★阿修羅♪ > 経世済民122 > 411.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
タカタ倒産、創業家支配でトラブル対応が後手に回る理由(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/hasan122/msg/411.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 6 月 30 日 14:00:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

タカタ倒産で退任する高田重久会長兼社長だが、記者会見ではどこか他人事のように見えた。実は高田氏自身が、被害者意識を最も強く持っている可能性がある Photo:REUTERS/AFLO


タカタ倒産、創業家支配でトラブル対応が後手に回る理由
http://diamond.jp/articles/-/133746
2017.6.30 鈴木貴博:百年コンサルティング代表 ダイヤモンド・オンライン


タカタ「1兆円倒産」の衝撃
創業家支配で語られない真の問題


 大手自動車部品メーカーのタカタが、民事再生法の適用を申請した。負債総額は1兆円を超す、日本最大の倒産劇となった。

 今回の倒産の引き金となったエアバッグ問題については、タカタの対応が後手後手に回った結果、最悪の結果につながったという意見が多い。確かに、最初にエアバッグの不具合が報告されたのが2005年、アメリカでの最初の死亡事故が2009年のことで、その間もその後も、タカタの説明とは異なる事故が相次ぎ、自動車メーカーも運輸当局も不信感を強めるという展開が続いた。

 もっと経営トップがきちんとした対応をとれていれば、今回のようなことにはならなかったのではないかという意見は根強い。そして倒産という最悪の結果になった背景には、タカタが創業家が支配する会社だったという影響が色濃く見られる。

 私は職業柄、オーナー企業独特の経営メカニズムについては何度も経験してきている。その経験から、なぜ創業家支配の企業ではこのようなことが起こりやすいのか、そのメカニズムを説明してみたい。

 創業家支配の会社で「エアバッグのリコール問題」のような大事件が起きると、そこで連鎖して起きる問題が3つある。1つめに、オーナー経営者は今回のような問題が起きた際に被害者意識を持つということだ。

 意外に思われるかもしれないが、タカタのエアバッグが異常破裂して死亡事故を起こすというような事件が起きた場合に、オーナー経営者は当事者ではなく「部下が引き起こした問題に巻き込まれた被害者」だと自分のことを思ってしまう傾向があるのだ。

 なぜそうなるのか。今回の事件の場合、ポイントはタカタにとってエアバッグが新規事業であったことが背景にある。タカタは本来、シートベルトのメーカーである。しかし、世の中にエアバッグが登場して、その部品を安定供給してほしいメーカーの強い要請を受け、同社は新規事業としてエアバッグ製造を始めた。

 本来は、完成車メーカーからの依頼を請け負った時点で経営者の責任になるはずなのだが、オーナー経営者の思考では「神輿に乗せられているうちに、部下や周囲から説得されてやり始めた」という受け身の考えが根っこに生まれてしまう。

 そのうちに、「ぜひやってみせます」と言って始めたはずの部下たちの様子が変になってくる。「問題が起きまして」「損失が発生してしまいました」といった報告が上がるたびに、「最初に聞いていた話と違うじゃないか」とオーナー経営者はますます被害者意識を持っていく。おかしな話ではあるのだが、創業家オーナーはそういう心理に囚われがちなのである。

対応が後手後手に回った責任は
オーナー社長だけにあるのか?


 2つめの問題として、オーナー経営者は責任をとるべき立場でありながら、判断材料を持っていないことが多い。特にうまくいっていない事業で問題が発生した場合、オーナー企業では部下が問題をきちんと細部まで報告しようとしない。これはオーナーを怖れるがゆえの部下の行動が引き起こすことで、結果としてオーナーは判断のための重要な情報を知らされないという状況に追い込まれる。

 タカタの対応が常に後手に回った原因は、オーナー経営者が正しい判断材料を持っていなかったからではないかという疑念が、節目節目で感じられる。

 なにしろ、今でもエアバッグの不具合の原因が完全に解明されていないという問題があるのだが、それでもここまでのニュースを総合すると、おそらくタカタ問題の論点は以下のようになるだろう。

(1)タカタのエアバッグが他社とは違う火薬を用いる構造で設計されている。

(2)それがアメリカのフロリダ州のような高温多湿な地域では、一定の時間が経つと変質し、爆発力が強くなる。

(3)それと同時に、部品の金属の製造過程ないしは設計上の問題があって、金属部品が火薬の爆発で吹き飛んでしまうことがある。

 ところがオーナー経営者は、最初に問題が起きた当時は、原因は上記(3)だけだと報告を受けていたのではないかと思われる。私がそう考える理由は、当時その範囲に限定した対応しかタカタがとっていなかったからだ。

 しかし、実際に死亡事故が起きたのは、上記(3)の問題とは関係ない部品を搭載した車だった。それで改めて、(1)や(2)の問題への対応を経営トップが迫られることになった。

 それでもタカタは、「極めて例外的な環境下で起きる事故だ」と主張して、その後の対応を限定してきた。そのうちに複数の爆発事故が起きて、1つの事故現場で車内に金属片と血が散乱するという悲惨な映像が全米に流れ、タカタのイメージは地に落ちていく。

 オーナー経営者が強い力を持つ企業では、不祥事が起きると部下がその影響を過小に歪曲化してオーナーに伝える傾向がある。少なくともタカタが下してきた経営判断を見る限りは、それと同じことがタカタのトップとその周辺で起きていたのは間違いないのではなかろうか。

タカタのトップ自身が
被害者意識を持ち続ける可能性


 そして3つめの問題は、状況が極めて悪化した段階で、たとえトップが間違った行動をとっても、誰もそれを諌めることができなくなることだ。

 タカタの場合は、ここ数年、アメリカの運輸当局や取引先の自動車メーカーが求める行動と、同社が実際にとっている行動のギャップがあまりに開きすぎていた。

 創業家オーナーが正しいと考えて下している意思決定が、外部関係者の期待から外れた状態になっていく。しかしその段階で、それを諌めることができる人が近くにはいない。

 それはそうだろう。そもそも正しい情報がきちんと上げられていない状況で、しかもオーナー経営者がそのことや事件そのものに対して被害者意識を持ってしまっていたら、諌めた人間は逆に強く叱られたり、攻撃されたりするのがオチだからだ。

 こうして情報を知らされず、間違った対応を諌められずに状況を悪化させ、最悪の日を迎えるというメカニズムが、タカタの社内では予定調和のように回り続けたのだろう。そして創業家の高田重久会長兼社長は、責任をとってなお、心のどこかに被害者意識を持っていてもおかしくはないと私は思うのだ。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2017年6月30日 15:17:51 : s41MLTqZLg : Ha@ZbU5yDxQ[89]

オーナー企業の場合、経営手腕の無い者が社長に就くケースがおうおうにしてあるとい

う話ではないか。

しかし一方で、サラリーマン社長が自分の名誉欲だけで(オーナーのような)天皇とな

って私物化しズタズタにしてしまうケースが増えている。東芝、三菱自動車、三菱重

工。。。。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民122掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民122掲示板  
次へ