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東芝がまともな企業に戻れる「最後のチャンス」は5月にやってくる ここで間違えば、さらなる隠ぺいの恐れも…(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/381.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 4 月 25 日 11:02:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


東芝がまともな企業に戻れる「最後のチャンス」は5月にやってくる ここで間違えば、さらなる隠ぺいの恐れも…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51566
2017.04.25 町田 徹 経済ジャーナリスト 現代ビジネス


東芝が示す教訓

140年を超す歴史を誇る巨大企業・東芝の命脈が風前の灯火だ。問題は、本コラムで先週取り上げた原子力事業の決算処理だけではない。(先週のコラム:『東芝が「紙クズ同然の決算書」を公表した本当の狙い』)

過去に出した損失を埋めるため、虎の子の半導体メモリー事業を売却するという生き残り戦略も近視眼的過ぎる。

半導体メモリー子会社「東芝メモリ」の売却が浮上した背景には、立場をわきまえず民間企業経営にくちばしを挟みたがるお上(経済産業省)と、目先の債権保全に躍起の主力銀行(メーンバンク)のプレッシャーがある。外野の雑音が混乱に拍車をかけているのだ。

とはいえ、経営危機という混乱が起きた原因は、東芝自身の当事者能力の乏しさにある。2006年の米ウエスチングハウスエレクトリック(WEC)の高値掴みという経営の失敗を10年以上も頑なに認めようとせず、事態を悪化させてきた歴代経営陣の責任は計り知れない。

それぞれの経営者の失敗のもとは初動にある。一度でも妥協してしまうと、刷新の機会を失うだけでなく、守旧派勢力と事実上の共犯関係に陥り、損失処理が困難になるからである。実は、東芝に限らず、初動に失敗して破たんに至った企業は少なくない。損失先送りのツケは、必ず回ってくるものなのだ。

どんな企業であれ大きな損失を抱えたら、経営者は引責問題や経済マスコミの批判を恐れずに、速やかかつ果敢に処理すべきである。東芝問題は改めて、この当たり前の大原則を守らなければ企業の命脈を保てない、という教訓を我々に示している。



経産省の空回り

決められたスペースの紙面や放送時間枠を埋めなければならない新聞、テレビにとって、東芝メモリの売却騒動は、格好の素材だ。

昨年暮れに巨額損失の存在が発覚して資本の確保が急務になって以来、東芝が、本体から切り離し分社化して売却する方針や、その売却方法、売却先を巡って、連日、方向感の定まらないニュースがマスメディアの報道を賑わせてきた。

3月末の1次入札には10社程度が応札し、2兆〜3兆円の高値を提示したところもあったという。現在は、以前からの資本提携先であるウェスタンデジタル(WD)のほか、米ブロードコム、韓国のSKハイニックス、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業など、候補を半分程度に絞り込んで交渉を続けているとされる。

だが、高値を提示したグループにすんなりと売却できないのが厄介なところだ。

中国、台湾勢への売却を阻止し、自分たちの権力を誇示したい経済産業省が外為法を盾にけん制を続ける一方で、自らの傘下の官民ファンド「産業革新機構」を軸にした買収に執念を燃やしているからだ。

ここにきて、1次入札で日本勢の協力を得られなかった同省が、米投資ファンドやWDと組んで2次入札に割り込む検討をしているとの報道もある。

しかし、政府の役割をはき違えて、「支援」と称し、自らがM&A市場でプレーヤーとして振る舞おうとする同省の動きは、東芝の再建を混乱させる一方だ。そもそも同省が主張するほど東芝の半導体メモリーに競争力があり、その事業価値が高いのならば、日本企業の中から自主的に買収の動きが出たはずである。

このままでは食えなくなる

同様に、東芝に口を出し過ぎているきらいがあるのが、みずほ銀行や三井住友銀行といった同社の主力銀行だろう。

一部の主取引銀行は、昨年暮れ、東芝に巨額の隠れ損失があり債務超過(保有資産をすべて売却しても、債務を返済できない状態。事実上の経営破たんとされ、銀行取引や商取引がストップすることが多い)転落の危機に瀕していることが表面化した際、経済産業省が有効な支援策を打ち出せなかったことに業を煮やし、東芝に資産売却による資本調達を迫った。

この圧力が東芝に、虎の子の半導体メモリー事業を売却する”売り食い”戦略を採用させた直接の動機という。

しかし、過去のツケを払うために、買い手が付き易い事業を売却すると企業にメシのタネが無くなってしまう。東芝の場合、メシのタネの売却は、昨年の医療機器子会社の売却に次ぐ措置だ。これでは収益力の弱い事業しか残らない。

本来ならば、再建のための一里塚と割り切って破たん処理を断行し、不採算部門の手仕舞いと債務整理をしたうえで、メシのタネを大事に育てていくのが再建の王道である。

主力銀行が契約に基づく融資の回収を猶予する条件として東芝に迫ったとされる資産売却は、債権保全のために必要であったとしても、当の東芝の再建にとっては本末転倒の策と言わざるを得ない。



さらに、今年2月から3月にかけて、底無し沼のようなWECの買収先会社への債務保証の実態が明らかになってくると、主力銀行は、東芝グループからWECを速やかに切り離すように迫った。

主力銀行が、10年以上にわたって抱え込んできたWECの高値掴みのツケを清算して止血するよう圧力をかけたことは、何ら間違っていない。東芝がWECへの連邦破産法11条の適用を申請させたのも、遅過ぎるぐらいだ。

しかし、原子力分野への猛烈な逆風は、米国だけの問題ではない。東京電力・福島第一原子力発電所の事故で、多くの原発の再稼働や新増設にメドが立たない国内の原子力事業の温存を容認したことは、主力銀行として中途半端である。成長力の見込めない事業で過剰な雇用を抱えていくことは、破たん寸前の東芝には到底無理だ。

東芝本体の破たん処理を実施して、国内の原子力事業からも撤退させたうえで、債務超過対策として減資をさせるとともに、主力銀行が何らかの債権カットに応じることも必要だ。

単純な債権カットが受け入れ難ければ、貸出債務を東芝株と交換する「デット・エクイティ・スワップ」に応じて債務減らしに協力、半導体メモリー部門を基軸にした東芝の再建を後押しする手もあったはずである。

目先の債権保全に拘り過ぎて会社再建のタネを売却させる愚を犯すよりも、再建を後押しして時間をかけて配当で債権回収を図るぐらいの度量を持つべきだろう。

このツケは必ず回ってくる

もちろん、これら2者以上に、当事者の東芝の責任が重いことは言うまでもない。

特に、2006年10月のWEC買収の際に、相場の2倍以上と言われる高値掴みをした当時の東芝経営陣(西田厚聰社長、岡村正会長、西室泰三相談役)、その表面化を恐れてのれん代の償却を行わずに含み損の拡大を放置したうえ、傷口を広げることが明らかな一昨年暮れのCB&Iストーン・アンド・ウェブスターの買収を断行した歴代社長(佐々木則夫氏、田中久雄氏、室町正志氏)の責任は重大だ。

この種の損失隠しの取材で、筆者にとって印象深いのが、1990年代初頭の大手証券2社のケースである。

当時の証券界では、損失隠しのために、含み損を抱えた有価証券をいったん時価より高値で売却し、決算期をまたいでもう一段の高値で買い戻す”飛ばし契約”が横行していた。

件の2社はそれぞれ、ある大手百貨店と、この契約をしたとされるが、1社は明確な契約はなかったとして買い戻しを拒否した。これが訴訟に発展して、マスコミから集中砲火を浴び、経営陣が引責辞任する騒ぎになった。

これに対して、もう1社は、水面下で、契約の存在を認めて問題の有価証券を買い戻したうえで、海外企業を使った簿外処理で隠蔽するという挙に出た。こちらは、金融当局やマスコミの追及を逃れ、不祥事は表面化しなかった。

ところが、数年後、どんでん返しが待っていた。もう1社の隠ぺい工作の噂が噂を呼び、雑誌報道などが相次いで会社の信用が大きく毀損した。最終的に経営破たんに追い込まれたのである。

この会社こそ、創業100年の節目の年だった1997年に、自主廃業に追い込まれた山一証券である。破たんの3ヵ月前に就任したばかりの最後の社長が、破たん会見の席で、「社員は悪くない」と号泣した姿を記憶している読者も多いだろう。実はあの野澤正平社長は、社長就任まで何も知らされていなかった。

念のため書き記すと、問題の買い戻しや簿外処理を行った当時の社長は野澤氏の2代前の行平次男氏だ。同氏の後任、つまり野澤氏の前任の社長は三木淳夫氏である。

三木氏は若い頃から行平氏と同じ派閥に属し、簿外処理推進の片腕をつとめた人物だ。最初から是正を進められる立場になかったと言える。山一破たんの数年後、両氏はそれぞれ、東京地裁と東京高裁から、虚偽の有価証券報告書を作成して有価証券取引法(現金融商品取引法)に違反したとして執行猶予付きの有罪判決を受けた。

あえて係争を受けて立った証券会社は、衆人環視の下で巨額の損失処理を経て再建を果たし、現在も大手証券の一角を占めている。

飛ばし契約の有価証券であれ、M&Aで高値掴みしたのれん代であれ、巨額の損失が経営を圧迫することに変わりはない。必ずツケは回るのだ。



東芝の英断を待つ

話を東芝に戻す。現在の綱川智東芝社長は昨年6月に就任したばかりだ。5月に公表する2017年3月期決算は、綱川社長にとって初めての本決算である。

この決算で過去のしがらみを断ち切って膿をすべて出さないと、過去の経営陣と事実上の共犯関係ができてしまう。そうなれば、自らの保身に走らざるを得なくなり、是正に取り組むどころか、隠ぺいする立場に回らざるを得なくなる懸念がある。

また、経済産業省や主力銀行に振り回される形で進んできた再建戦略も、見直すのならば、今が最後の機会である。本当に、会社の再建のタネを売却する資本調達策で東芝の未来が描けるのか、思案のしどころだ。

企業が巨額の含み損や評価損を抱えたら、それがどのような原因に基づくものであれ、過去の経営陣をどれほど傷つけるものであれ、きちんと速やかに処理する以外の良策はない。

破たんに瀕し、隠しようがなくなって表面化する損失も、あえて早期処理したために生じる損失も、一緒くたにする報道に踊らされるのではなく、その損失の意味を考えてみることも大切なはずである。
 

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