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1月の経常黒字89%減8カ月ぶり減少、貿易赤字 GDP上方修正も予想以下 アベノミクス役割終え円高 日銀最重要は金利制限
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/824.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 3 月 08 日 14:39:21: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 


1月の経常黒字89%減8カ月ぶり減少
2017/3/8 10:40日本経済新聞 電子版
保存その他
 財務省が8日発表した1月の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支は655億円の黒字となり、前年同月に比べて88.9%減少した。黒字額が前年同月を下回るのは8カ月ぶり。原油価格の上昇で輸入額が増え、貿易収支が1年ぶりに赤字に転じたことが要因だ。


 経常黒字は31カ月連続だった。貿易収支は8534億円の赤字となり、赤字額は前年同月に比べて2倍近くに拡大した。1…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H0P_Y7A300C1MM0000/



経常黒字、17年1月は前年比9割減 貿易赤字で2年半ぶり低水準


[東京 8日 ロイター] - 財務省が8日発表した2017年1月の国際収支速報によると、経常収支の黒字額は前年同月から約9割減の655億円と、2年半ぶりの低水準だった。日本の正月や中国の春節を前に輸出を控える動きが広がった。貿易収支は1年ぶりに赤字に転じた。


経常収支が前年同月を下回ったのは昨年5月以来8カ月ぶり。黒字額としては15年1月の992億円を下回り、赤字だった14年6月以来の水準となった。


経常黒字が大幅に減少した背景には、正月休みなどの季節要因に加え、原油価格の上昇に伴う輸入の増加がある。


石油連盟によると、原油価格は円ベースで前年同月を40.5%上回った。経常収支のうち、貿易収支は8534億円の赤字だった。
http://jp.reuters.com/article/current-account-jan-idJPKBN16F013



 



Business | 2017年 03月 8日 02:18 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース


 独財務相「経常黒字は競争力反映」、トランプ政権の批判退け


[ベルリン 7日 ロイター] - ショイブレ独財務相は7日、ドイツの経常黒字は国内企業の競争力の高さが要因であり、為替操作の結果ではないとの認識を示し、対独貿易赤字に関する米国の批判を退けた。外国人記者に対し述べた。


トランプ米政権で新設された国家通商会議のナバロ委員長は前日、650億ドルに上る米国の対ドイツ貿易赤字は極めて困難な通商問題の1つとし、欧州連合(EU)の制約の外で赤字縮小に向けた2国間協議が必要との認識を示した。同氏はこれまで、ドイツが過小評価が著しいユーロを利用することで貿易で有利な立場を得ているとの見解も示している。


ショイブレ財務相は「われわれが(為替)操作によって黒字を達成しているとは誰も主張できない」とし、ユーロ相場は欧州中央銀行(ECB)の管轄だと述べた。


さらに金融危機の教訓を忘れてはならないとし、20カ国・地域(G20)で金融規制強化に向けた一段の取り組みを求めると指摘した。トランプ米大統領は金融規制改革法(ドッド・フランク法)の見直しを指示しており、貿易赤字に加え、金融規制でも米国と異なる立場を鮮明にした。


また17─18日に独バーデンバーデンで開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に先立ち、来週16日にムニューシン米財務長官と会談することを明らかにした。14日にはワシントンで、メルケル独首相とトランプ米大統領が会談する予定。
http://jp.reuters.com/article/germany-g20-schaeuble-0307-competition-idJPKBN16E2B3




 




 



 


 


Business | 2017年 03月 8日 02:39 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
保護主義・通貨切り下げ反対、G20声明草案から削除


[ブリュッセル 7日 ロイター] - 17─18日に独バーデンバーデンで開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明草案から、保護主義や競争的な通貨切り下げに断固として反対するとの文言が削除されたことが分かった。草案をロイターが入手した。


これまでは「あらゆる保護主義に反対する」としていたが、草案では「公正で開かれた国際通商システムを維持する」となっている。


また「競争的な通貨切り下げを回避し、競争目的で為替をターゲットとしない」との文言が消え、「従来の為替相場のコミットメントを再確認する」となった。


今回は保護主義的な通商政策を掲げるトランプ米大統領の就任後初のG20財務相・中央銀行総裁会議で、米政府の新たな立場を反映し文言が変更されたもようだ。


さらにG20共同声明は長年にわたり「為替相場の過度なボラティリティーや無秩序な動きは経済や金融安定に悪影響をもたらす恐れがある。為替相場について緊密に連携する」との文があったが、これも今回の草案には含まれていない。


事情に詳しい当局者は「草案で保護主義への言及がないのは変だ」とし、「全員が合意できる最低ラインなのだろう」と話す。


米国内の雇用拡大を目指すトランプ大統領は、米市場に輸入されるドイツ車に対し35%の国境税を課すなどと発言。今年G20議長国を務めるドイツの政財界では、トランプ氏の保護主義的な政策に警戒が強まっている。


一方、トランプ米政権で新設された国家通商会議のナバロ委員長は6日、650億ドルに上る米国の対ドイツ貿易赤字は極めて困難な通商問題の1つとし、欧州連合(EU)の制約の外で赤字縮小に向けた2国間協議が必要との認識を表明。同氏はこれまでに、ドイツが過小評価が著しいユーロを利用することで貿易で有利な立場を得ているとの見解も示している。
http://jp.reuters.com/article/g20-draft-protectionism-frx-idJPKBN16E1ZB



 




 



 
実質GDP改定値、年率1.2%増に上方修正 設備投資上振れ


[東京 8日 ロイター] - 内閣府が8日発表した2016年10─12月期実質国内総生産(GDP)2次速報値は、前期比0.3%増(1次速報値0.2%増)、年率換算1.2%増(同1.0%増)に上方修正された。ロイターの事前予測調査では、中央値が前期比0.4%増、年率1.6%増だった。


上方改定に寄与したのは民間設備投資。財務省の法人企業統計を反映させた結果、1次速報値の前期比0.9%増から同2.0%増に上振れた。業種別では不動産や建設などが上方改定要因だった。


個人消費も前期比0.01%減から同0.04%増へと若干の上方修正となった。自動車や衣服が寄与した。


一方、民間在庫の寄与度は0.1ポイント減から0.2ポイント減に下方改定された。


名目GDPは前期比0.4%増、年率1.6%増。1次速報では前期比0.3%増、年率1.2%増だった。


今回の統計を受け、内閣府幹部は「所得環境の改善が続く中で、緩やかな回復基調が続いているとの認識に変わりはない」と説明した。
http://jp.reuters.com/article/gdp-revised-idJPKBN16F00Z



 
10−12月GDP年率1.2%増に上方修正−市場予想は下回る
日高正裕
2017年3月8日 08:59 JST更新日時 2017年3月8日 10:44 JST
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• 設備投資が2.0%増と速報値を大幅に上回る−個人消費は横ばい
• 消費など内需は「物足りない力強さに欠ける結果」とSMBC丸山氏
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昨年10−12月期の実質国内総生産(GDP、改定値)は、速報値から上方修正された。設備投資が速報値から引き上げられて全体を押し上げた。4期連続のプラス成長は変わらず。市場予想は下回った。内閣府が8日発表した。
キーポイント
• 10−12期GDPは前期比0.3%増と速報値(0.2%増)から上方修正(ブルームバーグ調査の予想中央値は0.4%増)
• 年率換算は1.2%増と速報値(1.0%増)から上方修正(予想は1.5%増)
• GDP全体の約6割を占める個人消費は横ばいと速報値と変わらず(予想も0.0%)
• 設備投資は2.0%増と速報値(0.9%増)から上方修正(予想は1.7%増)



https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iQkYvunI_o8I/v2/-1x-1.png


背景
  財務省が1日発表した法人企業統計によると、10ー12月期の全産業(金融・保険を除く)の設備投資は、前年同期比3.8%増と市場予想に反して2期ぶりのプラスとなった。GDP改定値に反映されるソフトウエアを除く設備投資は同3.3%増で、季節調整済み前期比では3.5%増だった。  
  政府は2月の月例経済報告で「一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」との景気判断を維持。日本銀行の政井貴子審議委員は6日、スイス・チューリヒで講演し、昨年後半以降の原油価格の安定的な動向が「世界経済ひいては日本経済にも好影響を及ぼす」と指摘。「日本経済の下振れリスクは昨年 後半と比べて低下しているとみている」と述べた。
エコノミストの見方
• ゴールドマン・サックス証券の田中百合子エコノミストは発表後のリポートで、法人企業統計で堅調な伸びが確認された設備投資は1次速報から大きく上方修正され、消費増税直前の2014年1−3月以来の高い伸びとなったと指摘。在庫は下方修正されたが、これは在庫調整が一段と進ちょくしたことを意味し、設備投資の上方修正と合わせ「内容は悪くない」としている。
• SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで、外需の貢献により今年の日本経済は潜在成長ペースか若干それを上回る程度の成長が可能とみる。名目雇用者報酬は明確に増加しているが、「個人消費の拡大に結び付いていない」と指摘。内需という観点では「物足りない力強さに欠ける結果」としている。
詳細
• 公共投資は2.5%減と速報値(1.8%減)から下方修正
• 在庫のGDP全体への寄与度はマイナス0.2ポイントと速報値(マイナス0.1ポイント)から下方修正
• 外需の寄与度はプラス0.2ポイントと速報値から変わらず
• 7−9月期の実質GDP成長率は前期比0.3%増、年率1.2%増
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-07/OMF3WE6JIJUP01


NY外為:ドル指数ほぼ変わらず、週内にECB会合や米雇用統計
Dennis Pettit
2017年3月8日 06:18 JST更新日時 2017年3月8日 07:28 JST
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7日のニューヨーク外国為替市場でドル指数はほぼ変わらず。トレーダーは週後半に集中するイベントに備えている。
  この日のドルはメキシコ・ペソと韓国ウォンに対して下落した。ロス米商務長官から、ドルが強すぎるのではないとの発言が報じられると、ドルはわずかながら上げを失った。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i3mJvbsiXqSc/v2/-1x-1.png


  ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比変わらずの1245.15。ドルは対円で0.1%未満上昇して1ドル=113円98銭。対ユーロでは0.2%高い1ユーロ=1.0566ドル。
  今週は欧州中央銀行(ECB)の定例政策委員会が開かれるほか、米国では2月の雇用統計が発表される。
  欧州発の経済統計の内容はおおむね改善されたがトレーダーはECBは少なくとも仏大統領選挙終了までは金融政策を変更しないとみている。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想ではECBは少なくとも6月末まで今の姿勢を維持する。利上げがあるとしたら来年以降と予想されている。
  米金融政策当局による3月利上げがほぼ確実視されている中で、トレーダーは8日発表される米民間雇用統計に注目している。給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュートが給与名簿に基づく集計調査を発表する。市場参加者は米労働省が10日発表する雇用統計前にADP統計を基に雇用見通しを微調整する。労働省発表の雇用統計が今後の利上げ見通しの時期を見極める手掛かりになる可能性があるとみられている。
  トレーダーは雇用統計で引き続き月間20万人程度の雇用増が示され、時給の伸びが予想されている年2.8%増のペースとなった場合、当局は年内の利上げ回数について、従来予想を維持するのかどうか説明を求められる可能性があると話した。
  
原題:Dollar Marks Time Before ADP Report, ECB Meeting and Jobs Data(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-07/OMGQAE6VDKHS01




 



  


アベノミクスが役割終え、忍び寄る円高の足音
明治の円高時代に近代化を果たした歴史が示唆するもの
2017.3.7(火) 伊東 乾
円高と株価下落でアベノミクス正念場、政策失敗指摘する声
国会で演説する安倍晋三首相〔AFPBB News〕
 2016年6月、英国のEU離脱で為替相場は大きく動きました。結果的に円は高値をつけ、ユーロもポンドも、またドルも結果的に「とばっちり円高」の状況を呈した。言ってみれば為替の「ギアチェンジ」のようなことが起きてしまいました。


 これが11月以降、米国の保護貿易・重商主義政権成立で、さらに次のギアに入ってしまい、為替は再度推移します。


 一時期は1ユーロ110円近く、1ポンド130円まで漸近していた欧州通貨は、冬から各々1ユーロ120円前後、1ポンド130円程度に浮上、とは言え円高であるのは間違いありません。


 国際情勢の変化、とりわけ地政的リスクである武力紛争のみならず、国民投票その他の不安定要素による迷走もまた、地政上のリスクとして考えないわけにはいかないでしょう。


 ここで歴史を大きく振り返って見ましょう。


 欧州、あるいは海外が経済・金融の混乱の最中にあり、結果的に発生した「とばっちり円高状態」の中で、日本はかつてどのような判断、行動を見せてきたでしょうか。


19世紀から占う2017年


 時代は大きく遡ります。1880年代、西南戦争のために政府軍が購入した近代兵器によって金銀が流出し、日本はほぼ失敗国家状態に陥ってしまいました。


 木戸孝允、大久保利通ら最大のブレーンが相次いで逝去するなか、新政府は松方デフレ政策などで起死回生の挽回を図りますが、まさにこの時期、欧州は19世紀世界恐慌に直撃され経済は大打撃を被りました。


 その余波は露骨に日本にも押し寄せます。フランスで暴落した生糸の価格は、そのまま横浜から出荷されていた日本の養蚕農家を直撃し、富岡も高崎も熊谷も秩父もひどいことになりました。


 この中で、幕藩体制期から火薬と鉄砲の伝統があった地域で、困民が蜂起したのが、人も知る「秩父事件」にほかなりません。


 ちなみに私は、いま俳人の金 子兜太さんとご一緒して秩父事件の問題を考えつつ大規模な作品を作曲していますが、1つの重要なポイントがここにあります。


 金子さんは封建遺制の色濃く残る20世紀前半の秩父の社会構造に問題を感じて東京帝国大学経済学部に進みます。しかし、卒業後日銀に3日間通勤しただけで南方に出征せざるを得ませんでした。


 戦後も積み残されたままだった、かつて青年金子兜太が抱いた疑問を、ご一緒して考えつつ、コラボレーションを進めています。


 今月は藤原書店からCDブック「存在者 金子兜太」が出ますので、その前後にまたこれについては触れたいと考えています。今回はその序論部にもあたる「松方デフレ」の周辺に光を当ててみたいと思います。


 富岡製糸場の女工哀史も、秩父事件も、ローカルに眺めていたのではその構造が分かりません。19世紀グローバル経済の中で何が起きていたかを直視すると、今日の日本の進路を考える大きなヒントになるはずです。


 1880年代、フランスは史上最低最悪の不況に見舞われていました。それはドイツや英国、米国も同様だった。19世紀世界恐慌の低迷状態が蔓延していました。


 とそこまでで終わりにしてはいけません。要するに外貨が軒並み安値をつけた。結果的に新興国、後発ながら近代国家を目指していた日本は「ポスト松方の19世紀とばっちり円高」の状況に見舞われていたことに注意しましょう。


 円高ですから輸出は伸びません。生糸は暴落し秩父事件には帝国陸軍が討伐に出動する騒ぎとなりました。


 が、逆に言えば海外からの輸入には拍車がかかります。


 原材料も入って来やすいし、設備導入にも適しています。海外からの雇用なども以前よりは容易になるでしょう。


 そしてこの時期、日本は多数のお雇い外国人を導入、東京で再編された洋学式の帝国大学は破竹の勢いで西欧に追いつき追い越していきます。


 ベルリン留学中の北里柴三郎は血清療法を確立、長岡半太郎以下の日本の物理学者は最先端の原子物理で世界に一角を現しました。


 「おどき・めどき」という言葉があります。男時、女時、と漢字では書く。


 景気がよくどんどん社会が前に行く時期を「男時」と呼ぶのに対して「雌伏」という言葉が「雌」の字を含むように、必ずしも急な右肩上がりでない時期、地味な輸出でしっかりと本位通貨準備高などを上げ、国家として自力をつけて近代日本の礎を気づいたのが 、1880年代だったと思うのです。


 以下に記す1880年代初頭の「大隈財政」は、第2次安倍政権が鳴り物入りで推し進めた経済政策、いわゆる「アベノミクス」と通じるいくつかの「積極性」があるように思います。


 グローバル経済が本来「女時」であるのに、「まずは、景気だ!」などと見かけだけ「男時」のような空気をローカルに作り出そうとしても、土台人為的なものですから、早晩女時の本質が露呈するのは避けられません。


 1881年「明治14年の政変」で この大隈らを追放した岩倉、伊藤博文ら国際派、ないし1880年代主流派は、政策の大転換を図ります。


 不換紙幣は回収、焼却され、徹底的な金融の引き締めが実施されました(いわゆる「松方デフレ政策」)。「女時」にはそれに合致した「雌伏10年」が本来の経済的な体力をかち得るのに必要不可欠、という質実剛健な考え方と言ってかまわないと思います。


「失われた1880年代」に確立された近代日本


 1870年の普仏戦争以降、ドイツ、フランスの両雄を含む欧州全体、また南北戦争後の混乱収拾期にあった米国も、19世紀の世界同時恐慌状態に突入してしまいました。


 この痛手は大きく、例えばフランスは結局19世紀末までこれを脱することができませんでした。


 良くも悪くも状況が本当に変わったのは1914年に第1次世界大戦の火蓋が切って落とされて以降のことと言っていいでしょう。


 厳密な評価は様々に分かれるかと思いますが1880年代は、この「19世紀世界恐慌」のいわば1つの「ドつぼ」と言える時期だった。


 そしてこの、いわば列強が「弱っていた間」、とばっちり円高期に、日本は近代国家としての体制を急ピッチで整えていきます。


 西南戦争の戦費調達のため、明治新政府は大量の不換紙幣を発行しており、このため日本では大変なインフレが発生していました。


 大蔵卿・大隈重信はこの原因を、本位通貨である銀貨不足にあると考え、外債を発行して銀を導入する「明治の積極財政」大隈財政を推し進めようと考えました。


 これに対して、実質的に不良債権のような形で出回っている「悪貨」不換紙幣を回収・焼却して財政の健全化を図ろうと考えたのが、次官の松方正義だったわけです。


 しかし、国内の実体経済成長以前に外債に頼って帳簿上の財政改革を進める大隈らの内向きの発想に、外遊を通じて国際社会の現実に通じた岩倉具視らは限界を感じていました。


 1881年「明治14年の政変」で この大隈らを追放した岩倉、伊藤博文ら国際派、ないし1880年代主流派は、政策の大転換を図ります。


 不換紙幣は回収、焼却され、徹底的な金融の引き締めが実施されました(いわゆる「松方デフレ政策」)。「女時」にはそれに合致した「雌伏10年」が本来の経済的な体力をかち得るのに必要不可欠、という質実剛健な考え方と言ってかまわないと思います。


 翌1882=明治15年には日本銀行を創設、緊縮財政のもとで準備高比率を上げていき、1885=明治18年には念願の銀兌換紙幣の発行=銀本位制の確立に成功します。


 しかしこの間、日本の民衆は多くの痛みを耐えねばなりませんでした。


 1884年念頭からのフランスでの恐慌悪化、特に日本の主要外貨作物であった絹相場の暴落で、生糸の輸出で細々と銀を稼いでいた日本経済は直撃を受け、最も零細な1次生産者であった米作しない養蚕農家の中には飢餓状況に陥る者も多数発生しました。


 ここから「秩父困民党」の蜂起すなわち1884=明治17年10−11月「秩父事件」など、数々の惨事を招いてしまいます。


とばっちり円高と自由民権運動


 これらと前後して明治14年の政変直後、岩倉ら「国際派」は「10年後をめどに国会開設」立憲君主制の体制を整え、近代国家としての自立を列強にアピールして、江戸幕府が結んだ不平等条約の改正など長年の懸案課題解決を企図します。


 1882=明治15年、伊藤博文はドイツに渡りプロイセン憲法をモデルとする新しい近代日本国家の立憲体制を具体的に模索し始めます。


 秩父事件の翌1885年には、太政官制度を廃して近代西欧的な内閣制度が導入され、伊藤自身が初代の内閣総理大臣に就任、1889=明治22年に大日本帝国憲法が発布、1890年には予告どおり帝国議会の開設に漕ぎ着けます。


 議会制度を伴う帝国憲法で「上からの国民軍」を編成した大日本帝国は、とばっちり円高を利用して近代軍備を増強拡充、やがて1894(明治27)年の日清戦争以降の帝国主義展開へと駒を進めていきます。


 そして 、普仏戦争に勝利したドイツがフランスからの賠償金でそのようにしたのと同様に、1897=明治30年、松方の念願であった金本位制の導入に成功、20世紀列強の一角として日露戦争〜第1次大戦の帝国主義戦争に突入して行ったわけです。


 今日の日本では、韓国朝鮮に対するヘイトを普通に見かけますが、これは1910年の韓国併合と35年にわたる大日本帝国による支配時代を経た後、70余年が経過しても、いまだにこういうものがある、という状態です。


 さかのぼって130年前には「清国の苛烈な支配下にある朝鮮民衆を圧制から解放する」などという「義戦」の旗印が喧伝され、帝国臣民の義務として兵役についた日本の「国民軍」が大陸で日清戦争を戦った。


 でもその背景には、冷静な国益念頭のそろばん勘定があり、この戦争に勝って日本が得たものは、金本位制の導入、八幡製鉄所や京都大学創設の創設など、計算し尽くされた準備が存在していた。


 善し悪しではなく、事実として、そのようにして130〜120年前の日本は「女時」をしのいで戦乱を転機に「男時」の社会経済、重工業の導入に伴う近代産業国家、列強の1つ、東アジアの盟主としての日本の確立へと進んで行った。


 その1つのエポックが、日清戦勝後の1902年に締結された「日英同盟」でした。


 当事の民衆は、長く見れば800年続いた大英帝国の「光栄ある孤立」が崩れ、英国と「肩を並べる」列 強の一角に進んだ「帝国万歳大勝利」と喜び、そのままその威勢を借りて日露戦争にも政治的な勝利を収めてしまう。


 こうした一連の、皮一枚の薄っぺらい展開を、夏目漱石のような当事の知識人がどう冷ややかに見ていたか、はこのコラムですでに触れた通りです。


 今私たちが直面しているのは、この逆の状況であることに注意するべきでしょう。


 英国はEUに参加するまでに「光栄ある孤立」と逆方向に針が触れていた。それが「孤立」の栄光というノスタルジーに煽られた民衆投票によって再び「英国の孤立」が到来し、いわば1902年以前の状況、つまり重商主義の世界帝国として君臨したイングランドの亡霊に 憑りつかれたかのようでもあります。


 さらに追い討ちをかけて、米国が「世界の警官」という安全保障面を含むグローバリズムから、筋違いな「モンロー主義」などの言葉すら聞かれる保護主義体制へと舵を切ろうとしている。


 これも、ここでは紙幅がつきましたが、1899年の米西戦争以前の状況に時計の針が進むかのような面を指摘できるでしょう。


 話は突然変わるようですが、大阪で「教育勅語」を暗誦させる幼稚園のなんのという、とんでもない話が表に出、国有地の不正払い下げその他、政権がひっくり返るレベルのスキャンダルになりつつあると思われます。


 この「教育勅語」が発布されたのもこれらと 同じ時期、つまり1890年であることに、今回最後に注意しておきたいと思います。


 ある意味、ブレグジットだ、トランプ政権だという流れと、時流という意味では完全に符合している面もあると言える、それをこういう側面から記すコラムは、私のこれくらいしかないと思いますが、実際、見事に歩調が整っています。


 と同時に、その浅はかさ、愚かさ、ばかばかしさは、同時代人の夏目漱石が100年以上前に、この上ないほど痛烈に記している通りであって、ろくなものではありません。


 的確な理解がなければ、歴史の流れの中で、国の歩みを過つことになるでしょう。


 大日本帝国憲法の発布と帝国議会の発足、近代国家としてのフレームワークが整ったのは、欧州が終わりのない不況に辛吟していた「失われた時代」に重なっていたことは、中学高校の日本史で必ずしも強調されません。


 これらすべてグローバル経済の浮沈を直視しつつ、当時の指導層が日本国を運転した結果で、その良し悪しを今ここでは、一切言っていません。


 ただ、間違いなく言えるのは、国際情勢を正しく見る目がなければ、国家経営は失敗のリスクを高める、という基本でしょう。


 グローバル経済のギアチェンジ以前に構想され、2012年以降、第2次安倍内閣が推進した「アベノミクス」は、完全にその役割を終え、2017年、いや2016年度以降に妥当性があるとはおよそ思われません。


 明治の「とばっちり円高」から130年余後の今日、私たちに訪れている経済、金融の変化を、どのように見、どう判断、行動していくべきなのでしょうか?


(つづく)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49348


 



 




 



 
 


【第56回】 2017年3月8日 宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
日銀の最重要課題は長期金利「制限」政策とならざるを得ない


 金融政策を司る日本銀行は、2016年1月の金融政策決定会合で、当座預金にマイナス金利(マイナス0.1%)の導入を決定し、2月から導入された。これは日本銀行に当座預金を開設している銀行(金融機関)に向けた施策で、貸出金利の低下および当座預金の残高低下、つまり貸出あるいは国債買入などの増加を期待してのことだ。しかし実際には、経済本体の構造改革が進んでいないために、資金需要が伸びることはなく、逆に融資残高が減少した。しかも、利ザヤの縮小により銀行の経営は悪化した。


 現在、日本の銀行で預金と貸出の関係はどうなっているか。金額でいうと、全国銀行協会(全銀協)加盟行では預金の約7割しか貸出に回っておらず、残りの約3割は運用として国債の購入等に振り向けられていた。メガバンクではそれが約6割:4割だ。その後、国債の金利もマイナス金利となってしまったために、経営の悪化が見込まれた銀行株が下落し、日本のみならず海外の株式市場にも影響を与えた。


 9月の金融政策決定会合では、日銀は長短金利操作(イールドカーブコントロール)を開始した。これは長期金利(10年物国債金利)を「0%程度」で推移させることを目標としたものだ。この結果、短期金利(当座預金金利)がマイナス0.1%、長期金利が0%程度となり、、必然的に10年物以上の国債の金利はプラスになることになる。銀行は一般的に10年物以上の国債、20年物国債を中心に購入しており、銀行の株価は安定していくことになった。


トランプノミクスで日本の長期金利も上昇


 しかし金融市場というものは予想外のことが起こるものである。昨年11月の米国大統領選でドナルド・トランブ氏が勝利し、1月に就任の後、規制緩和と減税、インフラ投資の財政政策を主とした景気刺激=財政赤字拡大型のトランプノミクスが導入された。これにより、米国長期金利も上昇し、大統領選直前の約1.6%から約2.6%まで約1%も上昇した。株式の連れ高・連れ安と同様に、連られて日本の長期金利も上昇することとなった。


 1月下旬には、日銀は国債買入オペ(公開市場操作)を一部スキップしたが、これは予想外のことで、日銀と市場との対話がぎくしゃくし、国債価格の下落(金利の上昇)につながった。さらにタイミングの悪いことにく、1月末にはトランプ大統領が為替レートを意識して、日本の大量の資金供給(≒金利のコントロール)を非難した。このことをきっかけとして、2月2日には長期金利は終値ベースでプラス0.1%、2月3日にはプラス0.15%まで上昇。この事態に日銀は“金額無制限で買入を行う”指し値オペまで行った。


 ここで問題になるのは「1%程度」の“程度”の幅である。現在、市場ではマイナス0.1%〜プラス0.1%の幅と考えられている。しかし金利は上限であるプラス0.1%を突破した。国債を購入する銀行等の金融機関にとっては好都合だが、日本国債約1000兆円のうち、約4割をも保有する日銀には、逆に問題が発生した。


 日銀は政府から独立した法人とされ、資本金は1億円で、そのうち政府が55 %を、民間が残り45%を出資する。出資者には一般の株式会社の株式に相当する出資口数を証した「出資証券」が発行される。出資証券はジャスダックに上場され、株式に準じて取引されている。金融政策を司っていることもあり、議決権(経営権)はない。当然「決算」も行っている。


 日銀の決算は、外国為替では時価評価で損益(為替差損益)を算出しているが、国債では受取利息と支払利息の「損失」を、国債の満期までの期間で分割して計上する方法(減価償却法)を採用している。損失とは、長期金利の低下(価格の上昇)を背景に、額面を大幅に上回る高値で国債を買っているためだ。


 この計算方法でも、日銀が金融緩和のために大量に買っている国債の「含み損」が、昨年末に10兆円を超えたと見られる。異次元緩和導入直後の2013年度末の損失額は約1兆円だったが、昨年末には約10兆円に拡大したと見られている。政府機関の決算や会計を検査する会計検査院も「日銀は財務健全性の確保に努めることが重要」と懸念を示した。昨年4〜6月に日銀が購入した国債全体の利回りもマイナス水準になった。日銀の財務内容が悪化すれば、国への納付金が減り、赤字になれば、納付金どころか補助金の可能性もあり、逆に国の財政にマイナスになる。


金利が上昇すれば損失が広がる


 さらにいうと、現在の日銀の決算方式では、国債価格がどのように変動しようと基本的に損益には関係しない。しかし銀行などの金融機関は、国債などの金融商品は減価償却法ではなく、「時価評価法」で決算を行い、国債の“価格”が値下がり(金利が上昇)したら損失が発生する。つまり、金利が上昇すると損失が広がるのである。


 すなわち、金利の上昇を抑えないと、金融機関の決算方式では損失が拡大していく。つまり、金融機関にとっては一般的な時価評価法の「評価損」が、現在の日本銀行が採用している原価評価法の「含み損」を超えて拡大することになる。


 こうなると、長期国債0.1%と示したレベルを自ら守ることが、日銀にとって至上命令となってくる。「金額を無制限にして買入を行う」指し値オペも行い、また2月末には国債買入オペ(公開市場操作)を事前に通知することによって、長期金利は一時的に低下することとなった。


 筆者は借入や評価損の問題、そして経済や金融では「考え方」が大事ではないかと考えている。やはり、国債買入金額や「評価損」は大きすぎれば、問題になるのである。そもそも返済計画のない借金(国債発行)は、銀行ではあり得ない。“無制限”という買入(介入)も、経済や金融では不自然さを否めない。この辺の「そもそものまじめさ」が、国民に向けた経済政策でもっとも大事なのではないか。もし国民が政策に不信感を抱いたら、経済政策は良い方には効かないであろう。


 このように、とにかく今年の金融政策は、長期金利を0%前後、マイナス0.1%〜プラス0.1%にコントロールすることが最重要課題となる。つまり「長期金利制限政策」とならざるを得ない。しかも、トランプノミクスおよび政治的圧力と米国の中央銀行FRBの利上げ政策によって長期金利が上昇し、日本の長期金利も上昇傾向にあり、油断ができない。そうなれば今後、無制限介入を行い、国債購入目標の80兆円が反故にされる可能性もあるのである。


(経済学博士・エコノミスト 宿輪純一)


http://diamond.jp/articles/-/120404


 


 


 




 



 


タンカーのUターン、米シェールブームによる世界ガス貿易の変化示す
Naureen S. Malik
2017年3月8日 11:05 JST


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• 新たなガス貿易の枠組みの中で中国とメキシコの輸入需要拡大
• 原油に類似したスポット市場への移行でLNG市場は断片化


米ルイジアナ州を昨年12月下旬に出発した液化天然ガス(LNG)タンカーは、LNGの世界貿易の変化を象徴している。LNGは中南米や中国、インドなどの国々でますます、割安かつ大気汚染度の少ない燃料の選択肢と見られている。
  タンカー「マラン・ガス・アキレス」はパナマ運河を通過し、速度20ノットでアジアに向かっていたが、太平洋で突然Uターンした。その後、メキシコのマンサニージョ港に寄港し、積み荷を降ろした。
  この突然の航路変更は、かつてはほぼ全てが目的地が設定された長期契約だったLNG業界で、昨年シェールガス輸出を開始したばかりの米国が新たな枠組みを構築しつつある実態を示している。米シェニエール・エナジーなどの新規参入の米国の天然ガス輸出業者は常に最良の価格を求めている。米国の輸出が拡大する中、こうした戦略は、LNG市場を原油に類似したスポット市場に移行させる可能性がある。
  船舶ブローカー、ポテン・アンド・パートナーズのビジネスインテリジェンス責任者、ジェーソン・フィール氏は電話インタビューで、「米国は直前の通知でも適正価格でガスを届けている。柔軟性がある。LNG市場は短期的なものに移行しつつあり、米国はこうしたニーズに非常に効率的に対応している」と指摘した。
  英コンサルタント会社エナジー・アスペクツによれば、米国は2020年までに世界3位のLNG輸出国となり、輸出能力は日量約83億立方フィートと、世界シェアの14%を占める見通しだ。

タンカー「マラン・ガス・アキレス」の航路
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ivHRktItVgkg/v2/-1x-1.jpg
  
原題:Tanker’s U-Turn Shows How Shale Boom Is Changing World Gas Trade(抜粋)


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-08/OMH2WR6S972901


 

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