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日本経済は本当にデフレから脱却しつつあるのか? 意外な検証結果 日銀の金融政策は効果的だった!?(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/690.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 5 月 18 日 16:12:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


日本経済は本当にデフレから脱却しつつあるのか? 意外な検証結果 日銀の金融政策は効果的だった!? 
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51768
2017.05.18 安達 誠司 エコノミスト  現代ビジネス


インフレ率の上昇はまだか

5月18日に2017年1-3月期のGDP速報値が発表される。最近では、このGDP速報値の結果が株価の材料になることは滅多にないが、エコノミストにとっては一大イベントである。

今回の1-3月期GDPでは、輸出の好調と回復傾向にある消費が寄与し、その成長率は少なくともプラス成長は維持し、年率換算で2%超の「高成長」を予想するエコノミストも少なからず存在するようだ。

このように、GDPの数字をみるかぎり、少なくとも最近の日本経済の状況は「危機的」という感じではないのは確かだ。それどころか、失業率の低下などの雇用環境の改善を考えると、「デフレ脱却に向けて再び歩み始めた」とする強気の論者もいる。

実際、雇用環境が極めて良好であるのは確かだ。

だが、その一方で、インフレ率は一向に上昇する気配がない。

どこからかとはあえて言わないが、ここ数年、毎年この時期には、「夏頃にはインフレ率は上昇を開始し、来年半ば頃には目標の2%近傍に到達する」という楽観的なシナリオを聞くのが年中行事のようになっている。だが、残念ながら当たったためしがない。

しかも、欧州諸国をはじめ、世界を見渡せば、昨年10月頃からインフレ率が上昇し始めた国を多く見かける。それでも日本は、例外的に、現在もインフレ率はほぼゼロ%近傍にはりついたままである。

ところで、2013年春に発足した日銀の現体制は、金融政策の「レジーム」を変えることによって、デフレからの脱却(すなわち、インフレ率を目標の2%近傍まで引き上げること)を目指している。

そして、現体制で最初に実施された「QQE(量的質的金融緩和)政策」は、この「金融政策のレジーム転換」を象徴する大胆な金融緩和政策であった。



この金融政策の「レジーム転換」が上手く機能しているか否かは、日銀の現体制発足以降、現在まで、学界や市場関係者の間で活発な議論がなされている。

だが、前述のように、日銀の執行部が高らかに「レジーム転換」をうたったわりには、インフレ率の「レジーム転換」についての議論はほとんどなされていない。

そもそも、金融政策のレジーム転換によって、インフレ率の「レジーム」が転換した(すなわち、世の中のデフレマインドが払拭されつつあること)か否かを定量的に議論しているものはほとんど見当たらない。

そのような中で、(現体制の)金融政策を評価しようとしていること自体、筆者にとっては、不思議なことである。

インフレ率の「レジーム転換」

そこで、ここでは、1983年から2016年までの四半期データを用いて、金融政策の「レジーム転換」がインフレ率の「レジーム転換」に十分に波及したか否か、そして、十分に波及していないのであれば(データをみる限り、現状は波及しているとは言い難い)、その理由は何かを考えてみたい。

そこで、ややまじめにインフレ率の動きを考えるために、マクロ経済動向を考察する際の基本的なツールである「フィリップス曲線」が金融政策、及び、その他の要因によってどのように「レジーム転換」したかを考える。

ちなみに、ここでいう「フィリップス曲線」とは、インフレ率を、

@GDPギャップ(ここでは日銀が推定しているものを用いる)

A予想インフレ率(ここでは日銀の販売価格判断DIを標準化したものを用いる)

B過去(1期前)のインフレ率(インフレ率の「粘着的な」動きを表現するために導入)

の3つで説明しようとするものである(いわゆる「ニューケインジアン型のフィリップス曲線」といわれるもので、実務的に用いられる単純なインフレ率と失業率の関係ではない点に注意されたい)。

インフレ率の推移において「レジーム転換」が実現したか否かをモデル化する方法はいくつかあるが、ここでは、「平滑推移モデル」といわれるものを用いる。「平滑推移モデル」とは、ある状態から別の状態へ移行していくパターンとして、突然の「ジャンプ」を想定するのではなく、緩やかな移行の可能性を考慮するものである。

例えば、インフレ率の「レジーム転換」を考えた場合、企業や消費者が金融政策の「レジーム転換」をみて、一度に全員がインフレ率が上がると考えるのではなく、将来の変化を先に見越した少数がまずインフレ率上昇を前提とした行動を変え、その後、時間をかけて、その動きが徐々に多数に浸透していくと考えた方がより現実的であろう。

より具体的には、このインフレ率のレジームが変わっていくパターンを、「ロジスティック曲線」で表現できると仮定する(ロジスティック曲線は、例えば、テレビや自動車、スマホなどの耐久消費財が国民にどのように普及していくかを説明する場合等に典型的に用いられる一種の「モデル」である)。

さらに、この「平滑推移モデル(LSTARモデルといわれる)」が便利なのは、このロジスティック曲線に、フィリップス曲線のレジームを変えうる要因(変数)を設定できる点にある。ここでは、金融政策の変数としてマネタリーベース(前年比)を用いる。

さらに、適合的期待の要因(すなわち、金融政策以外にインフレ率に大きな影響を与えうる変数の過去の動き)を考慮して、原油価格(WTI前年比)と為替レート(ドル円レートの前年比)を要因として追加する。

また、消費税率引き上げがインフレ率に影響した可能性を考慮するために、消費税率引き上げダミー(消費税率引き上げ前を0、引き上げ後を1とする)を3つ(1989年、1997年、2014年それぞれにダミー変数を導入する)を入れた。

黒田日銀「QQE政策」の成否

これは学術論文ではないので、具体的なテクニカルな説明の部分はかなり捨象するが、結果は図表1、2、3の通りであった。

図表1,2は、このLSTARモデルによるインフレ率の推計値と実際の値の比較、図表2は両者の誤差の推移である(誤差は、2000年以降、多少散らばりが大きくなっているようにもみえるが、ほぼ均一に近いと考える)。





図表3は各要因(変数)の係数(パラメーター)等を表にしたものである。ちなみに、インフレ率は「生鮮食品、エネルギーを除く消費者物価指数の前年比(消費税率引き上げの影響は除去)」を用いており、インフレ率の「レジーム」は「インフレ」と「デフレ」の2つとした(1983年以前のデータを用いる場合には、「高インフレ」、「低インフレ」、「デフレ」の3つのレジームにする必要があるが、1983年以降なので、2つでよいと考えた)。



モデルの説明力はかなり高い(修正済みのR^2で0.9312)で、各要因(変数)も統計的にはほぼ1%水準で有意であった。ただし、状態推移関数(ロジスティック曲線)の中では、1989年と1997年の消費税率引き上げ要因は有意ではなかった。

なお、フィリップス曲線上で、GDPギャップと予想インフレ率をともにゼロに設定した場合、「インフレ・レジーム」、「デフレ・レジーム」両局面での「均衡インフレ率」が事後的に計算できる。「インフレ・レジーム」では、1.9%強、「デフレ・レジーム」では約-0.9%となった。

そして、注目すべきは、1983年1-3月期以降のインフレ率は、「インフレ」、「デフレ」どちらの「レジーム」に位置していたと考えるのがよいかという点である。

図表4は、各時点のインフレ率が「インフレ・レジーム」に位置していたと推測される確率の推移を示したものである。単純に考えると、この確率が50%を下回る局面は「デフレ・レジーム」ということである。



図表4をみると、過去においても、プラザ合意後の超円高局面、90年代前半のバブル崩壊局面、そして、リーマンショック後は「デフレ・レジーム」に位置していたことがうかがえる。

そして、肝心の2013年以降だが、2013年4-6月期のQQE政策導入以降、インフレ率のレジームは、急激に「インフレ・レジーム」に転換した可能性が示唆される結果となっている(実は、2013年1-3月期の時点でインフレ・レジームの確率は上昇を始めている)。

その意味で、現日銀の黒田体制下での「QQE政策」は、デフレ脱却に大きな成果を上げたと結論づけることが可能である。

また、2014年に「インフレ・レジーム」に位置する確率が大きく低下したが、その理由は2014年4月からの消費税率引き上げの影響であると推測される(ちなみに消費税率引き上げのダミー変数は、1989年4月、1997年4月の引き上げ分については、インフレ率のレジーム転換には全く効いていないが、2014年4月の引き上げ分については有意に効いている)。

だが、その後、2014年10月の「ハロウィン緩和」以降の円安によって、「インフレ・レジーム」に位置する確率は再び上昇した。

問題はその後の「インフレ・レジーム」確率の急低下である。具体的には、2016年4-6月期以降、この確率が、急低下している。

これは、同時期の円高進行と原油価格の急低下の影響が大きいものと推測される。そのため、「トランプ相場」による円安と原油価格の下げ止まりによって、2016年10-12月期には、わずかながら、「インフレ・レジーム」の確率は上昇している(一応、50%を超えている)。

以上の結果は、過去のインフレ率の動向を上手く説明しており、このLSTARモデルのパフォーマンスは良好であると考える。

LSTARモデルが示した論点

ところで、今回の結果にはいくつか「クルーシャル(Crucial)」な論点がある。いくつかの論点を「フェア」に指摘してみよう。

(1)筆者は、2014年4月の消費税率引き上げは大きな失敗であったと考えており、このモデル上でも、「インフレ・レジーム」の確率を大きく下げた要因になっている。しかし、前2回の消費税率引き上げは、インフレ率に大きな影響を与えていない。この違いは何だったのかを十分議論する必要があるのではないか(このモデル上では、消費税率引き上げの時期は、いずれも「デフレ・レジーム」を脱却していたので、「デフレ」を理由にするためにはさらに精緻な議論が必要となる)。

(2)2016年4-6月期以降の「インフレ・レジーム」確率の急低下を考えると、2016年に導入されたマイナス金利は効果を上げていない可能性がある。また、マイナス金利が円高をもたらしたと考えると、裏目に出た可能性も否定できない(もっとも、住宅投資の拡大とそれにともなう住宅ローン中心の金融機関の貸出の回復をもたらしたという点は、このモデルにはあらわれない効果かもしれないが)。

(3)2016年10-12月期以降は、ドル円レートが1ドル=110円近傍まで戻り、原油価格の下げ止まりによって、「インフレ・レジーム」への回帰がみられる。為替レート、原油価格とも一種の「資産価格」であり、予想は困難である。

この予想困難な要因にインフレ率のレジームの動きを任せていいのか、それとも、追加緩和等の積極的な動きで、デフレ脱却を確かなものにすべきかの議論は重要ではなかろうか(この状況下での「出口政策」の議論は時期尚早であることは言うまでもない)。

(4)前述のように、「インフレ・レジーム」における均衡インフレ率(需給ギャップがゼロ)は1.9%強という結果となった。このモデルからは、「2%のインフレ目標」は、デフレ脱却とほぼ整合的であるという結論を得られる。

なお、今回、この「平滑推移モデル」の推定にあたって、金融政策変数としては「マネタリーベース」を選択した。

だが、最近の金融政策の議論では、「マネタリーベース」という「量的指標」の意味はかなり後退しており、これが、「量的緩和無効論」の台頭に結びついている。

ちなみに、金融政策要因として、マネタリーベースに代わり、コールレート、及び、シャドー政策金利(ゼロ金利制約を考慮せず、量的緩和をマイナス金利に換算し直したもの)を用いて推定したが、いずれも、統計的に有意な結果を得られなかった。

また、レジームの確率の動きもかなり不自然であり、現実のインフレ率の動きをとても説明できるものではなかった。もちろん、単純に量を増やせば事足りるという話ではないが、金融政策における量(マネタリーベース)の議論も、もっと深める必要があるのではなかろうか。

           
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コメント
 
1. 2017年5月18日 17:46:11 : 7J96rk9Knc : Ya2UpOYaqIs[40]
なんと間の悪い

2. 2017年5月18日 18:17:50 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3900]

>最近の金融政策の議論では、「マネタリーベース」という「量的指標」の意味はかなり後退しており、これが、「量的緩和無効論」の台頭

これも前から言っていることだが、MBの拡大がインフレ期待を刺激できたのは、

あくまでもソロスチャート信者らの「期待」によるもの。

つまり、何度も言うように、長期までゼロ金利下では異次元緩和であっても、景気刺激効果は非常に小さくなるという当たり前のことだ。
(真の狙いは財政ファイナンスであったことを除けばw)

だから改革を拒む愚民国家では、インフレ期待を高め(社会保障や地方へのバラマキを維持するための財政ファイナンスのためにもw)日銀頼みではなく、FTPLが必要になってくるわけだ。


3. 2017年5月18日 21:11:58 : XcI9qVMjS2 : Tn1OvbHDHak[32]
まるでインフレになれば景気が良くなる様な論調だが、不景気で物価ばかりが上昇する現象をスタグフレーションと言い、経済状況としていは最悪な状態を言うことを知らないのか、「景気が良くなる→可処分所得が増える→需要が拡大する→物価が上昇する」が正常な循環、「物価が上昇する→景気が良くなる」なんて理論は聞いたことがない、黒田が考え出したのか。

4. 2017年5月20日 08:28:03 : ZFvVm9eBEc : P_gUTAuT8ls[12]
いろんな屁理屈はもう成り立たない。

格差が広がり貧困層が増えているのに、デフレが解消するわけはない。高ければ売れない。


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