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"バブルピーク並み"の求人倍率で賃金上昇の兆し 「消費低迷」の固定観念を捨てるべき(会社四季報オンライン)
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/589.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 5 月 10 日 23:00:55: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

  直近5カ月の小売り販売は増加傾向にある(撮影:梅谷秀司)


"バブルピーク並み"の求人倍率で賃金上昇の兆し 「消費低迷」の固定観念を捨てるべき
https://shikiho.jp/tk/news/articles/0/170961
2017年05月10日 会社四季報オンライン


 前回の本連載で、有効求人倍率が「バブル期並み」の水準まで改善していることを取り上げました。労働市場の底流では構造的変化が起き始めているように思えます。このことは賃金上昇と消費増加にもつながる可能性があります。

 厚生労働省がこのほど発表した3月の有効求人倍率は、前月より0.02ポイント上昇して1.45倍となりました。これは1990年11月以来、26年4カ月ぶりの高水準です。バブル期のピークは1990年7月の1.46倍でしたので、3月の結果は「バブル期並み」を通り越して「バブル期のピーク並み」と言ってよいでしょう。



 これほどに雇用が改善したことで、むしろ今度は人手不足が深刻化しています。最近ではヤマトホールディングスが1万人を新規採用するとのニュースが話題になりました。宅配業界は人員増加とともに、宅配サービスの見直しや値上げなど業務のあり方そのものを見直さざるをえなくなっています。

 産業界では人材確保のため非正規従業員より正規社員の採用を増やしたり、パート従業員の時給をアップするなどの動きが広がり始めています。総務省の労働力調査によると、3月の雇用者数は正規が前月より26万人増加し、非正規の増加数17万人を上回りました。



 つい2、3年前まで多くの企業は正規従業員の採用をなるべく抑え、非正規従業員でまかなうというのが“常識”でした。2014年は正規雇用が月平均で13万人減少した一方で、非正規は57万人増加しました。ところが15年以降はわずかながら正規雇用の増加数の方が非正規の増加数を上回るようになり、今年1〜3月の平均では正規雇用の増加が47万人、非正規が3万人と、その差が拡大しています。待遇の良い正社員の採用を増やして人材確保を図ろうとしている企業の姿が浮き彫りになっています。



 同時に、人材確保のためには非正規従業員の待遇改善も重要になってきています。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、3月(速報)の所定内給与は全体(事業規模5人以上)で前年同月比0.1%減少したのに対し、パート従業員の時給は2.4%増加しました。全体の伸びはこの1〜2年は1%未満から横ばい前後で推移していますが、パートの時給の伸びは1%台から2%台へと拡大傾向にあります。直近4カ月連続して2%台の伸びとなっており、特に2月の2.4%という伸び率はアベノミクス景気が始まって以後で最大でした。

 変化は今年の春闘にも表れています。連合(日本労働組合総連合会)の春闘回答集計(4月13日発表)によると、組合員数300人未満の組合が引き出した賃上げ額(定昇分を除くベア)は1373円(賃上げ率は0.56%)で、300人以上の大手組合の1327円(同0.44%)を額、率ともに上回っています。また300人未満の組合の中でも、99人以下の組合の賃上げ額は1513円(率は0.64%)となっており、規模が小さいほど賃上げが大きくなっています。

 定昇分も含めた賃上げ全体では大手組合の方が上回っていますが、ベアで中小組合の方が上回っていることは、わずかながら格差が縮小することを示しています。

 こうしてみると、労働市場の裾野から底上げが進み始めていることがわかります。これまで景気回復を示すデータは多いものの「消費が弱い」、「実感が伴わない」などと指摘されてきたことは周知の通りですが、その大きな原因の一つは賃金がなかなか増加しないことでした。

 たしかに全体では賃金の増加は前述のようにまだわずかであり、消費者物価上昇分を差し引いた実質賃金では15年まではマイナス、16年にようやく0.7%増とプラスになった程度。生活水準としては切り下がったままというのが実感です。

 しかし、今見てきたように正規従業員の増加、パートの時給アップ、中小企業の賃上げなどは明らかに新しい変化です。人手不足が賃金アップをもたらしつつあるわけです。この動きは一時的あるいは散発的なものではなく、労働市場の構造を変える可能性を持っていると見ることができます。



 だとすれば、それはやがて消費増加につながっていくことが期待されます。実際の消費の動きを追うと、その兆しが出始めています。経済産業省が毎月発表している商業動態統計によると、3月の小売業販売額は前年同月比2.1%増で、5カ月連続の増加となりました。しかも、2.1%という増加率は、消費増税(14年4月)後では実質的に最大です。

 小売業販売額の統計は全国の大手百貨店、スーパー、コンビニの他、小規模小売店も調査対象に加えており、小売販売の実態をかなり広範囲にとらえた統計です。我が国では消費に関する網羅的かつ正確な統計があまりないことが問題点として指摘されていますが、その中にあってこの小売業販売額のデータは消費の動向を比較的正確に反映して表しているといえます。

 同統計には外食や旅行、交通費、ネット通販などのサービス支出が含まれていないことに注意が必要ですが、少なくとも同じ「小売業販売額」の時系列での変化を見れば、一進一退が長く続いていた消費がようやく上向く兆しが出てきたと解釈することが可能でしょう。

 これまで海外情勢の不安定化や不透明感が消費を抑える一因となってきました。しかしフランス大統領選でマクロン氏が勝利して当面のリスクはひとまず後退し、北朝鮮情勢も最悪の事態回避の動きなどが垣間見えます。米国はトランプリスクが依然としてあるものの、雇用の着実な改善など景気は堅調です。一頃に比べると経済環境は全般に好転しており、消費を上向かせる条件は増えています。

 海外情勢が再び悪化する懸念は付きまといますし、消費者は慎重な姿勢が身についていますので、消費が本格的に増加に転じるのはそう簡単ではないかもしれません。しかし「消費は低迷」という固定観念を持ち続けていると変化を見過ごすこともあり得ます。労働市場と消費の変化には、従来以上に注意深い観察が必要です。

※岡田 晃
おかだ・あきら●経済評論家。日本経済新聞社に入社。産業部記者、編集委員などを経てテレビ東京経済部長、テレビ東京アメリカ社長など歴任。人気番組「ワールドビジネスサテライト」のプロデューサー、コメンテーターも担当。現在は大阪経済大学客員教授。著書に「やさしい『経済ニュース』の読み方」(三笠書房刊)。ブログ「経済のここが面白い!」も執筆中。公式ウェブサイト「岡田晃の快刀乱麻」。



 

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