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過大債務の実態は不変 銀行課税リスクは避けられない スティグリッツ教授の「日銀保有国債の無効化」提案(ダイヤモンド)
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/540.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 3 月 29 日 10:26:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

過大債務の実態は不変 銀行課税リスクは避けられない スティグリッツ教授の「日銀保有国債の無効化」提案
http://diamond.jp/articles/-/122071
2017年3月29日 翁邦雄 [おきな・くにお]  ダイヤモンド 書籍オンライン


ジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授が、3月14日の経済財政諮問会議に出席して行ったプレゼンテーションが反響を呼んでいる。スティグリッツ教授の提案の狙いを考察し、その実現方法と効果(副作用)を検討してみよう。これは、『金利と経済』でも触れた、「統合政府という観点から財政コストを考える」点の応用問題ともいえる。

 スティグリッツ教授のプレゼンテーションに関して公表された資料をみると、最終的な結論部分には、下記のように記されている。

・金融政策は限界に到達しており、日本は成長に悪影響を及ぼすことなく必要な税収を得るため、炭素税を導入する必要がある。

・最も重要なのは構造政策―イノベーションにおけるリーダーシップを日本が取り戻すために必要な政策を含む。

・世界第2位の民主主義国家として、世界は、来る数年間の日本のリーダーシップを特に必要とするだろう。

 プレゼンテーション資料全体の流れをみても、スティグリッツ教授の従来の持論でもある炭素税の導入が関心の中心であることがわかる。

 しかし、メディアが大きく報道したのは、必ずしも炭素税導入ではなかった。

         
          金融政策の複雑さは増し、関心は薄れてきている

 たとえば、ブルームバーグは「スティグリッツ教授:政府・日銀保有国債の無効化主張−諮問会議」という見出しで今回のプレゼンテーションを報道した。スティグリッツは2003年の財務省の審議会における講演でも、日本政府の債務・GDP比率が高すぎることを問題視し、政府紙幣の発行を提言していたから、彼の問題意識が大きく変わったわけではない(*)。しかし、「管理された無責任」をめざす(?)シムズ提案の次は、スティグリッツの国債無効化提案となると、米国のマクロ経済学者の日本のマクロ政策への関心の焦点は、財政政策運営にどんどん集まってきているように見える。

 この間、日銀の金融政策に対する世の中の関心は、急低下している。

 日銀が2016年12月に実施した「生活意識に関するアンケート調査」をみても「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を知っていると答えた割合は24.4%にとどまり、9月調査当時まで行われていた「マイナス金利付き量的質的金融緩和」を知っていた割合(6月調査41.6%、9月調査33.9%)からの大幅な減少が続いている。3月18日付日経新聞が「日銀の緩和が長期化するにつれて政策手法も複雑なものに変わっており、詳細な政策の内容や効果の波及メカニズムが分かりづらくなっている」とコメントしているように、金融政策は、ますます複雑化するなかで効果がみられない、という状況が続き、世間は関心を失ってきている。

 ところで、スティグリッツ教授の国債無効化提案等は、公表された会議提出資料15ページ(債務と税のジレンマの解消)で触れられている。

 引用すると、

・日本の政府債務には多くの人が懸念
 ■ もし金利が大きく上昇すれば、政府は問題に直面するかもしれない
 ■ しかし、政府債務を低下させるために消費税を上げることは逆効果

と記された後、「これからの3つのステップ」として、

・炭素税—歳入増、環境の改善、経済活性化を同時に達成

のあとに、以下2つの提案が記されている。

・政府(日本銀行)が保有する政府債務を無効にする
 ■ 粗政府債務は、瞬時に減少−不安はいくらか和らぐ

・債務を永久債あるいは長期債に組み換え
 ■ 政府が直面する金利上昇リスクを移転
 ■ 債務組み換えは、ほとんどお金がかからない
 ■ 永久債の発行は、政府支出に必要な追加的歳入を調達し、経済を刺激する低コストの方法

 このスティグリッツ提案を、どう考えるべきだろうか。

 これは、この連載第3回目でも解説した「統合政府という観点から財政コストを考える」というテーマの一つの応用問題になる。

■政府が日銀を吸収して中央銀行省にしても実態は…?

 まず、簡単に、第3回目の論点を復習しておこう。

 この回で取り上げたのは「日銀が国債を買えば、財政危機は雲散霧消する」という主張の妥当性であり、この点を考えるには、統合政府(政府+中央銀行)全体の財政支出コストの変動をみる必要がある、と述べた。



 その際、ひとつの思考実験として量的緩和をさらにおしすすめて日銀が政府の発行した国債を全部買い上げれば、民間保有はゼロになり、統合政府のバランスシートは右図表のようになることを説明した。

 この説明を出発点として、スティグリッツの提案がどういう意味をもつか考えてみよう。

 まず、日銀が保有する国債を無効にする、というスティグリッツの提案を実現するにあたっては、実務的には、どうやって、国債を無効にするか、という点が重要になる。政府、日銀がバラバラなまま単に徳政令のように国債を無効化すると、日銀のバランスシートから資産が消えて負債だけが残り、バランスシートが「バランスしなくなる」し、「国債の無効化」というデフォルトを想起させるフレーズは、「マイナス金利」と同様にかえって投資家を不安にさせかねないキーワードだからだ。

 スティグリッツ教授の提案を実現するための一番簡単な方法は、政府が日銀を吸収合併し、日銀を政府内の一部局、中央銀行省とし、政府内の債権・債務を相殺するかたちで国債を消滅させることだろう。

 現在の日銀は第一次アベノミクスの「第一の矢:大胆な金融政策」の担い手であり、政府の経済政策の切り込み部隊長のような存在だ。それだけに、政府が吸収合併して名実ともにアベノミクスの第一の矢と位置付けても、金融政策がそれにより変化するとは考えらえない。図1のように、日銀がすべての国債を買い取ったあと、合併により政府・日銀相互間の債権・債務を相殺すれば、政府のバランスシートから国債を消滅させることもできる。

 しかし、合併前から統合政府のバランスシートは、政府・日銀のそれを足し合わせたものだから、新政府のバランスシートは統合政府と同じである。政府が日銀を吸収合併しても、民間部門のバランスシートないし政府と民間の貸借状況に変化はない。

 したがって、合併による国債無効化で統合政府の実態が変わるわけではない。日銀を合併した後、日本の物価上昇が行きすぎたとき、新政府が問題に直面するかどうかは、民間に対する負債である中央銀行省当座預金に払う金利がどうなるか、に依存する。

 もし、新しい中央銀行省が将来、物価上昇の行き過ぎに対処して市場金利を上げようとすれば、新政府が金融機関に払う当座預金金利は短期市場金利に連動して上昇せざるを得ない。なぜそうなるか、という点は、第3回に紹介したのでここでは再論しない。

 それを避けるためには、金利引き上げを断念する(「永遠のゼロ」)、ないし日銀の合併と同時に準備率を劇的に高めて金利ゼロの中央銀行省の当座預金保有を銀行に義務づける、といった措置が必要になる。これは実質的には銀行への課税だから、中央銀行省の創設と国債無効化がその第一歩になると受け止められれば、銀行関係者にとって「不安はいくらか和らぐ」どころか、大きく高まるだろう。

■永久債は本当に低コストか?

 もうひとつのステップ、債務を永久債あるいは長期債に組み換える、という提案も統合政府ないし「新政府」の債務負担の観点からは、興味深い論点を提供している。

 財政の持続性を高めるうえで長期債の発行が有効だ、というスティグリッツ教授の議論は、金利が極めて低い間にこれを長期固定化しておく、という意味で政府の国債管理政策としては、きわめて妥当なものだろう。

 しかし、日銀は、量的・質的金融緩和により、政府がこれまで発行してきた長期債のストックをせっせと要求払いの日銀当座預金に置き換えてきた。つまり、量的・質的金融緩和は、統合政府――あるいは「新政府」――の観点から見ると、利払いの急増を避ける長期債発行努力を無効化して金利リスクを高めるオペレーションだということがわかる。

 他方、永久債の発行については、償還の必要がない、という意味で財政の持続性への不安をなにがしか和らげる方向に作用することが期待できる。

 しかし、永久債発行が即、低コストをもたらす、というスティグリッツ教授の主張には必然性がない。政府にとって永久債が低コストである、ということは、買い手にとっては償還期限のある国債より永久債が割高であることを意味する。そうであれば、民間金融機関は永久債を敬遠する可能性が高い。この場合、政府が割高の国債を押し付けることを期待できる最終的な買い手は日銀だけになる。

 しかし、統合政府の観点から見ると、これはメリットを伴わない。そのことは、スティグリッツの国債無効化提案が実現し、日銀が政府の一部局になっている状態を想像すれば、より分かりやすいだろう。財務省が中央銀行省に損失を押してつけることができても「新政府」全体としての利払費節減のメリットはないからだ。

*政府紙幣の発行は日銀の無利子永久債引受と実質的に同じ効果をもつ。政府紙幣発行も含め、2003年当時のスティグリッツ提案については、翁邦雄『ポスト・マネタリズムの金融政策』(日本経済新聞出版社、2011年)の第9章参照。


            
            翁 邦雄著 本体1800円+税、2/16刊行

金利と経済
高まるリスクと残された処方箋


黒田日銀発足から4年弱の間に、量的・質的金融緩和政策は、マイナス金利政策を経て、イールドカーブ・コントロールへ到達しました。これらの政策の中身がいったいどのようなもので、日本経済にどのような効果と副作用を及ぼすのか、「金利」を軸に解きほぐし整理した1冊です。

【第1章より抜粋】
 昔は、金融政策はきわめてシンプルなものだ、と考えられていた。
 今でも多くの経済人が、
 景気が悪ければ金利を下げて金融を緩和すればよい、という
 単純な原理の有効性を基本的に信じているようにみえる。
 「景気」の本質が変化して金融政策の働きかけの意味が変わったとき、
 先の原理の効果は思うようには出なくなり、
 金融政策は新たな工夫を試みてどんどん複雑化してくる。


 

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コメント
 
1. 2017年3月29日 12:19:05 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3829]

妥当な分析と提案だが、既得権にしがみつく愚民国家では、

なかなか受け入れて実行に移すのは難しいだろうな


http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0314/shiryo_01-2.pdf

持続可能で共有された
繁栄への移行
ジョセフ・E・スティグリッツ
東京
2017年3月14日
仮訳

資料1−2


現状の簡単な診断

今世紀は低成長が特徴的。
また、その成長の寄与も上位層へ偏っている。
いくつかの国では、下位90%の所得は実質的に停滞。
米国では、平均寿命さえ低下。
グローバリゼーション、「改革」、技術進歩は、約束したことを実現していない。
いくつかの点ではむしろその反対のことが起こっている。
この問題は、政治的に多大な帰結を生じさせている。
第2次世界大戦後に確立されたグローバルな地政学的・経済地理学的秩序をひっくり返している。

2

衰退する中間層の苦境のほとんどは、技術の変化と関連している

所得が停滞している中間層に、中間層の衰退の原因のほとんどは技術変化によるものであり、グローバリゼーションが原因となっている苦悩は一部だけだ、と言ってもほとんど慰めにはならない。
同様に、世界の反対側の人々の生活が今までになく良くなったと知っても、何の慰めにもならない。
こういった比較をすると、他地域の人々の得たものは、彼らの犠牲によるものだという見方をあおるだろう。
ある国の利益は、ほかの国の損失になるという世界がゼロサムであるという考え方をより強くする。

3

重要な規範: 「社会厚生」が改善する場合のみ変化は望ましい

分配を考慮すること。
目的はGDPの最大化ではない。
そして個人の労働の価値―適切な労働(decent work)
に適切な賃金。
再分配のみに依存し、労働を考慮しないシステムは受け入
れられるものと見なされない。
普遍的なベーシックインカムを提案することに対する批判
この基準に照らせば、過去四半世紀の変化・改革は厚生の低下をもたらした可能性。

4

経済を再構築する必要性

経済がサービス産業を中心とした経済に発展していく。
特に、教育・健康医療・他の公的サービス。
これらのサービスの価値は、市場プロセス「のみ」ではなく、主と して社会的に決定される。
もしこれらのサービスの価値を高く評価し、よい賃金を支払い、良好な労働環境を提供し、十分な雇用を創出すれば、市場における所得格差の拡大を限定することができる。
限られた技能のみを必要とする職を含む。
高賃金により、これらの職業に対する高い「敬意(リスペクト)」も生まれる。
民間セクターの賃金も公的セクターの賃金に続く。
低賃金の職に対する需要や賃金を高めるための賃金補助も必要になるかもしれない。

5

新しい経済への適応を助ける

経済は、製造業中心からサービス産業中心の経済へと発展していっている。
市場は、独力ではうまく変革することができない。
大恐慌の際の印象的な例から
労働移動による摩擦や硬直性、資本市場の不完全性により、技術変化が厚生の低下を もたらすこともある。
政府のマクロ政策、産業政策(一部は戦争のための努力)は、変化を可能とするものである。
製造業を回帰しようとしても、大体はうまくいかない。
世界的に製造業の雇用は減少。
先進国のシェアも減少。
生産を回復できたとしても、雇用は回復しない: 資本集約的な製造業となる。
一方、特定の国が利益を得られるニッチ市場が存在する可能性。
学習する経済と社会を創ることにより、莫大な社会的利益。
(「学習する社会の創 造:成長、開発、社会的進歩への新しいアプローチ」
(Creating a Learning Society: A New Approach to Growth, Development, and Social Progress)ロンビア大学出版、2014年5月、リーダーズ・エディション、2014年6月 )

教育、再訓練のプログラムは、雇用があるときのみ効果がある。
政府の支出を、将来性があると考えられるセクター向けのものに移行させる。

6

日本に必要なこと:21世紀の新しい産業へ向けた政策

本質的な問題は、時間当たり生産量、とくにサービスセクターの生産性の成長不足。
これは生活水準に大きく影響する。
農業部門の生産性向上の好影響は限られている。
過去の日本の産業政策はうまく働いた日本の過去の強い成長に寄与。
もう一度、21世紀型に適合したものを。
再度、政府・産業部門の協調をもとに。
今回は、アカデミアや研究機関を大いに巻き込み、知識ベースの産業政策を。
日本のダイナミックな比較優位性を活用すべき−工学的な技能など
例:高齢者の健康管理のための診療機器開発に技術スキルを活かす。
産業政策は他の21世紀の中心的な課題にも着目する必要がある。
地球温暖化
人口高齢化
もし技術変化がうまくいき、賃金が低下した場合、資本・資源の効率を増加させる技術変 化に注力。
(安定的均衡における)労働分配率の低下、格差を抑制。
しかし、政府は、国内のイノベーションシステムの構築と技術変化の方向づけについて中心
的な役割を持つ。

7

今日のジレンマに対する政策対応を成功させる

その他の要素
1. 平等性の改善成長の果実をより平等に分かち合う。

2. 完全雇用もしくはそれに近い経済を維持。
完全雇用は、経済的効率性に必要であり、それ自体が目的。
平等の確保にも寄与する。

3. こうした目的や他の目的に必要な歳入を創出する。
グローバリゼーションは、政府に対する需要を増加させた。
しかし、グローバリゼーションは、租税回避や脱税を促進し、政府の歳入を増やす能力を抑制することもある。

8

1. 平等性の改善
A. 市場における所得分配の是正
B. 税と移転による再分配後の所得分配の是正
C. 社会保険の提供

9

A.市場における所得分配の是正
ルールの書き換え。
ゲームのルールは、全ての経済、特に技術革新的な経済において重要。
似たような経済であっても、市場で得られる所得や再分配後の所得の分配パター ンは大きく異なる−不平等は、選択の問題。
技術革新は、知的財産権及び独占力の双方により、レント(超過利潤)を生む。
誰がレントを享受するかは、政策の問題。
市場の力やコーポレート・ガバナンスの濫用を抑制し、金融セクターに本来の仕事をさせるべき。
労働組合/労働者の交渉力の強化。
女性の労働参加を助けることは、特に日本において重要。
金融市場による中小企業への資金供給を確保すべき ‐もっと多くのチャンスを与える。

10

市場における所得分配の是正
賃金上昇をもたらす他の政策。
失業率を下げるため、需給が引き締まるように経済を運営。
最低賃金の引き上げ。
公共部門の賃金を高くすることにより、経済全体の賃上げを後押し。
そうした職の魅力を高め、より敬意を得られるようにする他の政策。
有利・不利の世代を越えた継承を減らす。
公教育−幼児教育及び高等教育へのユニバーサル・アクセスを含む
遺産税

11

B. 課税後の所得分配における平等性の改善
累進課税
企業や個人が、納めるべき税を実際に納めるようにする。
グローバルな法人税の最低税率。
法人税は機械的に算出−移転価格税制の濫用を終わらせる。
成功に必要な政府の事業を広く実施するためには、更に歳入が必要。
勤労所得税額控除
金融政策は、特に中小企業向けの信用供給を増加させ、金融セクターの行き過ぎや不安定性
(その負担は低所得層に偏る)を予防する方向に運営されることが必要。
新たな金融規制の多くは、金融セクターがやるべきではないことを規制することに向けられるべき。
金融セクターがなすべきことをすることに、より注力すべき。

12

C. 社会保険
保護主義によらない保護 (「安心を求めて:保護主義によらない保護とグローバル・ガバナンスの課題」
(The Quest for Security: Protection without Protectionism and the Challenge of Global Governance)ジョセフ・スティグリッツ、メアリー・カルドア著、コロンビア大学出版、2013年)
市場は、多くのリスクに対し、不十分な保険しか提供できない―だからこそ社会保険が必要。
グローバリズムと技術革新の負の影響を受けた労働者及びコミュニティに、おそらくはショックに対するある種の保険を通じて、より確かな保護を提供。

13

2.マクロ経済のパフォーマンスの向上 総需要の欠如は世界的な問題。

不平等の拡大によって生み出されている面もある−高所得の人は低所得の人に比べ、所得のうち低い割合しか消費に回さないため。
構造的な変化にかかわる問題。
不安の拡大
グローバリゼーションの問題と社会保険の削減が寄与している。
金融政策は、ほぼ限界に達している。
日本の金融政策はよく設計されているが、経済を刺激できるよう
な、更なる余地は大きくはない。
金利引下げ(マイナス金利)は大きな効果は持たないだろう。

14

3. 債務と税のジレンマの解消
日本の政府債務には多くの人が懸念。
もし金利が大きく上昇すれば、政府は問題に直面するかもしれない。
しかし、政府債務を低下させるために消費税を上げることは逆効果。
これからの3つのステップ
炭素税歳入増、環境の改善、経済活性化を同時に達成。
炭素の価格を高くすることで、企業の設備投資が促進され、経済の改良が進む。
米国でさえも支持が増えている。
政府(日本銀行)が保有する政府債務を無効にする。
粗政府債務は、瞬時に減少−不安はいくらか和らぐ。
債務を永久債あるいは長期債に組み換え。
政府が直面する金利上昇リスクを移転。
債務組み換えは、ほとんどお金がかからない。
永久債の発行は、政府支出に必要な追加的歳入を調達し、経済を刺激する低コストの方法。

15

増税に関する一般的な見解
我々が確認した主要な課題に対処するには、税収が必要である。
経済の再構築
不平等の軽減
累進的な税制であるほど、経済はより良い成果を上げる可能性があるという証拠がある。
不平等の少ない経済は、全体的により良好なパフォーマンスを示している(IMF)。
多くの理由(著書「不平等の代償(The Price of Inequality)」で述べている)があるが、以下も含まれる。
レント・シーキングのインセンティブを減らす。
企業家の活動に及ぼす影響は小さく、税制改革により更に影響を小さくできる。
レントへの課税に重きを置く-土地のキャピタルゲインへの課税は土地の供給に影響を与えない が、より革新的な活動を促進するだろう。
汚染への課税は、汚染を減らすような企業家の活動を促進する。
世界的にタックスヘイブンや税の競争を抑制するために、もっとやるべきことがある。
移転価格に基づく多国籍企業税制システムを変える必要があるだろう。

16

グローバリゼーションに関する見解
成長の利益は過大評価されており、分配の結果は過小評価されているという証拠がある。
アメリカの輸入の急増は、賃金低下と失業率上昇を伴っている。
標準的なモデルは、労働市場の不完全性、失業
(雇用破壊はしばしば、雇用創出より早く起きる。特に機能不全で近視眼的な金融市場では)、
リスク、不完全競争、ダイナミックな比較優位の問題を無視してきた。
標準的な競争理論は、大きな分配効果を予測していた。
しかし、加えて、労働者の交渉力を弱める重大な悪影響があった。
アメリカ政府によるTPPの試算ですら、成長の利益は無視できる程度のもの。
独立機関の試算では、利益はより小さく、雇用への影響は憂慮すべきで、経済厚生への効果
(ジェネリック医薬品へのアクセス、規制上の悪影響)はマイナスだった。

17

アメリカなしの新しい世界秩序
アメリカは、自身が創出を助けた世界秩序から後退した。
速やかな転換は期待しないように。
良いニュースは、国際機関は自身の任務を続行する十分な力があるこ と。
日本にとっての良いニュースは、政権はメキシコと中国に焦点をあてていること。
世界は、日本のリーダーシップを必要としている。これは好機かもしれない。
日本は、民主主義国の中で世界第二位の経済を有する。
米国通商代表部が特定の利益に支配されている中で、アメリカなしのより良 い貿易協定を結ぶ余地があるかもしれない。
環境や労働者の権利、人権に関する貿易協定を進めることができる。
非民主主義的な投資協定や、薬価を上昇させ、ジェネリックへのアクセスを 阻害する医薬品に関する条項は除くべき。

18

結論:重要なメッセージ

日本を含む先進国経済はあまり良い状況ではない。
生活水準向上に必要な生産性の上昇率は低い。
これまでの成長の成果は相対的に少数の人々にしか届いていない。
技術進歩、改革、グローバリゼーションは期待されていた程の利益をもたらさなかった。
これらの問題に取り組まなければ、深刻な政治的結果が現れてくるだろう。

19

先進国全般には代替的な政策がある

代替的な政策は、持続可能で共有された繁栄を確かなものにするだろう−成長率を高め、全ての者が恩恵を受ける。
これらには政府の重要な役割が含まれる。
市場における所得の平等を高める政策
市場経済ルールの書き換え
再分配面でのより積極的役割
経済を近代的なサービス部門を中心とする経済へ再構築する政策
その価値が社会的に決定されているサービス(教育、健康、介護)を供給するため、より高い賃金を支払うことを含む。
学習社会の創造、イノベーションの促進
イノベーションが、より重要な社会的ニーズのために行われることを保証する。

20

日本にとって、今こそが機会とチャレンジの時

これらの政策の殆どは、日本の状況に適用することができる。
日本には多くのアドバンテージがある。
産業政策の長い経験、失業率と不平等は低水準
しかし、同時に、労働力人口の減少や、高齢者の不平等の拡大という特別なチャレンジにも直面している。
金融政策は限界に到達しており、日本は成長に悪影響を及ぼすことなく必要な税収を得るため、炭素税を導入する必要がある。
最も重要なのは構造政策 イノベーションにおけるリーダーシップを日本が取り戻すために必要な政策を含む。
世界第二位の民主主義国家として、世界は、来る数年間の日本のリーダーシップを特に必要とするだろう。


2. 2017年3月29日 12:27:35 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3830]

>統合政府の観点から見ると、これはメリットを伴わない。そのことは、スティグリッツの国債無効化提案が実現し、日銀が政府の一部局になっている状態を想像すれば、より分かりやすいだろう。財務省が中央銀行省に損失を押してつけることができても「新政府」全体としての利払費節減のメリットはない

勘違いしているようだが、スティグリッツの提案は、財政再建(つまり政府=国民税負担の最小化)を目財しているものではない

>>01 を見れば明らかだが、

国内生産性を高め、雇用の質を高め、トータルでの国民の幸福度を高めようというもの

もちろん、現実に、そうなるかどうかは、また別の話ではあるw



3. 2017年3月29日 12:44:06 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3831]

あと、翁のような批判において見落とされているのは

統合政府には課税権限があるということ

そしてインフレによる金利上昇が開始する場合、消費税や不動産、預貯金、株取引での税収はもちろん、
法人税や所得税も累進構造をもつために、激増するということだ

だから政府債務が発散するかどうかは、実質的な財政支出がどうなるか

つまり何度も言っているように、国内生産力によって全て(実質生活水準、財政、社会保障、安全保障・・)が決まるということであり

最も重要なのは、生産性を高める金融財政政策だという、いつもの結論になる

そしてスティグリッツもまた、そこを最も重視しているのだが、ゲンダイみたいなゴミはもちろん、日経や翁みたいな批判者にも、全く理解できていないらしい



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