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最高速度を変えず「新幹線が速くなった」ワケ 東京−博多間が最大で7分短縮(東洋経済)
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/138.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 3 月 12 日 16:50:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

この3月のダイヤ改正で東海道・山陽新幹線を直通する「のぞみ」「ひかり」はすべてN700Aタイプに統一された(撮影:尾形文繁)


最高速度を変えず「新幹線が速くなった」ワケ 東京−博多間が最大で7分短縮
http://toyokeizai.net/articles/-/162026
2017年03月11日 冷泉 彰彦 :作家 東洋経済


2017年3月4日、JR各社では春のダイヤ改正が行われた。今回の改正では、一部の新幹線が「ほんの少し速くなる」ことになった。

その中でまず注目されるのは、JR東海と西日本による東海道・山陽新幹線の「のぞみ」「ひかり」の多くの列車で所要時間が短縮されたことだ。東京−新大阪間で3分、新大阪−博多間でも最大3分短縮され、一部の「のぞみ」は東京−博多間で所要時間が7分短縮された。

この所要時間短縮には2つの要因がある。1つは山陽新幹線区間への新型ATC導入、もう1つは車両の更新だ。

■新型ATCでなぜ速くなった?

まずは、山陽新幹線区間への新型ATCの導入による所要時間短縮についてだ。山陽新幹線では2017年2月中旬まで、従来のアナログATC(ATC−1W型)が使用されていた。このため、停車へ向けてブレーキをかける際や、先行列車に接近したために減速が必要な場合には「多段ブレーキ」といって、段階的に「現示速度(信号として示される最高速度)」を下げ、それに合わせてブレーキをかけていた。

だが、今回のダイヤ改正へ向けてデジタルATC(ATC−NS)が導入されると、これが一段ブレーキ、つまり走行している速度からブレーキをかけた後の目標速度まで「一気に減速」することが可能となった。

たとえば、姫路駅付近から西の区間では最高速度300キロメートルでの運転が行なわれているが、時速300キロから時速30キロまで減速する場合、アナログATCではいくつかの段階を経て時速30キロまで減速していた。だが、デジタルATCでは減速に必要な距離を逆算して、ブレーキを効かせ始めるギリギリの地点まで時速300キロで走り、そこから滑らかに一気に時速30キロまで減速することができる。

つまり、アナログATCと比較すると、それだけ高速運転のできる距離が伸びるということになる。このデジタルATCは加減速が発生するたびに効果を発揮する。例えば、新大阪−博多駅間の場合、途中停車駅が4〜5駅の「のぞみ」「みずほ」の場合は平均約1分の短縮だが、途中の17駅に停車する「こだま」の場合は、平均約15分の所要時間短縮になる。

今回の改正によって、東京−博多間の「のぞみ」は最速で4時間46分となり、1997年に500系による「のぞみ」が東京−博多直通運転を開始した際に「5時間のカベ」を破って以来の最速記録となった。このデジタルATCは、ダイヤ改正に先駆けて2月19日より稼働している。

■出足の速いN700Aの威力

次に、もう1つの要因である車両の更新についてだ。今回のダイヤ改正では、東海道・山陽新幹線を直通する全ての「のぞみ」「ひかり」がN700Aタイプによる運転となった。これにより、一部の「のぞみ」「ひかり」が東京−博多駅間において最大7分の所要時間短縮となるなど速達化が図られた。

現時点で、東海道・山陽新幹線には500系、700系、N700Aタイプ(N700AとN700系改造車)の3種類の車両が走っている。このうち、500系は8両編成で山陽区間の「こだま」専用となっているので、全体への影響は軽微だ。問題は700系である。セミアクティブ・サスペンションを装備するなど乗り心地の向上を図った名車だが、残念ながらN700Aの性能には及ばない。

まず最高速度だが、N700Aが東海道区間で時速285キロ、山陽区間は時速300キロなのに対して、700系は東海道区間で時速270キロ、山陽区間でも時速285キロにとどまる。また、起動加速度については、N700Aが通勤電車並みの2.6キロ/時/秒の加速を誇る一方で、700系は2.0キロ/時/秒と加速も並の性能だ。

そこで、今回の改正では「足の遅い」700系は「こだま」専用という割り切りが実施されることになった。一方で速達型の「のぞみ」だけでなく、準速達型の「ひかり」も東海道区間では最高時速285キロ運転が可能となり、起動加速も速くなる。

これは、N700Aの増備が進んだことによって実現した。3月のダイヤ改正の時点以降では、N700Aタイプの編成数は136編成となり、定期「のぞみ」164本、定期「ひかり」65本の全てをカバーすることができるようになったのである。昨年2016年3月のダイヤ改正で「のぞみ」の164本は全てN700Aタイプに統一されている一方で、「ひかり」に関しては700系での運用が残っていた。700系は遅くとも2019年度までには東海道区間から引退すると言われているが、この春以降は「こだま」の運用だけということになる。

■地震復旧や対策も進む

「ほんの少し」速くなるということでは、2016年4月の熊本地震の影響で一部徐行運転が続いていた九州新幹線の熊本−新八代間が、今回のダイヤ改正で通常の運転に戻った点も挙げられる。熊本総合車両所の付近が直下型地震に襲われて被災しており、毎晩午前0時から6時の短い時間帯を使って保線を行ってきたのだが、このたびようやく徐行が解除できるようになったのだ。これによって「みずほ」「さくら」「つばめ」ともに、この区間の所要時間が約5分短縮された。


東海道新幹線の脱線防止ガード(撮影:小佐野景寿)

このように「ほんの少し」速くなった新幹線だが、同時に「脱線・逸脱防止」の対策も新たに追加されることとなった。まず、東海道新幹線については、地震被害の可能性の高い箇所を中心に「脱線防止ガード」の設置が進められてきたが、今回2017年度から改めて設置対象を全線に拡大して工事が続けられることとなった。

また、山陽新幹線の場合は東海道とは方式の異なる「逸脱防止ガード」の設置が進められており、新大阪−姫路間では計画通り設置が完了している。姫路以西での設置も優先順位の高い区間で進んでいるが、2017年からは設置対象区間をほぼ2倍に拡大していくこととして、改めて整備計画が発表となっている。

所要時間の短縮も、地震対策も単年度で見れば「地味な改善」かもしれない。だが、こうした「カイゼン」をコツコツと続けてきたところに、日本の新幹線技術の現在があるというのもまた真実なのである。
 

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