

筆者は、公表データを「計量モデル」に当てはめた結果を発表しただけであり、中国国内での議論やニュースソースなどの「定性的な情報」は一切含んでいなかったが、(当たり前だが)国内事情に詳しい中国経済学者や経済政策を担当する官僚らの間でも同様の議論がなされていることがわかり、我が意を得た感があった。

今後の展開はもちろん、中国経済の動向や対外環境次第で流動的であるが、データを用いた計量分析の有用性をあらためて確認できた。

■固定相場制を維持するためのコスト

ところで、筆者が依拠した「モデル」の概要は、先週の当コラムで既に言及した通りである(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51041)。

あらためて簡単に説明すると、これは、カリフォルニア大学バークレー校の教授であるモーリス・オブストフェルド氏の考案した「通貨投機の『第二世代モデル(A Second-generation model)』」と呼ばれるものである。

具体的には、為替制度として、固定相場制、もしくは、「クローリング・ペッグ制」を採用している国が何らかの理由で外貨準備の減少に見舞われた場合、将来時点での外貨準備の枯渇を予想して、為替マーケットの投機家によって、「通貨の売り浴びせ」が発生した場合に、どのようなプロセスと時間軸で、当該通貨が変動相場制への移行を余儀なくされるか、ということを定量的に示したモデルである。

この「第二世代モデル」は、かのポール・クルーグマンらが提唱した「第一世代モデル」を発展させたものである。「第一世代モデル」では、固定相場制の下では、金融政策が国内経済の成長のための資金供給に割り当てられた場合、固定相場の維持のためには、外貨準備を使って「自国通貨買い・他国通貨売り」の為替介入を余儀なくされる。

だが、この為替介入は外貨準備が尽きた段階で実施不可能になるため、投機筋が外貨準備の減少ペースなどを観察することによって、外貨準備の枯渇が実現しそうなタイミングで通貨投機を仕掛けると、当該国の通貨当局は固定相場制を放棄し、変動相場制に移行せざるを得なくなる、というものであった(金融政策が固定相場の維持に割り当てられると、金融引き締めにより国内経済が失速する)。

一方、「第二世代モデル」では、政策当局が、通貨投機に対する対抗手段をいくつか有していることを想定する。例えば、「通貨スワップ協定」のように、他国から外貨準備を借り入れることや、国内金利の引き上げ、対外資本取引規制の強化などがそれにあたる。

政策当局は、これらの政策オプションを持つことで、通貨投機に対抗することができる。そのため、場合によっては、変動相場制への移行を回避する事態をモデルで表現できる(「第一世代モデル」では、外貨準備の減少が始まると、変動相場制への移行は不可避なものとなるようなモデルの設定であった)。

この場合、政策当局による変動相場制への移行の是非は、政策オプションを用いることによる諸コストと、固定相場制(現在の中国の場合は、「クローリング・ペッグ制」といったほうがよいかもしれない)を維持するベネフィットの比較によって判断されることとなる。

コストがベネフィットを上回れば、変動相場制への移行が選択されることになる(「通貨切り下げ」で対処することも想定されるが、通貨を切り下げても基本的な構図は変わらないため、同じことの繰り返しとなり、時間稼ぎの意味しかない)。

そのため、オブストフェルドの「第二世代モデル」は、正式には、「Multiple Devaluation Threshold model」と呼ばれている(すなわち、コストがベネフィットを上回るタイミングを固定相場制から変動相場制への移行(もしくは通貨切り下げ)の「閾値(thresohold)」をみなし、このプロセスを何回か繰り返すことを意味する)。

この、政策当局にとっての(固定相場制を)維持するためのコストだが、オブストフェルドのモデルでは、「マクロ経済環境に依存する」とされている。典型的な事例としては、大量の短期資本が対外流出し、資金不足から金利が急騰し、国内経済が壊滅的な打撃を受けたアジア通貨危機のケースや、不動産バブルの崩壊による銀行危機が外貨準備を急減させるケースなどが想定されよう。

■可能性は決してゼロではない

そこで、中国の現状だが、筆者は、最近の中国の市場短期金利の急騰とマネタリーベースの伸び率の急低下が当局のコスト増を示唆しているのではないかと考えていた。だが、状況は多少異なっているようだ。

現在の中国で懸念されているのは、人民元安を阻止するための様々な資本取引規制の存在であるようだ。現在の中国では、国内資金の対外逃避から当局の想定以上の元安が進行しており、これを阻止するために、国内資本の対外流出をかなり厳しく抑制している。

その一方、中国には、「人民元の国際化」という長期的な政策目標があり、人民元建ての投資なり融資なりをアジアやアフリカの新興国向けに行うことで、対外的なプレゼンスを高めようとしている。例のAIIBもその一環であろう。

「対外的野心」を持つ中国にとって、どうも、最近の資本取引規制は、この「人民元の国際化」を著しく阻害していると懸念されているらしい。そして、この「人民元の国際化」が思うように進まない反動が、南シナ海等でのトラブルにつながっている面も否定できない。

アメリカのトランプ政権が、中国の対外活動により強い懸念を示すとすれば、中国政府が「対外的な野心」を持ち続けたいとすれば、別の形で表現せざるを得なくなる。

さらに、最近は、諸外国の中国への(対内)直接投資も急減速している。海外企業にとっては、資本取引規制によって、中国で稼いだ利益を自国に還元できないとすれば、投資先としての中国の魅力も大きく落ちる。これが、中国経済の安定成長への円滑な移行を妨げかねないとの懸念もあるようだ。

すなわち、中国の政策当局にとっては、「第二世代モデル」でいうところの、人民元の「クローリング・ペッグ制」を維持することのコストがベネフィットを上回りつつあるということらしい。

現時点で、ほとんどの人は想定していないかもしれないが、人民元の変動相場制への移行の可能性は決してゼロではない。

 

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