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日米金利差拡大で円安再始動は本当か 長期金利目標引き上げる理由ない=黒田 ECB緩和堅持 最近の「長期停滞」論「履歴効果
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/452.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 3 月 24 日 19:57:36: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

FX Forum | 2017年 03月 24日 19:13 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:
日米金利差拡大で円安再始動は本当か

亀岡裕次大和証券 チーフ為替アナリスト

[東京 24日] - 「2017年は、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを進めていく中で日米金利差が拡大し、ドル円が上昇」というシナリオが、円安派の主張で目立つが、これは実現するのだろうか。ここでは、その実現性について考えてみたい。

米国の長期金利が上昇してきた主因は、インフレ期待の高まりにある。市場のインフレ期待を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は昨年11月以降に上昇が進み、今年1月には5年物BEIが2%近くまで上昇した。

トランプ大統領の当選後に米景気拡大期待が高まったこと、石油輸出国機構(OPEC)の協調減産で原油価格が上昇したこと、1月にドル実効為替が反落したこと、米インフレ率が上昇したことなどが、インフレ期待を高める方向に作用した。FRBが3月に追加利上げした理由もインフレ抑制にあるとみられる。

<米インフレ期待上昇は望み薄>

ただし、BEIは2月以降、頭打ちとなっている。原油などの商品市況が反落したこと、ドル実効為替の下落が一服したことが原因とみられる。米消費者物価(CPI)の前年比が2月に2.7%まで高まる一方で、エネルギーを除くCPIの前年比は2%未満で安定しており、インフレの主因はエネルギー価格の上昇にあることがわかる。

そして、米原油生産が増え続ける中で原油在庫の増加が目立ち始めたため、需給緩和見通しから原油価格が下落し始めた。そのことにより、インフレ率がピークアウトする可能性が出てきた。

さかのぼると、WTI原油先物価格(中心限月)は昨年2月にかけて下落し、1バレル=27ドル程度で底打ちした後、6月にかけて51ドル程度まで上昇した。これに対し、今年は1―2月に50―55ドルで推移した後、足元で47ドル台まで下落している。今後しばらくは原油価格が安定的に推移した場合でも、その前年比は2月をピークに低下していくことになる(原油価格が下落すれば、なおさらだ)。

しかも、ドル実効為替も昨年2―6月に下落したので、安定的に推移した場合、その前年比は上昇しやすい。つまり、前年比でみると、原油安・ドル高の方向に振れやすいので、インフレ率は低下しやすいのだ。

また、FRBがインフレ期待の参考指標にしているとみられる米ミシガン大学の消費者期待インフレ率は低下傾向にある。3月に、向こう5年間の期待インフレ率は2.2%と1979年の統計開始以来最低となり、1年間の期待インフレ率は2.4%と昨年12月の2.2%(2010年9月以来の低さ)に次ぐ低水準となった。

近年、消費者のインフレ期待が低下しているのは、消費者の米国景気についての現況判断が改善しても先行き期待が伸び悩んでいることと関係がありそうだ。市場のインフレ期待がさらに上昇していく可能性は低いように考えられる。

<米長期金利の上昇は進みにくい>

米国の実質金利はトランプ大統領当選後の昨年11―12月は上昇したものの、その後は反落した。米経済成長への期待が頭打ちとなっていることを反映しているのではないか。

ミシガン大学の消費者信頼感指数のうち、現況指数が3月にかけて上昇する一方で、先行きの期待指数は昨年11―12月に上昇した後に反落している。今回の景気拡大が93カ月に達し、過去3回の平均である95カ月に迫るなど長期化しているせいか、好景気がさらに続くという期待は盛り上がっていないようだ。

3月は雇用統計など強い米経済指標や米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーのタカ派的発言から利上げ期待が急浮上し、FOMCにかけては実質金利が上昇したものの、メンバーの利上げ予想ペースが加速していないとわかると実質金利は反落した。

米国は完全雇用に近づき、賃金上昇率が次第に高まりつつあるとはいえ、コア物価のインフレ率は落ち着いている。シカゴ連銀発表の全米経済活動指数(3カ月移動平均値)は2月に0.25まで上昇したが、経験則として持続的なインフレ率上昇が始まりやすいとされる0.7には達していない。もっと経済成長が高まらないと、コアインフレ率は上昇しにくいだろう。

2月は平年に比べ3度以上も平均気温が高く経済活動が活発化したが、3月は東海岸で大雪が降るなどの悪天候に見舞われた。しかも、株価は月初をピークに下落傾向をたどり、トランプ政策期待の後退から株安が進みつつある。米国景気の減速リスクが高まりつつあり、株安と景気減速が相互作用を及ぼし合う負の循環に入る可能性もある。成長期待(を反映する実質金利)とインフレ期待の両面から、米長期金利の上昇は進みにくいだろう。

<為替は日米金利差と逆方向に動くケースも多い>

そもそも、日米金利差が拡大するとドル円は上昇すると言えるのか。1990年代以降で日米10年国債金利差が拡大した9回の局面について振り返る。日米金利差拡大でドル円が上昇したのは、2001―02年と16年の2回だ。

16年つまり昨年はトランプ大統領当選後、大型減税などの政策期待を背景に米株価・金利とともにドル円が上昇した。一方、01―02年は日米金利差拡大だけでなく、日銀の量的緩和導入(日本のマネタリーベース増加)も円安に寄与した。

日米金利差拡大とドル円上昇の相関が低いのが、96年、05―06年、09年、13年の4回だ。96年は金利差拡大でドル円は上昇したが、金利差が縮小に転じてもドル円は上昇を続けた。95年4月の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)での「為替の秩序ある反転が望ましい」との声明とドル買い協調介入を受けてドル円上昇が続いていたのであり、金利差拡大が主因ではなかった。

05年は米本国投資法による米国への資金還流でドル円が上昇、06年は反動でドル円が下落したが、金利差とドル円の相関は低かった。09年は金利差拡大を背景に短期的にドル円が上昇後、日本の貿易収支改善と米国の貿易収支悪化を背景にドル円は下落に転じた。13年は5月にかけて日銀の量的緩和を背景にドル円が急上昇し、日米金利差が拡大した年後半はドル円上昇が鈍った。

日米金利差拡大の一方でドル円が下落したのが、94年、99年、10―11年の3回だ。94年は金利差が大幅に拡大したにもかかわらず、当時のクリントン米政権からの円高圧力を背景にドル円が下落した。99年は金融危機から脱した日本経済の回復が円高に働いた(当時は景気回復・円高)。10―11年は金利差が明確に拡大したものの、東日本大震災によるリスクオフが円高に作用したことなどから、ドル円はわずかに下落した。

つまり、日米金利差が拡大してもドル円が上昇するとは限らない。為替が他の要因に左右されて日米金利差と逆方向に動くケースも多いのだ。今後は、トランプ政権の保護主義が円高・ドル安圧力となる可能性がある。米国が円安や日本の貿易黒字への懸念を示す口先介入だけでなく、日本に金融緩和縮小圧力をかけることも考えられる。

米国の長期金利が明確に上昇するような状況でないと日本の長期金利も上昇しにくく、日銀が国債買い入れを縮小しやすいはずだ。日米金利差が縮小する可能性は十分にあり、たとえ日米金利差がわずかに拡大しても米保護主義による円高・ドル安によって打ち消されやすいだろう。いずれにせよ、日米金利差拡大によるドル円上昇のシナリオは描きにくい。

*亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)


コラム:中国軍は南シナ海で米軍を出し抜けるか 2017年 03月 06日
コラム:中国の外貨準備高、越えた危険な一線 2017年 02月 08日
コラム:日米経済対話で開く「円高の扉」=佐々木融氏 2017年 02月 14日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yuji-kameoka-idJPKBN16V0V9

 


Business | 2017年 03月 24日 18:36 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
長期金利目標引き上げる理由ない=黒田日銀総裁

[東京 24日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は24日都内で開かれたロイターのイベント「ロイターニュースメーカー」で講演および質疑応答に応じ、長期金利目標で現行のゼロ%程度を引き上げる理由はないとして、米利上げからの連想で市場で思惑がくすぶる利上げ観測をけん制した。一方、国債買い入れは今後減額しても金利押し下げ効果が高まると説明し、緩やかな買い入れ減額を示唆した。

<金融仲介機能からみても利上げ理由ない>

黒田総裁は、足元の物価が「上昇のモメンタムは維持されているが、なお力強さに欠けている」うえ「下振れリスクのほうが大きい」と指摘。企業や家計の物価観にも「注意が必要」として、「現時点において、金融緩和度合いを緩める理由はない」と明言。「現時点で長短金利の操作目標を引き上げる理由はない」とも言い切った。

中短期金利がマイナスの状態だが「超長期金利は上昇しており、保険や年金などの運用環境はいくぶん改善している」「これまでのところ金融仲介機能が低下していることはない」とも述べ、「金融仲介機能の面からも長短金利目標を引き上げる理由はない」との見解を示した。

<少ない国債買い入れで同じ利下げ効果>

一方、国債買い入れについては、特定の買い入れ量を決めない柔軟な枠組みであることを詳述。「国債が品薄になり国債需給が逼迫する場合、一単位の買い入れによる金利押し下げ効果はより大きなものになる」と説明。「すなわち、より少ない金額の国債買い入れで同じ程度の金利低下効果を実現できる」と強調した。

日経平均株価が2万円台手前まで高水準にあるなか、市場では日銀の年間6兆円にのぼる上場投資信託(ETF)の買い入れの動向にも注目が集まっているが、総裁は「株価を一定の水準に保つことが目的でなく、株価が上がったら止める、下がったら増やすものでない」と述べるにとどめた。

<為替と金融政策「複雑な関係」>

米国が利上げを進めるなか、日銀が長期金利をゼロ%に固定すれば、円安誘導とみなされるリスクが市場で意識されているが、「為替と金融政策は非常に複雑な関係」「金利差と為替は、あるときは相関関係、あるときは相関がない」と述べた。「他の事情が変わらず円安になれば、物価引き上げ要因になるのは事実」とも述べた。

原油価格や為替は「予測は難しい」とし、「一時的な動きもあるため、物価は基調で判断する」とした。

足もとの物価動向について「持続的に下落する意味でのデフレではでなくなった」ものの、「一進一退の動きとで、昨年の円高が耐久消費財価格に影響した」と分析した。

<2%目標、就任前に決まっていた>

2%の物価目標の達成時期は「18年度ころとしているが、幅がある」とし、18年4月の任期満了までに達成できるか「わからない」という。

13年の就任当初に掲げた「2年での2%達成」が無理だった点について、「各国中銀とも2年程度で2%の目標達成を目指している」とし、その後原油価格下落や消費増税などが響いたと釈明した。同時に2%目標は総裁就任よりも前に政府・日銀で決まっていたとも述べた。

<イエレンFRB議長がトランプ政権と対立することはない>

米トランプ政権の通商政策について「保護主義となれば世界経済に影響があるが、具体的な政策は出ていない」と楽観。「自由貿易は世界経済に恩恵がある」として、米国が過度な保護主義に走るリスクは小さいとの見方を示した。

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長のトランプ大統領観について「バランスの取れた方なので、政権とことを構えることはないのでは」と分析した。

*内容を追加します。

(竹本能文、伊藤純夫)

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http://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-rate-idJPKBN16V0FJ?sp=true

 

 
Business | 2017年 03月 24日 19:06 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

プラートECB専務理事、緩和措置維持する方針堅持=伊紙

[フランクフルト 24日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストを務めるプラート専務理事は、24日付のイタリア紙ソレ24オレに掲載されたインタビュー記事で、緩和措置を継続するECBの方針を堅持する姿勢を示した。

ECBは債券買い入れプログラムを少なくとも年末まで継続し、プログラム終了後も「かなりの期間」、金利を現行の過去最低水準あるいはそれを下回る水準に維持する方針を示している。

プラート専務理事はインタビューで「われわれのフォワードガイダンスは有益で、適切な金融状況につながっている」と指摘。

「われわれはそれを改めて表明した」とし、理事会ではイベントの具体的な時期や順序などは議論していないと述べた。

理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は先週、ECBは利上げを債券買い入れプログラムの終了前にするか、後にするか今後決定すると述べていた。

イタリア中銀のビスコ総裁も、債券買い入れプログラム終了と最初の利上げまでの期間は縮小される可能性があるとの見解を示していた。

プラート専務理事は買い入れ終了の時期について「いつになるかは公表しない。『かなりの期間』がどれくらいになるかを、理事会がいずれ決定する」と述べた。

専務理事はまた、賃金の伸びが低いと強調。ECBは「忍耐」が必要との認識も示した。

「賃金の動向によって、ユーロ圏の労働市場には失業率が示すよりも多くの緩みがあることが判明するかもしれない」と指摘した。

イタリアで野党の一部が反ユーロを掲げていることについて「(旧通貨の)リラに戻れば全てがうまくいくという郷愁に訴える主張は国民の誤解を招く」と断じ、「通貨制度を変更するコストは非常に大きく、低所得層が最も大きな負担を負わされる」と指摘した。

*内容とカテゴリーを追加しました。

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http://jp.reuters.com/article/ecb-praet-interview-idJPKBN16V0YD

 

 

「長期停滞」論を巡る最近の議論:「履歴効果」を中心に

2017年3月21日
金融研究所 中野章洋、加藤涼

全文[PDF 445KB]
要旨

先般の金融危機後、多くの先進諸国の経済成長経路が従前のトレンドに復していない中、1930年代に提唱された「長期停滞」論が再び注目を集めている。現代版の長期停滞論は、長期にわたって総需要が総供給を下回る事象を説明するうえで、低い自然利子率のもとで名目金利の実効下限制約が金融政策の有効性を低下させるとのチャネルを重視する。その意味で、過去の議論の単なるリバイバルとは異なる側面を有している。さらに最近では、金融危機のような大規模な負の総需要ショックが、研究開発投資や人的資本投資等の減少を通じて、総供給面にも長期的な悪影響を及ぼす「履歴効果」に着目し、総需要の弱さと潜在成長率(自然利子率)の低下が併存する形で長期停滞を解釈する議論もみられている。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2017/rev17j02.htm/

はじめに

先般の金融危機後、既に10 年弱が経過したが、
多くの先進諸国において、経済成長経路は金融危
機以前のトレンドに復していない(図表1)。この
傾向は、比較的好調を維持している米国ですら例
外とはいえない。こうした中、2013 年、ローレン
ス・サマーズが、「先進諸国は長期停滞(Secular
Stagnation)に陥っている」との仮説を提示し、以
後、この仮説を巡って世界各国で活発な議論が展
開されている1。
昨今議論されている現代版長期停滞論の源流
は、1930 年代の米国の経済学界にまで遡る。当時
の議論は、大枠として総需要の不足に力点を置き
つつ、長期的に成長率の低迷が続くことを説明・
予見するものであった。もっとも、最近の論点は、
潜在成長率や自然利子率がどの程度低下してい
るのかといった純粋に実証的な問題から2、金融危
機のような一時的なショックがなぜ長期にわた
って経済に負の影響を及ぼすのかといったより
本源的な問いまで、極めて多岐にわたっている。
さらに最近では、金融危機のような大きな負の
総需要ショックはさまざまな経路を通じて経済
の総供給面に悪影響を及ぼすため、需要不足が長
期化すること自体が潜在成長率低下の原因とな
っているとの見方が注目を集めている。この議論
の中核となるのが「履歴効果(hysteresis effect)」
と呼ばれるメカニズムである。
もちろん、履歴効果自体は、長期停滞論と同様、
目新しいものではなく、1980 年代には失業の長期
化を説明する枠組みとして提起されていた3。しか
しながら、標準的なマクロ経済学の分析枠組みで
は、総需要の変動は長期的には総供給に影響を及
ぼさないという意味での二分法が前提とされて
きた。このため、履歴効果を通じた波及メカニズ
ムの重要性が必ずしも広く認識されていたわけ
ではない。ただし、近年では、履歴効果を巡る実
証研究の進展もあって、その評価は変化しつつあ
る。
金融研究所 中野章洋、加藤涼
2017 年3 月
日銀レビュー 2017-J-2
Bank of Japan Review
【図表1】先進国の経済成長
50
75
100
125
90 95 00 05 10
世界
主要先進国
(2007年=100)

(注) 実質GDP。主要先進国は、G7。
(出所) 国際通貨基金
「長期停滞」論を巡る最近の議論:「履歴効果」を中心に
2 日本銀行2017年3月
本稿では、まず、金融危機後の米国経済に着目
し、回復の弱さの特徴点を整理したあと、米国の
潜在成長率が低下した説明のひとつとされる長
期停滞論について、沿革や反論を含め、その概要
を紹介する。そのうえで、履歴効果についての最
近の議論を説明し、同効果の波及経路に関する研
究結果を紹介する。
金融危機後の米国の景気回復の特徴点
米国議会予算局(CBO: Congressional Budget
Office)が公表している米国の需給ギャップの推
計値は、金融危機後に大きく拡大したあと、徐々
に縮小し、最近ではゼロ近傍に近づいている(図
表2)。このCBO の推計値を素直に解釈すれば、
米国は金融危機から順調に立ち直っており、景気
は中立的な状態に近いと判断できる。
他方、直近の潜在GDP の推計値を金融危機以
前の推計値と比較すると、累積で約▲15%下方修
正されている。こうした下方修正を考慮すれば、
金融危機後の米国の需給ギャップの縮小は、総需
要の回復を通じた経済成長よりも、推計された潜
在GDP および潜在成長率の低下によって説明さ
れる部分の方が圧倒的に大きいことになる。この
点、米国の今次回復局面における成長率を過去の
回復局面と比較してみると、先般の金融危機前の
直近3 回の景気回復局面における平均成長率がそ
れぞれ+4.3%、+3.6%、+2.8%であったのに対し、
2009 年から足もとにかけては+2.1%と最も低い4。
こうした経済成長経路の下方シフトは、景気が
着実に回復する中にあって、なお景気の回復が実
感できないという認識が根強いことの大きな背
景となっていると考えられる。
以上をまとめると、米国経済は、需給ギャップ
からみて順調に回復しているとの情勢判断があ
る一方、潜在成長率の推計値の下方修正が累積ベ
ースで大きいこと、過去の局面対比でみても回復
ペースが緩慢であることが指摘できる。これらの
特徴点は、程度の差こそあれ、実は先進諸国の多
くで共通に観察されている5。近年、学界を中心に
長期停滞論に関する議論が活発化している背景
としては、こうした世界経済の状況が、専門家だ
けでなく、広く一般に認識されていることが挙げ
られる。
長期停滞論
(長期停滞が生じるメカニズム)
長期停滞論は、1939 年、米国経済学会会長であ
ったアルビン・ハンセンが提唱した説まで遡るこ
とができる6。当時、ハンセンは、米国経済を念頭
に、将来、人口増加率や技術進歩率の低下が見込
まれることなどから、投資需要が減退し、雇用水
準が完全雇用を下回り続ける形で経済が長期停
滞に陥る危険性を指摘した。長期停滞に関する研
究は、1940〜50 年代を中心に盛んに行われたが、
その後、第二次大戦後のベビーブームや技術革新
の継続等から、ハンセンが予想したような長期停
滞は、事後的にみれば到来せず、研究も下火とな
った。
サマーズが2013 年以降提唱している長期停滞
論は、需要不足による長期的な成長の低迷を論じ
ている点ではハンセンの議論と共通している。た
だ、理論モデルが提示されているわけではなく、
厳密な比較は難しいが、新しいフレーバーもみら
れる。その特徴を整理すれば、低い自然利子率と
名目金利の実効下限制約(effective lower bound)
の組合せを重視する点が挙げられる。
一般論として、中央銀行は不況期に、政策金利
を引き下げ、実質金利を自然利子率より低い水準
にまで押し下げることで、総需要を刺激する。し
かし、自然利子率が極めて低い水準にあると、中
央銀行が名目金利をゼロ近傍にまで引き下げた
としても、実質金利が自然利子率を下回らないこ
とが起こりうる。この場合、十分な景気刺激効果
が得られないため、総需要が総供給を下回る状況
【図表2】米国の潜在GDP と実際のGDP
14
15
16
17
18
19
20
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
2006年時点推計
2016年時点推計
実質GDP
(兆ドル)
15%

1.5%
(注) 潜在GDP の推計値は各年8 月時点。2006 年時点推計は、基
準年(2000 年)について水準調整している。
(出所) CBO
3 日本銀行2017年3月
が続き、長期停滞に陥る。このように、需要不足
が起きる主要な原因を、名目金利の実効下限制約
が存在し、金融政策が十分機能しないことに求め
る点が、現代版長期停滞論の特徴といえよう。
(長期停滞に関する懐疑論・否定論等)
サマーズによる現代版長期停滞論は、先進諸国
で共通する今次回復局面の特徴点――すなわち、
@低金利の長期化、A潜在成長率の低下、B景気
回復力の弱さなど――をある程度統一的に説明で
きることもあり、注目を集め、その後の議論を活
発化させる契機ともなった。その一方で、懐疑
論・否定論が根強いのも事実である。
そもそも、現代版長期停滞論がどの程度もっと
もらしいかは、この仮説が実証的にどの程度裏打
ちされているかによって判断されるべきである。
この点、政策金利の実効下限制約の強さと自然利
子率の推計値の確からしさの2 つが実証上の議論
の焦点となる。
前者については、米国をはじめ先進諸国におい
て、グローバルな金融危機から10 年近くが経過
しようとしているが、政策金利は歴史的な低水準
にある。その意味で、名目金利の実効下限制約の
もとで、政策金利の操作を通じた伝統的な金融政
策の有効性の限界が意識される状況にある。
他方、後者の自然利子率については、現状、さ
まざまな推計手法を駆使しても、正確な推計は容
易ではないことが広く認識されている。すなわち、
自然利子率の水準が低下しているという定性的
な議論では概ね一致しているものの(図表3)、最
近の自然利子率の水準という定量的な議論では、
推計手法によってプラスからマイナスまで大き
な幅があり、先行研究でも見方が割れている7。
さらに、サマーズによる長期停滞論が恒常的な
マイナスの自然利子率を前提としていること自
体に疑念を呈する向きもある。ベン・バーナンキ
は、自然利子率が「長きにわたってマイナスであ
ることが可能なのか疑問である」と述べ、現代版
長期停滞論に対して懐疑的な見方を示している8。
このほか、自然利子率の低下は、金融危機を契
機とした需要不足によるものではなく、技術進歩
率の低下を反映したものであり、金融危機以前か
ら既に進行していたとの意見もある。自然利子率
は定義上、経済の総供給力を示す潜在GDP の成
長率である潜在成長率と密接な関係を持ってお
り、一定の条件のもとで両者は一致する9。したが
って、潜在成長率やそれを規定する技術進歩率を
計測することによって、自然利子率のおおよその
動向を窺い知ることができる。
こうした観点からは、ロバート・ゴードンによ
る技術進歩やその生産性に与える影響に関する
一連の研究成果が有名である10。ゴードンは、歴
史データを使い、米国経済の全要素生産性(TFP:
total factor productivity)の伸びが1980 年以降鈍化
していることを示している。特に、1990 年代後半
以降の情報通信技術を中心とした第3 次産業革命
は、19 世紀以降の第1 次産業革命(鉄道網の発達、
鉄鋼の利用拡大等)や第2 次産業革命(電力・内
燃機関の普及等)に比べ、TFP の成長率に与える
影響が小さく、かつ持続性も短いと主張している。
ただし、生産性の伸び率鈍化に起因する潜在成長
率および自然利子率の低下は、より長いスパンで
生じていると考えている点で、現代版長期停滞論
とは若干立ち位置が異なっている。
これらの自然利子率の水準等に関連する懐疑
論のほかに、長期停滞論そのものに対して、否定
的な立場をとる論者や専門家も少なくない。例え
ば、欧州中央銀行のブノア・クーレ理事は、自然
利子率の長期的な低下と、その要因を理解するこ
との重要性を認めつつも、長期停滞論に基づく悲
観論には共感できないと述べている11。また、実
際の米国のデータを用いて厳密な時系列分析等
を行った結果、長期停滞と呼ぶほどの特別な事態
が起きているわけではないと主張する研究も存
在している12。
【図表3】米国の自然利子率の低下
-1
0
1
2
3
4
5
80 85 90 95 00 05 10 15
(%)

(注) Laubach and Williams [2003]に基づく推計値。
(出所) 米国サンフランシスコ連邦準備銀行
4 日本銀行2017年3月
履歴効果とその波及経路
ここまでの議論では、長期停滞を引き起こすメ
カニズムについて、総需要要因と総供給要因に分
解可能であるという暗黙の前提を置いてきた。し
かしながら、最近では、総需要と総供給の(長期
的な)二分法を必ずしも前提としない議論もみら
れている。以下では、総需要と総供給双方の要因
が相互に作用して長期停滞をもたらすという議
論の代表例であり、かつ実証的な研究も進んでい
る履歴効果について説明する。
履歴効果自体は、冒頭で述べたとおり、1980 年
代には失業の長期化を説明する枠組みとして提
起されていた。しかしながら、その位置づけは、
長期的には、総需要と総供給の二分法が前提とさ
れる標準的なマクロ経済学での整理に対する例
外程度の扱いにとどまっていた。しかし、先述の
通り、金融危機後、多くの先進諸国において、観
察された成長率の大幅な落ち込みと同時に、推計
された潜在成長率の低下が確認されるようにな
ると、総需要の変化が総供給に対し長期的に影響
を及ぼす可能性についても、再び関心の目が向け
られるようになった。
履歴効果を通じ長期停滞が生じるメカニズム
は、総需要に対する大規模な負のショックが総供
給面に長期的に悪影響を及ぼすことで、総需要の
停滞と潜在成長率の低下が持続的に生じると整
理できる13。以下では、こうした履歴効果が生じ
る具体的な波及経路として、研究開発投資と人的
資本投資という2 点を取り上げ、関連する研究事
例等を紹介する。
(履歴効果が生じる経路@:研究開発投資)
設備投資が総需要の構成要素であると同時に、
それによって蓄積される資本ストック水準は経
済の総供給能力の決定要因である。そして両者は
フローとストックの関係にあるため、資本ストッ
クの蓄積ペースの変動を通じて、通常の景気循環
においても広義の履歴効果がある程度作用して
いることを意味する。ただ、さらに一歩進めて、
やはり総供給能力の決定要因である生産性が景
気に対して順相関であることを認める場合、履歴
効果がより広範に生じていることになるが、この
点については議論の余地がある。
例えば、米国連邦準備制度理事会のジャネッ
ト・イエレン議長は、金融危機後の米国経済の成
長トレンドの下方シフトについて、資本ストック
の蓄積ペースの鈍化に加え、研究開発投資や起業
ペースの低下が生産性の伸び率鈍化につながっ
た可能性を指摘している14。実際、金融危機前後
の研究開発投資の推移を確認すると、金融危機以
降、従前のトレンドからかなりの程度、下方に乖
離している様子が確認され、特に米国において乖
離が顕著になっている(図表4)。
こうした見方が正しいとすると、総需要面での
研究開発投資の停滞が生産性上昇テンポを鈍化
させ、潜在成長率の低下をもたらしたという意味
で、履歴効果の典型例といえる。こうした問題意
識もあって、イエレンの指摘と類似のメカニズム
を取り込んだ研究もみられ始めている。例えば、
金融危機後、企業の資金調達環境の悪化が研究開
発投資等を減少させる結果、TFP が低迷し、景気
回復が緩慢になるというメカニズムをモデル化
した研究もある15。
(履歴効果が生じる経路A:人的資本投資)
人的資本投資は一般に、人的資本ストック自体
の蓄積と労働生産性の向上を通じて、潜在成長率
に影響を及ぼすと考えられる。この点、何らかの
大きな負の総需要ショックによって失業率が高
まった場合、雇用機会の喪失が単に物理的な労働
投入の減少だけでなく、人的資本の蓄積を阻害す
る可能性が考えられる16。また、雇用者の適性に
合致した雇用機会が得られる可能性も低下し、職
場への定着の悪化、その後の再就職の困難化とい
【図表4】金融危機前後の研究開発投資
93年95 97 99 01 03
80
90
100
110
120
130
03年05 07 09 11 13
米国
ドイツ
イタリア
日本
金融危機前の
トレンド
(注) 日本(上軸)は1997 年、米国・ドイツ・イタリア(下軸)
は2007 年の水準(自然対数値)を100 としている。金融危
機前のトレンドは、金融危機前5 年間の日本、米国、ドイ
ツ、イタリア4 か国の平均。
(出所) 経済協力開発機構
5 日本銀行2017年3月
ったことから、人的資本の蓄積が一段と阻害され
ることも考えられる。
この点、日本では、1990 年代半ば頃から徐々に、
いわゆる若年非正規雇用の問題が深刻に受け止
められるようになったこともあり、人的資本投資
に関する負の履歴効果に関連した実証研究がい
くつか存在している。これらの研究では、日本に
おいて、新卒時に(非自発的に)非正規雇用とな
った労働者は、その後、長期にわたって正規雇用
の機会を得ることが難しいことや、その結果とし
て、研修やOJT などの就労を通じた人的資本の蓄
積が阻害されることが指摘されている。
例えば、新卒時に正規雇用された労働者は、学
歴等、本人の能力や属性を表す特性をコントロー
ルしたとしても、一定期間後に正規雇用の状態で
ある確率が、新卒時に非正規雇用された労働者対
比、有意に高いことが報告されている17。こうし
た推計結果の背景として、日本企業の正規採用が
新卒中心に行われており、新卒時に正規雇用され
なかったという履歴が労働者にとってネガティ
ブなシグナルとして働いている可能性が指摘さ
れている。こうした考察が正しいとするならば、
新卒採用への依存度が高い日本では、人的資本投
資を通じた負の履歴効果が働きやすい可能性も
十分考えられる。
おわりに
本稿で紹介した「長期停滞」論や「履歴効果」
の妥当性については、理論モデルによる分析のみ
では十分ではなく、実証的な裏付けを得るべく、
データの蓄積を待つ必要がある。その一方、既存
の論点を一歩先に進めた研究の必要性も高まっ
ている。
例えば、イエレンは、負の履歴効果が存在する
ならば、政策によって総需要を長期間刺激し続け
る「高圧経済」を維持していけば(running a
“high-pressure economy”)、逆に、正の履歴効果が
起きる可能性もあると指摘している18。仮にこう
した現象が起こりうるとすれば、どの程度総需要
を刺激し続ければ、どの程度潜在成長率の回復が
期待できるのか、検証していく必要がある。
さらに、こうした問題意識は、標準的なマクロ
経済学が採用している総需要と総供給の(長期的
な)二分法を前提とした分析枠組みに対しても疑
問を投げ掛けているように思われる。長期停滞自
体に関する研究と並行して、中長期的な経済成長
を実現する要因と総需要管理政策との関係全般
について、理論と実証の両面から研究を進めてい
く必要性が高まっているといえよう。19
1 サマーズの長期停滞論については、以下の論文等を参照。
Summers, Lawrence H., Remarks at the IMF Fourteenth Annual
Research Conference in Honor of Stanley Fischer, Washington, DC,
2013.
Summers, Lawrence H., “Demand Side Secular Stagnation,” American
Economic Review, Vol. 105, No. 5, 2015, pp. 60-65.
2 自然利子率とは、緩和的でも引締的でもない景気中立的な実質
金利の水準を指し、均衡実質金利とも呼ばれる。詳細は、小田・
村永[2003]を参照。
小田信之・村永淳、「自然利子率について:理論整理と計測」、日
本銀行ワーキングペーパーシリーズ、No. 03-J-5、2003 年
3 例えば、欧州における1970〜80 年代にかけての失業率の持続
的な上昇に関して、Blanchard and Summers [1986]は履歴効果につ
いて分析している。
Blanchard, Olivier J. and Lawrence H. Summers, “Hysteresis and the
European Unemployment Problem,” NBER Macroeconomics Annual
1986, Vol. 1, MIT Press, 1986, pp. 15-90.
4 金融危機前の直近3 回の景気回復局面は、1983 年第1 四半期〜
1990 年第3 四半期、1991 年第2 四半期〜2001 年第1 四半期、2002
年第1 四半期〜2007 年第4 四半期。今次回復局面は、2009 年第3
四半期から直近(2016 年第4 四半期)。景気基準日付は、“US
Business Cycle Expansions and Contractions”(全米経済研究所、
NBER)を参照。
5 例えば、Ball [2014]は、経済協力開発機構に加盟している多く
の国において、先般の金融危機によって、潜在GDP が実際のGDP
と概ね同程度低下したことを指摘している。
Ball, Laurence M., “Long-term Damage from the Great Recession in
OECD Countries,” NBER Working Paper, No. 20185, 2014.
6 以下の論文を参照。
Hansen, Alvin H., “Economic Progress and Declining Population
Growth,” American Economic Review, Vol. 29, No. 1, 1939, pp. 1-15.
7 Williams [2017]は、複数の先行研究(図表3 のLaubach and
Williams [2003]を含む)に基づき、米国の自然利子率が、過去10
年間で明確に低下していること、直近時点でマイナスから+1%程
度まで推計値に幅があることを示している。
Laubach, Thomas and John C. Williams, “Measuring the Natural Rate
of Interest,” Review of Economics and Statistics, Vol. 85, No. 4, 2003,
pp. 1063-1070.
Williams, John C., “Three Questions on R-star,” FRBSF Economic
Letter, 2017-05, 2017.
8 バーナンキは、「MIT の大学院でラリー(著者注:サマーズの
こと)の伯父であるポール・サミュエルソンが教えてくれたよう
に、もし実質金利がいつまでもマイナスであると予想されるなら、
ほとんどどんな投資でも利益を生み出すことができる。例えば、
金利がマイナスならば(あるいはゼロであっても)、ロッキー山
脈を平らにして、列車や車が急な坂を上るのに費消しなければな
らないほんの少しの燃料を節約することでさえペイするだろう。
したがって、本当に均衡実質金利(著者注:自然利子率のこと)
が、長きにわたってマイナスであることが可能なのか、疑問であ
る」としている。同氏は、もちろん、Eggertsson and Mehrotra [2014]
など、自然利子率が長期間にわたってマイナスに陥る可能性を裏
付けるモデルがあることは承知しているが、そうした反論が定量
的にもっともらしいものなのか、実証分析を見たことがないと主
張している。詳細は、以下のURL を参照。
https://www.brookings.edu/blog/ben-bernanke/2015/03/31/why-are-int
erest-rates-so-low-part-2-secular-stagnation
6 日本銀行2017年3月
Eggertsson, Gauti B., and Neil R. Mehrotra, “A Model of Secular
Stagnation,” NBER Working Paper, No. 20574, 2014.
9 自然利子率と潜在成長率の関係については、岩崎他[2016]を参
照。議論の詳細については、脚注2 の小田・村永[2003]を参照。
岩崎雄斗・須藤直・西崎健司・藤原茂章・武藤一郎、「『総括的検
証』補足ペーパーシリーズA わが国における自然利子率の動向」、
日銀レビュー・シリーズ、No. 2016-J-18、2016 年
10 以下の文献を参照。
Gordon, Robert J., “Secular Stagnation: A Supply-Side View,”
American Economic Review, Vol. 105, No. 5, 2015, pp. 54-59.
Gordon, Robert J., “The Rise and Fall of American Growth: The U.S.
Standard of Living since the Civil War,” Princeton University Press,
2016.
11 以下のURL を参照。
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2014/html/sp140624.en.html
12 例えば、Stock and Watson [2016]は、金融危機以降の経済成長率
と過去の景気回復局面の成長率との乖離(年率約1.7%ポイント)
をトレンド要因と循環要因に寄与度分解し、トレンド要因で約半
分が説明可能と指摘している。そのうえで、トレンド要因につい
ては、ほとんどが人口要因で説明されるため、金融危機を原因と
する生産性の低下等は確認できないと述べている。
Stock, James H. and Mark W. Watson, “Why Has GDP Growth Been
So Slow to Recover?,” paper presented at the Federal Reserve Bank of
Boston 60th Economic Conference, 2016.
13 以下を参照。
Yellen, Janet L., Remarks at the Federal Reserve Bank of Boston 60th
Economic Conference, 2016.
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/yellen20161014a.ht
m
14 脚注13 参照。
15 関連する論文として、例えば、以下を参照。なお、Ikeda and
Kurozumi [2014]は、日銀リサーチラボ・シリーズでも紹介されて
いる。
Ikeda, Daisuke and Takushi Kurozumi, “Post-Crisis Slow Recovery
and Monetary Policy,” IMES Discussion Paper Series, No. 2014-E-16,
2014.
Queraltó, Albert, “A Model of Slow Recoveries from Financial Crises,”
Board of Governors of the Federal Reserve System International
Finance Discussion Papers, No. 1097, 2013.
池田大輔・黒住卓司、「金融危機後の景気回復はなぜ緩慢なのか:
金融政策運営への含意に関する一考察」、日銀リサーチラボ・シ
リーズ、No. 15-J-2、2015 年
16 例えば、第3 回カナダ銀行・日本銀行共催ワークショップ(2016
年9 月)の基調講演において、サマーズは、景気後退局面に採用
された労働者は、景気拡大局面に採用された労働者と比べて、そ
の後のキャリアにおいて、よりリスクを取らなくなり、人的資本
の蓄積ペースが鈍化するとの仮説を提示している。
17 以下の論文を参照。
Kondo, Ayako, “Does the First Job Really Matter? State Dependency in
Employment Status in Japan,” Journal of the Japanese and
International Economies, Vol. 21, No. 3, 2007, pp. 379-402.
18 脚注13 参照。
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済
に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説
するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、
レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見
解を示すものではありません。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行金融研究所経済
ファイナンス研究課 (代表03-3279-1111 内線6518)までお知ら
せ下さい。なお、日銀レビュー・シリーズおよび日本銀行ワーキ
ングペーパーシリーズは、http://www.boj.or.jp で入手できます。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2017/data/rev17j02.pdf  

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