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金融行政の改革者、森・金融庁長官「試練の3年目」の課題(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/hasan123/msg/225.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 8 月 17 日 09:53:04: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


金融行政の改革者、森・金融庁長官「試練の3年目」の課題
http://diamond.jp/articles/-/138927
2017.8.17 中村宏之:読売新聞メディア局編集部次長 ダイヤモンド・オンライン


金融庁の森信親長官の任期が異例の3年目に入った。斬新な改革を掲げて金融行政に変革をもたらし、特に地域金融機関に経営力強化を訴え続けてきた森長官にとって、政策の集大成となる「仕上げの年」になるのは間違いない。銀行は真に顧客本位のサービスを提供できる存在になれるのか。これまでの金融行政の経緯と、最近の地域金融機関の動きをまとめた『ドキュメント 金融庁vs. 地銀 生き残る銀行はどこか』(光文社新書)の取材チームの一人、中村宏之・読売新聞メディア局編集部次長が解説する。

 かつて経済部の現場時代に筆者も取材した経験があるが、金融庁は当時から取材の難易度が高い役所の一つだった。個別金融機関の機密情報を扱っている上に、政策対応次第では金融市場への影響も大きい。

 このため、もとより金融庁からの積極的な情報提供はほとんどない。さらに幹部も日々、忙しく動き回っており、正面から取材のアポイントが入るわけでもない。結局、局長室の前の廊下などで立って待ち、たまにトイレなどに出てくる時や退庁時のぶらさがり、夜討ち朝駆けをするのがせいぜいだった。なかなか進まない取材の中、「地検特捜部の取材のようだ」などと同僚と自嘲気味に言い合っていたのを思い出す。

 ただ、それも無理もないことだった、と今になれば思う。1997年以降の未曽有の金融危機を経て、銀行に苛烈な不良債権処理を迫り、検査を強化して、経営体力が低下した銀行には破綻処理や公的資金注入による資本増強を行う時代だった。処理を一つ間違えば、日本経済全体にも悪影響を与えかねないプレッシャーの中で、金融庁も英知を絞って対応している様子が、取材を積み重ねる中で見てとれた。

 りそな銀行や足利銀行など、政府が金融危機対応会議を開いて公的資金の注入や破綻処理に奔走していた時代から今や10年以上もの時を経た。銀行の不良債権処理にメドがついてからも久しい。近年の金融行政は、表面的には「平時」モードである。

2年間で「森イズム」は
地域金融機関に浸透


 そうした環境の中で、森氏が2015年に金融庁長官に就任し、様々な改革を打ち出してきた。その根底にあるのは「平時の金融行政はいかにあるべきか」という強い問題意識であり、柱の一つが地域金融機関の「稼ぐ力」の強化である。

 現在の安倍内閣の下では、「地方創生」という重要な課題もあり、地方経済の活性化のために地域金融の強化を図る方向性は的確といえ、目に見える形で目標を掲げて経営力強化を促してきた2年間だった。読売新聞東京本社経済部では、若手記者が中心となって森長官の改革の経緯や地域金融の現状を『ドキュメント 金融庁vs. 地銀 生き残る銀行はどこか』にまとめた。

  
   『ドキュメント 金融庁vs.地銀 生き残る銀行はどこか
    光文社新書 読売新聞東京本社経済部 821円(税込み)

 本書は、近年の金融行政と地域金融機関の変化に取材記者たちが敏感に反応し、新聞連載として結実していたことが土台にある。さらに、森長官の考え方や行政手法について、金融関係者が詳しく知りたいと思っているにもかかわらず、十分に情報が伝わっていないのではないか、という問題意識にも立脚している。「週刊ダイヤモンド」をはじめとする経済誌で金融庁の特集を組むと売れ行きが良く、関連する書籍が高い関心を呼んでいることもそうしたことを象徴している。

 かつて金融行政が「危機モード」にあった時には、金融庁の関心は大手行に向けられており、地域金融機関はむしろ大目に見られていた。このためこれまでの金融庁の地域金融機関に対するアプローチも、アグレッシブな改革というよりは、むしろ緩慢な形で行われてきた。

 森長官の目指す改革の基本的な方向性は、経営体力に余裕があるうちに「稼ぐ力」を身につけ、顧客本位の観点で金融サービスを提供し地域経済に貢献してほしい、という点である。この2年間で「森イズム」は地域金融機関に徐々に浸透し、一定の成果を上げてきた。しかし、何をすればよいのか自ら判断・実行できない地銀や第二地銀もいまだに多い。

森氏の3年目は引き続き
地域金融機関への対応を重視


 金融行政の行方が注目される中、森長官が3年目を続投するかどうかは、今夏の金融界や霞が関の一大関心事になっていた。通例、省庁トップの人事は、後任候補の年次にもよるが、おおむね在任期間は1年から2年というのが“相場”である。実際、森氏自身は当初、3年目の続投を固辞していたが、霞が関を掌握する菅義偉・官房長官の信任の厚い森氏が、首相官邸からの説得もあって最終的には受け入れたとされる。

 森氏が留任となったことで、金融庁の幹部クラスの大幅な入れ替えはなかった。焦点となっている地域金融機関関連では、ノンキャリアとして初の監督局審議官になった西田直樹氏が引き続き務める。銀行2課長を長く経験して、西田氏ほど地域金融機関に精通している人はいないとされるからだ。元広島銀行幹部など民間出身者も幹部職に就いており、さらに金融庁はこのほど、信用金庫や信用組合の経営状況に詳しい人材を迎え入れた。

 こうした面からも、森氏の3年目は引き続き地域金融機関向けの政策を重視すると見られ、それに対応する陣容を整えたといえる。

 7月に開かれた全国の地方銀行首脳との意見交換会で、森氏は地銀の「稼ぐ力」に強い危機感をにじませ、持続可能な経営モデルの構築を求めた。金融行政は「平時」だが、こと地銀の将来について決して楽観はできないという含意である。

 このように金融庁は「もっとトップが危機感をもって取り組んでほしい」と様々な形でメッセージを送っているが、地域金融機関の経営者の中には「自分がトップにいる間はしのげればいい」などと考える向きも多く、金融庁の思うようには動かないのが実情だ。

 森氏の金融行政を象徴するキーワードに「フィデューシャリー・デューティー(Fiduciary duty)」(FD)がある。直訳すれば「受託者責任」ともいうべき言葉だが、金融庁はこの2年間、資産運用における顧客本位の業務運営を実践するよう金融機関に求めてきた。

金融庁自身の組織改革など
仕上げの一年は課題山積


 国民の安定的な資産形成に向けて、「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択し、取り組み方針を公表した金融事業者は400社以上に及ぶ。しかしその内容はまちまちで、金融庁が期待する水準に達していない金融機関も多い。金融庁は「投資信託販売額に占める自社グループ商品の割合」なども踏み込んで公表したケースを「好事例」として推奨している。

 しかし、ルールにのっとった行政上の要請ではないため、各金融機関は「様子見」の状態を続けているのが実情だ。今後金融庁は、金融機関にいかにFDの内容を充実してもらうかが課題となる。

 ただ、金融機関が顧客本位になったからといって、すぐに投資が活発になるというわけでないことは金融庁も十分理解している。国民が実際に投資を積極的に行うようになるには、まだまだ時間がかかると見られるからだ。日本経済の長年の宿願といえる「貯蓄から投資へ」という金融構造の変化を、今後どう実現していくかも問われるだろう。

 さらにもう一つの課題は金融庁自身の組織改革である。8月下旬には、検査局と監督局を一体化することが発表される見通しだ。金融庁にとっては大きな組織再編だが、現状では誰が指揮をとるのかわかりにくく、森長官の認めた一部の優れた人材が様々な役職を兼任している弊害も指摘されている。このため高度に複雑化する金融業界の動きに機敏に対応するため、専門知識を持つ外部人材の積極的な登用を行うほか、メガバンクの元幹部らを金融庁参与として受け入れ、助言を求めている。

 森長官が3年目を迎えても、このように課題は山積している。今後は、森氏の目指す目標に、金融機関がどれほど敏感に反応するかが焦点となる。金融庁自身も、地域金融機関との窓口になる地方財務局への優秀な人材の配置など、組織全体として機動的に対応できるかどうかが試される。これら課題を森長官がどれだけ着実にこなすことができるのか。仕上げの一年の動きに対して一段の注目が集まりそうだ。



 

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