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日銀の「粘り強さ」が想起させる「あの戦争 緩和効果強調、非常に危うい 日銀は再度検証、国債ETF減額必要 ドル100円へ
http://www.asyura2.com/17/hasan123/msg/102.html
投稿者 酢 日時 2017 年 8 月 08 日 14:24:58: JVuupfBNpkXsE kHw
 

日銀の「粘り強さ」が想起させる「あの戦争」

上野泰也のエコノミック・ソナー

日本経済「底力」論と距離がある「前線」の状況
2017年8月8日(火)
上野 泰也

日銀は「物価安定の目標」2%を目指すという短期決戦で失敗しても、勝ち目のすくない戦いを“精神力”で粘り強く続けている。(写真:マリンプレスジャパン/アフロ)
白川前総裁時代、日銀が2%の物価目標を受け入れた理由

 金融市場の外だけでなく、中でも徐々に忘れられようとしているように思えるのだが、白川方明前総裁時代末期の2013年1月22日に日銀が、それまでの日銀の考え方からすれば明らかに非常に高すぎる2%の物価目標を受け入れて政府と共同声明を出したのは、積極的な金融緩和だけで2%を達成できるという金融政策万能論的な見方へと突然切り替えたからではなく、政府および企業の努力によって日本の潜在成長率が上昇するのならば2%は達成可能な水準になっていくという説明はできるという苦渋の判断をしたからだったと、筆者は理解している。実態としては、衆院選で大勝した安倍内閣からの政治圧力に屈したのだが、中央銀行としてそれなりに合理的な説明・理屈付けをしないわけにはいかない。

 7月23日付で退任した佐藤健裕・木内登英両日銀審議委員(当時)は、この時の金融政策決定会合で、「物価安定の目標」2%の導入に反対した。議事要旨によると、その理由は以下の3つだった。

@消費者物価の前年比上昇率2%は、過去20年の間に実現したことが殆どなく、そうした実績に基づく現在の国民の物価観を踏まえると、2%は現時点における「『持続可能な物価の安定』と整合的と判断される物価上昇率」を大きく上回ると考えられること。

Aこのため、現状、中央銀行が2%という物価上昇率を目標として掲げるだけでは、期待形成に働きかける力もさほど強まらない可能性が高く、これをいきなり目指して政策を運営することは無理があること。

B2%の目標達成には、成長力強化に向けた幅広い主体の取り組みが進む必要があるが、現に取り組みが進み、その効果が確認できる前の段階で2%の目標値を掲げた場合、その実現にかかる不確実性の高さから、金融政策の信認を毀損したり、市場とのコミュニケーションに支障が生じる惧れがあること。


警告通りのことが、その後の4年半で起きた

 その後の4年半で実際に起こったことは、この2人の警告通りのことだったと言えるのではないか。「2%の目標を掲げながら大規模な金融緩和を行いさえすれば、インフレ期待が2%に高まり、実際のインフレ率もそれにキャッチアップするはずだ」というリフレ派の考えに沿った2年間という期限を区切った「短期決戦」は、明らかに失敗した。にもかかわらず、金融緩和を「粘り強く」続けている日銀の姿は、太平洋戦争当時の日本と、筆者にはダブって見えてしまう。

 山本五十六提督は「1年や2年は暴れてご覧にいれます」と述べたというが、その後の明確な展望が日本にはなかった。「米国の軍事力を大幅に低下させれば有利な条件で講和に持ち込めるはずだ」といった漠然とした構想だけで戦争に突入したものの、ミッドウェー海戦で主力空母の多くを失ってしまい客観的に見ればもはや勝つ見込みがなくなった後も、神風期待や精神論を支えに戦争を続け、多くの犠牲者を出した。

「底力」という言葉は、戦時中の精神論の延長線上にある

 日銀生え抜きの中曽宏副総裁は7月26日に広島で行った記者会見で次のように述べて、物価上昇2%は達成可能だと主張した。そこでキーワードになった「底力」という言葉に、太平洋戦争当時のような精神論めいたものを感じてしまったのは、筆者だけではあるまい。時代が変わっても、日本人のメンタリティーには変わりがないことを痛感する。

 「私は、日本経済における労働生産性の引き上げ余地はまだ相応にあり、潜在成長率の伸び代もまだ随分残されていると思っています。つまり、日本経済の底力はこんなものではないはずだと思います。日本経済の底力をもってすれば、2%の『物価安定の目標』の達成は可能だと思っています」

 「申し上げたいことは、日本経済の底力はもっとある、まだ伸びるという見方を共有して、そのもとで、企業が企業家精神を発揮していくことが、成長期待が幅広い主体で共有されることにつながっていくということです」

人口対策の強化がやはり必須だ

 日本経済の「底力」を持ち上げる努力を加速すべき責任を最も有するのは、基本的には自社の収益重視の企業ではなく、公共の福祉に資する役割を担っている政府だろう。人口対策の強化が必須だと、筆者はずいぶん前から主張し続けている。

 だが、安倍首相がいま掲げているのは「人づくり革命」であり、日本の国土に滞在してお金を使う人の「数」は増えない。

 ちなみに、退任の5か月前、2月23日に木内日銀審議委員(当時)が甲府で行った講演に、下記のくだりがある。金融政策の限界、政府による人口対策の必要性といった、筆者の年来の主張と重なる内容である。

 「例えば、潜在成長率が低水準にあり、企業の国内成長期待が低い状況では、企業は将来収益を圧迫する基本給の引き上げなどに対して慎重になるのは自然であり、労働者はそうした企業の姿勢を認知するものと考えられます。こうしたもとでは、家計や企業の中長期の予想物価上昇率は低位に形成され、そのことが現実の物価上昇率を低位に抑えるという側面があると思います」

 「しかし、金融政策が前向きな経済構造の変化を直接もたらすことは難しく、そうした変化の実現のためには、イノベーション向上に向けた企業の努力と、それを最大限引き出すための規制緩和や人口対策などを含む、政府の構造改革の取り組みが必要です。そして、国民が持続的に生活の質を向上させるためには、生産性上昇率や潜在成長率の改善を通じて成長力を強化することが不可欠です」

物価の「前線」の状況を観察すると…

 では、日銀が焦点をあてている物価の「前線」の状況はどうなっているだろうか。ファミリーレストランの客単価など、日常生活と関連しているさまざまな指標を筆者はウォッチしており、このコラムでもときどき紹介しているのだが、今回は上がりにくい「もやし」「豆腐」「納豆」の値段を取り上げたい。

 人口減・少子高齢化を主因とする国内需要の減少によって中長期的に悪影響を受け続ける業界は数多い。衣食住のうち「食」の分野では、よほどしっかりした付加価値がついている製品以外、コストプッシュ型インフレには持続性が伴わないと考えられる。

 スーパーマーケットで特売の対象になりやすいことなどから店頭販売価格が押さえ込まれやすく、生産・製造業者がコスト高の中で赤字に苦しむ事例が断続的に報じられているのが、「もやし」「豆腐」「納豆」である。これらは消費者物価指数の採用品目になっている<■図1>。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/080200104/ZU01.jpg

■図1:全国消費者物価指数 「もやし」「豆腐」「納豆」

(出所)総務省
値段が安すぎて、100社以上のもやし生産者が廃業の現実

 もやしについては、国内消費の大半を占める緑豆もやしの原料の高騰で赤字になり、生産者団体が取引先のスーパーなどに対して値上げを求めていると報じられている。原料が高騰する一方で商品価格が上がらず、10年足らずで100社以上が廃業。もやし単独では赤字で、付加価値の高い「カット野菜」などで利益を確保しながらしのいでいる企業も多く、新規投資が難しい零細企業などで廃業が相次いでいるという(6月5日 朝日新聞夕刊)。

 筆者は1981年、大学1年の時にスーパーの野菜売り場でアルバイトをしたことがあるのだが、その時に最初に任された仕事が、特売用の袋入りのもやしを店頭にうず高く積み上げることだった。36年後の今になっても、もやしは特売の対象である。

 豆腐については最近では、「豆腐業界 激安で疲弊 適正取引へ 食品初の指針」と題した記事が出てきている(6月28日 毎日新聞)。原料である大豆の価格は昔よりも高くなっているが、豆腐1丁の販売価格は以前よりも安くなっており、量販店の特売対象にもなりやすい。経営者の高齢化に安売りが追い打ちを掛け、廃業も後を絶たないという。豆腐を製造する事業所数は2015年度末時点で7525となり、2006年度末から4割減った。

 また、納豆業界では2009年に1社が経営破たんするなど、業界再編が断続的に進んでいる。

「過少需要・過剰供給」構造が変わらぬ限り、物価上昇は困難

 「どのような分野にせよ、高い付加価値をつけることで企業は価格水準を維持すべきであり、それが物価全体の底上げにつながる」という意見を耳にすることがある。だが、そうしたことができる少数の企業はいわば「勝ち組」であり、業界全体さらには国全体について一般化できる話ではない。

 日本経済のベースにある「デフレ構造」(過少需要・過剰供給状態)が抜本的かつ持続的に変わらない限り物価上昇は困難だという、筆者の持論は不変である。

(※ 編集部と筆者の都合により、当コラムは8月15日・22日は休載となります。次回は8月29日に配信する予定です)


このコラムについて

上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/080200104/


 


木内氏:緩和の効果強調「非常に危うい」、日銀総裁任期が修正の好機
日高正裕、藤岡徹
2017年8月7日 08:38 JST

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仮に再任でも5年で2%達成の公算なく、2期目で変わる可能性も
債務超過に陥る可能性、通貨発行益があるから大丈夫とは言えない

日本銀行審議委員を5年間務めた木内登英氏は先月の退任後初のインタビューに応じ、異次元緩和の副作用が懸念される中で、効果ばかり情報発信するのは「非常に危うい」との見方を示した。黒田東彦総裁の来年4月の任期満了のタイミングがそうした姿勢を軌道修正する「一つのチャンスだ」と述べた。

  野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミストに就任した同氏は4日のインタビューで、「いろいろな副作用があることを人々が心配している時に、効果だけ強調する情報発信は問題が大きい」と指摘。こうした姿勢を軌道修正するきっかけは「人が変わること」であり、仮に黒田総裁が再任されても、次の5年で物価目標が達成される可能性は低いため、「2期目になれば変わる可能性がある」と期待する。

  日銀は2%の物価目標の実現を「安定的に持続するために必要な時点まで」現在の政策を継続するとしている。木内氏は、昨年9月の長短金利操作の導入で長期国債の買い入れペースはある程度柔軟化したが、2%の物価目標の位置付けを変えてこのコミットメント(公約)を見直さない限り、金利とリスク資産買い入れについては正常化が進まないと指摘する。

  日銀は先月公表した展望リポートで、2%物価目標の達成時期を「2018年度ごろ」から「19年度ごろ」に先送りした。達成時期の先送りは13年4月の異次元緩和導入から6度目だが、新たな見通しも「下振れリスクの方が大きい」としており、次期総裁の5年間の任期で達成できるかどうかも不透明感だ。一方で、異次元緩和の長期化でさまざまな弊害も指摘されるようになっている。

2%目標に根拠はない

  木内氏は、もともと2%の物価目標にはっきりした根拠はなく、日銀はその点で「思考停止になっている」と指摘。本当に2%が妥当なのか「根本から問い直すことが非常に重要だ」と言う。

  超低金利が非常に長期化する中で、「追加的な金利低下の効果は小さくなっている」との見方を示す。日銀は実質長期金利の低下を強調しているが、「効果が出たのは14年くらいまでで、それ以降は副作用ばかり積み上がる局面に入っている」と語る。

  副作用が強まっている筆頭として国債市場を挙げる。長期国債買い入れペース(保有残高の年間増加額)は「約80兆円」のめどとは裏腹に足元で60兆円前後に減速しているが、木内はそれでも「来年中ごろには限界が来る」と予想。その時は流動性が極度に低下した状況で金利が大きく振れ、国債市場だけでなく金融市場全体、ひいては経済の混乱につながる恐れがあるという。

債務超過は十分あり得る

  木内氏が次に挙げる副作用は日銀の財務への影響だ。異次元緩和の出口で日銀は短期金利を引き上げるが、支払金利が保有国債の利回りを上回る逆ざやとなり、債務超過に陥るとの試算もある。黒田総裁は6月の会見で、日銀が赤字に陥る可能性を認めた上で、債券取引損失引当金を拡充していることや通貨発行益(シニョレッジ)があることを理由に、信認が失われることはないという考えを示した。

  木内氏は引当金は「焼け石に水」であり、短期金利引き上げのペース次第で「債務超過に陥る可能性は十分ある」と指摘。仮に政府による資本注入が行われれば、国民負担を伴うことから政治問題化するのは必至で、日銀法が改正されるなどして「独立性が制限されることを覚悟しないといけない」と語る。

  債務超過に陥っても金融政策運営に影響はなく、資本注入の必要もないとの主張もあるが、「国民の間で、日銀が債務超過になって通貨価値は大丈夫かという議論が高まったら、政府は資本注入せざるを得ないだろう。その時は日銀は拒めないだろう」と言う。
  そうした事態を避けるため自力で何とかしようとすれば、物価が上がっても短期金利を低く抑える一方で、長期金利の上昇を容認し通貨発行益を稼ぐという選択肢もあると木内氏は言う。その場合、物価の安定という使命を放棄することになり、急激な円安が進んだり、長期金利が不安定化し、国民生活は打撃を被る。「長期的にはシニョレッジを稼げるので大丈夫だという議論は全く成り立たない」としている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-06/OU5IW06KLVR901


 

日銀は再度の総括検証必要、国債・ETF減額を=岩田一政氏

[東京 8日 ロイター] - 岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)はロイターとのインタビューで、物価2%目標の実現が依然として遠い中、日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)政策や量的緩和の効果などについて、あらためて総括的な検証を行うことが必要と語った。その際、信頼できる物価見通しを示したうえで、長期国債や上場投資信託(ETF)の買い入れを徐々に減額し、政策の持続可能性を高めることが重要とした。

物価1%程度が確実な状況となり、デフレに後戻りしないことが確認された段階で、ゼロ%程度としている10年国債利回り(長期金利)の操作目標の見直しに着手してもいいと指摘。具体的にはゼロ%の対象年限を現行の10年から5年などに短くすることが有効との認識を示した。

来年4月に任期を迎える黒田東彦総裁の後任については、出口政策を円滑に進めるためにも、大規模緩和を推進してきた黒田氏の続投が最適と語った。

インタビューは7日に実施した。主な内容は以下の通り。

──日銀は7月の金融政策決定会合で物価2%目標の達成時期を「2019年度ごろ」に1年先送りした。

「金融政策はフォワード・ルッキングが極めて重要だが、日銀が物価安定目標2%の達成時期を6回も先送りしたことによって、展望リポートの数字を誰も信用しなくなってしまった。経済や物価の予測は、正確で信頼できるものにすることが重要だ」

「失業率がここまで下がっても賃金・物価がなかなか上がらないのは、労働市場の構造変化やIT技術の進歩などが重なっていると思う。今の情勢では19年度中の2%達成はなかなか難しい。物価2%を中長期の目標として置いておくことはいいが、まずは物価1%(の実現)をきちんと確認することが重要だ」

──目標達成が遠い中で、今後の金融政策運営はどうあるべきか。

「昨年9月のYCC政策の導入から間もなく1年が経過するが、物価2%の実現は遠いとみられるため、再び総括的な検証を行うことが必要。具体的には、量的緩和とマイナス金利を含めた現行政策の効果に加え、1%と2%の物価上昇率がどの程度の期間で実現可能なのかを正確な予測をもとに示すべき。そのうえで、持続可能なかたちに国債やETFなどの資産買い入れの減額を検討すべきだ」

──国債・ETF買い入れの減額の進め方は。

「YCCは金利政策であるにもかかわらず、年間80兆円の国債買い入れという量も同時に掲げていることに無理がある。すでに60兆円程度に買い入れを減らしており、金利政策主導であることを強調しながら、徐々に新規国債発行額程度の40兆円ペースに減らすべき」

「ETFについても、どのくらいまでリスクプレミアムが縮小すれば買い入れを止めるのか、条件が明確ではない。そもそもETFの買い入れには、銀行株が入っていることによる利益相反の可能性や、市場の流動性への影響、コーポレート・ガバナンス上の問題など弊害がいくつもある」

「現在の1万9000円から2万円という日経平均株価の水準は、ファンダメンタルな株価に近いと考える。それなのに、年間6兆円ものETF買い入れを続ける必要があるのか。減額によって株価にマイナスの影響もあると思うが、多少下がってもファンダメンタルな株価の範囲内に収まるのであれば、大きな問題にはならないだろう」

──長短金利の操作目標はどうするのか。

「物価が1%よりも大きく下がらない、デフレに戻らないことが確実な情勢になれば、現在のゼロ%程度という長期金利の操作目標を見直してもいい。金融機関収益に与える影響としては、マイナス0.1%の短期金利よりも、10年までゼロ%になっていることの方が大きい。金融庁が地域金融機関にビジネスモデルの転換を促しているが、すぐに転換はできない。このままゼロ%の長期金利を続ければ、地域金融機関の経営に問題が出てくる可能性がある」

「長期金利の操作目標を見直すには2つの方法がある。1つは現在の0.1%の許容範囲(上限)を0.5%などに拡大すること。もう1つは、ゼロ金利の年限を現在の10年から、5年などに短くすること。私は後者が有効だと思う」

「今後、金融正常化の局面では、短期金利の将来のパスと整合的になるように長期金利を調整していくことが自然。そのために日銀がやるべきことは、コミュニケーションと透明性の改善という観点からも、米連邦準備理事会(FRB)のように短期の政策金利の見通しを示すことだ。これも次の総括的な検証の議題に設定すべきだと思う」

──黒田総裁は来年4月に任期を迎える。

「これまでの経緯をよくご存じの黒田総裁に最後までやっていただくのがいいのではないか。金融緩和の出口をきちんと見届ける、アベノミクスを最後までやり遂げるのに最適なのは黒田総裁だろう」

(伊藤純夫 木原麗花)
https://jp.reuters.com/article/iwata-interview-idJPKBN1AO0AY?sp=true

 

円来月にも対ドル100円へ、際立つ割安さと円売り投機−野村AM
野沢茂樹、Chikafumi Hodo
2017年8月7日 09:36 JST更新日時 2017年8月7日 15:18 JST

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? ドルは歴史的に3度目の下落局面、円は主要通貨で最も割安
? 投機的な円の売越高は14年1月以来の水準まで膨張

円相場は対ドルで、早ければ来月にも100円程度へ急騰する可能性がある−。そのきっかけは、米国の政治的な混乱や金融政策見通しの揺らぎだが、底流にはドル相場が歴史的な規模の下落局面に入りつつある中で、円がまだ割安な水準に放置され投機的な売りも膨らんでいることがあると、運用資産が約44兆円に上る野村アセットマネジメントは指摘する。
  野村AMの榊茂樹チーフストラテジストは2日のインタビューで、ドルの総合的な強さを内外の物価格差を考慮して算出した実質実効為替レートを例に挙げて、1985年と2002年に続き、今年初めから大きな波動の3度目の下落局面に入りつつあると説明した。過去の例では「いったんドル安局面に入ると相当の年数にわたって続く。最初は主要国、その後は新興国の通貨がドルに対して上昇することが多い」と話した。
  ドル売りの受け皿になる可能性のある通貨については、「経常収支の黒字が大きい国・地域のうち、中国の人民元や韓国ウォンの実質実効為替レートは歴史的に高い水準にある一方、ユーロや円はかなり低い」と指摘。「ユーロの割安感は最近の上昇でやや薄れているが、円は主要通貨でいま最も割安感が強い」ため、内外金利差などの円安要因にもかかわらず、「どこかで円高になるリスク」が高まっていると読む。
  ユーロは先週、1ユーロ=1.1910ドルと2015年1月以来の高値を記録した。一方、円は対ドルで108円−114円程度の一進一退から抜け出せない状態が約5カ月間続いている。榊氏はドル・円の長期的な適正水準を測る購買力平価で見ると「100円前後、95円から100円程度だ」と指摘。過去にはこの水準を超えた円高が「しばしば」起きており、先行き米国で利上げ打ち止め観測が浮上すれば、90円程度も「あり得ない話ではない」とみる。
  国際決済銀行(BIS)の統計によれば、ドルの実質実効為替レートは6月に113.81。トランプ米大統領が就任した1月に付けた約13年半ぶり高値118.93から下げたが、2000年以降の平均の109.01を上回ったままだ。ユーロは92.33と15年4月に付けた15年ぶり安値86.88から上昇基調をたどっている。平均は98.74だ。一方、円は76.76で、15年6月に付けた1972年以来の安値67.86から反発したが、なお平均の94.82には距離がある。

  円は長期的に見た割安さが際立っている上、投機的な売り越し残高も足元で急速に拡大している。榊氏は売越高が膨張する過程でも円相場は横ばい圏に踏みとどまっていたと指摘。「蓄積された円ショートが何らかのきっかけで巻き戻されると、かなり急激な円高になり、100円程度まで割と簡単に上昇してしまうリスクもある」と読む。円高の到来時期も「これだけ蓄積すると、案外早いかもしれない」とみる。
  米商品先物取引委員会(CFTC)の統計では、ヘッジファンドや大口投機家によるユーロの買越幅は11年5月以来となる9万1321枚。昨年11月初めから23万枚近く買い越し方向に動いた。榊氏は「ユーロは年末にかけて1.20−1.25ドル程度まで上昇し得るが、やや頭が重くなる可能性がある」と予想。一方、円の売越幅は先月18日時点で12万6919枚と約3年半ぶりの高水準。3カ月足らずで10万枚超も増えた。
  こうしたポジションの蓄積が崩れるトリガーは何か。榊氏は「その時々で何になるか分からない」としながらも、ドル安が加速する「一つのリスクは9月ころにある」と読む。9月は米金融当局が追加利上げの是非や約4.5兆ドルに上るバランスシートの縮小方針を決めるとみられている上、ムニューシン米財務長官は政府債務の上限を引き上げないと同月29日に資金が底をつくと上下両院に訴えていると指摘した。

ムニューシン米財務長官

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
  米国が政治的な混迷の中で追加の利上げをすれば「インフレ圧力が高まっていないのに大丈夫かとの懸念が広がる」可能性がある一方、利上げやバランスシート縮小の決定を先送りすれば、ハト派化したとして「それ自体がドル安要因になりかねない」と、榊氏はみている。
  ドル安の受け皿としてユーロなどに後れをとっていた円が買われ始めた場合、日本の当局が円高懸念を訴えても国際的な理解を得るのは難しいだろうと分析。完全失業率は約24年ぶりの水準に低下するなど景気は堅調さを維持している。
  榊氏によれば、円高対策として日本銀行ができることは限られる。金利コントロール策で日銀当座預金の一部に課すマイナス金利や10年債利回りの誘導目標を引き下げたり、国債買い入れ額を増やすのは、現実問題としては非常に難しく、「せいぜいできること」は、10年債利回りで「ゼロ%程度」の事実上の下限であるマイナス0.1%程度までの範囲内で抑制するくらいだと読む。
  榊氏は、国内勢の外債買い越しが続いている背景について、日本と米欧との金融政策見通しの格差から円安基調になるとの見方が背後にあると指摘。それでも円安が進まないのは、顧客に円建ての支払い義務を持つため、「機関投資家の外債投資はほとんどがヘッジ付き」だからだと説明した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-07/OU9S5T6K50XS01


 


コラム:ドル110円割れ定着を阻む2つの防護壁=植野大作氏
植野大作
植野大作三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト
[東京 8日] - 2017年度がスタートしてから4カ月が経過。この間のドル円相場は110円を割ると下値が堅い一方、115円の手前では上値が重く、難解なレンジ取引となっている。

現在、筆者が在籍する為替アナリスト業界では、「ドル高派」と「円高派」の意見が分かれているが、今のところ、双方ともに明確な勝利宣言を許されず、欲求不満の溜まる日々が続いている。

果たして今後、どちらの陣営に軍配が上がるのだろうか。以下、現時点における筆者の見解をまとめておく。

まず、当面のドル円相場は上値の重い状況が続くだろう。モラー米特別検察官が指揮するロシア疑惑関連捜査は今も水面下で進行中だが、最近は捜査の対象が大統領の娘婿、長男、関連企業へと拡大しており、この先どこまで広がっていくのか見当がつかない。

この手の政局絡みのイベントは、経済指標のように結果が判明する日時を特定できない。そのため、いつ、どのような展開をみせるのか、部外者の予断を受け付けない怖さがある。

一般に、多くの市場関係者は、そのような不透明感を非常に嫌う。当面、ドル円相場の上値が目立って軽くなるとは思い難い。断続的に110円を割り込む可能性はまだ残っているとみるのが無難だろう。

ただし、目先のドル円相場が110円割れの水準に差し込んだ場合でも、長く定着するレベルではないとの判断は堅持している。理由は主に2つあると考える。

<淡々と進む米金融政策の正常化>

第1に、トランプ政権が迷走する中でも米国経済は堅調に推移、米連邦準備理事会(FRB)は金融政策の正常化を進めている。米財政出動の財源となる医療制度改革法案の成立に何度も失敗したことで、現在トランプ財政への期待はほぼ消滅しかかっている。

にもかかわらず、ドル円相場が昨秋の米大統領選の当確発表前の安値である101円台に押し戻されていないのは、米国で財政出動への期待がしぼむ中でも金融政策の正常化が淡々と進んできたことが背景にあると思われる。

米国でトランプ新政権が発足した後、日を追うごとにホワイトハウスの機能不全は鮮明になったが、それによる悪影響が民間の企業業績やマクロ経済に及んだ痕跡はほとんど認められない。米大統領選後にFRBは3回も利上げを実施した。

為替相場に「たら」や「れば」はないが、もしも米大統領選後に経済が失速、FRBがこの間に1回も利上げができないような経済状態だったなら、今ごろドル円相場は101円前後に戻っていたのではなかろうか。

最近の米国の経済指標を俯瞰すると、一部に弱めのデータも散見されるが、経済全体の強弱を示す雇用情勢は良好であり、早期失速の気配は漂っていない。米国の金融政策運営について、FRBによる今秋からの保有資産の縮小開始や年末以降の利上げ再開を見込む向きも決して少なくない。

イエレンFRB議長は、金融政策の正常化を進める条件として、経済状況が「予想通り」であることを挙げており、「予想以上」に強くなければいけないとは言っていない。今後の米国経済が「そこそこの強さ」を維持していれば、「金利」と「量」の両面で金融政策の正常化が進むとの期待は根強く残存するだろう。

<G7中銀で日銀だけ出口論を封印>

第2に、日本の金融政策に目を転じると、異次元緩和の開始から4年以上が経過してなお「物価目標2%」が視野に入っていない。「短期金利=マイナス0.1%、長期金利=ゼロ%程度」という異例の低金利政策は非常に長期化するとの観測が強まっている。

7月7日に日銀は約5カ月ぶりに「指し値オペ」を通知、海外発の金利上昇圧力の国内への波及を許さない姿勢を改めて示した。現在、主要通貨圏の金融政策を比べてみると、すでに利上げを4回実施した米国が金融緩和の出口レースで先頭を走っており、7月12日に6年10カ月ぶりに利上げを行ったカナダがこれに続いている。

昨年6月の国民投票における欧州連合(EU)離脱選択後のポンド安でインフレ圧力が強まっている英国でも、中銀幹部が利上げの可能性をほのめかしているほか、7月の定例会見で欧州中銀(ECB)のドラギ総裁は今年秋に来年以降の量的緩和について「議論する」と明言、多くの市場関係者が年明けからの量的緩和縮小(テーパリング)開始の可能性を意識し始めている。主要7カ国(G7)の中央銀行で金融緩和の出口論すら封印しているのは日銀だけだ。

金融緩和の量的側面に注目しても、日銀による最近の国債購入実績は技術的な限界もあって当初の年80兆円から60兆円前後まで落ちている。だが、日銀は国債以外の資産も購入しており、「インフレ率の実績が安定的に目標2%を超えることを目指す」という「オーバーシュート型コミットメント」の下、金額の多寡にかかわらず、マネタリーベースがオープン・エンドで増え続ける仕組みは堅持している。

昨年夏場に市場を騒然とさせた「総括的な検証」を経て、日銀による現在の金融政策の主な操作目標は「量」から「金利」に変更されており、国内金利の上昇を制御可能な範囲内で日銀の国債購入額が変動するのは自然な現象である。

民間金融機関が保有している国債を手放すのにも限度があるため、日銀による国債購入額は今後も受動的に減り続ける可能性はある。だが、「フローの資産購入額をゼロにすることを目指して減額する」という本来の意味でのテーパリングは日銀内でまだ議論されている様子はない。

誰も日本国債を売っていないのに、ひとりでに金利が上昇することはあり得ない。民間金融機関が「もうこれ以上は売れない」ところまで日銀が国債を買えば、それまでよりも少ない国債購入金額で金利の上昇を抑え込むことは可能だろう。

<年末に向けて1ドル115円突破か>

蛇足になるかもしれないが、民主党政権下で任命された日銀審議委員2人の任期が7月23日に切れており、現在は安倍内閣による任命比率100%の日銀会合が完成している。9月下旬に開催される次回の日銀会合における多数決の結果は、これまで市場が慣れ親しんでいた「賛成7、反対2」から「賛成9、反対0」に近づく可能性が意識されている。

洋の東西を問わず、「金融政策絡みの人事異動」はマーケット・トークの題材として好まれやすい。日本における異次元緩和の長期化観測は、今後一層強固になる可能性があり、米国と比較した金融政策の方向格差だけでなく、その他の先進国と比較しても日銀緩和の特異性が際立ってくるだろう。

アベノミクスの初期段階で猛威を振るった「日銀緩和による円安ストーリー」は、古くて新しいマーケット・トークのテーマとしてクロス円市場を中心に蒸し返されつつある。米金融政策の正常化観測が消えない限り、ドル円市場にもやがて伝染してくる時期が訪れるのではなかろうか。

その時期を特定するのは容易ではないが、早ければ9月20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、21日の日銀会合と続く日米金融政策の発表イベントの頃になりそうだ。毎年10―12月期はドル需要が高まりやすいこともあり、年末に向けては115円突破を予想している。

*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-daisaku-ueno-idJPKBN1AO0AE


 

ドル上昇、新興国市場では通貨より株式の痛手大きい可能性
George Lei
2017年8月8日 11:10 JST

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• ドル高は通常、新興国通貨により大きな打撃に
• ドルの上昇が長期化すれば株式が最も危険にさらされる恐れ
ドル高は最近、新興国の通貨よりも株式にとって大きな悩みの種になったようだ。
  新興国株の指標のMSCI新興市場指数は今年24%上昇し、年率では2009年以来最大の値上がり。一方、ドルは約8.5%下落している。
  以下のチャートは、2つの資産に密接な関係を示しており、30日ローリング相関はマイナス約0.4。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iS0pOnEbbJ2g/v2/-1x-1.png

  一方、ドルと新興国通貨の関係は一般的見方に一致していない。30日ローリング相関では、MSCIの新興国通貨指数がドル指数にほとんど相関がないことが示されており、マイナス0.8だった1年前とは対照的だ。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ia6IT4yYyYhY/v1/-1x-1.png

  過去1年半の間にドルと新興国通貨の相関がほとんど存在しなくなったのは2、3回しかない。こうした状況になると相関関係は、ドル高が新興国通貨全般と株式を圧迫するという通常のパターンに戻る傾向がある。
  備考:ジョージ・レイ氏はブルームバーグ向けに執筆する為替ストラテジスト。同氏の見解は個人的なもので、投資助言を意図したものではありません。
原題:Stronger Dollar May Hurt Developing Stocks More Than Currencies(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-08/OUCDZV6S973Z01

 

米債券市場はインフレ見通しを誤解−ブラックロックとバンガード
Liz Capo McCormick
2017年8月7日 13:43 JST

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債券市場の大手2社は依然、インフレが盛り返すという見通しを堅持している。
  インフレ論者の中にはトランプ大統領の成長促進公約をうのみにした人も多く、弱い内容の経済指標発表で何度となく面目をやや失ったように見える。
  それでもバンガードとブラックロックはインフレ率が数カ月後には2%に戻ると予想している。ワシントンの動静にかかわらず、労働市場ひっ迫が賃金を押し上げ、それに伴って米国民の消費が増加、消費者物価の押し上げにつながるという図式だ。さらにドル安などを考慮すれば、債券市場がインフレに関して悲観的になりすぎている可能性が高いと両社は受け止めている。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipIVJCUTO_W8/v2/-1x-1.png

  バンガードのシニア・マネーマネジャー、ジェンマ・ライトカスパリウス氏は、「コアインフレの基本的なトレンドは上向きだろう」と述べた。
  米金融当局による低金利策や大規模な量的緩和にもかかわらず、インフレ率は健全な米経済に沿った水準に回復していない指標の1つとなっている。6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.6%上昇と、4カ月連続で伸び率が低下。米金融当局が重視するインフレ指標はさらに弱まり1.4%に低下している。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iVj..nkA2ZuU/v2/-1x-1.png

  バンガードは10年物ブレークイーブンの水準を2−2.25%付近と見込んでおり、7月にライトカスパリウス氏はインフレ連動債(TIPS)を購入した。インフレ率が市場の見通しを上回るときに利益の出るTIPSのポジションを同氏は向こう数カ月、増やす意向だという。
  ブラックロックでインフレ連動債ポートフォリオの責任者を務めるマーティン・へガティー氏は、英国や欧州のインフレ連動債よりもTIPSを有望視しており、米国のインフレ率の低迷が続くと予想する債券トレーダーは間違うことになると予想。「TIPSは非常に割安だ」とみている。
  
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipmX4xAj39KI/v2/-1x-1.png
  
原題:BlackRock, Vanguard Say Bond Market’s Got This Trade All Wrong(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-07/OUAQWT6TTDS001
 

米短期国債利回り、市場の不安示す−債務上限引き上げで期限設定受け
Alexandra Harris
2017年8月8日 11:26 JST

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• 10月5日償還債利回りは1.078%、11月2日償還債の1.05%を上回る
• 米財務長官は議会に9月29日までの行動を呼び掛け

トランプ米政権は付帯条件を付けない形の債務上限引き上げを議会に呼び掛けているが、米短期国債のイールドカーブはそれを反映したものになっていない。
  法定債務上限引き上げに向けた進展が乏しい中、10月5日償還の国債利回りは1.078%と11月2日償還債の1.05%を上回っている。テクニカルデフォルトにさらされかねない証券の保有を避けるため、償還期限が10月より後の債券が買われている。

  ムニューシン米財務長官は7月28日付で米議会に書簡を送り、9月29日までに議会が行動することが「極めて重要」との認識を示した。債務上限を巡る警告で具体的な期日を挙げたのはこれが初めて。
  一方、米下院はすでに休会に入り、上院はこの1週間で債務引き上げ問題に取り組む公算は小さく、神経質な展開が続く可能性がある。議会が再開する9月5日からだと同問題の解決に向けて残された会期は12日程度となる。
  財務長官が引き上げ期限を9月29日に設定したことで、10月の早い時期に償還を迎える米国債でいずれもヘッドラインリスクが高まることになると、ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は7日のリポートに記した。
原題:Treasury Bill Curve Shows ‘Red-Letter’ Date Causing Anxiety(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-08/OUCDHB6S972W01


 

銀行融資8年ぶり伸び 7月3.4%増、不動産けん引
2017/8/8 12:24

 日銀が8日発表した7月の貸出・預金動向(速報)によると、融資残高は449兆円となり、前年同月比で3.4%増えた。伸び率は2009年4月以来、約8年ぶりの大きさだった。日銀が大規模金融緩和を続けていることで、貸出金利が大きく低下している。不動産向けやM&A(合併・買収)向けの融資の増加が目立っている。
http://www.nikkei.com/content/pic/20170808/96958A9E93819594E2EA9AE2E78DE2EAE2EAE0E2E3E5979394E2E2E2-DSXMZO1976619008082017EAF001-PB1-2.jpg

 09年当時は、リーマン危機の直後だったため、政府が融資への支援をしていた時期だった。この時期を除くと、バブル期以来の伸びとなる。残高でみても、01年4月以来、約16年ぶりの高水準となった。
 日銀によると、足元の銀行の貸出金利は平均で約0.7%と過去最低の水準だ。日銀が大規模な金融緩和を続けていることで、民間の貸出金利にも低下圧力がかかっている。日銀は金融緩和の一環で金融機関から国債を大量に買っており、銀行が余剰資金を多く持っていることも影響している。企業や家計にとっては、過去に例がないほどお金を借りやすい環境になっている。
 融資の内訳では、不動産向けの伸びが目立つ。特に相続税対策を中心としたアパートローンの融資は、都心部と地方を問わず高水準だ。大手銀では、大型のM&Aの際に必要な手当てとしての融資も伸びている。
 融資増はこうした不動産融資やM&Aに偏っており、アパート建設は過熱しているとの指摘も多い。設備投資向けの資金など企業向けの一般的な借り入れは徐々に増えてはいるものの、金利が極めて低い状況の割には、借り入れ意欲は鈍い。
 日銀が昨年マイナス金利政策を導入したことで銀行の運用先が少なくなり、貸し出し競争が一段と激化している面もある。地銀を中心に利ざやは細り続けており、銀行経営の面でも課題は残る。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF08H05_Y7A800C1EAF000/


 


7月の企業倒産、前年比微増の714件 2カ月ぶり上回る
2017/8/8 13:30
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 民間調査会社の東京商工リサーチが8日発表した7月の全国企業倒産件数は前年同月比0.2%増の714件となり、2カ月ぶりに前年同月を上回った。7月としては2011年以来6年ぶりに前年を上回った。倒産件数は3月以降に前年比で増加と減少を繰り返しており、低水準に変わりはないものの、企業倒産の減少は底打ちの兆しをみせ始めている。

 7月は「人手不足」関連倒産が24件と3カ月ぶりに前年同月(28件)を下回った。内訳の「後継者難」型が16件と前年同月(27件)から減ったためだ。一方で、人手不足が解消されていないことを背景に「求人難」型の倒産は今年最多の7件となった。「求人難」型の倒産を1〜7月の合計で見ると23件と前年同期(10件)から倍増している。

 産業別では10産業のうち5産業で倒産件数が前年同月を上回った。サービス業他は前年比2.6%増の191件と5カ月連続で増加した。卸売業は同4.4%増の117件と4カ月ぶり、建設業は同3.8%増の135件と3カ月ぶり、不動産業が同21.0%増の23件と2カ月ぶりに増加に転じた。

 負債総額は前年比11.3%減(141億3400万円減)の1098億8500万円と2カ月ぶりに前年比で減少した。負債100億円以上の大型倒産が2カ月ぶりに発生しなかった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL08HCC_Y7A800C1000000/


7月の街角景気、現状判断指数は4カ月ぶり悪化
2017/8/8 14:02
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 内閣府が8日発表した7月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は49.7で、前の月に比べて0.3ポイント低下(悪化)した。悪化は4カ月ぶり。企業動向と雇用が悪化した。

 2〜3カ月後を占う先行き判断指数は50.3で、0.2ポイント低下した。低下は4カ月ぶり。家計動向と企業動向が悪化した。

 内閣府は基調判断を「持ち直しが続いている」に据え置いた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL07HW6_X00C17A8000000/  

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コメント
 
1. 2017年8月08日 15:04:15 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[4094]

岩田や上野らの「物価目標を現実的なものに変え、現状の緩和を減らしたほうが良い」という主張自体は、そう間違いではない

現実に、YCCに基本戦略を変え、実質Taperingが進行していることから見て

既に黒田日銀は、量中心から金利重視へと方針転換しつつあると言えるだろう。


ただし、今のQEやETF買いの規模を減らすのは、通貨安投機を撒き戻すことで、大幅な円高と実質金利上昇を招き、

民間投資や企業利益、そして雇用を直撃し、増え始めた名目賃金を再び引き下げるリスクが高い

よって、今後も米国や欧州、新興国景気の改善が続くならともかく、再び、金融経済が下振れするリスクを考えれば、今すぐ行うべき理由はないだろう

つまり今後の世界経済や国内景気次第ということだ


>木内
>日銀が債務超過になって通貨価値は大丈夫かという議論が高まったら、政府は資本注入せざるを得ない

そうとは限らないだろう

木内は相変わらず議論がおかしい

日銀は時価主義ではないので、全く資本注入など必要がないことは言うまでもないが

そもそも景気改善とインフレ拡大で金利が上昇するのであれば、円安になるはずもないし

その場合、政府の税収は、さらに改善が続くから、多少、資本注入したところで特に問題はない


>自力で何とかしようとすれば、物価が上がっても短期金利を低く抑える一方で、長期金利の上昇を容認し通貨発行益を稼ぐという選択肢
>その場合、物価の安定という使命を放棄することになり、急激な円安が進んだり、長期金利が不安定化し、国民生活は打撃を被る

これも変なシナリオ

長期金利の上昇を容認したら、普通、円高になる

それに保有している巨額の長期債の時価が下落するのだから、さらに債務超過が進む

だから当然、債務超過を解決するには、市場に既に出回っている長期債を底値で安く買い入れればOK

その結果、大幅に値上がりした保有長期債により、債務超過は相殺される


一方、その場合、円安インフレは加速するが、それを防ぐ役割は、当然、政府になる

つまり政府が本気で財政再建に取り組み、ムダな地方へのバラマキや老人社会保障を効率化し、

インフレ率が低下するまで消費税など増税すべしということになる


ただし、円安インフレの加速を放置すれば、財政再建も加速するのだから、最終的な国民の負担や生活水準は

社会保障の受益者と、現役世代の利益相反問題という政治の課題になるということだ


元々、現在の巨額のQEとマイナス金利の継続は、円安誘導と資産価格、企業利益・雇用拡大をもたらした

そして法人・個人・消費税収を増やし、インフレによる実質資産課税(デフレ抑制による過剰な貯蓄利益の防止)によって、投資や借金を促進し、国内所得格差を縮小し、政府の財政再建を助けている

そうしたメリット・デメリットをきちんと検討しなければ意味は無いし

老人、既得権者とマスゴミが支配する大衆民主主義の現状で、厳しい改革、増税と緊縮など政治的に継続できる可能性はほぼ0

現実を見れば、ほぼ必然的に動いているということだろうな



2. 2017年8月08日 15:27:07 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[710]
コラム:ドルはなぜ下落を続けているのか

佐々木融JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
[東京 7日] - 主要10(G10)通貨の年初来のパフォーマンスを見ると、米ドルは目下、「最弱通貨」となっている。2番目に弱いスイスフランに対しても5%弱下落、まさに独歩安の状態だ。

また、G10に主な新興国12通貨を加えた主要22通貨で見ても、ドルは最も弱いトルコリラと同程度のパフォーマンスであり、ほぼ最弱通貨と言って良い。

こうした状況下、ドル円相場は年初につけた118円台半ばから一時108円台まで下落、現状でも110円台で推移している(日本時間7日午後6時)。しかし、これも円が強いからではなく、ドル安が主因だ。円は、主要22通貨の中で下から数えて9番目に弱い通貨となっている。

実際、名目実効レートの年初来の動きを見ても、円が上下動し、結局、現在は年初とほぼ同水準に位置している一方、ドルはこの間、ほぼ一貫して下落基調にある。なぜドルは下落基調をたどっているのだろうか。

<投資資金が再び新興国に戻り始めた可能性>

ドル下落の背景としてまず指摘できるのがトランプ米政権を巡る状況だ。当社は、昨年11月のトランプ大統領当選を受け、2017年はその保護主義的な姿勢がドル安につながり、ドル円を下落させる可能性が高いと指摘した。

ただ実際には、トランプ政権はいまだに多くの政治任用ポストが決まっておらず、保護主義的な姿勢を強める以前の問題として、内政にてこずっている感がある。ドルに関しては、むしろロシアとの不透明な関係を巡る疑惑の高まりが下落につながるきっかけとなった局面が複数回あった。

また、ドル下落の2つめの理由として考えられるのが、新興国への資本の流れだ。この点を考察する上で重要なのは、2014―15年の動きである。この2年間、新興国の平均成長率が急速に鈍化した一方で、先進国経済は比較的堅調に推移した。そのため、両者の平均成長率の差は急速に詰まった(当社試算では、2015年には2.1%ポイントと2001年以来14年ぶりの僅差にまで縮小)。

そうした中で、米連邦準備理事会(FRB)は2014年初から量的緩和縮小(テーパリング)を開始、同年10月には債券購入を終了した。その後、利上げ期待が高まり、実際に2015年末には利上げを開始した。2014年、2015年の両年に、ドルが主要22通貨の中で最強通貨となった背景には、こうした流れがあった。

そして、その2年間を通じた主要22通貨のパフォーマンスを見ると、ドルが圧倒的に強かった一方で、新興国通貨は軒並み弱くなった。つまり、新興国から投資資金が米国に回帰し、その結果、ドルが強くなったものと考えられる。

ドルは2016年には最強通貨とはならなかったものの、さらに上昇。FRBが算出する実質実効レートで見ると、2016年12月に1990年以降の平均から10%割高な水準まで上昇し、ピークをつけた。

もっとも、2016年には新興国と先進国の平均成長率の差は再び拡大。2017年には新興国の成長率が回復するとの期待のもと、割高となったドルから一部の新興国へ、投資資金の流れが戻ってきているものと考えられる。実際、当社のデータによれば、今年に入ってから新興国市場に流入しているフローは、2012年以来の大きさを記録している。

<米金利動向だけでは説明できない>

ところで、FRBが利上げを継続できており、まだ利上げ期待が続いているということは、それだけ世界経済が安定しているということである。これは、投資家のリスクテーク志向が強いことを意味している。

通常、このような環境下ではドルや円は資本調達通貨として売られることになる。年初来、円もさほど強い通貨になっていないことも、こうした見方をサポートしている。

リスクテーク志向が強い状況下では、円の方が大抵「弱いドル」よりも弱くなり、ドル円は上昇するケースが多い。だが、今回の場合、これまでの数年間で、ドルは割高な水準まで上昇し、円は逆に割安な水準まで下落していたため、「弱い円」よりドルが弱くなり、ドル円が下落しているものと考えられる。

ちなみに、前回のFRBによる利上げ局面(2004年6月から2006年6月)でも、利上げ開始日から最後の利上げ日までのドルのパフォーマンスは主要22通貨中16位で、名目実効レートベースでは5%程度下落している。

しばしば指摘しているように、ドルが利上げ期待の高まりを背景に上昇するのは利上げ前までの数カ月間であることが多い。前回の利上げ局面でも、ドルは利上げ開始の1カ月半前までの4カ月間、力強く上昇し、主要22通貨中で最強通貨となっていた。

もちろん、当初予想されたほどFRBによる利上げ期待が高まらず、米長期金利が上昇しないこともドルの弱さの1つと考えられる。ただ、ドルと米長期金利の相関は不安定であり、米長期金利の動きをドルの弱さの主な要因として扱うのはやや無理がある。

確かに、過去1カ月間に限って見れば、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む2018年末までの利上げ期待とドル名目実効レートの相関は急速に強まっている。しかし、それ以前の相関が不安定だったことを考えれば、過去1カ月間の動きだけを捉えて、どこまでドル下落の要因として指摘できるかは不透明である。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)


外国為替フォーラム
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ドル110円割れ定着を阻む2つの防護壁=植野大作氏
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コラム:北朝鮮有事の円相場シミュレーション=佐々木融氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-tohru-sasaki-idJPKBN1AN11N?sp=true

FX Forum | 2017年 08月 7日 16:00 JST 関連トピックス: トップニュース

アングル:高値警戒感漂うアジア市場、「買い」シグナル持続

[シンガポール 7日 ロイター] - アジアの株と通貨は今年急速に上昇し、投資家の間では高値警戒感も広がっている。しかし割高感やリスクが高まった時に警戒信号を灯すはずの指標はいずれも落ち着いており、リスク資産への買いシグナルを発し続けている。

例えば、「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ・インデックス(VIX指数).VIXのアジア版の1つで、中国株の変動率を示すVXFXI指数.VXFXIは今年、ほぼ常に18%前後で推移している。これは2014年以来の最低水準だ。

インドネシアルピアの1年物インプライド・ボラティリティ(予想変動率)は2012年以来の最低水準である6%前後。インドルピーの場合は2008年以来の低さとなっている。

これら指標の一部は過去に、相場が急変動する前に警告を発していた。例えば2015年6月に中国株が暴落する数週間前、VXFXI指数は2倍の38%に跳ね上がり、暴落の最中には58%に達した。

また、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小(テーパリング)を示唆してアジア通貨などが急落した「テーパータントラム」の数週間前には、インドネシアルピアの予想変動率が18%に急上昇した。

このため、一部の投資家は自分が心配し過ぎなのかと思い始めている。

GAMインベストメント・マネジメント(チューリヒ)のアジア株ポートフォリオマネジャー、ジアン・シー・コーテシ氏は「市場は常に合理的なわけではない」と警戒し、相場変動の影響を受けにくい「ディフェンシブ株」を買っている。その一方で、一部のアジア市場のバリュエーションは相対的に低く、通貨も過大評価とは程遠く、企業収益見通しも改善しているため、楽観すべき理由は多いとも指摘した。

<ドル安>

今年はドル指数が9%下落しており、一段のドル安を期待してアジアの株や債券を買う投資家も出てきている。インド、中国、韓国株の年初来のドル建てリターンは30%前後に達した。

MSCI中国株指数の株価収益率(PER)は13倍と、2015年の暴落後の8倍前後からは上昇しているが、09年の15倍や07年の24倍にはなお距離がある。MSCI日本株指数の場合は14倍前後と、09年水準の半分だ。

ドル安によってアジア輸出企業の収益が損なわれる可能性や、米金利の上昇が世界の成長を損なう恐れは、投資家の視野に入っていない。

投資家はまた、北朝鮮のミサイル・核開発の脅威も気にかけていないようだ。

韓国国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、2016年末からプレミアムが42─57ベーシスポイント(bp)で低迷している。これは15年9月の半分の水準だ。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアジア通貨ストラテジー共同責任者、クラウディオ・ピロン氏は「次の段階、つまり軍事行動に進めば(米国と北朝鮮の)双方にとって大きな代償を伴うため、進めないと市場は想定している」と説明。ピロン氏自身は、そうした想定は危険だと考え、顧客に韓国ウォンKRW=を売って円JPY=を買う取引を勧めている。

(Vidya Ranganathan記者)

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グローバル化はアジアで前進−輸出の回復が成長を後押し

Enda Curran、Michael Heath
2017年8月7日 09:07 JST

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• 好調な世界経済を背景に貿易量が回復、アジア製品需要を押し上げ
• 米中の通商摩擦は引き続き最大の脅威か、鉄鋼供給過剰などで緊張

トランプ米大統領の保護主義論の中でグローバル化の話題が鳴りを潜めているが、アジアでは極めて異なる物語が展開している。
  輸出は回復し、各国政府は自由貿易協定を目指しており、米国の自動車メーカーは雇用を国内に戻すどころか、中国に新たな生産施設を計画中だ。年初は貿易戦争の恐れが不安視されたが、ここにきて世界各国の経済が7年ぶりに回復基調で足並みがそろい、そうした状況がアジア製品需要を押し上げている。
  だが、この状況は持続し得るのか。知的所有権問題や世界的な鉄鋼供給過剰、北朝鮮の核開発問題を巡る対中非難の高まりで、米中関係は再び緊張してきた。中国経済は減速する見通しで、米欧からの需要が大幅に増加する可能性は低いことから、世界貿易は弱まる兆しが見えていると、オックスフォード・エコノミクスのアジア経済責任者ルイス・クイジス氏(香港在勤)は指摘する。
  ただ物事を楽観的に捉える人々の目には、貿易の先行指標である製造業の輸出受注と運賃は依然高く、向こう数年の世界経済の成長は引き続き堅調な見通しに映る。貿易戦争の脅威はまだ残るが、これまでのところトランプ政権の対中姿勢は大統領選での論調よりもかなり控えめだ。

  シンガポール国立大学リークワンユー公共政策大学院のアジア・グローバリゼーション研究所上級リサーチフェロー、パラグ・カンナ氏は「地理経済学は地政学のようには明らかに見えない」と述べ、「グローバル化は極めて力強く前進しており、アジア域内の貿易は明らかに堅調に成長している」と指摘した。
  これは経済の好循環をもたらしている。台湾の貿易黒字は過去最高を記録し、ベトナムの輸出は急増。日本の輸出は7四半期連続で拡大。韓国の輸出は7月に20%増えた。中国の人民元建て輸出は1−6月期に前年同期比で15%増加した。
  エコノミスト調査によれば、8日発表予定の中国の貿易統計では輸出が7月にドル建てで前年同月比11%増加したと見込まれている。
原題:Globalization Is Thriving in Asia as Export Revival Buoys Growth(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-07/OUADZ86K50XS01

 


バフェット氏が望まない大台に接近、バークシャーの現金1000億ドル弱
Noah Buhayar
2017年8月8日 07:41 JST
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• 相場調整や弱気相場になればバークシャーの投資加速も−スミード氏

資産家ウォーレン・バフェット氏が近づかないでほしいと願うだろう大台が迫っている。
  バフェット氏が50年余りにわたって経営するコングロマリット、バークシャー・ハサウェイは4日、4−6月(第2四半期)末の手元現金が1000億ドル(約11兆円)弱だったことを明らかにした。

  この数字はバフェット氏が長年集めた事業群の圧倒的な収益力を浮き彫りにすると同時に、バークシャーには重荷でもある。同社は配当を支払っておらず、自社株をめったに買い戻さないため、バフェット氏はこれらの資金の投資先探しという困難な課題を抱えている。
  バークシャー株を含めて約60億ドルの運用に携わるウェッジウッド・パートナーズの最高投資責任者、デービッド・ロルフ氏は「この資金を運用に回せれば素晴らしい」が、「バフェット氏が所有したい企業のリストは極めて少ない」と指摘した。
  バフェット氏(86)は5月に行われたバークシャーの年次株主総会で膨らむ手元現金について、しばらく買収に大きく踏み込んでおらず、多額の資金をほとんど利息の付かない形で長期にわたって保有すべきではないとコメント。「問題は、投資に回すことができるだろうかという点だ。過去はわれわれの味方だと言えるが、電話が鳴ればもっと面白いだろうに」とネブラスカ州オマハに集まった株主に語っていた。手元現金には米国債などが含まれている。
  新たな投資先探しが難航する一因は長年にわたる強気相場かもしれない。株価が高値更新を繰り返す中、魅力あるディールを見つけることが一段と難しくなっているとエドワード・ジョーンズのアナリスト、ジム・シャナハン氏は指摘する。手元現金の積み上がりはバフェット氏が適切な機会を待つ姿勢の表れでもあり、相場の調整や弱気相場になればバークシャーの投資は加速する可能性があるとスミード・キャピタル・マネジメントのビル・スミード氏は予想する。
原題:Buffett Nears a Milestone He Doesn’t Want: $100 Billion in Cash(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-07/OUC3DG6S972801


 


2年前と様変わり−中国のレバレッジ解消でも世界から懸念聞こえず
Adam Haigh、Eric Lam
2017年8月8日 11:17 JST

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• ハードランディング予想はほとんどなくなっている
• 投資家は過去6、7年、常に中国を心配していた−ハーベスト

中国指導部は今年、金融リスクや地方当局の大きな支出を抑える最大級の取り組みを断行しているが、世界の投資家は中国に対する大きな懸念を示していない。
  ファンドマネジャーやストラテジストらを対象とする最近の調査では、世界の株式・クレジット市場の好調を脅かす恐れのある中国発のリスクを懸念する声はほとんど聞かれない。中国株バブルの崩壊が始まった数週間後に当局が人民元を突然切り下げ世界の市場が動揺した2年前の8月とは様変わりだ。
  
  中国に対し常に弱気な見方をする市場関係者は別として、今は11兆ドル(約1220兆円)規模の中国経済がハードランディングするとの予想はなくなっている。
  ハーベスト・グローバル・インベストメンツの香港在勤ファンドマネジャー兼アジア株式責任者ジューン・チュア氏は、「過去6、7年を振り返ると、投資家は常に中国について心配していた」と指摘。その上で同氏が運用に携わる国際ポートフォリオの中国株ウエートを最近高めたことを明らかにした。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iYXbOBsjaI3w/v2/-1x-1.png
  運用資産1140億ドルのハーベストは中国資産を最も運用している運用会社の1社だが、中国当局の資本規制もあり、顧客には中国本土外の居住者が多い。
  中国の資金を本土内にとどめておくことを狙ったこうした資本規制は、人民元相場の安定と元安進行観測の抑制に寄与し、対中懸念の解消に一定の役割を果たしている。ドルが広範に最近値下がりしていることもあり、2016年末まで3年連続で下落していた人民元は今年に入り3.3%上昇している。
  JPモルガン・チェースのアジア太平洋部門副会長ジン・アルリッチ氏は「プレッシャーがなくなった。人民元の安定が見受けられる。実際に元は今年ドルに対し上昇している。外貨準備高も安定した」と語った。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/igFglcZPjveE/v1/-1x-1.png
原題:China’s Big Leverage Crackdown Gets a Big Shrug From Markets (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-08/OUCDKC6KLVR401


 

年初から400%上昇した中国不動産株、一転下落−引き締め懸念じわり
Bloomberg News
2017年8月8日 09:29 JST

中国恒大の株価は7月27日に上場来高値を付けた後、22%下落
融創中国や碧桂園なども下落−下期の販売が打撃受けるとの見方

いつか終わらなければならなかった。年初から7月下旬にかけて株価が400%近く上昇した中国恒大集団の株価がここへきて下落傾向にある。中国の不動産開発株は総じて前例のないほどの値上がりを示し、中国恒大はその中心的存在だった。
  中国恒大はMSCIオールカントリー世界指数の構成銘柄の中で7月27日までの1年間の株価上昇率が首位だった。しかし同日に上場来高値を更新した後は22%下げ、現在は下落率で上位に入る。住宅価格抑制のために中国指導部が進める引き締め策の影響で7−12月(下期)の販売が打撃を受けるとの見方から、これまで上昇が目立っていた他の不動産株と同様、この1週間下げ基調だ。
  同業の融創中国は先月27日以降に11%下落、碧桂園(カントリー・ガーデン)は同期間に5.8%下げた。中国不動産への需要が非常に強い中でこれまで大きく買い上げられてきたことから、こうした下落はごくわずかにすぎない。融創中国はこの1年で237%、碧桂園は約200%それぞれ上昇した。
  Rhb・Oskセキュリティーズ香港の何志忠アナリストはインタビューで、「引き締め策への懸念が不動産開発セクターの全般的なセンチメントを損ないつつある」と指摘。高水準の債務を抱える不動産開発企業の株を投資家が売っていることもあって「碧桂園や中国恒大などが下げの中心になっている」と述べた。
原題:China Developers Sink as World’s Biggest Stock Rally Loses Steam(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-08/OUC9UI6K50XV01

 


FX Forum | 2017年 08月 8日 10:54 JST 関連トピックス: トップニュース
アングル:世界石油市場の支配固める中国、ライバルは戦々恐々
 
[シンガポール/北京 4日 ロイター] - 中国は今年、このペースでいくと、米国を抜いて世界最大の石油輸入国となる。アジアの燃料取引において支配を強めており、地域で最も重要な市場参加者としての地位を強固なものとしている。

政府統計によると、中国は今年上半期に初めて、米国よりも多くの原油を輸入した。中国の輸入量が平均855万バレル/日(bpd)であるのに対し、米国のそれは812万bpdだった。この傾向は、今後も続くと予想されている。

こうした変化は、世界の石油市場の中心が西洋から東洋に移ったことを示している。中国国営の中国石油化工(シノペック)(0386.HK)の商社部門ユニペックは今や、世界最大の石油貿易会社となった。石油輸入量を増やす中国は現在、米国に次いで世界第2位の石油消費国となっており、とりわけ上海の原油先物市場が成長するにつれ、同国は原油の世界価格の決定において、極めて重要な役割を果たすことになるだろう。

中国による石油輸入量急増の背景には精製企業の能力拡大がある。だが、その供給を吸い上げるほど国内需要は伸びておらず、ガソリンと軽油の輸出量は記録的水準にまで増加している。中国から輸出される大量の製品は、アジア諸国のライバル企業にとっては頭痛の種となっており、軽油の利益率は2016年、数年ぶりの低水準に落ち込んだ。

「中国は、東南アジアと豪州でのシェア獲得において、台湾や韓国、シンガポールといった従来の輸出拠点に対し、多くのプレッシャーを与えている」と、コンサルタント会社ウッド・マッケンジーのシニア・リサーチアナリストのジョー・ウィリス氏は指摘した。

石油精製能力の拡大と輸出増加の傾向は今後も続く見通しだ。

シノペックが最近行った説明会によると、中国は2020年までに精製能力を少なくとも250万bpd増やす計画だという。

中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)は今年、南部の雲南省で26万bpdの能力をもつ製油所を稼働させる。一方、中国海洋石油(CNOOC)は広東省恵州にある製油所の能力を20万bpd拡大する見通し。双方とも2018年までフル稼働しないものの、これら新規拡大により、中国の精製能力は今年35万bpd増えることになる。

コンサルタント会社FGEとウッド・マッケンジーの推定では、中国からのガソリン輸出は今年、少なくとも前年比1万bpd増加する見通し。今年の海外ガソリン販売を23万5000─24万bpdに押し上げ、2018年は約33万bpdとなると予想している。

ユニペックは新たな海外市場開拓を主導しており、6月は数年ぶりにジェット燃料をシンガポールから欧州北西部に輸送した。一方、中国の対フランス軽油輸出は今年2倍以上に、イタリア向けは4倍以上になる見込み。また、ケニアに初めて軽油を輸出した。

<高品質な燃料>

中国企業の攻勢により最もあおりを受けるのは、シンガポールや韓国、台湾の石油製品を輸出する企業である。

「われわれは現在取引のある国々で顧客数を増やし、新規市場の多様化と開拓をはかっている」と、韓国のある精製企業関係筋は匿名で語った。

「市場にプレーヤーがもう1人増え、韓国企業に影響を及ぼしている」

日本とインドの石油精製企業は、比較的影響は受けないとみられる。

中国とインドは、アジア最大の石油消費国だった日本を上回っている。人口減や電力・輸送部門における代替燃料の使用増加により石油消費量が減少しているため、日本企業は精製能力を整理統合している。

一方、インド企業は急増する国内需要を満たすことに注力している。

中国の新しい現代的な精製企業は、オーストラリアのような厳しい燃料基準を設ける国々に製品を輸出するうえで、アジアの他の輸出国と競い合っている。オーストラリアへの軽油輸出は昨年、前年比7倍となる85万トンに増加。今のペースでいけば、今年も同程度の水準になるという。

電気自動車の使用や自転車・2輪車のシェアリングが増加し、中国国内需要が減速するなか、同国の石油精製企業はガソリン輸出を増やしている。

中国ガソリン需要の伸びは昨年6.5%だったのに比べ、今年は3.5─4%に減速することが見込まれると、FGEのスリ・パラバイッカラス氏は語った。

BMIリサーチによると、主にガソリンを燃料とする自動車の販売は昨年8.7%伸びたが今年上半期は0.7%に減速し、その一方で代替燃料で走る自動車の販売は52.9%上昇した。

(Jessica Jaganathan記者、Tom Daly記者 翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

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英国、南シナ海への軍艦派遣を計画 中国の反発必至

[シドニー 27日 ロイター] - 英国のファロン国防相は27日、南シナ海に来年、軍艦を派遣し、「航行の自由作戦」を実施する計画を明らかにした。同海域で領有権を主張する中国の反発は必至とみられる。また、欧州連合(EU)からの離脱交渉が本格的に始まった英国と、中国の関係が冷え込む可能性がある。

ファロン国防相は、同海域でのプレゼンスを高めると表明。ロイターに対して「この地域に来年、軍艦を派遣したいと考えている。南シナ海を航行するのに、中国に制約されるつもりはない」とし、「われわれは自由に航行する権利を持っており、それを行使する」と強調した。
http://jp.reuters.com/article/southchinasea-britain-idJPKBN1AD05Y


World | 2017年 08月 8日 11:54 JST 関連トピックス: トップニュース
中国が最も大きな代償を払う、国連の対北朝鮮制裁決議で=王外相

[北京 8日 ロイター] - 中国の王毅外相は、国連の新たな対北朝鮮制裁決議を巡り、中国は北朝鮮との経済関係が密接なことから最も大きな代償を払うだろうと述べた。

中国外務省が8日公表した声明によると、王外相は7日、マニラで開かれたフォーラムで、新たな決議は北朝鮮がミサイル発射実験を続けていることに対する中国と国際社会の反対姿勢を示したと指摘。「中国は伝統的に北朝鮮と経済的な結び付きがあるため、決議の実行では中国が主に代償を払うだろう」と述べた。

外相は「しかし、国際的な不拡散システムや地域の平和と安定を守るため、中国はこれまでと同様、関連決議全体の内容を完全かつ厳格・適切に実行する」と述べた。

中国はこれまで、対北朝鮮国連決議の実行にコミットしていると幾度となく主張しているが、一方で「通常の」貿易は影響を受けるべきではないとしてきたほか、一般の北朝鮮国民も影響を受けるべきでないと訴えてきた。

王外相はまた、国連決議は6カ国協議を再開すべきとも明示していると指摘。これは中国、ロシア、米国を含む全ての安全保障理事会メンバーが約束したことであり、約束は実行されるべきだと述べた。

さらに、ティラーソン米国務長官が、北朝鮮の体制転覆は目指しておらずどこかの時点で同国との対話を望むとした発言を完全に評価すると指摘。中国として、北朝鮮が米国からの前向きなシグナルに応じることを望むと付け加えた。

*内容を追加しました。

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中国:7月の輸出入、伸び鈍化−エコノミスト予想も下回る
Bloomberg News
2017年8月8日 11:36 JST

中国の輸出は7月に伸びが鈍化した。世界の需要安定で米国との貿易戦争のリスクは緩和された。
  税関総署が8日発表した7月の輸出は人民元ベースで前年同月比11.2%増。輸入は同14.7%増。この結果、貿易収支は3212億元(約5兆3000億円)の黒字となった。輸出入の伸びは共にブルームバーグがまとめたエコノミスト予想に届かなかった。
原題:China Export Growth Pulls Back as Imports Reverse Major Gains(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-08/OUCHPA6K50XS01

 

 


汚職疑惑の南ア・ズマ大統領、無記名で不信任投票
2017/8/8 11:41
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 【ナイロビ=飛田雅則】南アフリカのムベテ国民議会議長は7日、ズマ大統領の不信任投票について無記名で8日に実施すると表明した。8年以上も政権を握るズマ氏には、汚職疑惑が取り沙汰され国民の不満が広がる。野党に加え、ズマ氏が率いる与党の有力者からも辞任要求が出ている。無記名投票により与党から造反者が続出すれば、ズマ氏は辞任に追い込まれる可能性がある。

8日に無記名での不信任投票が実施される南アフリカのズマ大統領(6日、南アで)=ロイター
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8日に無記名での不信任投票が実施される南アフリカのズマ大統領(6日、南アで)=ロイター
 「南アフリカの人々は議会に希望を見いだすことになる」と、ムベテ議長はこう語った。汚職疑惑や経済低迷を批判する野党は、無記名でのズマ氏への不信任投票の実施を求めていた。態度を留保したムベテ議長は憲法裁判所に判断を依頼した。6月に憲法裁はムベテ議長が投票の形式を決定する権限を持つと判断。議長の決断が注目されていた。

 南アの国民議会(下院)は400議席あり、与党のアフリカ民族会議(ANC)が249議席を占める。不信任案が成立するには過半数が必要。ANCの議員から50人以上の造反者が出れば、不信任案が成立し、ズマ氏は任期途中で大統領の座を追われることとなる。

 ここへ来てANCの有力者からも大統領批判が相次ぐ。ラマポーザ副大統領は金銭が重視される党の現状を指摘し、ズマ氏を非難。3月に突如、財務相を解任されたゴーダン氏は「別の人物が大統領になるべきだ」と公然と語る。ただ党内には依然根強い支持者もおり、不信任が成立するかは予断を許さない状況となっている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGT08H01_Y7A800C1EAF000/


3. 2017年8月08日 15:31:39 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[711]
コラム:ソフトバンク、業績の解読が一段と困難に

Quentin Webb

[香港 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(9984.T)が7日発表した4─6月期連結決算は、取得した米半導体エヌビディア株の評価益が利益を大きく押し上げた。今回はテクノロジー分野に投資する「ビジョン・ファンド」を含んだ初の決算であり、グループが一層複雑化し、業績の解読がますます難しくなったことを浮き彫りにした。

ソフトバンクは5月にファンドの初回出資930億ドルを完了し、この際エヌビディア株(NVDA.O)を取得した。同株の急上昇による1070億円の評価益が寄与し、グループの営業利益は予想を上回る4790億円に達した。

もちろん、紙の上の利益も素晴らしいことには違いない。エヌビディア株の急上昇は、孫正義社長が投資について鋭い嗅覚の持ち主であることを証明した。

しかし、ソフトバンクの実態把握が難しさを増したことも明らかになった。利益が予想とかけ離れた数字になったことは、ファンドの設立によって収益が大きく振れやすくなった証拠だ。

しかもソフトバンクは米携帯電話子会社スプリント(S.N)の不振を修復するため、猛烈な勢いで大型買収を検討している。今年は既に米フォートレス・インベストメント(FIG.N)を33億ドルで買収したほか、中国の配車サービス大手、滴滴出行(ディディ・チューシン)に50億ドルを出資。他にも数多くのスタートアップ企業に出資している。

これほど目まぐるしく買収する投資家が、規律を保ち続けるのは珍しい。孫社長はソフトバンクの中核事業に注力する時間をほとんど持てなかったはずだ。

ソフトバンクは今や、大型のプライベートエクイティにしてベンチャーキャピタル投資家であり、同時に通信、電子商取引、ハイテクなど既存の出資先の運営にも関与する企業になった。株主はこうした企業と取っ組み合うことになる。ビジョン・ファンドは大きなリターンをもたらしてくれる可能性があるが、それは何年も先かもしれない。多くを左右するのは投資の量ではなく質だ。ファンドの利益分配、手数料、税金、マネジャーのインセンティブなども重要になってくる。

ソフトバンク株が、個々の事業の合計から推計される値に比べて大幅に割安な水準にとどまっているのは、この複雑さが理由かもしれない。株価は昨年51%上昇したが、ソフトバンクが筆頭株主である中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング株(BABA.N)が81%も上昇したのに比べれば、ぱっとしない。一部の投資家はソフトバンクの実態を把握しきれないのだろう。

●背景となるニュース

*ソフトバンクグループが7日発表した7─9月期決算は、ビジョン・ファンドの評価益に支えられて営業利益が予想外の伸びを示した。今回は同ファンドを連結した初の決算。

*営業利益は50%強増えて4790億円(43億ドル)、売上高は2兆2000億円。トムソン・ロイターがまとめたアナリストの予想平均は営業利益が3260億円、売上高が2兆2000億円だった。

*米半導体会社エヌビディア株の評価益により、ファンドは営業利益に1050億円分寄与した。

*ソフトバンクは5月にファンドの初回出資を完了した際、エヌビディア株を取得したことを明らかにした。ブルームバーグによると、ソフトバンクの取得分は40億ドル相当で、出資比率は4.9%となる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


コラム:ソフトバンクのITファンドが描く詳細なきビジョン

コラム:ソフトバンク、フォートレス買収で賢く人材も獲得
ソフトバンクGが10兆円ファンド設立、IT分野の成長後押しへ
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http://jp.reuters.com/article/column-softbank-idJPKBN1AO08I


デリバティブ関連損失の計上に関するお知らせ

2017年5月10日
ソフトバンクグループ株式会社

当社は、2017年3月期の連結決算において、デリバティブ関連損失を計上しましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1. デリバティブ関連損失の内容

2017年3月期の連結決算において、デリバティブ関連損失252,815百万円を計上しました。

主に、Alibaba Group Holding Limited(以下「アリババ」)株式先渡売買契約に含まれるカラー取引に関するデリバティブ評価損失を232,729百万円計上したことによるものです。

当該先渡売買契約の詳細は、2016年6月1日付「Alibaba Groupとの協力に基づく当社保有Alibaba株式の一部資金化(79億米ドル以上)に関するお知らせ」をご参照ください。
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sb/2016/20160601_02/

なお、当該カラー取引については、毎四半期末の公正価値(主にアリババの株価に連動)に基づき測定します。ただし、当該デリバティブ損益は、当該先渡売買契約の締結時点(2016年6月10日)から決済期日までの3年間累計で9億米ドル(当初認識したデリバティブ資産と同額)の損失となります。

2. 当社の業績に与える影響

上記のデリバティブ関連損失の計上による業績への影響等については、本日(2017年5月10日)公表の「平成29年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」をご参照ください。
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sb/2017/20170510_02/


17. デリバティブ取引

当社グループは特定の外貨建資産・負債および外貨建予定取引に係る将来の為替変動リスクを回避する目的で、為替予約取引を利用しています。また特定の金融負債に係る将来の金利変動によるリスクを軽減する目的で、金利スワップ取引を利用しています。

デリバティブ取引は、すべて営業活動に伴う金利変動リスクおよび為替変動リスクを回避するために行い、デリバティブ取引の市場リスクは基本的にはヘッジ対象の資産負債の価値の変動によって相殺されています。

当社のデリバティブ取引の契約先はいずれも信用度の高い金融機関であるため、信用リスクはないと判断しています。

当社はデリバティブ業務に関する社内規程に基づいてデリバティブ取引を行っています。

ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引は次の通りです。
https://www.softbank.jp/annual-reports/2013/ja/financialsection/notestoconsolidatedfinancialstatements/17derivatives.html


Alibaba Groupとの協力に基づく当社保有Alibaba株式の
一部資金化(79億米ドル以上)に関するお知らせ

調達資金を活用した財務体質の改善
「ソフトバンク2.0」に基づく規律ある財務戦略の遂行
Alibabaの筆頭株主かつ戦略的パートナーとしての緊密な関係を継続

2016年6月1日
ソフトバンクグループ株式会社

当社は、100%子会社であるSB CHINA HOLDINGS PTE LTD(以下「SB China」)が保有するAlibaba Group Holding Limited(以下「アリババ」)の普通株式の一部を資金化する一連の資金調達取引(以下「本取引」)を実施することについて、下記のとおりお知らせいたします。

具体的には、本取引は、(@)20億米ドル相当のアリババ普通株式のアリババへの売却、(A)米国証券法4(a)(7)条の届出書提出義務免除に基づく、4億米ドル相当の同社普通株式のアリババのパートナーからなるグループへの売却、および5億米ドル相当の同社普通株式の大手政府系ファンドへの売却、(B)新設されたMandatory Exchangeable Trust(以下「Trust」)による総額50億米ドルの他社株強制転換証券(Mandatory Exchangeable Trust Securities、以下「Trust Securities」)の発行、の3つで構成されています。

Trust Securitiesは、アリババの米国預託株式(以下「アリババADS」)に強制転換される証券であり、米国証券法のRule 144Aに基づく適格機関購入者(QIB)に対して販売されます。発行条件は、市場環境およびその他の条件に基づき最終的に決定されます。Trustは、引受会社であるTrust Securitiesの当初買付人に対して、上記に加え、総額10億米ドルのTrust Securitiesを追加で取得する権利(グリーンシューオプション)を付与することを予定しています。
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sb/2016/20160601_02/


Column | 2017年 05月 22日 16:05 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:ソフトバンクのITファンドが描く詳細なきビジョン
Quentin Webb

[香港 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 明瞭さを欠いたままビジョンを持つことは可能だろうか。ソフトバンクグループ(9984.T)の孫正義社長にとってその答えはイエスのようだ。孫社長は、テクノロジー分野に投資する1000億ドル規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の初回出資が完了したと発表した。7カ月という短期間で、これまでにない規模となる930億ドルを調達した。

この資金を活用して中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)のような素晴らしい投資先を見つけることができれば、ソフトバンクの投資家にとって大当たりとなる可能性がある。しかし、現在のところ孫氏は重要な詳細について明らかにしていない。

ファンドには、サウジアラビア王国やアラブ首長国連邦アブダビ首長国の政府系ファンドのほか、米アップル(AAPL.O)、台湾のフォクスコン・テクノロジー・グループ(2354.TW)、米通信用半導体大手クアルコム(QCOM.O)、シャープ(6753.T)などが出資する。ソフトバンクは280億ドルを出資する予定。

すべて計画通りに進めば、ソフトバンクの投資家にとって夢のようだろう。通信・テクノロジー業界の複合企業が巨大なベンチャーキャピタルへと変貌を遂げようとしているのだ。

孫氏はソフトバンクのバランスシートを圧迫することなく、あらゆるものをインターネットでつなぐ「モノのインターネット(IoT)」など新興テクノロジーの分野で、より長期的な投資を行うことが可能となる。

見通しは魅力的だ。ソフトバンクは過去18年にわたるアリババやスーパーセル、ヤフーYHOO.O(4689.T)といったインターネット企業への投資で44%という高い内部利益率を誇る。

しかし、こうした状況は再現不可能かもしれない。セクターのバリュエーションは大幅に上昇しており、孫氏はかなり大きな獲物を捕獲する必要があるだろう。

だが仮に孫氏のチームがそれに近い状況をもたらすことができたなら、ファンドの投資家もソフトバンクも満足するだろう。ただどの程度満足できるかは不透明だ。

プライベートエクイティーファンドのような設定であれば、ソフトバンクの分配利益「キャリード・インタレスト」は理論上、数百億ドルに達する可能性がある。年間運用手数料も数億あるいは数十億ドルに上る可能性がある。

しかし、これらはすべて憶測にすぎない。ソフトバンクは手数料の額や利益分配の方法、投資継続期間などについてまだ明らかにしていない。ビジョンはソフトバンクが固める。詳細は決算報告で徐々に明らかになる可能性があるが、現在のところ孫氏が株主に提供しているのは、詳細に欠ける大きなビジョンだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/column-softbank-it-fund-idJPKBN18I0MW


 


 


ソフトバンクの4−6月期純利益は98%減の55億円−投資損失、2571億 ドル100円 米債市場誤り 緩和効果強調危険


ソフトバンクの4−6月期純利益は98%減の55億円−投資損失 
古川有希
2017年8月7日 15:20 JST

ソフトバンクグループの4−6月期の連結純利益は、前年同期比98%減の55億円となり、市場予想の1780億円を大幅に下回った。前年同期に貢献したアリババ株式の売却益がなかった反動に加え、関連でデリバティブ関連損失2571億円を計上したことが響いた。
  7日の開示資料によると、売上高は前年同期比2.8%増の2兆1861億円(市場予想は2兆2010億円)、営業利益は50%増4793億円(同3237億円)だった。営業損益ベースでは、国内通信通信事業が減益となったものの、米携帯電話子会社のスプリント事業の好調が寄与した。
  ソフトバンクは5月、930億ドル超(約10兆円)の出資規模で中東の政府系ファンドや米アップルなどが参画する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を発足。テクノロジー関連事業の強化に向け国内外の新興企業への投資を進めている。一方、米ケーブルテレビのチャーター・コミュニケーションズへの買収提案も浮上するなど規模拡大に積極的だ。
  
  野村証券の増野大作アナリストは決算発表前の取材で、「ビジョン・ファンドを含め、テクノロジーの事業を今後どのように強化していくのかに注目している」と話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-07/OU5KOF6JIJUP01


ソフトバンクの4〜6月期、営業利益50%増 米携帯子会社が改善
2017/8/7 15:29

 ソフトバンクグループが7日に発表した2017年4〜6月期の連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年同期比50%増の4792億円だった。米携帯子会社スプリントの利益が改善した。売上高は3%増の2兆1860億円だった。

 スプリントは端末の売り上げが拡大したほか、コスト削減で利益が伸びた。投資先の米半導体大手エヌビディアの株式評価益も利益を押し上げた。

 純利益は98%減の55億円だった。昨年に中国電子商取引(EC)大手のアリババ株の売却益を計上した反動が出た。

 18年3月期の業績見通しは開示していない。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL07HZ5_X00C17A8000000/

Markets | 2017年 05月 10日 15:49 JST
ソフトバンクG、17年3月期営業益は+12.9% 市場予想下回る
[東京 10日 ロイター] - ソフトバンクグループが10日発表した2017年3月期連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年比12.9%増の1兆0259億円となった。米スプリントの回復や堅調な国内通信が利益を押し上げた。

ただ、実績はトムソン・ロイターが集計したアナリスト20人の予測平均値1兆1450億円を下回った。

売上高は前年比0.2%増の8兆9010億円だった。前年同期よりも円高水準にある為替レートがスプリントの売上高を目減りさせたが、ヤフーや国内通信でカバーした。

デリバティブ関連損失で2528億円を計上。さらに個別決算でもインドのインターネット通販大手スナップディール関連で1140億円の特別損失を計上したが、連結決算には影響ないという。

通期予想は業績に影響を与える未確定な要素が多いとして開示していない。

トムソン・ロイター集計によるアナリスト20人の営業利益予想の平均値は1兆2930億円となっている。

 *この記事の詳細はこの後送信します。新しい記事は見出しに「UPDATE」と表示します。 (志田義寧)
http://jp.reuters.com/article/%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF%EF%BC%A7-17%E5%B9%B43%E6%9C%88%E6%9C%9F%E5%96%B6%E6%A5%AD%E7%9B%8A%E3%81%AF%EF%BC%8B12.9%EF%BC%85%E3%80%80%E5%B8%82%E5%A0%B4%E4%BA%88%E6%83%B3%E4%B8%8B%E5%9B%9E%E3%82%8B-idJPT9N1HY036


 

Column | 2017年 08月 8日 11:48 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:一筋縄では行かない女性の就労促進政策

8月4日、トランプ米大統領の長女で大統領補佐官を務めるイバンカさんは、新たな子育て減税を提案しているが、それも予期せぬ結果を生む可能性がある。写真は2日、ホワイトハウスで開かれた軍幹部の配偶者とのミーティングに参加するイバンカさん(左)(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)
Anastasia Chacon

[ワシントン 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 「女性に優しい」雇用促進政策は、必ずしも看板通りの成果を上げないことが多い。米国の7月失業率は、この16年で最低の4.3%だったが、女性の就労は過去と比べて活発とはいえない。トランプ米大統領の長女で大統領補佐官を務めるイバンカさんは、新たな子育て減税を提案しているが、それも予期せぬ結果を生む可能性がある。

7月の米国全体の労働参加率は62.9%とやや上昇したが、女性では約57%と、60%前後だった1990年代後半から2000年代初めにかけてと比べ低下している。イバンカさんの提案は、年収が25万ドル(約2700万円)未満の場合、課税所得から子育て費用を控除するという内容だ。米国の超党派組織の税政策センターの試算では、この控除の恩恵の70%は世帯所得が10万ドル以上の家庭に行く計算で、中間所得者層の支援としては不十分だ。

日本が教訓を提示している。安倍晋三首相は2013年、労働者の高齢化を補うため、女性の就労促進策を導入した。保育園費用などの補助金を拡大し、有給の出産・育児休暇取得を支援した。2016年には、女性の労働参加率は3ポイント上昇した。だが、文化的なバイアスの変化は遅く、政府は2020年までの管理職の30%を女性にするという当初の目標を、7%に引き下げざるを得なかった。パートタイム雇用や契約社員は、いまだに女性が大半を占めている。

一方チリでは2009年、女性社員が20人以上いる企業に対し、子どもが2歳になるまでの子育て費用を負担するよう義務付けた。2016年までに女性の労働参加率は約6ポイント上昇したが、雇用主側のコスト増が、女性の給与を直撃した。

世界銀行によると、エストニアでは、欧州でも出色の就労プログラムがあるにもかかわらず、女性の労働参加率は2011年以降足踏みしている。

イバンカさんの提案には、雇用主に有給の出産休暇の導入を義務付けることも含まれている。米国は、経済協力開発機構(OECD)加盟国で唯一、そうした義務付けがない国だ。2035年までにベビーブーマー世代の約800万人が労働力人口から「退職」し、一方でトランプ大統領が移民の制限を強化する方針を掲げていることを踏まえれば、より多くの女性に就労を促す方法を検討するのが賢明だ。

外国政府の成功例と失敗例を検討することは、ワシントンの政策担当者が失策を避けるうえで有益だろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

コラム:トランプ政権の現実に目覚めた米株式市場

コラム:米予算教書、空論前提のブードゥー経済政策
コラム:マクロン氏、当選後に訪れる「真の試練」
コラム:仏大統領選、極右と極左が火花散らす事態も
http://jp.reuters.com/article/usa-economy-breakingviews-idJPKBN1AO07O


4. 2017年8月09日 17:01:10 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[728]

コラム:「ポスト安倍」時代の日銀金融政策

上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト

[東京 9日] - 安倍晋三首相が8月3日に行った内閣改造・自民党役員人事について筆者は、リベラル色が濃い岸田派への十分な配慮、出身派閥である細田派の閣僚数減少(これにより身内びいき批判を回避できる)、自らの政策に批判的な野田聖子氏の閣内取り込みなど、党内で求心力を維持する狙いから相当考え抜かれたもので、手堅い布陣だと受け止めた。

改造内閣発足直後の記者会見で安倍首相は、「結果本位の仕事人内閣」だと形容した。実務能力が高い人を優先した組閣を行っているので、実績を少しずつ積み重ねていくうちに内閣支持率は自然に回復していくはずだという期待感が込められているのだろう。

1つの試みとして、第2次・第3次安倍内閣(改造内閣を含む)の閣僚について、新聞で報道されたベースで出身校(大学・大学院といった最終学歴)別の人数を集計してみた。すると興味深いことに、今回の改造内閣では米ハーバード大学院を出身校としている閣僚が4人もおり、東京大学の4人と同数である。米国の大学・大学院全体に広げると5人で、東大を上回る。

むろん、学歴イコール実務能力ということでは全くないわけだが、米国で視野を広げた人が多数登用された点は大きな特徴だ。また、政治家の二世・三世が入ることが多いとされる慶應義塾大学の出身者が今回はゼロというのも目立つ点である。

マスコミ各社の世論調査を見ると、手堅い布陣が奏功しており、安倍内閣の支持率には下げ止まり感がある。ただし、不支持率の方が支持率よりもなお高い調査結果がほとんどであり、改憲案国会発議のタイミングや年内解散の可能性も含め、政治的に緊張感の高い時間帯がまだ続きそうである。

そうした中、筆者が先回り的に注目しているのが、「ポスト安倍」は誰かというテーマだ。為替市場で円売り圧力が根強く、市場全体がドル安地合いであっても対円でドル安がなかなか進まないのは、日銀が掲げる「物価安定の目標」2%が日本経済の実力や国民の物価観からするとあまりにも高すぎて達成のめどが全く立たず、金融政策のベクトルを考えた場合、日本はこの先もずっと緩和方向で決まりだと見なされているからである。

だが、そうした日銀のスタンスを規定しているのは、政治的現実に即して言えば、安倍首相による日銀の金融政策運営へのグリップだ。名目国内総生産(GDP)600兆円目標や財政健全化プランにも物価2%は前提として組み込まれており、「アベノミクス」の下では2%の物価目標は動かない。とすれば、安倍氏の次の首相がどのような経済政策を打ち出すのか、なかんずく2%の物価目標や日銀の大規模緩和をその弊害や副作用も含めてどのようにとらえるかが、重要になってくる。

<2%物価目標撤回はあり得るのか>

日本経済新聞社が今回の内閣改造直後に実施した世論調査をみると、「ポスト安倍」に最もふさわしい人は、石破茂元地方創生相が22%で首位。次点が現職の安倍首相で17%。3位は自民党筆頭副幹事長の小泉進次郎氏で11%。4位は小池百合子東京都知事と、外相から自民党政調会長に回った岸田文雄氏でともに9%だった。

上記のうち、最有力とされた石破氏は6月下旬に米系通信社が配信したインタビューの中で日銀の金融政策について、「金融政策は何のためにやるのか、物価を上げることが自己目的みたいになっているのは変ではないか」「人々の賃金が上がり、設備投資が増えることが目的であって、物価が上がることが目的ではない」と発言し、その修正に含みを持たせた。

だが、記事の文章中にさらりと書かれていた「2%目標は維持すべきとしながらも」という部分に、筆者は強い関心を抱いた。2%の目標が動かないならば、日銀の金融緩和路線自体を大きく動かすことはかなり難しいからである。欧米と協調せずに物価目標2%を日本が一方的に引き下げる場合の円高急進行リスク、実現の可否はともかく財政健全化の絵図を一応描く上では2%の物価上昇がないと都合が悪いといった現実がおそらく、石破氏の頭の中にはあるのだろう。

また、4位に入った岸田氏は安倍首相から禅譲を受けるシナリオを念頭に動いているとされており、実際に禅譲がある(安倍氏の後継指名を得て自民党総裁選に臨んで勝利する)場合には、「アベノミクス」の継承を経済政策面での公約として掲げる可能性が高い。

このように考えると、「ポスト安倍」の下でも、日銀の金融政策のベクトルが「緩和方向」で固定されている現実が大きく変わる可能性はあまりないことが浮かび上がってくる。

したがって、ドル円相場については、今後も米国側の動き、すなわち米連邦準備理事会(FRB)の金融政策のベクトルが引き締め路線のままか、それとも物価・賃金の上がりにくさなどから利上げが停止して中立になり、その先の利下げ観測が市場で浮上してくるかどうかが、大きな鍵を握ることになる。

筆者は引き続き、米利上げ停止と中国リスク再燃を受けて、晩秋から年末年始あたりに100円前後まで円高ドル安が進むのではないかと予想している。

*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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主要10(G10)通貨の年初来のパフォーマンスを見ると、米ドルは目下、「最弱通貨」となっている。2番目に弱いスイスフランに対しても5%弱下落、まさに独歩安の状態だ。 記事の全文

米国も「権威主義的国家」に向かうのか=河野龍太郎氏
「ポスト安倍」時代の日銀金融政策=上野泰也氏
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上野泰也
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円全面高、北朝鮮情勢への警戒でリスク回避−ドル・円は110円割れ
池田 祐美
2017年8月9日 10:49 JST 更新日時 2017年8月9日 11:47 JST

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ドル・円は一時109円74銭と6月15日以来のドル安・円高水準
北朝鮮懸念高まりリスクオフの円買いという流れ−バークレイズ証


東京外国為替市場で、円は主要通貨に対して全面高。ドル・円相場は1ドル=110円を割り込み、一時約8週間ぶり安値を付けた。北朝鮮情勢への警戒感を背景にリスク回避の円買いが優勢となっている。
  9日午前11時35分現在のドル・円は前日比0.4%安の109円88銭。朝方に付けた110円36銭から、一時109円74銭と6月15日以来の水準までドル安・円高が進んだ。

  バークレイズ証券の門田真一郎シニア為替・債券ストラテジストは、ドル・円の下落について、「北朝鮮情勢への懸念が高まり、米国株が下落し、米金利が下げた形となり、リスクオフで円買いという流れ」と説明した。また、「今週は米消費者物価指数(CPI)に注目。非常に弱い状態が続いていたが、物価動向が改善するのかが焦点」と語った。
  
  トランプ米大統領は8日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイルに搭載可能な小型核弾頭の生産に成功しているとの米当局の分析を米紙が伝えたことを受け、北朝鮮が米国を脅し続けるなら、同国は「火と怒り、そして単刀直入に言えば、世界がこれまでに目にしたことがないような力に見舞われることになるだろう」と発言した。

  一方、朝鮮人民軍戦略軍報道官はこの日、朝鮮中央通信(KCNA)を通じて声明を発表し、北朝鮮が米領グアム島への中長距離弾道ミサイル「火星12」の発射の作戦計画を検討していることを明らかにした。

  みずほ銀行の日野景介トレーダー(ニューヨーク在勤)は、トランプ大統領の北朝鮮に関する発言を受けて、「これでもうひともんちゃくあると、ドル・円はもう1回下値を試しにいく」と指摘。「それでも109円台を止められると、その場合マーケットは多分ショート(売り建て)に傾いていると思われるため、戻しも相応に大きくなるのではないか」との見方を示していた。
  この日のアジア時間外取引で米10年債利回りは一時2ベーシスポイント(bp)低下の2.24%程度まで低下した。

  クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)が下落。ユーロ・円相場は一時0.7%安の1ユーロ=128円72銭と7月19日以来のユーロ安・円高水準を付けた。豪ドル・円相場も一時1.2%安の1豪ドル=86円29銭と7月7日以来の豪ドル安・円高水準を付けた。

  豪ドルは対米ドルでも一時0.8%安の1豪ドル=0.7855米ドルと、7月18日以来の水準まで下落。8月の豪ウエストパック消費者信頼感指数が前月比1.2%低下したほか、中国の7月の消費者物価指数と生産者物価指数がいずれも市場予想を下回ったことが重しとなった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-09/OUE8YV6S972I01
 


 


 


ドル/円上値重い、北朝鮮リスク警戒 クロスで円買い戻し

[東京 9日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ドル安/円高の109.97/99円だった。早朝に伝わった一連の北朝鮮関連の報道を受け、リスク回避のセンチメントが広がり、クロス円での円ショートの巻き戻しが活発化。ドル/円は一時109円後半に下押しした。

午後のドル/円は、日経平均が下げ幅を縮めるのを眺めて、一時110.07円に持ち直す場面があった。「地政学リスクの東京市場での織り込みは、午前で一巡した印象」(国内金融機関)との声が聞かれた。

市場では、北朝鮮を巡る地政学リスクへの警戒ムードが欧米時間に引き継がれるかどうかに関心が寄せられている。

前日は、普段は相場反応が大きくない米求人労働移動調査の強い結果を受けて、ドル買いが強まった場面があった。市場では「北朝鮮関連で相場にネガティブな続報などがなく、米株が反転し欧州株が底堅いようなら、ドル/円はポジティブな経済指標に反応するかもしれない」(国内金融機関)との声が聞かれる。

きょうは米国で、住宅ローン・借換え申請指数や、労働生産性・単位労働コスト速報値、卸売在庫といった指標発表が予定されている。

午前のドル/円は、北朝鮮を巡る地政学リスクを警戒しながら、109円後半へとじりじり水準を切り下げた。

「短期筋は、これまでクロス円で、円ショートさえ持っていれば儲かるという環境に甘んじて、ドル/円以上に大規模な円ショートを持っていたが、けさはその一部が巻き戻された」(国内銀)という。

ユーロ/円EURJPY=EBSは一時128.71円まで下落し、朝方の高値129.71円から1円安。英ポンド/円GBPJPY=は一時142円半ばまで下落し、朝方の高値143円半ばから約1円安。豪ドル/円AUDJPY=は一時86円前半まで下落し、朝方の高値87円前半から1円超の下げ幅となった。

早朝の北朝鮮を巡る報道を受けて安全資産への買いが入った米国債市場では、米10年国債利回りUS10YT=RRは一時2.24%半ばに低下。前日のニューヨーク市場終盤の取引で同利回りは2.27%前半だった。

        ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

午後3時現在 109.97/99 1.1739/43 129.12/16

午前9時現在 110.09/11 1.1752/56 129.41/45

NY午後5時 110.30/32 1.1749/51 129.64/68

(為替マーケットチーム)

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http://jp.reuters.com/article/tokyo-forex-idJPKBN1AP0JV
 


 


 
アジアで高まる需要、脱ドル依存へ円の国際化再び−通貨危機から20年
高橋舞子、Connor Cislo
2017年8月9日 06:00 JST

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米利上げによる資金流出への懸念、円調達しやすくし金融安定に一役
日本企業の投資が急増、ドル介さない直接取引で資金調達割安に

米利上げによる資金流出への懸念や日本企業による直接投資の急増を背景に、アジア域内で円の需要が高まっている。通貨危機から20年。政府は脱ドル依存による金融安定化の流れの中で、過去2回失敗に終わった円の国際化につながる具体策を着々と進めている。
  政府は5月、インドネシア、タイ、シンガポール、フィリピンの4カ国と計約4.5兆円のドルを融通する既存の「2国間通貨スワップ」について、円での引き出しも可能にすることで合意。東南アジア諸国連合(ASEAN)各国と、円とドルの選択が可能な最大4兆円の通貨スワップも新設する。6月には円とアジア通貨を直接交換する市場の創設を目指し、タイと協議を始めると発表した。
  国際通貨研究所の武田紀久子主任研究員は、過去の「ドルに比肩する通貨に育てようというお題ありきの国際化」とは違い、「企業や相手国の需要の高まりを受けたボトムアップの国際化」とみる。進出日本企業にとって円と現地通貨の直接交換が促進されることで利便性が高まり、東南アジア各国にとってはドルへの依存度を引き下げることで米国の経済政策の影響を受けにくくする利点があるという。
  日本は1988年に円、ドル、マルクの「3極通貨」を提唱。2001年には通貨危機を回避するため、「アジア通貨バスケット」構想を打ち上げたが、いずれも実現には至らなかった。国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、国際決済総額に占める円の割合(4月)は1位の米ドル(42%)や2位のユーロ(31%)に大きく引き離され、3.5%の4位にとどまっている。
中国からASEANへ
  アジア域内で円の存在感が強まっている理由の一つは米国の利上げに伴う資金流出の可能性だ。米連邦準備理事会(FRB)は今年に入りすでに2回利上げを実施。アジアの新興国の多くは通貨危機を教訓に外貨準備を積み上げるとともに、ドル離れの動きを加速化させている。インドネシアやマレーシアは国内決済における自国通貨を義務化。ベトナムも15年にドル預金金利をゼロ化した。
  5月に開かれた日ASEAN財務相・中央銀行総裁会議の共同文書では、ASEANの金融統合や日本企業の進出で経済の結びつきが強まる中、現地通貨の利用促進を図り、域内で円の調達をしやすくすることは「一層の金融安定に貢献」すると明記。麻生太郎財務相は、共同議長国会見で、資金が他国へ一斉に移動する「キャピタルフライトが新興国の中から起き得る可能性は常にある」と述べた。
  1997年に起こったアジア通貨危機は、ヘッジファンドの通貨売りにさらされたタイの変動相場制への移行がきっかけだった。バーツは急落し、経済を支えていた外国資本が急速に流出。インドネシアやフィリピンなどアジア各国の通貨も連鎖して暴落した。米国が利上げの方針を掲げている現在も、資金が逃避する懸念はくすぶる。
  中国における人件費の高まりや政治的な緊張関係を背景に、東南アジアへとシフトしている日本企業の直接投資を後押しする狙いもある。日本貿易振興機構(JETRO)によると、2015年の日本からASEANへのフローベースの直接投資額は2兆245億ドルで、中国・香港向けの2倍近くに上り、現地通貨での取引が増えている。
  金融庁の委託を受けたみずほ総研の調査(14年)によると、アジアに複数の拠点を持つ日本企業の4割弱がアジア圏の通貨の決済額の割合が過去5年間で上昇したと回答。JETROの小林寛アジア太平洋州課長は4日の電話取材で、「ドルを介さず直接取引ができるようになれば、手数料もかからない。割安に資金調達できるようになれば進出日系企業にとってもいいことだ」という。
人民元
  国際通貨研究所の武田氏は、東南アジアへのインフラ投資を進める中国を横目に、 アジアへの質の高いインフラ輸出の拡大を目指す安倍晋三政権にとって、円の流通拡大は「ビジネスと金融が両輪で回っていく話だ」との見方を示した。
  政府のこうした動きは、人民元の国際化が足踏みしている中で、円の影響力を広げる狙いもある。中国は16年10月から国際通貨基金(IMF)による特別引き出し権(SDR)の構成通貨に組み入れられるなど、存在感を高めてきた。しかしその後、人民元の海外流出を防ぐために資本規制を導入するなど、国際通貨としての信認が問われる動きを取っている。
  SWIFTによると、昨年12月、日本に次いで5位だった人民元建て決済の割合は7位まで順位を落とした。PGIMでチーフエコノミストを務めるネイサン・シーツ前米国際担当財務次官は7月25日の電話取材で、人民元の信頼性が落ち、足踏みをしていることから円の需要は拡大していると語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-08/OU5LO06JTSE901


 

 


 


 


 
コラム:中国に資本規制緩和の好機、経済好調やドル安で

Pete Sweeney

[香港 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国は外貨準備高が安定して資本流出に歯止めが掛かり、人民元相場が上昇している。トランプ政権の迷走もあってドル安が進む一方、国内経済が好調なおかげだ。中国政府が外国から本土の株式・債券市場に資金を呼び込みたいと思うなら、資本規制の部分的な緩和に乗り出す好機かもしれない。

中国政府は警戒を解いていない。当局は銀行や企業による外為管理規則の違反を追い回しており、報道によると民間企業が行った大型オフショア投資への捜査が進行中。観光支出などを装った資本の持ち出しが続いている証拠もある。人民元の自由化は対ドルの変動幅拡大という無意味な策が講じられたのみで、実効性は皆無だろう。

しかし守りに徹すれば代償を払わずに済むというものではない。中国は海外からもっと多くの資金を債券市場に引き寄せて国内銀行に掛かっている圧力を取り除き、市場原理の導入を進め、人民元の国際化を図りたいと望んでいる。資本規制は海外の熱意ある投資家の妨げになっている。資本規制を解除すれば、中国政府には改革再開の用意があるとの受け止め方が浸透する一助となるだろう。

もちろん、警戒心を持つのに無理からぬ面もある。米経済が回復を続けて米連邦準備理事会(FRB)が積極的に利上げすれば、ドルが再度上昇するかもしれない。北朝鮮と戦争状態に入るといった惨事が発生すれば、ドルが逃避的な通貨として買われる可能性もある。

ただ、たとえ再びドル高に振れたとしても、中国でまたパニック的な資本流出が起きるとは限らない。2016年に流出を悪化させた懸念の多くは、その後事態が改善した。生産者物価、企業収益、民間投資、市場金利は軒並み上向いている。株式市場も力強く、主要指数の年初来の上昇率は12%を超えている。トランプ政権の発足で、資産の安全な逃避先としてのドル立場は揺らいでいる。今年に入って上昇している通貨はユーロだ。

中国政府が今の景気改善は底堅いと信じるなら、資本規制を緩めるチャンスだ。

●背景となるニュース

*中国の7月末の外貨準備高は前月比240億ドル増の3兆0810億ドルとなり、市場予想を上回った。

*ドルが幅広い通貨に対して弱含んだため、人民元の対米ドル相場は年初来で3%強上昇している。

*中国の外為当局は7日、ドル安が進んでドル以外の通貨の外貨準備の評価額が押し上げられたと説明した。

*当局のデータによると、商業銀行が上半期中に売却した外貨は差し引き938億ドルで、前年同期比46%減少。中国企業による外貨需要の落ち込みが浮き彫りになった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


中国外貨準備高、6月末は3.057兆ドルに増加 8カ月ぶり高水準

UPDATE 1-中国商業銀の外貨取引、5月は171億ドルの売り越し
アングル:中国企業が外貨建て起債拡大、資本流出規制で切迫
コラム:人民元改革、中国の踏み出す一歩小さく
http://jp.reuters.com/article/column-china-forex-control-idJPKBN1AP0EZ?sp=true


 


 


 
中国で膨れ上がるレバレッジという「原罪」−政府の規制効果薄〜影の金融438兆円
Bloomberg News
2017年8月9日 14:00 JST
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• 2008年以降に打ち出された刺激策が「怪物」生んだ−東方資本
• 理財商品や委託貸付などが依然として高水準に積み上がっている
中国当局が大々的に進めるレバレッジ縮小キャンペーンが今年、ニュースの見出しを飾っている。しかし当局がなぜこの問題に取り組んでいるかを理解するには、またその脅威が中国経済に及ぼし得る影響を把握するには掘り下げて分析する必要がある。
  国営メディアが中国金融システムの「原罪」と呼ぶレバレッジは、この10年で膨れ上がった。従来の標準であった10%超の成長から景気が減速する中で、当局がその影響を和らげようとしていることなどが背景にある。銀行預金金利が低く抑えられている中で、家計や企業がより高いリターンを求めていることがレバレッジの急拡大につながった。
  中国のシャドーバンキング(影の銀行)に関する著書もある東方資本のマネジングディレクター、アンドルー・コリアー氏(香港在勤)は、2008年以降に打ち出された前例のない刺激策が、中国指導部が現在取り組んでいる「怪物」を生み出したと指摘した。

中国の主なレバレッジの伸び
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ibwBCNC0Jbuc/v7/1200x-1.png

  中央政府による暗黙の支援に対する期待が、借り手が容易に債務を増やすことにつながっている。
  レバレッジの代表格とも言える理財商品はこの数年で急増した。銀行が預金に付ける利息に比べ、一般的に利回りがかなり高いことから人気を得ている。ただ中国の銀行監督当局は7月、一部の銀行に対して理財商品の利率引き下げを求めるなど、規制が強まっている。

理財商品
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iL1RfcdkSpXw/v4/1200x-1.png

  非金融機関に対する銀行の融資は、当局のリスク抑制キャンペーンの影響をまだそれほど受けていない分野だ。
  また、委託貸付(銀行を仲介役に企業が別の企業に資金を貸すこと)や信託貸付(銀行が理財商品で集めた資金を使って信託プランに投資し、収益が最終的に企業の借り手に渡る仕組み)、銀行引受手形(将来の支払いを銀行が保証する手形)なども人気が高い。ブルームバーグ・インテリジェンスがこの3分野について集計したデータで見ると、シャドーバンキングは6月末時点でなお過去最高の26兆7000億元(約438兆円)に上る。

非金融機関に対する銀行融資
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i3w6fSnueMmk/v3/1200x-1.png

  こうした影の金融は中国の不動産価格急上昇の原因の一つとみられている。
原題:China Is Taking on the ‘Original Sin’ of Its Mountain of Debt(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-09/OUEFGV6K50XS01

 

 

みずほFGがトランザクション業務強化で外為11兆円増へ
河元伸吾、Gareth Allan
2017年8月9日 06:00 JST

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シンガポールに国際営業本部、東京や香港、欧米に280人を配置
プロダクツとセールスが一体的推進、アジア展開の非日系企業に照準


みずほフィナンシャルグループは、アジアを中心に取引先企業の資金管理を包括的に受託するトランザクションバンキング業務を強化している。シンガポールを中心に顧客ニーズに合わせた資金サービスの開発とともに、競合金融機関から採用した営業担当者を世界5拠点に配置して案件獲得を進める。2017年度は関連する外国為替取引で1000億ドル(約11兆円)の上積みを目指す。

  同業務は、融資だけでなく預金から決済、貿易金融など顧客企業の資金を一元管理する業務。銀行は預かる資金の運用や送金、為替手数料などで収益を獲得する。みずほFGグローバルコーポレート業務部の田中丸善市参事役は、日本企業に加えて「アジアでビジネス展開する非日系企業のクロスボーダー取引にフォーカスして拡大を進める」と述べた。

  みずほFGは昨年、グローバルトランザクション営業部を設置して世界での推進体制を構築した。本部は初めて日本以外のシンガポールに置き、東京、香港、中国、ニューヨーク、ロンドンで展開する。人員は合計約280人で3年前に比べてほぼ倍増した。セールスではシニアクラスのバンカー5人を外資系金融機関から中途採用し、各拠点に配置して陣頭指揮を任せている。
  
  日本銀行によるマイナス金利政策の影響を受け、国内金融機関は本業の融資収益が低迷。みずほFGや三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループなど3メガバンクは、収益増強に向けて海外事業を拡大している。みずほFGは世界の大企業約300社との取引を深める「グローバル300」を展開中で、トランザクションバンキングを重点戦略に位置付けて取り組みを強化している。

  欧米の競合先に対応するためプロダクツ(商品開発)部門も強化した。新サービスでは、新たに顧客企業と下請け企業との資金取引を管理するサプライチェーンファイナンスや為替取引の事務効率化メニューなどをラインアップした。このほか、7月に金融と情報技術(IT)を融合したフィンテックを駆使して実施した新認証技術のブロックチェーンによる貿易取引なども売り込む考えだ。

  みずほFGのトランザクションバンキングに関連した外為取扱高は、17年3月期が前年同期比25%増の5000億ドル(約56兆円)に拡大した。今期も20%前後の増加を目指している。田中丸参事役は、「プロダクツとセールスが一体的に推進して取引実績を上げ、顧客企業から信頼を得て資金管理のコアバンクを目指す」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-08/OTOOU36JTSE801


 
コラム:再編議論避けられぬ日本のビール業界

8月7日、サッポロのほか、キリン、アサヒ、サントリーは最近、新興老舗を問わず、貪欲に海外ビール銘柄の買収を進めている。写真は都内で2014年7月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
Rob Cox

[ニューヨーク 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - コネチカット州の町の酒小売店で、6本パックのサッポロビールは、10.49ドル(約1168円)で売られている。もう1ドル出せば、同じく6本パックのアンカー・スチーム・ビールが買える。

一方の銘柄が、他方より10%高くなる理由を簡単に説明するのは難しい。2つの銘柄は、北海道とサンフランシスコでそれぞれ創立された由緒あるメーカーの製品で、両方とも米国内で生産されている。創業の年も近い。

ただ、アンカー・スチームがより高い価格を設定できるという事実が、サッポロホールディングス(2501.T)が8500万ドル(約95億円)を出してアンカー・ブリューイング・カンパニー(カリフォルニア州)を買収する理由を理解するカギになるかもしれない。

アンカー・スチームの価格設定の秘密は、マーケティングにある。米国の消費者は、いわゆるクラフトビールに付加価値を見いだしている。もっとも、同社の製品ついて言えば、クラフトビールと呼ぶのは誤りかもしれない。

アンカー・スチーム・ビールの起源は1871年にさかのぼる。ゴールドラッシュを目当てにドイツからやってきたゴットリーブ・ブレッケルが、サンフランシスコのロシアン・ヒル近くで開いたビールとビリヤードの酒場が起源だ。同じころ、ドイツでビール醸造を学んだ中川清兵衛が日本に帰国。明治政府の下、初の国産ビールの製造技術者として、北海道の醸造所の開業を監督した。

サッポロは一貫して事業に集中し、日本の4大ビールメーカーの一角となったが、アンカー・スチームの方は、1世紀ほど目立たない存在であり続けた。その後、ビール愛好者のフリッツ・メイタグが、曾祖父が家電販売事業で築いた資産を活用し、アンカー・スチームを一大人気銘柄に押し上げた。2010年にメイタグがビジネスを売却したときには、独立系醸造所はルネサンスともいうべき大ブームとなっていた。現在米国では、毎日2つの醸造所がオープンしている。

ただ、適切な株主還元を重視するなら、なぜ急速に飽和しつつある米国のビール業界に参入するのか、不可解な部分がある。

サッポロのほか、キリンビール(2503.T)、アサヒグループホールディングス(2502.T)、サントリー食品インターナショナル(2587.T)は最近、新興老舗を問わず、貪欲に銘柄の買収を進めている。

各社の株価は、安倍晋三首相の就任直後の2013年以降、市場一般を上回って推移している。だがその大部分は、低金利と円安が原因だろう。収益性に関していえば、4社は同業のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)(ABI.BR)やオランダのハイネケン(HEIN.AS)などに遠く及ばない。

日本のビールメーカーの海外買収攻勢は、ある目標を達成しているようにみえる。国内での業界再編の真剣な検討を遅らせるという目標だ。純粋を好む消費者には歓迎すべきことかもしれない。だが、安倍首相が掲げる経済改革の「3本の矢」の1つである、日本経済の効率化をはかるという観点からみれば、残念な状況というべきだ。

海外投資には、それなりの理屈がある。日本のビール事業は大量のキャッシュを生む。一方で、国内市場は縮小している。今後しばらく人口が減少し続けるという現実は、問題の一部でしかない。消費者の嗜好も変わり、いまビール消費量は過去最低水準となっている。2017年上半期のビール消費量は、前年同期比1.4%減少した。

この長期的な傾向は、各社に戦略の再検討を迫って然るべきだ。より小さな市場を前提とすれば、サッポロ、アサヒ、キリン、サントリーの各社は、コストを圧縮して競争力を維持する方法を見つけなければならない。それには、同様の傾向を経験した米国や欧州などの市場でそうだったように、国内で経営統合に向かうべきだろう。米国と欧州の市場はいま、ABインベブとハイネケンが牛耳っている。

日本のビール大手の直近の決算は、困難な状況をよく表している。サッポロの第2・四半期決算の売上高は3.2%増、営業利益率は3.1%だった。キリンの業績はさらに良く、売上高は9620億円、営業利益は800億円、営業利益率は8.3%だった。これは、キリンの製薬部門(そう、製薬部門が存在する)が部門の売り上げの15%を営業利益に貢献したからだ。

キリンの国内飲料事業の営業利益率は6%未満だった。全体の収益性は、ブラジルからの撤退効果で改善した。キリンは、2011年にブラジルのビールメーカー、スキンカリオールの買収に39億ドルを投じたが、今年それをハイネケンに7億ドルで売却した。

日本市場の3分の1のシェアを持つアサヒの営業利益率は10.7%、売上高は29%増加した。ABインベブからペローニなどの中東欧のビール事業を約1兆2000億円(約109億ドル)で買収したことを受けたものだ。ABインベブは、SABミラー買収の認可を得るため、これらの事業を売却した。

対照的に、バドワイザーやステラ・アルトワを生産しているABインベブの第2・四半期決算の利息・税金控除前の利益は44億ドルで、売上高は142億ドル。営業利益率は、アサヒの3倍近かった。世界最大のビールメーカーであるABインベブと比較するのはフェアでないというのなら、同族企業であるハイネケンが、売上高の17.2%を営業利益としている事実を考えてみるとよい。

日本の4社はみな、単独で、または力を合わせれば、もっと業績を上げられるはずだし、上げるべきだ。アサヒがサッポロを買収し、(それでもハイネケンに届かないが)合計の営業利益率が15%になることを想像してみよう。そうなれば、JPモルガンの2018年の売上予測をもとにすれば、両社合わせて15億ドルの売上高の上振れが期待できる。キリンとアサヒは、間違いなく7年前に中断した経営統合の協議を再開するだろう。

もちろん、日本は他と異なる。島国であり、国民は企業経営の効率や雇用の安定、金持ちの評価について、異なる考えを持っている。しかしその日本でも、政府がいかなる政策を取ろうとビールの消費量は減っている。

弱小のアンカー・スチームを買収したり、キリンのようにブルックリン・ブルワリー(ニューヨーク州)と資本業務提携を結んだりしても、それは変わらない。

巨大ビールメーカーの次の波は、すぐに日本を襲うだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


英国、南シナ海への軍艦派遣を計画 中国の反発必至

オピニオン:アベノミクス復活の条件=フェルドマン氏
コラム:ドル安ゆえに現実味増すドル円上昇シナリオ=高島修氏
コラム:狂うCPI上昇の筋書き、背景に高齢化も=村嶋帰一氏
http://jp.reuters.com/article/asahi-group-results-breakingviews-idJPKBN1AP0GG?sp=true

 

アングル:グーグル「メモ職員」、解雇に揺れるシリコンバレー

David Ingram Salvador Rodriguez Heather Somerville

[サンフランシスコ 8日 ロイター] - 米グーグルが、会社の女性雇用方針を批判するメモを書いた男性技術者を解雇したことを受け、シリコンバレーでは、リベラル色が強いテクノロジー企業と、一部の保守的な考え方の関係者との間の文化的な対立が改めて鮮明になっている。

メモを書いた技術者のジェームス・ダモア氏(28)には、批判と称賛のほか、いくつかの採用オファーが寄せられている。ソーシャルメディア上では議論が沸騰する一方で、自社で似たような事態が起きないよう予防策を取るテクノロジー企業も出ている。

ダモア氏は、IT大手アルファベット(GOOGL.O)傘下のグーグルから7日に解雇されたことを確認した。グーグルが保守的な意見を敵視しているほか、平均的に女性はより神経症的だという内容の10ページのメモを書いたことを受けた措置だという。

生物学的に男性の方が女性よりもコーディングの仕事に適しているという内容のダモア氏のメモについて、シリコンバレーの多くの人が、不快で破壊的だと受け止めている。一方で、特に政治的に右寄りな人の中には、ダモア氏は勇気をもって真実を語ったとして評価する人もいる。

今回の騒動により、保守活動家とテクノロジー業界との間で過去にあった深い溝に再び注目が集まっている。

2014年には、非営利組織モジラ財団のトップが、同性婚に反対する立場であることが公になり、辞任に追い込まれた。テクノロジー企業幹部は同性婚賛成派が多く、同性婚が合法となる前から、同性カップルに異性カップルと同様の福利厚生を提供している会社が多かった。

「リベラル左派と異なる見解を持つ人はみな、辱められ、避けられるようになり、追い出される」と、ソーシャルネットワークGabのアンドリュー・トルバ最高経営責任者(CEO)は言う。

保守層の間で人気のあるGabでは、ダモア氏を雇用する用意があるという。

昨年の米大統領選で、共和党候補だったドナルド・トランプ氏を有利にする内容のハッキングされたメールを公開した内部告発サイト「ウィキリークス」創始者のジュリアン・アサンジ氏も、ダモア氏に職をオファーした。アサンジ氏は「検閲は負け組がすることだ」と、ツイッターに書き込んだ。

リバタリアン(自由至上主義者)傾向のある技術者や投資家のグループ「リンカーン・ネットワーク」共同創設者のアーロン・ジン氏は、グーグルはダモア氏に研修を受けさせるべきで、解雇したのは「やり過ぎ」だったと指摘する。

「彼を殉教者にしてしまうだけだ。今日の分断された政治風景を考えるなら、殉教者を生むのは避けたいところだ」

米紙ニューヨーク・タイムズは8日、米フェイスブック(FB.O)の取締役会メンバーの間で、政治的な立場を巡る対立が起きたと報じた。昨年8月、取締役会メンバーの動画配信サービス大手ネットフリックス(NFLX.O)のリード・ヘイスティングスCEOが、同じくメンバーで投資家のピーター・ティール氏に対し、トランプ氏支持は「壊滅的な判断ミス」だと警告したという。

2人の対立の結末は明らかになっていない。ヘイスティングス、ティールの両氏は現在もフェイスブック取締役会のメンバーだが、同社は記事についてコメントしなかった。

一般的には、シリコンバレーのテクノロジー企業は、男女平等の推進やセクハラ対策が遅れているとして批判を浴びている。

配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズ[UBER.UL]や他のベンチャー企業では、根強いセクハラが続いているとの指摘を受けて、経営陣の交代を余儀なくされた。

米労働省では、グーグルが法律に反して女性の給料を男性より低くしていたかどうか調査している。グーグル側は否定している。

<行動規範>

今回、ダモア氏のメモを「自社の企業文化への脅威」と捉えて対応したグーグルには、各方面から称賛が集まっている。グーグルは、「悪をなさない」との社是を掲げている。

「彼が書いた内容は、テクノロジー業界にとって極めて毒性が高い。女性を弱く、または無能に見せる内容だ」と、サンフランシスコでテクノロジー業界の女性の地位向上に取り組む非営利団体を設立したアドリアナ・ガスコイン氏は指摘する。

ソフトウエア会社ガストのジョシュ・リーブスCEOは、9日のスタッフミーティングでもメモの話題が出ると予測する。同社の行動規範では、ダモア氏が書いたような他人を傷つける内容のメモは「明示的に禁止されている」という。

ダモア氏は8日にはロイターの取材に返答しなかったが、7日のメールでは、解雇について法的措置を検討しているとしていた。

雇用問題を専門とする法律家は、ダモア氏が解雇を不当として訴えても認められる可能性は低いと述べた。また、もしグーグルがダモア氏を解雇していなかったら、グーグル自体が訴えられるリスクがあったという。

グーグル側は、個別の社員についての取材には応じられないとしている。

米企業は、職場での社員の言動を制限する幅広い権限を持っている。政府による言論への介入を規制した米憲法修正第一条は、民間企業の職場には適用されない。

ビジネス向け交流サイトのリンクトイン上のプロフィールによると、ダモア氏は2013年12月からグーグルでソフトウエア技術者として働いていた。また同年、ハーバード大学からシステム生物学の博士号を取得したとしている。だが同大は、ダモア氏が得たのは修士号であり、博士号ではないとしている。

テクノロジー業界に詳しい専門家によると、業界の創設期には、当時地味だったコーディングの仕事はほとんど女性が行っていた。だが最先端のプログラミング技術の価値が明確になるにつれ、男性が牛耳るようになったという。

他のテクノロジー企業は8日、グーグルを取り巻く状況を注視した。性別や多様性に絡む議論に巻き込まれずに済んで良かったと安堵する企業もあった。

「大きな組織なら、どこにでもジェームス・ダモアがいる。だがテクノロジー企業はより自由度が高く、個人的な見解をシェアしやすい」と、あるシリコンバレー企業幹部は言う。

テクノロジー企業には、「自分の考えを同僚とシェアする義務があると考える、頭が良くて自信家の職員が多い」のだという。

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コラム:ドル安ゆえに現実味増すドル円上昇シナリオ=高島修氏
コラム:狂うCPI上昇の筋書き、背景に高齢化も=村嶋帰一氏
http://jp.reuters.com/article/google-diversity-idJPKBN1AP0HP?sp=true


 


 

米モルガンS:日本での営業収益が外資トップに、ゴールドマン続く
日向貴彦
2017年8月9日 09:33 JST更新日時 2017年8月9日 14:40 JST

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米モルガン・スタンレーが日本で業務を営む外資系証券で、前期に営業収益と純利益を最も多く計上したことが分かった。日本のマイナス金利環境下で、仕組み債などの債券関連業務が好調だった。ゴールドマン・サックスが後に続いた。
  モルガンSと三菱UFJフィナンシャル・グループの共同出資会社のうちモルガンSが過半数を出資するモルガン・スタンレーMUFG証券の2017年3月期の純利益は290億円、営業収益は1263億円と、外国証券10社の中でトップになった。各社が金融当局に提出した資料を基にブルームバーグが集計した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iEyDeD61bmJM/v3/-1x-1.png

  ニューヨークに本拠を構えるモルガンSは、日本の機関投資家がマイナス金利環境下でより利回りの高い投資先を模索する中、世界の拠点網を使って日本国外の為替や金利に連動した商品を組成、販売。また国内の大型新規株式公開(IPO)の引き受けなどにより、3年間で最大となる収益を計上した。
  モルガンMUFGのジョナサン・キンドレッド社長はブルームバーグの取材で、「グローバルなネットワークと経験を活用、顧客に対して国内外の多種多様な商品やサービスを提供している」と述べ、「現在、国レベルでの金融市場改革が進もうとしている日本には有望なポテンシャルがあり、われわれはさらにビジネスを成長させていく」と語った。
  同社が8月1日までに金融庁に提出した資料によれば、債券関連業務からの受入手数料は437億円とその前の期から22%増加した。株式関連では九州旅客鉄道やLINEのIPOの主幹事を務めた。
ゴールドマン
  一方、米ゴールドマンは1年間で稼いだ収益の規模で外国証券で2位となった。2016年12月期の純利益は221億円で、収益は1226億円だった。今期は投資銀行業務が順調で、東芝の半導体事業の売却でフィナンシャル・アドバイザーを務めているほか、財務省による日本郵政株式の売却の際のグローバル・コーディネーターに選出されている。
  同じく米系のJPモルガン・チェースは、17年3月期の純利益は219億円で営業収益は952億円だった。欧州系ではドイツ証券の利益は167億円で、収益は777億円だった。BNPパリバの純利益は150億円だったが、収益は955億円とドイツ証とJPモルガンを上回った。
  BNPパリバでは今年に入り債券関連業務などで約30人を採用していて、仕組み債などの金融商品の組成、販売業務を強化する方針だ。
日本での陣容
  日本での人員が最も多かったのはJPモルガンだった。3月末時点の人員数は765人と、1年前から4人増加して、外資系証券としては最大となった。一方、ゴールドマンは46人減少し12月末時点で764人とJPモルガンを下回った。
  最も減少したのは日本株から撤退したバークレイズで、74人減の429人、バンク・オブ・アメリカ傘下のメリルリンチ日本証券は64人減の654人、UBSグループは52人減少し412人となった。
  バークレイズ証券の木曽健太郎社長はブルームバーグの取材に対し、120人の削減を伴った日本株撤退から1年、同社は日本拠点の再構築に着手しており、企業の合併・買収(M&A)の助言業務を行うバンカーや金融商品を販売するセールスなど、10人強を今期中に採用する考えを明らかにしている。
外資系証券10社の収益
営業収益(十億円) 純利益(十億円) 人員数(増減)
モルガンMUFG 126.3 29.0 649 (-7)
ゴールドマン* 122.6 22.1 764 (-46)
BNPパリバ 95.5 15.0 382 (+4)
JPモルガン 95.2 21.9 765 (+4)
ドイツ証券 77.7 16.7 509 (-20)
クレディ・スイス 52.8      5.9 514 (+41)
メリルリンチ* 50.0 ▲2.7 654 (-64)
バークレイズ 39.4 ▲8.7 429 (-74)
ソシエテ・ジェネラル* 37.6      9.0 259 (+32)
UBS* 23.9 ▲52.2 412 (-52)
*2016年12月期、▲は赤字、シティグループは決算期変更のため9ヵ月の数字しかないため除外
英語記事:Morgan Stanley Tops Goldman Sachs With Biggest Profit in Japan

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-09/OUCPC86TTDS001


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