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「苦節12年」ANAが再び日本の空を制する日 JALが守りを選ぶなか首位奪還が目前(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan122/msg/124.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 6 月 06 日 08:42:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


「苦節12年」ANAが再び日本の空を制する日 JALが守りを選ぶなか首位奪還が目前
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51925
2017.06.06 町田 徹 経済ジャーナリスト 現代ビジネス


ANAは攻め、JALは守る

ANAホールディングス(ANAHD)が、オリンピックイヤー(2021年3月期)に日本航空(JAL)から12年ぶりの首位奪還を果たすかもしれない。

このほど出揃った両社の中期経営計画を比べると、ANAHDが同期の営業利益の目標を2000億円としたのに対して、JALは1800億円を目指しており、JAL破たんの前年度(2009年3月期)以来初めて、ANAHDがJALを上回る可能性が高まってきたのだ。

4年先の目標を論じるのはナンセンスだと笑う読者もいるかもしれない。

両社の経営計画を精査すると、国際・国内両路線でFSC(従来型航空会社)とLCC(格安航空会社)の2つの事業を展開するANAHDが、両輪を駆使して増収と経営効率化を目論む「全方位攻勢」を採る一方、JALはかつての国策支援を機に手に入れた世界最高水準の経営効率を堅持する「守り」の経営を採用している。

空の覇権に結びつくのは、いったいどちらの戦略なのか探ってみよう。

リーマンショック以前の日本の空では、お化粧決算が実態をわかりにくくしていたものの、国策会社の座にあぐらをかき放漫経営を続けて財務体質悪化に歯止めがかからなくなったJALと、常にチャレンジャーとして挑戦してきたANA(現ANAHD)の格差が鮮明になり始めていた。

JAL破たんの前年で、日本経済がリーマンショックに揺れた2009年3月期の営業損益を見ても、逆風に耐え切れず508億円の巨額赤字に転落したJALと、対照的に75億円の黒字に踏みとどまったANAの地力には、大きな差があったのだ。

この力関係を一変させたのは、会社更生法を適用したJALの国策救済だ。当時のことや、その政策的欠陥については、2012年に上梓した拙著『JAL再建の真実』(講談社現代新書)を参照してほしい。

公的資金3500億円の資本注入や金融機関による5215億円の債権カット、3600億円のつなぎ融資、9年間で4300億円の税制優遇、資産再評価による460億円の償却負担免除といった数々の国策支援。

さらには、類を見ない人件費の削減や路線の見直しを含む大胆な自助努力が功を奏し、JALは当時の独ルフトハンザなどと肩を並べる、世界トップクラスの優良な財務体質と強固な収益力を手に入れた。

結果として、JALは、営業利益で毎年1600億〜2000億円を稼ぎ出す高収益会社に生まれ変わった。自力で収益の強化を目指したANAHDとの格差は大きく、2014年3月期のように、同社の営業利益が659億円とJALの4割以下の水準にとどまった時期もあった。



4年後には首位を奪還

だが、2017年3月期にはその格差が大幅に縮小し、ANAHDはJALの8割5分を超す水準まで詰め寄った。

人件費の引き上げなど流行りの働き方改革や、これまで抑えてきたIT投資を先延ばしできず、JALの営業利益が前期比18.6%減の1703億円になったのとは対照的に、ANAHDではFSCとLCCへの経営多角化などが本格的に寄与し始めて、6.7%増益の1455億円と2期連続で過去最高益を更新した。

両社が4月末に発表した2021年3月期を最終年度とする中期経営計画は、一段と経営戦略の違いを際立たせるものになっている。

まず、数値目標を比べると、ANAHDは売上高が2兆1600億円(2018年3月期会社予測比13.1%増)、営業利益が2000億円(同33.3%増)と大幅な増収増益を目指すのに対し、JALは植木義晴社長が記者会見で口頭で示したものだが、売上高が1兆5000億円(同12.0%増)、営業利益が1800億円(同26.7%増)と控えめだ。

この営業利益の水準は、ANAHDが過去最高になるのに対し、JALは2012年3月期(2049億円)、2013年3月期(1952億円)、2016年3月期(2091億円)に次ぐ過去4番目の水準にとどまる。

結果として、JALが更生手続き中で決算を公表しなかった時期も含めて、ANAHDが12年ぶりにJALから首位を奪還する可能性が高まっているのだ。

機数も座席数も一気に増やす

いったい、なぜ、再逆転がこれほど現実味を帯びてきたのだろうか。

計画を比べて際立つのが、機材の拡大数の差だ。ANAHDは4年間で67機増やして335機と大攻勢をかけるが、JALは5機増の231機と慎重だ。また、JALが国際線の提供座席数を23%増やすのに対し、ANAHDはよりアグレッシブで、FSCのANAのそれを30%増、LCCのバニラエア、ピーチエアは実に120%増にする。

成田、羽田の両首都圏空港のデュアルハブ化や、JALのドル箱であるホノルル路線に大型機材を投入する積極策も潜ませている。

ちなみに、羽田空港の国際線活用は、成田偏重の国際空港政策を採っていた国土交通省、追従するJALと対峙していたANAが、2000年代前半から主張してきた空港政策だ。いよいよこれが本格的に寄与してくるというのである。

ANAHDは、大きく売上高を伸ばして規模を拡大し、航空会社としての成長性を獲得しようと目論んでいる。一方で、収益を下支えするため”攻撃的”なコストカット戦略も講じる考えだ。

その象徴が、国内線の空席減らしのための、社内で「ピタッとフリート」と呼んでいる施策だ。2018年3月期に4機導入するエアバスA321neoという小型機を、低需要期(時間帯)のフライトで大型機と機動的に入れ替えて運航するもので、「機材の豊富なANAならではの戦略」(ANAHDグループ広報部)という。

ANAHDと正反対なのが、JALの植木社長が記者会見で述べた「売上高営業利益率10%以上を維持する」という基本戦略だ。このため、JALは業容を引き続き、高単価・高採算を維持し易いFSC事業一本に絞り、LCC事業には進出しない方針だ。

むしろ、「SKY SUITE」と呼ぶ、横一列8席と他社より1席少ないエコノミークラスや、さらに1席少ないプレミアムエコノミー、そしてフルフラットのビジネスクラスシートなどを拡充し、より高い運賃(単価)の確保に努めていく構えなのだ。量と規模を追うANAHDに対して、JALは質で立ち向かう戦略である。


ANAHDに「質」で立ち向かうJALの2017年入社式。 photo by gettyimages

長期的に見れば、人口減少の中で潜在成長率の低下が続くとみられる日本の空で、期中に東京オリンピック・パラリンピック開催が予定される2021年3月期までの4年間は、インバウンドの来日客を含めて航空業界が大胆な攻めに徹しやすい時期だ。

その好機を積極的にとらえて攻めの経営で業界トップの奪還を目指すANAHDと、より長期的な視野で景気低迷や燃料代高騰、テロ、災害といったイベントリスクにも強い体質の維持を目指すJAL−−。そのいずれに、ビジネスの女神は微笑むのだろうか。

両社の闘いは、われわれ利用者に運賃の選択肢を含む多様なサービスを提供するものだけに、おおいに健全な競争を繰り広げてほしいものである。



 

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