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インバウンド支える日本人の「腰」 お寺やお布施は誰のためにある? 無葬社会―彷徨う遺体 変わる仏教「多死社会と葬送」 
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/601.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 3 月 31 日 23:19:09: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

インバウンド支える日本人の「腰」

記者の眼

「爆買い」を運ぶ裏方の工夫と技術
2017年3月31日(金)
大西 孝弘
「この数年、荷物が重くなった」
 関西国際空港でグラハン(グランドハンドリング)業務を担う担当者は言う。

 グラハンとはカウンター業務やラウンジ業務のほか、航空機の誘導や荷卸しなど空港での地上業務を指す。カウンターや荷卸しなどで大きな荷物を扱うことが多い。

 荷物が重くなった要因の1つとして、訪日外国人(インバウンド)の急増とその荷物の増加を挙げる人が多い。

 確かに最盛期の勢いは衰えたとはいえ、今でも空港では“爆買い”で大きな荷物を抱える外国人の姿を良くみかける。特に関空はアジアの玄関口として外国人の利用客が増えている。

 同空港のグラハン業務の多くは日本航空やANAホールディングスではなく、物流会社の鴻池運輸グループが担っている。

 同社は1994年の関空の開港と同時に空港貨物の取り扱い業務に本格参入した。JALが経営破綻した2010年には、JAL系のグラハン会社の3社を買収し、業容を拡大した。


関西空港に着陸した航空機

航空機に乗り込み、中腰を保ったまま荷物を取り出していく
 同社は腰痛対策に物流会社ならではのノウハウを生かしている。航空機から荷物を取り出す業務では腰に大きな負荷がかかるからだ。

 以前はジャンボ機が多かったが、近年はLCC(格安航空会社)の台頭や細かな需要に柔軟に応えるという理由から小型機が増えている。大型機は荷物の出し入れなどに機械を使えたが、小型機は形状などが千差万別で、手作業が必要になる。

 1月中旬にグラハンの現場を取材すると、さっそく小型機が着陸してきた。鴻池運輸の作業員たちの誘導に従って航空機が所定の位置に止まると、さっと航空機の下部に作業員が入り、手際よく荷物を取り出し始めた。中腰で荷物を運ぶため腰を痛めやすい。

サイボーグ型ロボットの活用も

 そこで取り出したのが、運送作業用に使う「スライダーボード」だ。プラスチック製の製品で表面の接触面積を少なし、摩擦抵抗を減らしてある。
 裏面はグリップが利いて固定できる半面、表面は荷物が滑りやすい。この上で荷物を滑らせて、持ち上げる作業を減らし、腰の負担を和らげているのだ。

 荷物を滑らせたいところにボードを敷いて使う。倉庫からトラックに荷物を運ぶ際などに用いられており、これを空港のグラハンでも利用している。

 社外でも好評であることから、鴻池運輸はグループ会社を通じてスライダーボードの外販もしている。


主に運送現場で使われるスライダーボード。見た目は変哲のないボードだが、作業負荷低減に役立つ
 空港のチェックインカウンターでも腰に負担がかかる。主に女性が手荷物をコンベアーに移動させたりしてため、腰を痛める人が多い。そこで様々な対策を講じている。

 始業前のラジオ体操やストレッチ運動はもちろんのこと、医学博士が職場を巡回し、腰痛に繋がる職場施設や社員の動作などの問題点を洗い出し、作業手順を見直している。また管理職が腰痛持ち社員を把握し、作業負荷を軽減させている。

 空港のグラハン業務で日本の最新技術を使う動きも出てきた。

 全日本空輸は4月から成田空港で作業支援ロボットの試験導入を拡大する。導入するのは、筑波大学発ベンチャーのサイバーダインが開発した「HAL作業支援用(腰タイプ)」。腰の周りに装着し、荷物を運ぶ際の動きをサポートする。


サイバーダインが開発した「HAL作業支援用(腰タイプ)」。荷物を運ぶ動きをサポートする
 HALは身体機能を補助できるサイボーグ型ロボットである。脳や神経系からの指令信号を読み取り、人間の意思に従った動作を補助する。

 昨年11月から2台導入し、手荷物の取り扱い業務で活用していた。作業負荷低減の効果を確認できたので4月から25台を導入し、グラハン業務で幅広く活用する。

4000万人の荷物を運ぶ人がいる

 インバウンドの増加によって、荷物の量や重さが増しており、腰痛などの労働災害のリスクが高まっている。人力のみに頼ると、重量物の運搬ができる人が限られてしまう。実際、重労働を嫌ってグラハン業務を敬遠する人もいる。

 ANAはロボットの活用で、作業負荷の低減や作業性の向上を実現し、女性やシニア層など多様な人材が働きやすい職場にすることを狙う。

 政府は2020年までにインバウンドを4000万人に増やす計画で、経済活性化の起爆剤として期待している。モノを買えば、それを運ぶ人がいる。モノを運ぶ空港の裏方でも進化が求められている。


このコラムについて

記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/033000436/

 
お寺やお布施は誰のためにある?

無葬社会――彷徨う遺体 変わる仏教

特別鼎談「多死社会と葬送」最終回
2017年3月31日(金)
鵜飼 秀徳
かつてない多死社会を迎えている日本で、葬送はどう変わっていくのか。先月14日、東京・増上寺で行われたシンポジウム「多死社会と葬送」の最終回レポート。新刊『骸骨考』を出版するなど、遺骨や葬送に関しての造詣の深い養老孟司さん、浄土宗の僧侶でホームレス支援団体の事務局長を務める吉水岳彦さん、そして著者の鵜飼秀徳が名和清隆さんの司会のもと、人口減少と都市化が進む中で、寺はどんな役割を担っていくのかについて語った。
都市に集まる献体


左から、名和清隆さん(淨念寺副住職、浄土宗総合研究所研究員、亜細亜大学・淑徳大学講師)、鵜飼秀徳(京都・正覚寺副住職、日経おとなのOFF副編集長)、養老孟司さん(東京大学名誉教授)、吉水岳彦さん(ひとさじの会事務局長、光照院副住職)。写真は大高和康。
司会(名和清隆さん、以下、司会):吉水さんは、「ひとさじの会」というホームレス状態の方や生活困窮者の支援団体の事務局長をされていますね。路上生活者の葬儀や法要もしていらっしゃいます。

吉水岳彦さん(以下、吉水):きっかけは、貧しい人たちのためのお墓を建ててほしいという相談を受けたことです。ホームレス状態の人たちに話を聞いたら、俺たちはどうせ生きていたって野垂れ死になるか、無縁仏になるだけだと言います。そして、路上に出るまでに、いろいろな人とのつながりが切れてしまっているけれども、新たにつながった仲間と一緒の場所に死んだ後もいられると思えたら、もっと一生懸命に生きていけるんだと。そんな話を聞かせていただいて、これは僧侶の大切な役割だと教えられました。

 毎年お盆には、山谷や池袋などでホームレス状態の方も一般の方も一緒に集まって夏祭りを行い、そのなかで追悼法要も行っています。みんな真剣に手を合わせて、中には泣きながら、亡くなった方の名前を呼びながら手を合わせている方もいて、死を悼むという行為がお金の有無ではないことを強く意識させられました。

養老孟司さん(以下、養老):毎年供養するというのが大事な気がしますね。東大は始まって以来、伝統的に谷中の天王寺で、献体された方の慰霊祭を毎年やっています。

 ある時期には憲法違反だとか言われたこともありましたが、頑としてやっておりまして。今そこに千年怩ェ2つあって、引き取られた方以外は献体された方のお骨は全部お預かりして、記録も残すようにしています。これも1つの社会的なグループのお墓ですから、こういうものがこれから先あってもいいのではないかという気がしています。

司会:鵜飼さんの本で献体の数がものすごく増えていると紹介されていました。背景には、お墓や葬儀で子どもに迷惑を掛けたくない、そういったメンタリティーがもとになっているという指摘もあります。

養老:確かに私が現職だったのは20年前ですが、そのころでもすでに献体した方があとあと面倒がないからという人もいました。火葬場の手続きから何から全部私どもがやりますので。ただ地方の大学ですと、やっぱり献体が少ない。それじゃ都会の献体を回すことができるかというと、これはできないんですね。余り気味になるところと、不足気味になるところが出てきた。お墓と似たような問題が起きています。

仏教界に激震を呼んだ法要の出前サービス

司会:都心で遺体ホテルができ、巨大納骨堂ができる一方で、地方では檀家制度が崩壊しかねない節目にきている問題があります。これらには共通するところがありますね。鵜飼さんは前作『寺院消滅』で、地方から寺院や宗教が消えゆく実態をルポしています。

鵜飼秀徳(以下、鵜飼):現在、全国に約7万7000の寺院がありますが、そのうち住職不在の無住寺院は最大約2万に達しています。地方では高齢化と人口減少が進み、寺院専業では食べて行かれない、後継者がいない。さらに都会にでて菩提寺との関係が薄いまま過ごした世代が、墓じまいをしたり直葬をしたり、ますます寺と檀家との関係は希薄になっています。

司会:そんな中、「Amazon」の「お坊さん便」が登場し、仏教会に激震が走りました。

鵜飼:民間葬祭業者みんれびが始めた「Amazon」のネット上で決済できるお坊さんの出前法要です。待ち合わせ場所を指定して、葬儀や法要をしてもらうという仕組みで、例えば火葬場で待ち合わせをして1回お経を拝んで5万5000円、一周忌などの法要なら3万5000円です。

 直葬が増えてきたから「Amazon」の「お坊さん便」も支持されているのだと思います。これに対して全日本仏教会は、「布施の理念に反する」としています。金額を設定するとは何事か、それを払えない人はどうするのか、そもそもお布施は払う側が決めるのであって、もらう側が決めるものではないと。しかし、都会の人には非常に受け入れられている現実があるわけです。仏教会と社会が二分されてしまっているような状況です。

和顔愛語、布施が脳にも喜び生む

司会:確かに私の寺でも、お布施にいくら包んだらいいですかと聞かれる場合も多いですし、聞くのもちょっと聞きづらいという雰囲気を感じることもあります。吉水さんはどうお考えですか。

吉水:お布施の理念を言いましてもそれが説得力を持たない理由もあるとは思います。インターネットで調べれば、さまざまな本山に料金が明示されているわけですね。お寺側がそもそも料金を明示していて、経済的な活動としてお布施を考えているじゃないかと言われても仕方がないように思います。

 布施という言葉が日本においてだけ、経済行為としてしか使われなくなってきてしまった背景には、宗教行為として知らしめるような、行いで見せることが足りてこなかったことがあるのかなと感じています。

司会:そもそもお布施とはなんでしょう。

吉水:私は自らが他者に何かをさせていただくことであると思います。お金の掛からないお布施としては笑顔で接するとか、優しい言葉を掛けるというようなものもある通り、決してお金を渡すということだけではないですし、施米のように、お米など食べ物をお布施することだって伝統的に行われてきています。他者に対して、宗教者に対して差し上げることが、自分の身から財物を離す修行になるということが基本にあります。

 でも、お坊さんたちがいくら口で説明しても説得力がないのは、その布施を行うことが、どれだけ素敵なことかを行為で示せていない仏教者の責任もあるかと思うのです。布施の功徳の別名を幸福の田んぼと書いて、福田(ふくでん)と言います。つまり、私たちがどうやったら幸せになるのかといったら、自ら他者が望むことをさせていただくことが、かえって自らを豊かにさせていく、そういう循環があることを私自身、仏教者自身がもっと自ら行っていかなければ、布施の意味がなかなか伝わっていかないのではないかと思っています。

養老:脳科学で言いますと、人間は人に役立つことをしたり、いいことをすると、脳がひとりでに報酬を出します。だから人は人に親切にしたいんですよね。

子どもたちが走り回る境内が森を守り、寺の未来をつくる

司会:先生にとってお寺とはどんな存在でしょう。

養老:私にとって寺はあまり客観的なものではないわけです。あって当たり前みたいな存在で。子どものころは本堂の周りの庭を走り回ってよく怒られたりしていました。僕は虫取りをやっていますから分かるのですが、日本の自然はお寺と神社で保たれているものが大きいんです。

司会:仏教やお寺にどんなことを期待されますか。

養老:葬送が簡単になっていったことについては理由があると思うんです。1つには都市化が大きく関係していると思います。人が交換可能な存在になってしまった。会社をお考えください。誰かが辞めても会社は困らないんじゃないでしょうか。ほかの人が埋めます。人生そのものや死が、軽く扱われるようになった結果が無葬社会なのです。そんな中で、お寺は本気でやってほしいなと思いますね。宗教って生死とか人生の一番基本的なことを考えるものですから、かなりラジカルでいいはずだと思っています。

鵜飼:都市化してお寺が門や塀をつくって一族だけの場になってしまっていますが、私の小さいころには自由に地域のお寺に出入りできましたし、先ほど先生がおっしゃったように、寺が自然を保全していた側面があります。吉水さんの活動にもつながると思いますが、そういう公益性や公共性がこれからのキーワードではないかと思います。

 私の地元の京都では地蔵盆が夏にあります。お盆の頃に、町内会でお寺に集まって、お念仏を唱えたり映画を見たり、子どもたちはお菓子をもらったりするのです。地蔵盆の考え方が日本にこれからどうしたら広がっていくか、子どもたちがお寺に自由に行き来できるようなことが年何回かでもできれば、お寺と社会との関係性が少しずつ変わっていくのではないかと思います。

(構成/中城邦子)

『無葬社会――彷徨う遺体 変わる仏教』

(鵜飼秀徳著、日経BP、1836円)
 日本は多死社会に突入した。既に「死の現場」では悩ましい問題が起きている。長期間火葬を待つ遺体が増え、「遺体ホテル」と呼ばれる新ビジネスが登場。都会では孤独死体が次々と見つかり、電車の網棚やスーパーのトイレには遺骨が置き去りに――。万人が避けられない「死」。その最前線をルポし、供養の意義、宗教の本質に迫る。

このコラムについて

無葬社会――彷徨う遺体 変わる仏教
「多死時代」に突入した日本。今後20年以上に渡って150万人規模の死者数が続く。
遺体や遺骨の「処理」を巡って、いま、“死の現場”では悩ましい問題が起きている。
首都圏の一部の火葬場は混み合い「最長、火葬は10日待ち」状態。
遺体ホテルと呼ばれる霊安室ビジネスが出現し、住民運動が持ち上がっている。
都会の集合住宅では孤独死体が続々と見つかり、スーパーのトイレに遺骨が捨てられる――。
原因は、地方都市の「イエ」や「ムラ」の解体にある。その結果、地方で次々と消える寺院や墓。
地方寺院を食う形で、都市部の寺院が肥大化していく。
都心では数千の遺骨を納める巨大納骨堂の建設ラッシュを迎えている。だが、そこに隠される落とし穴――。
日本を覆い尽くさんばかりの「無葬社会」の現実。
現代日本における死のかたちを通して、供養の意義、宗教の本質に迫る。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/book/16/102400002/033000010/  

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